カタストロフィーの理論についてはこのブログでたびたび触れています。ChatGPTやGeminiに、カタストロフィーの理論は今、どのように評価されているのかをきいてみました。最近の文献や動画を探してもらったのですが、結構応用されていてその改良も試みられていることがわかりました。今日はWaddingtonのエピジェネティック・ランドスケープをカタストロフィーの理論で再構成して幹細胞の分化モデルを構築し、発生における分化の研究に使えるものにしたという論文があったのでタイトルを紹介しておきます。
Sáez M, Blassberg R, Camacho-Aguilar E, Siggia ED, Rand DA, Briscoe J. Statistically derived geometrical landscapes capture principles of decision-making dynamics during cell fate transitions.
Cell Syst. 2022 Jan 19;13(1):12-28.e3. doi: 10.1016/j.cels.2021.08.013. Epub 2021 Sep 17. PMID: 34536382; PMCID: PMC8785827.
オープンアクセスなので自由にダウンロードして読むことができます。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405471221003367
読む前に概要をつかむのに便利な次の紹介記事があるのでまずこれから読むとよいでしょう。
The geometry of cell fate
Cell Systems, Volume 13, Issue 1, 19 January 2022, Pages 1-3
Ben D. MacArthur
2023年はルネ・トムの生誕100周年だったそうで、記念講演会の動画が公開されています。
https://indico.math.cnrs.fr/event/9880/timetable/?view=standard_numbered
いろんな動画があって数学の話もありますが、カタストロフィーの理論については以下をご覧ください。
Sara Franceschelli
“The gap between theory and experience: evolution of a problem from morphogenesis to semiophysics”
https://youtu.be/Lh86tKH0dbU
カタストロフィー理論を「モデルの技法」としたThomと、Waddington landscape、経験的検証との関係を論じます。
Chérif Matta
“René Thom’s Catastrophe Theory and the Quantum Theory of Atoms in Molecules”
電子密度トポロジー、化学結合、QTAIM ( The Quantum Theory of Atoms-In-Molecules)との関係です。
https://youtu.be/p_UtxwOIhHk
量子化学での応用が定着していることがわかります。
Antoine Danchin
“Comment René Thom a changé la biologie moléculaire”
https://youtu.be/qBOsgGF1Cu8
分子生物学への思想的・方法論的影響を扱います。
あとは埋め込みませんが、分子生物学への応用や、アリストテレスに発する哲学的なトムのアイデアの解説など面白そうな動画があるのでご覧ください。フランス語の動画もありますが、たいていは英語です。フランス語の動画は、英語字幕がでますのでそちらで視聴できると思います。
Jean Petitot
“Trois remarques sur les modèles morphologiques de René Thom”
反応拡散モデル、アリストテレス的形相論、視覚認知の神経実装との関係を検討しています。
Daniel Bennequin
“René Thom and semantic information”
Shannon型の統計的情報とは異なる「意味の情報」と、トポロジー・ニューラルネットワークとの接続を論じます。
Wolfgang Wildgen
“René Thom’s archetypal morphologies of human language and his semiophysics applied to visual art and music”
言語学・記号論・美術・音楽におけるThomの影響を検討しています。
