武谷三男の本について

武谷三男は日本の湯川、朝永、坂田昌一らと同時代の素粒子論研究者です。
武谷は有名な「弁証法の諸問題」で大学生に人気のあった学者です。原子力問題にも詳しく許容量にもとづいて公害問題や原水爆実験を議論した「安全性の考え方」は面白い本だと思いました。個人送信資料で読めます。
https://dl.ndl.go.jp/pid/2514144

個人送信資料では著者 武谷三男で検索するといろんな本が読めますので興味のある人は探してみてください。物理学の歴史や、湯川や坂田との対談本などもあります。

その中に、量子力学の形成と論理 I 原子模型の形成
という日本語の本がありますが、https://dl.ndl.go.jp/pid/11292426
volume 1からvolume 3にわたる全三巻の英語版が刊行されていて Internet Archiveで借りることができます。
英語でよむほうがきれいな本が読めます。クオーク模型以前の物理学者がかいた量子力学の発展史ですので、面白いかもしれません。

https://archive.org/search?query=creator%3A%22Taketani%2C+Mitsuo%2C+1911-%22

ChatGPTによる英語学習用のプロンプト、英文校閲用のプロンプトなどなど。

今日も京都大学の柳瀬陽介先生のブログ記事を紹介しておきます。
柳瀬先生は、ChatGPTを使って英語学習をするためのChatGPT用のプロンプトを沢山作成しておられます。以前の記事で紹介してプロンプトへのリンクなども今回の記事にありますので是非つかってみてください。結構、丁寧で長いプロンプトをつくっておられます。

「2023/06/24
無料のGPT-3.5のChatGPTで大学入試レベルの英作文を自学自習するためのプロンプト
https://yanase-yosuke.blogspot.com/2023/06/gpt-35chatgpt.html

これを参考に自分用のプロンプトを作成することも容易だと思います。是非、自分用のプロンプトを作って役立つときは公開してみてください。私も以前、科学論文校正用のプロンプトを記事にしていますのでご覧ください。

ChatGPTに論文の英文校閲をしてもらうための”良い”プロンプト(prompt)の作り方

ネット検索してみると、アカデミックライティング用のプロンプトを公開している方もいろいろみつかります。例えばトルコの方のこちらのサイトなども参考になります。

https://github.com/ahmetbersoz/chatgpt-prompts-for-academic-writing

量子生物学の解説ニュース記事と、Nature VideoのYouTubeチャンネルを紹介します。

Clarice D. Aielloさんは、このブログでたびたび紹介している量子生物学の研究者です。彼女がThe Conversationという政治問題から科学、医学、健康まで広い範囲の話題を扱っているニュースサイト
https://theconversation.com/global/
に簡単な量子生物学の紹介記事を書いていますので紹介しておきます。
Quantum physics proposes a new way to study biology – and the results could revolutionize our understanding of how life works
Published: May 15, 2023
https://theconversation.com/quantum-physics-proposes-a-new-way-to-study-biology-and-the-results-could-revolutionize-our-understanding-of-how-life-works-204995

記事内のリンクをクリックすると記事内の用語についての解説記事に飛ぶようになっています。動画へのリンクもあって、たとえばこんな動画が載っています。
How quantum mechanics help birds find their way
https://youtu.be/0SPD2r0xV8k

これは雑誌Natureの配信している動画です。他のビデオも以下のチャンネルからみると面白いです。https://www.youtube.com/@NatureVideoChannel/videos

Powers of Tenの動画、DNA研究の歴史の動画などを紹介します。

Royal Institutionのチャンネルをみていたら懐かしいビデオがリストされていました。
Powers of Ten これは有名なビデオです。本にもなっていますね。本は子供とよく一緒にみたものです。だいぶ昔の記事でも紹介したことがあります。今見ても面白いビデオです。科学はだいぶ進んでいて内容も一部は旧くなっていますけれど、今でも子供にも推薦できるビデオです。また以前紹介したこちらのサイトも面白いと思います。https://htwins.net/scale2/
https://youtu.be/0fKBhvDjuy0

もっと新しいバージョンはこちらがあります。
Scales of the Universe in Powers of Ten – Full HD 1080p
https://youtu.be/Hy8VtYYdI9g

今日みていたRoyal Institutionの動画はこちらです。
The hidden history of DNA – with Gareth Williams
https://youtu.be/_w2453iom9s

このビデオは2019年7月25日に行われた講演の録画だそうです。昨日公開されました。DNAの研究はワトソン、クリック、ウイルキンス、フランクリンだけで行われたものではありません。余り知られていないが研究の発展に大きく貢献した科学者たちを知り、研究の歴史を振り返ることができるよくまとまった講演です。これをみて興味をもったかたは2019年にでた彼の本「Unravelling the Double Helix: The Lost Heroes of DNA」を読むといいでしょう。こちらから購入できます。
https://geni.us/Ec34Agv
Kindle版は今471円です。

質疑応答はこちら。
https://youtu.be/XscH3mbyQU4

あと現在Amazonのプライム会員向けに、Kindle unlimited 3ヶ月無料キャンペーンというのをやっています(7月12日までの期間限定)。Kindle unlimitedも最近はずいぶん内容の改善がみられるので、まだ試したことのない人は、一度ためしてみるとよいと思います。一般会員向けのキャンペーンもあるようです。https://forest.watch.impress.co.jp/docs/bookwatch/sale/1510423.html

線虫が空を飛ぶという論文がでました!

線虫が空を飛ぶという論文がでています。
Caenorhabditis elegans transfers across a gap under an electric field as dispersal behaviorというタイトルで、有名誌のCurrent Biologyに出た論文です。
https://doi.org/10.1016/j.cub.2023.05.042
オープンアクセスの論文なので誰でも読めますのでご覧ください。

モデル生物として研究されている線虫C. elegansは、環境からストレスを受けたり、密集しすぎたり、餌がなくなるなど生育に不利な環境になると、成虫への発生の過程を変化させてL2幼虫にならずに、dauer(ダウアー)とよばれる特殊な状態になって耐え忍ぶようになります。dauer状態では餌もとらず、口も閉じてしまい、腸は電子密度の高い貯蔵顆粒でいっぱいになってしまいます。丁度動物の冬眠のような感じの状態ですね。ほとんど動かなくなりますが、動物や昆虫が近づいて振動などの刺激をうけると、飛びあがってその動物や昆虫にくっついてより良い環境を求めて旅するのです。ダウアーの状態の線虫がよりよい環境に移動できた場合には、発生を再開してL3という幼虫になって正常発生過程に復帰します。ダウアーなんてつまらないものを研究している人がいるんだなぁと思ってはいけません。なんとこのdauerの研究は長寿遺伝子の研究、生物の寿命決定のメカニズムの研究にブレイクスルーをもたらしたのです。そのうちにダウアーの研究をした線虫研究者にノーベル賞が授与されるのは確実だと思います。

ダウアー状態の線虫は尾を下にして立ち上がって、頭を上にした状態で、ときどき頭を揺らして昆虫などが近づくのを待っています。このように動いているダウアーの線虫をnictation状態にあると呼びます。このnictationに関わる神経はIL2ニューロンであることなどもわかっています。今回の論文は、nictation状態にあるダウアー状態の線虫C. elegansが、電場を利用して飛び上がって昆虫(セイヨウオオマルハナバチBumblebee Bombus terrestris―この虫は特定外来生物に指定されています。日本の在来のマルハナバチと競合します。なんと在来種の女王蜂を刺殺するそうです!)にくっつくことを発見したという驚きの報告です。なんと100匹のnictation状態にある線虫の集団も電場を利用して飛び上がるのだそうで、その動画も公開されています。実験室では線虫を寒天をひいたプラスチックシャーレで飼育するのですが、ある時、寒天の上にいたダウアー線虫が突然消えてしまって、探してみるとなんとシャーレの蓋のほうに全部ワープしたかのように移動していたのだそうです。この発見を追及して、今回の電場で線虫が虫にくっつくということを見つけたのだそうです。私達も似た現象を経験をしていたのですが、こんなメカニズムだったとはまるで気づけませんでした!

動画はこちらのtwitterでみられます。面白いです。感動しました。


下の写真は私が授業で使おうと思っていた鳥獣戯画の一場面です。鳥獣戯画にも線虫が描かれているというスライドで授業をはじめようと考えて作ったのですが、今回が本邦初公開です。みるからにダウアー風の線虫数匹の集団が、カエルの口の付近を飛行しているように見えませんか?


下のツイートでは、集団で飛ぶ線虫の動画がみられます。

英語の聞き取り力 向上用の動画

英語の聞き取り力 向上用の動画を紹介します。

映画やドラマの英語を聞き取れないことがよくあります。京都大学の柳瀬陽介 先生のブログサイトには、この聞き取り対策のために役立つ動画のリンクを集めてくださっている記事がありますので紹介します。
「2023/05/01 無料YouTube動画のElementalEnglishでアメリカ英語の発音を学ぶ 」
アメリカ英語ですが、イギリス英語の聞き取りにも同様に役立ちますので紹介されている動画を順にみてください。とても役立つと思います。https://yanase-yosuke.blogspot.com/2023/05/youtubeelementalenglish.html
例えばこんな動画があります。
Connected Speech & Linking | English Pronunciation Lesson
https://youtu.be/gAHUTKm_1n0

ここで紹介されている程度のことは知っているという方には、柳瀬先生の別の記事が役立つと思います。こちらは映画のクリップを使って映画のセリフが聞き取れるようになるための解説をしてくれている動画のリンク集です。
「2023/06/13 映画で学ぶアメリカ英語の発音とリスニング (Rachel’s English) 」
https://yanase-yosuke.blogspot.com/2023/06/rachels-english.html

たとえばこんな動画があります。Top Gunの映画を使って学ぶというレッスンです。
English Movie – How To Speak English Like an American With Top Gun
https://youtu.be/OhZ-YG7SYRI

Top Gun: MaverickはNetflixの配信で見ました。Netflixは英語字幕をだせるので英語の勉強には最適です。映画は面白かったです。Top Gunの第一作へのオマージュが満載ですが、最初の超音速飛行のシーンは、映画ライトスタッフでのチャック・イエーガーの新型超音速機のテスト飛行と墜落シーンへのオマージュでしょう。ストーリー展開からすると、米国版の水戸黄門映画だと思いました。

 

ChatGPTについての講演動画がいろいろでています‥‥

国立情報学研究所の「教育機関DXシンポ」シリーズはよい講演が満載の講演会です。以前も紹介したことがありますが、今日も二つほど最新の動画を2本紹介します。(過去の動画一覧はこちらからどうぞ。このサイトには動画へのリンクのほか、講演資料のダウンロードリンクもあって親切です。
https://www.nii.ac.jp/event/other/decs/past.html

1)【第66回】 大学等におけるオンライン教育とデジタル変革に関するサイバーシンポジウム「教育機関DXシンポ」(6/9 オンライン開催)
https://www.nii.ac.jp/event/other/decs/#edx66

「言語生成AIの仕組み -対話を可能にするための学習-」
鶴岡 慶雅 東京大学大学院情報理工学系研究科 教授
https://youtu.be/hMiL3E_C_oc

この動画の内容は、先生の書かれた概要を少し短く要約すると以下のようになります。「ChatGPTをはじめとする言語生成AIは大規模言語モデ ルとも呼ばれ、大量のテキストを用いて、言語モデル(次の単語を予測するモデル)として学習されていることはよく知られています。この大規模言語モデルを人間との対話ができるモデルにするためには、それだけでは不十分だそうです。この講演ではインストラクションチューニングや人間のフィードバックによる強化学習など、大規模言語モデルを人間との対話が可能なモデルとして構築するための技術について紹介する。」

2)【第65回】 大学等におけるオンライン教育とデジタル変革に関するサイバーシンポジウム「教育機関DXシンポ」(5/12 オンライン開催)
「大規模言語モデルの原理と可能性」(5/12 オンライン開催)
宮尾 祐介 東京大学大学院情報理工学系研究科 教授
 https://youtu.be/8-58PkqCek4

こちらは先生の書かれた概要をそのまま引用しておきます。
「ChatGPT に代表される大規模言語モデルを実現している理論・技術や応用について概説し、教育や社会に対する影響や可能性を議論します。理論・技術として言語モデルの基礎やTransformerなどの代表的なニューラルネットワークを解説し、機械翻訳や対話システム、その他最近の大規模言語モデルの応用技術について紹介します。また、現在の大規模言語モデルのしくみやその問題点について説明し、今後の言語モデルの発展の可能性や教育・社会に対する影響について議論します。」
どちらの動画もわかりやすく知らなかったことがいろいろ紹介されていて参考になりました。

牧野富太郎自叙伝は青空文庫で読めます。

NHKの朝ドラは面白いですね。毎日みています。牧野富太郎の自叙伝を読んでみたいと思い探してみると、青空文庫で読めることがわかりました。

第一部 牧野富太郎自叙伝
https://www.aozora.gr.jp/cards/001266/files/55789_52788.html
第二部 混混録
https://www.aozora.gr.jp/cards/001266/files/56695_52793.html

第三部は「父の素顔」 牧野鶴代 というタイトルで牧野富太郎の娘さんの回顧録のようです。
これは青空文庫にはないみたいです。https://www.aozora.gr.jp/cards/001266/card55789.html

ちょっと検索してみると、国立国会図書館の個人送信資料で読める「植物学九十年」とい牧野富太郎著の本には、娘さんの鶴代さんが書いた「父の記―牧野鶴代」という章があります。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1375853
興味のある方はこの本もとても面白いので読んでみてください。牧野富太郎の文章を集めた本で、序文 を長谷川如是閑が書いて、末尾に娘さんの回想録がついているという本です。

下の写真は散歩の途中で咲いていたねむの木の花です。毎年この季節に綺麗にさきます。今日は福岡は34度越えのところもあって、全国一暑かったようです。梅雨の中休みです。

英国で大学レベルの講義の無料ビデオを配信しているGresham Collegeを紹介します。

英国のGresham Collegeは1597年にSir Thomas Greshamの遺言によって創設された、無料で大学レベルの講義を一般人に公開するための組織です。大学のように学生はとるわけではないのですが、OxfordやCambridge大学その他の大学の教授の協力で講義を一般公開してきました。現在は無料で大学レベルの講義を動画で公開しています。https://www.gresham.ac.uk/

とても面白い動画が多いです。大学レベルの講義の一般公開サイトなので、経済学や文学(シェイクスピアとかもあります)、法律の講義などもあります。たとえば検索ページで以下のようにmathで検索してみると以下のような動画がリストされます。
https://www.gresham.ac.uk/watch-now/browse-all?radio=3&type=569

今日はその中で、Professor Sarah Hartによる動画を紹介しておきます。
Alan Turing: Pioneer of Mathematical Biology というタイトルの動画です。
https://youtu.be/JtGIc18CGgo

この動画のGresham Collegeの解説ページは必見です。
https://www.gresham.ac.uk/watch-now/turing-biology
このページの上にある、Downloadsからはこのビデオの字幕がダウンロードできます。また、
Extra Readingのタブをクリックすると、TuringのReaction-Diffusionモデルの原論文へのリンクや興味深い参考文献やサイトの紹介がみられます。Turingモデルをオンラインで試せるサイトも紹介してあります。
https://jasonwebb.github.io/reaction-diffusion-playground/app.html

技術者とコンピュータ科学者のための最新の機械学習の教科書(第2版)がダウンロードできます!

以前紹介した教科書 Data-driven Science and Engineering (Cambridge University Press)の第二版が
無料でダウンロードできるようになっています。

物理や工学で機械学習を使うすべての人(良くできる学部学生や修士の学生など)にピッタリの教科書(英語)を紹介します。

著者のSteve Brunton教授は流体力学が専門のようで、高次元のデータから扱いやすいパターンをみつけだして制御するという、技術者のかかえる問題を機械学習で解決したいという人に最適の教科書とのことです。すべての内容についてPythonとMatlabのコードが公開されており、RやJuliaのコードもあるそうです。またすべてのセクションに動画が公開されていて、本でわからなかったら動画をみて理解を深めることもできます。
実際に機械学習を技術的問題の解決や物理の問題の解決に役立てようと思う人には最適の本らしいので是非、著者のサイトから教科書をダウンロードしたり、著者の動画をみたりして気に入ったら勉強してみてください。
https://youtu.be/oEXR9EnAtm4

この教科書の著者のYouTube動画の「もっと見る」の部分をクリックすると、第二版、第一版のpdfへのリンクがあります。