AIが勝手にハッキングしたニュース。

熊本の地震で被害を受けている皆様にお見舞い申し上げます。私のところでは長周期振動が感じられ、久しぶりに「大地震です」という町内の放送が入りました。携帯やテレビの警告音が一斉になるのはよくないですね。あまりにやかましいので判断力が鈍ります。熊本にいる卒業生の二人の無事はLINEの安否確認機能で確認できたと、奥さんが教えてくれました。便利な時代になったものです。余震も続くと思いますのでどうぞ気を付けてお過ごしください。

さて、今日のタイトルについてです。
2023年の記事で、ホーガンのSF小説、「未来の二つの顔」を紹介しました。驚くほど現在のAIとそっくりな人工知能が登場する50年近く前のSFです。ドローンが登場するので感動している人もいますが、それよりもなによりも、物語の結末で学習を終えた人工知能が人類と共存できるものに変貌しているというのが、まさに現代のAIの姿そのものであることに驚かされます。

未読の方は是非読んでみてください。Kindle版なら990円で売っているようです。あらすじは過去記事に書きましたので埋め込んでおきます。読んでみてください。

AIの未来を予見した44年前のSF小説―「未来の二つの顔」

タイトルのニュースというのは、最近のOpenAIのテスト中のAIが、システムの脆弱性を利用して勝手にネット接続できるようなり、タスクを達成するには自分で推論するより、ネット検索で企業のデータをハッキングするほうがよいと結論して、勝手にハッキングを実行したという事件です。OpenAIは自社のAIがハッキングしているのには気づいていなかったというのです。

 

岡野原 大輔さんによる以下のツイートをご覧ください。詳しく明解に解説されています。
https://nitter.net/hillbig/status/2079697773679825029#m


すごい時代になったものです。

京大の神谷先生の『脳とAIをつなぐ数理 表現・学習・生成』という本のドラフト版が公開されました!

京都大学の先生が、次のような本のドラフト版を公開されています。
とてもよさそうな本です。是非、サイトを訪れて読んでみてください。

サイトにある「本書の成り立ち」の項目によると、神谷先生が京都大学で行ってきた講義「脳情報学」および「脳情報学演習」の資料がもとになっており、それに自由エネルギー原理など現代的な話題を大幅に追加したものだそうです。脳と生成AIがなぜ似ているのかという問題に対する研究の基礎になる内容のようです。

『脳とAIをつなぐ数理
表現・学習・生成』
神谷之康(kamitani@i.kyoto-u.ac.jp)
公開
執筆中ドラフト 2026年7月27日

海外の先生は多くの本をGitHubで公開されているのですが、日本語で同じように公開していただいているのは貴重です。

創薬研究のためのRの利用法についてのワークショップの動画をみつけたので紹介します。

前に創薬でプログラミング言語Rをどう活用するかについての動画を紹介したことがあります。R in PharmaというYouTubeチャンネルの動画です。
その最新動画シリーズR/Pharma GenAI Day 2026では、AIとRをどのように活用して創薬に活かすかが様々な観点から講義されているので興味のある人は是非ご覧ください。
再生リストはこちらです。
R/Pharma GenAI Day 2026
https://youtube.com/playlist?list=PLEozv0atVie0&si=gBD3T6sGFq2Ra3xx

7月5日のこのブログの記事で紹介したワークショップR/Medicine 2026は入門編で、今回ののR/Pharma GenAI Day 2026は、応用編・発展編にあたるような内容です。
演者も重なっています。
Agents for Correct, Transparent, and Reproducible Data Analysis – Simon Couch & Sara Altman
https://youtu.be/-LTJb9HkQvs

Use AI to build and share insights from health data – Garret Grolemund
https://youtu.be/cPjlQAmw6xU

以前の記事を埋め込んでおきますのでこちらも参考にどうぞ。

R/Medicine 2026 医学・健康科学のためのR入門・ブラッシュアップ用講義が公開されています。

次は、だいぶ前にR in Pharmaを紹介した記事です。

創薬研究のためのRの利用法についてのワークショップの動画をみつけたので紹介します。

ABC予想とIUT理論についての動画がとてもわかりやすくておすすめです!

ABC予想の証明を証明支援システムのLEANで検証しているLANAプロジェクトについて、先日紹介しました(末尾参照)。このプロジェクトのメンバーの加藤先生がでておられる動画が、とてもわかりやすくて おすすめです。さっきまでみていました!

先日の紹介記事はこちらです。

ABC予想のLEANによる検証プロジェクトの中間報告が7月17日にありました。

公開が遅れに遅れていた量子力学の新教科書、Quantum Mechanics Done Rightがついに無料公開されました!

去年9月に公開されるとアナウンスされていて、公開日が何度も変更されていた新しい量子力学の教科書が、ようやくオープンアクセスで公開されました。Springer Natureのサイトから、PDFとEPUB形式でダウンロードできます。高校程度の数学知識の読者を、量子力学入門からはじめて、研究者レベルまでひきあげることを目的とする教科書だそうです。理解をたすけるための動画やソフトもあわせて公開されているので本文中のリンクをクリックして参照してください。
Quantum Mechanics Done Right (James K. Freericks,  Springer Nature, 2026)
当初はvolume 1とvolume 2の二冊になるとのことで書影もvolume 1になっていますが、
Volume one and volume 2 are bundled together.
ということで、合本になって一冊本(1000ページ越)になって無料公開されています。
著者からのお知らせを以下のリンクからご覧ください。

https://share.google/bPGRDlPCLUP7ZnUJ9

Springer Natureのダウンロードリンクはこちらです。

東北大学のナノテレラスのマンガによる訪問記が公開されています!わかりやすい!

東北大学のナノテラス。ビーム開通前にみにいったことがありますが、その時はまだ中には入れませんでした。
今は見学もできるみたいです。幼稚園から小学生も見学しているとニュースにありました。

めちゃくちゃわかりやすいナノテラス訪問記がツイートででていたので埋め込んでおきます。


公式サイトhttps://nanoterasu.jp/
でも読むことができます。
これはよい!

https://nanoterasu.jp/nanoterasu%e8%a8%aa%e5%95%8f%e8%a8%98-by-%e6%98%8e%e7%9f%b3%e3%81%93%e3%82%84/

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第45回)

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第44回) です。先日の利根川進さんの記事で紹介した本に通し番号をふったものからはじめています。利根川進さんの奥様の吉成真由美さんの著書もそのあとに追加しています。

519) 利根川進 [著] ほか『創造への挑戦 : 利根川進の世界』,協和発酵工業,1989.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13286367 (参照 2026-07-16)
これは利根川進さんの講演と対談が載っている本です。巻頭のカラー写真には利根川さんの楽しそうな写真もあっておすすめです。
520) 中京テレビ「対談21世紀」 編『21世紀論 : いま何を考えるべきか』,ビクター音楽産業,1993.1. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13080384 (参照 2026-07-16) 巻頭に利根川さんと ノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈さんとの対談が載っています。

521) 松井孝典 編著 ほか『最後の選択 : 文明・人類はどこへ行くのか』,徳間書店,1994.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13164449 (参照 2026-07-16) こちらは松井孝典さんと利根川さんの対談と利根川さんの論考が載っている本です。他にもいろんな人の対談や論考がのっていて、ドーキンスの論考やプリゴージン(ノーベル賞受賞者)と松井さんとの対談ものっていたりします。面白そうですので読んでみるとよいでしょう。

522) 吉成真由美 著『新人類の誕生 : 「トランスポゾン世代」は何を考えているか』,新潮社,1988.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13179604 (参照 2026-07-22)
523) 吉成真由美 著『サイエンスとアートの間に : フラクタル美学の誕生』,新書館,1986.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12589677 (参照 2026-07-22)
524) 細野晴臣, 吉成真由美 著『技術の秘儀』,朝日出版社,1984.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12411687 (参照 2026-07-22)
525) 『現代数学入門講座』3,現代数学社,1975.. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13084963 (参照 2026-07-22) いろんな入門解説記事がのっています。
526) G.ブール [著] ほか『論理の数学的分析 : 演繹的推論の計算に関する試論』,公論社,1977.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12608365 (参照 2026-07-22) ブール代数のブールによる数学の古典。
527) 松田忠重 著『入門電磁場の古典理論』,現代工学社,1979.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12593421 (参照 2026-07-22) 近代的な電磁場の古典理論への入門教科書。
528) P.Langevin, M.de Broglie 編 ほか『輻射の理論と量子 : 第1回ソルベイ会議報告』,東海大学出版会,1983.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592679 (参照 2026-07-22) 量子力学史にのこるソルベー会議の報告書です。
529) 荻原明男 著『科学史夜話 : 科学の古典への招待』,創元社,1983.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12590322 (参照 2026-07-22) 科学史に残る本の紹介。
530) 戸田盛和 著『楕円関数入門』,日本評論社,1976. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12622983 (参照 2026-07-22) 戸田先生の有名な教科書です。
531) H.ホックシタット 著 ほか『特殊関数 : その理・工学への応用』,培風館,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12622989 (参照 2026-07-22) 今日でもしばしば推薦される特殊関数の教科書です。
532) 井上康男 著『糖質の化学』,培風館,1976. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604907 (参照 2026-07-22) 糖鎖生物学を学ぶ人向けの入門書。
533)  E.ブローダ 著 ほか『ボルツマン』,みすず書房,1979.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12222480 (参照 2026-07-22) ボルツマンの伝記。面白い本です。
534) 『物理ブックガイド100』,培風館,1984.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12609214 (参照 2026-07-22) いろんな物理の本がはいっているブックガイドです。デジタルコレクションで読める本もいっぱいあるので参考にしてください。
535) 寺本英 [ほか]共著『無限・カオス・ゆらぎ : 物理と数学のはざまから』,培風館,1985.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12609105 (参照 2026-07-22) 京大生物物理の寺本先生や、数学の山口先生などそうそうたるメンバーによる入門記事や対談がのっています。ルネ・トムの話もでてきています。

 

ボブさんが、データから「原因と結果」を推定するRパッケージ「lingamr」を公開されました!

7月18日のこのブログで、Bobさんの記事を紹介しました。


【Linux限定】ropenblasでRを楽々高速化
https://qiita.com/bob3bob3/items/5562c3eb84a9f89824d4

Windowsにインストールする方法へのリンクも上の記事にあるのでWindowsの方は参考にしてください。下にリンクを載せておきます。

2023-12-08
Rユーザーの9割が知らない高速化の禁断の裏技!!!
https://bob3.hatenablog.com/entry/2023/12/08/000000


著者のBobさんが、因果推論用のRパッケージを公開されたそうです。

因果推論のわかりやすいイントロ的解説があるので、読んでみて興味がわいたらRのパッケージをダウンロードして使ってみてください。
詳しいパッケージの使い方は上の解説の中にあるQiitaの記事で読むことができます。
『Rパッケージ「lingamr」でDirect LiNGAMによる因果探索』
https://qiita.com/bob3bob3/items/2cfe838ece8b34a58cfd

同じBobさんのこちらの解説記事も参考にしてください。
『Direct LiNGAM の原理』
https://qiita.com/bob3bob3/items/d6fb667ae15d51ce8040

R-observatoryで検索してみると、ちゃんとヒットしました。

https://r-observatory.thecoatlessprofessor.com/packages/lingamr/
GitHubへのリンクものっていました。
https://github.com/morimotoosamu/lingamr

カタストロフィーの理論がWaddington epigenetic landscapeの改良版作成に応用されています!

カタストロフィーの理論についてはこのブログでたびたび触れています。ChatGPTやGeminiに、カタストロフィーの理論は今、どのように評価されているのかをきいてみました。最近の文献や動画を探してもらったのですが、結構応用されていてその改良も試みられていることがわかりました。今日はWaddingtonのエピジェネティック・ランドスケープをカタストロフィーの理論で再構成して幹細胞の分化モデルを構築し、発生における分化の研究に使えるものにしたという論文があったのでタイトルを紹介しておきます。

Sáez M, Blassberg R, Camacho-Aguilar E, Siggia ED, Rand DA, Briscoe J. Statistically derived geometrical landscapes capture principles of decision-making dynamics during cell fate transitions.
Cell Syst. 2022 Jan 19;13(1):12-28.e3. doi: 10.1016/j.cels.2021.08.013. Epub 2021 Sep 17. PMID: 34536382; PMCID: PMC8785827.
オープンアクセスなので自由にダウンロードして読むことができます。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405471221003367
読む前に概要をつかむのに便利な次の紹介記事があるのでまずこれから読むとよいでしょう。
The geometry of cell fate
Cell Systems, Volume 13, Issue 1, 19 January 2022, Pages 1-3
Ben D. MacArthur

2023年はルネ・トムの生誕100周年だったそうで、記念講演会の動画が公開されています。
https://indico.math.cnrs.fr/event/9880/timetable/?view=standard_numbered
いろんな動画があって数学の話もありますが、カタストロフィーの理論については以下をご覧ください。

Sara Franceschelli
“The gap between theory and experience: evolution of a problem from morphogenesis to semiophysics”
https://youtu.be/Lh86tKH0dbU

カタストロフィー理論を「モデルの技法」としたThomと、Waddington landscape、経験的検証との関係を論じます。

Chérif Matta
“René Thom’s Catastrophe Theory and the Quantum Theory of Atoms in Molecules”
電子密度トポロジー、化学結合、QTAIM ( The Quantum Theory of Atoms-In-Molecules)との関係です。
https://youtu.be/p_UtxwOIhHk

量子化学での応用が定着していることがわかります。

Antoine Danchin
“Comment René Thom a changé la biologie moléculaire”
https://youtu.be/qBOsgGF1Cu8

分子生物学への思想的・方法論的影響を扱います。

あとは埋め込みませんが、分子生物学への応用や、アリストテレスに発する哲学的なトムのアイデアの解説など面白そうな動画があるのでご覧ください。フランス語の動画もありますが、たいていは英語です。フランス語の動画は、英語字幕がでますのでそちらで視聴できると思います。
Jean Petitot
“Trois remarques sur les modèles morphologiques de René Thom”
反応拡散モデル、アリストテレス的形相論、視覚認知の神経実装との関係を検討しています。

Daniel Bennequin
“René Thom and semantic information”
Shannon型の統計的情報とは異なる「意味の情報」と、トポロジー・ニューラルネットワークとの接続を論じます。

Wolfgang Wildgen
“René Thom’s archetypal morphologies of human language and his semiophysics applied to visual art and music”
言語学・記号論・美術・音楽におけるThomの影響を検討しています。

ABC予想のLEANによる検証プロジェクトの中間報告が7月17日にありました。

ABC予想の証明をLEANでチェックして万人がみとめられるようにできるかを検討しているLANAプロジェクトの進捗状況がわかる発表会が7月17日に開催されました。動画を埋め込んでおきます。
IUT理論のコンピューター検証に関する「LANAプロジェクト」中間発表会
https://www.youtube.com/live/g0QLL8iYECY

内容は高度で私のような素人には全くわかりません。LANAプロジェクトのメンバーの加藤先生による以下のツイートが一般向けの内容でわかりやすいと思います。
専門的な文書
『Project LANAのIUT理論に関する中間報告書』
https://zen.ac.jp/zmc/topics/2c02nd0a7

も発表されているので、数学がわかる方はそちらもダウンロードして読んでみてください。

 

リンクも埋め込んでおきます。
LANA記者会見:IUT理論に関する仮想的質疑応答
https://note.com/katobungen/n/nbf629d03ad80
関連の以下のツイートも状況を理解するのによいと思います。返信も以下のリンクから読めるので、nitterのリンクのほうをクリックして展開してみてください。Xのリンクではうまく読めないようです。
https://nitter.net/math_jin/status/2078595281227239655#m