昨日の記事でふれた、二階堂愛先生のバイオインフォマティクスの実践的教科書
『AIエージェントを使いこなす はじめてのバイオインフォマティクス開発作法』のv0.5.0が公開されました。これにともなって、pdfやEPUBの作成(build)法も大幅に改良されています。ものすごくきれいなpdf版や、Amazonで公開できるレベルの完璧なEPUBも作成できるようになりました。まず先生のツイートを埋め込んでおきます。
『AIエージェントを使いこなす はじめてのバイオインフォマティクス開発作法』v0.5.0を公開しました。
プログラミング教育を受けていない人が、Claude Opus 5/Codex…
— ゲノムのほうの愛ちゃん?? ?? (@dritoshi) July 29, 2026
先生のGitHubサイトはこちらです。
https://github.com/dritoshi/ai-biocode-kata
初めての方は、まず次の過去記事をご覧ください。
では今回の最新版の作成方法をステップbyステップで説明します。Ubuntu (Linux)で作成する方法です。
二階堂先生のGitHubサイトをgit cloneしている場合、手元のサイトデータをアップデートしてからbuildしないと、最新版の本がbuildできません。以下の手順で最新状態に更新してから、ビルドを実行してください。
【準備】
1. リポジトリのフォルダに移動する: cd ai-biocode-kataなどでクローンしたリポジトリへ移動します。
2. 最新のデータを取得(同期)する:以下の git pull コマンドを使うと、以前クローンした時から現在までにGitHub上で更新された差分データだけを、各自の手元のパソコンに自動で取り込んで上書きしてくれます。git pull
※ここで「Fast-forward」や更新されたファイルの一覧がズラッと表示されれば、無事に最新版にアップデートされています。
これで最新版のデータが取得できたのでさっそく本の作成にとりかかりましょう。
PDF生成には2つの異なるパイプライン(やり方)が用意されており、用途に応じて使い分ける設計になっています。
a) LuaLaTeX版 (`build_pdf.sh`): A4サイズ。内容チェックやレビュー用(巨大なTeX環境を使う方法です)。
b) Vivliostyle版 (`npx vivliostyle build`): B5サイズ。商業出版(KDP)用の美しいレイアウトで、絵文字なども綺麗に表示される最終版。KDP(Kindle Direct Publishing)というのは、Amazonの電子書籍の厳しい出版前のチェックに耐えるレベルの最高品質の電子書籍レベルの本ができるという意味です。今回は紹介しませんが、KDPレベルの最高品質のEPUBビルドの方法も先生のサイトに用意されています。
今回はLuaLaTeX版でおこりがちな、フリーズを回避し、かつ美しいレイアウトが得られる「Vivliostyle版」のPDFを作成する手順を紹介します。B5版の688ページのきれいな読みやすい教科書が完成します。とても簡単にできあがるので試してみてください。
【Vivliostyle版 高品質PDF(B5サイズ)の作成手順】
文中のコマンドはすべてターミナルでうつBashコマンドです。
1. リポジトリのルート(一番上の階層)に移動する
ターミナルを開き、リポジトリの最上位フォルダ(`ai-biocode-kata`)に移動します。
cd ai-biocode-kata
などのコマンドで移動します。
`build` フォルダの中ではなく、その一つ上の `ai-biocode-kata` に移動している必要があります(`ls` を打って `package.json` や `vivliostyle.config.js` が見えれば正解です)。
2. Vivliostyle のインストール
ここでVivliostyleについての簡単な解説を書いておきます。 Vivliostyleって初めて目にする言葉だったので、Geminiに教えてもらいました。
Vivliostyle(ビブリオスタイル)のメリットは、「Webの技術で、商業出版レベルの美しいPDFを作る」ことです。これまで、プログラミングの本や各種技術書などを作るとき、美しいPDFを作るには「TeX(テフ)」という巨大で複雑な組版システムを使うのが一般的でした。しかし、Vivliostyleは全く違うアプローチをとっています。「HTMLとCSSで本をデザインする」という手法です:
普段私たちが見ているWebページを「本」のレイアウトに変換してPDFにしてくれる技術です。Webフロントエンドの知識(CSS)があれば、本の余白やフォント、レイアウトを自由自在にカスタマイズできます。環境構築が圧倒的に軽いのもメリットです:TeXを入れると数GBの容量を使い、設定時にパソコンがフリーズすることもしばしばあります。VivliostyleならNode.js(npm)のパッケージをサクッと入れるだけで済むため、環境構築のストレスが激減します。また、絵文字の対応が完璧というのもメリットだそうです:いろいろなカラー絵文字を本文に混ぜても、Webブラウザと同じように綺麗に出力されます(従来のTeX環境で絵文字を綺麗に出すのは至難の業でした)。
では作成に取り掛かりましょう。
1. 手順書にある通り、Node.jsのパッケージマネージャー(`npm`)を使って、必要なツール(Vivliostyleの本体と、技術書用のデザインテーマ)をダウンロードします。
npm install
インストールが終わったら、次の2.へ進みます。インストール後にターミナルにエラーメッセージがいっぱいでるかもしれません。 私が今日試した時には`deprecated`(非推奨)や `vulnerabilities`(脆弱性)といった警告がずらりと並びましたが、これらは無視できるそうです。
今回インストールしたVivliostyle関連のツール群は「手元のパソコンでPDFを書き出すためだけ」に使用するものです。インターネット上にWebサーバーとして公開するわけではないため、これらの脆弱性が直接的なセキュリティリスクになることはありません。無理に直すとビルドが壊れるリスクがあるそうです: 画面には `npm audit fix`(問題を修正する)や、npm本体のアップデートを促すメッセージも表示されてました。しかし、これらを安易に実行すると、二階堂先生が指定したバージョン設定からズレてしまい、逆にPDFが作れなくなることがよくあるそうです。`added 663 packages` という表示があれば、PDF生成に必要な部品がすべて正常に揃った証拠ですので、エラーは無視して次のステップ2.にいきましょう!。
2. PDFの生成(ビルド)を実行コマンドを入力します。
Vivliostyleを起動してPDFを生成するコマンドです。
npx vivliostyle build
画面に処理の進行状況が表示され、完了すると `build` フォルダの中に `ai-biocode-kata-vivliostyle.pdf` という名前のPDFファイルが出来上がります。Vivliostyleのビルドは、内部で裏側用のWebブラウザ(ChromeやChromiumのエンジン)を立ち上げてPDFを生成する仕組みになっているので、このコマンドの実行中に、必要なら自動的にchromeのブラウザをインストールするかもしれません
これできれいなpdf版の教科書が完成します。
当初はvolume 1とvolume 2の二冊になるとのことで書影もvolume 1になっていますが、