R言語での統計解析をメニュー画面から簡単に行えるソフトEZRの教科書の改訂第4版がでたそうです。これは買わなくては!ついでにRの高速化の方法とCRANのパッケージの情報取得ができるサイトも紹介します。

統計解析をGUIで簡単に実行できる無料で使えるEZR(R commanderのプラグイン)の定番教科書の改訂第4版がでたそうです。EZRはこれさえあれば、Rを使った統計解析がメニュー画面から行なえて、統計解析に不自由はしないといえる定番プラグインです。中澤港先生のツイートを引用します。

中澤先生の書評もどうぞ。
https://note.com/super_guppy179/n/n275140ebfdfd

関連記事として、Rでの線形代数の数値計算を高速化するOpenBLASについての記事も紹介しておきます。
OpenBLASのサイトはこちらhttps://www.openmathlib.org/OpenBLAS/docs/
ですが、以下のリンクでは簡単にLinuxシステムにOpenBLASTをインストールする方法が書いてあって役立ちそうです。

【Linux限定】ropenblasでRを楽々高速化
https://qiita.com/bob3bob3/items/5562c3eb84a9f89824d4

Windowsにインストールする方法へのリンクも上の記事にあるのでWindowsの方は参考にしてください。下にリンクを載せておきます。

2023-12-08
Rユーザーの9割が知らない高速化の禁断の裏技!!!
https://bob3.hatenablog.com/entry/2023/12/08/000000


今回紹介したRcmdrPlugin.EZRやropenblasなど、CRANのパッケージについての情報は、その改訂履歴やマニュアル・ドキュメントのありか、ダウンロード数など主要な情報を網羅したサイトR Observatoryで調べるのが便利です。
https://r-observatory.thecoatlessprofessor.com/about/
上の二つのプラグインについてのリンクを埋め込んでおきます。詳しい情報が得られるのがわかると思います。ちょっと前に紹介したThe Warehouseと合わせて活用してください。
https://r-observatory.thecoatlessprofessor.com/packages/RcmdrPlugin.EZR/
https://r-observatory.thecoatlessprofessor.com/packages/ropenblas/

NHKの歴史探偵で宮本武蔵をとりあげていました!

NHKの番組 『歴史探偵』で宮本武蔵をやっていました。
7/15(水)午後10:00 歴史探偵「宮本武蔵 最強伝説の真実」
まだ見ていない方は、NHK ONEでやっていますが、地上波での再放送が
7月20日(月)午後11:50〜午前0:35(再)にあるとのことで、面白い番組なのでおすすめします。
https://www.nhk.or.jp/yamaguchi/info/articles/310/057/50/

私の住んでいる福岡県には巌流島(船島)がありますし、宮本武蔵の養子だった伊織が建立した小倉碑文(武蔵の顕彰碑)もあります。この番組では両方とも紹介されていて今度行ってみたいと思いました。さらにすごいのは武蔵の生国の解明につながった伊織の棟札(加古川市にある泊神社の屋根裏から発見されたもの)も映されていたことです。また京都で吉岡一門と戦った一乗寺下り松と神社も紹介されていました。つばめ返しの再現も面白かったです。
宮本武蔵は小説では関ヶ原の戦いに西軍で参加したことになっていましたが、今では東軍に属して九州で戦っていたことがわかっているそうです。またこの番組では触れられていませんでしたが、大阪の陣でも徳川方に属して戦っていた資料があるそうです。ずっと徳川方に属していたということで、徳川方の明石で、街の町割にたずさわっていたというのもうなずける話です。
昔のブログ記事を最後にペーストしておきます。参考にどうぞ。


2022/2/26
アニメ「鬼滅の刃」が大人気だそうで地上波でもやっていましたのでちらっと見ました。テレビによると福岡の竈門神社(かまどじんじゃ)がこのアニメの聖地になっているのだそうです。主人公の名字と同じだからということらしいです。以前、紅葉をみにいった記事でふれた大宰府天満宮近くの神社です。新型コロナ以前は中国の観光客でいっぱいでしたが、今は国内観光客ばかりですが多くの人が訪れているそうです。この神社、たしかに武道とも関係がある神社です。2019年の秋、はじめて訪れたとき、本殿の横をみて驚きました。本殿の隣に神社がありなんと、神道夢想流杖道発祥の地と書かれています。夢想権之助神社です。夢想権之助は、剣豪宮本武蔵に挑んで敗れたのですが、この神社近くの宝満山にこもって修行し開眼。杖術を創始してそれで宮本武蔵と再度試合して勝ちを収めたとも伝えられています。杖術は福岡藩に伝えられ受け継がれて、現在の警察でも採用されているそうです。言い伝えによると、夢想権之助は宮本武蔵が晩年熊本に居を構えて五輪の書を書いているときにもしばしば訪れて交流していたそうです。ということで竈門神社はまさに鬼滅の刃の聖地にふさわしい場所であるわけです。

 

利根川進さんがお亡くなりになったそうです。

NHKニュースで知りました。日本ではじめてノーベル医学・生理学賞を受賞した分子生物学者です。バーゼルの免疫学研究所でされていた仕事でノーベル賞を受賞、後に脳の研究などもされており、理化学研究所の脳科学総合研究センターの所長をされていたこともあります。昨日、なぜか昔買った立花隆さんとの対談本『精神と物質』をパラパラながめていたところでした。この本は結局通読しなかった本です。パラパラながめるので十分な本だと、私は思いました。

利根川進さんの書かれたものを無料で読むには、国立国会図書館デジタルコレクションの個人送信サービスがよいでしょう。
読める主な本を並べておきます。
・利根川進 [著] ほか『創造への挑戦 : 利根川進の世界』,協和発酵工業,1989.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13286367 (参照 2026-07-16)
これは利根川進さんの講演と対談が載っている本です。巻頭のカラー写真には利根川さんの楽しそうな写真もあっておすすめです。

・中京テレビ「対談21世紀」 編『21世紀論 : いま何を考えるべきか』,ビクター音楽産業,1993.1. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13080384 (参照 2026-07-16) 巻頭に利根川さんと ノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈さんとの対談が載っています。

・松井孝典 編著 ほか『最後の選択 : 文明・人類はどこへ行くのか』,徳間書店,1994.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13164449 (参照 2026-07-16) こちらは松井孝典さんと利根川さんの対談と利根川さんの論考が載っている本です。他にもいろんな人の対談や論考がのっていて、ドーキンスの論考やプリゴージン(ノーベル賞受賞者)と松井さんとの対談ものっていたりします。面白そうですので読んでみるとよいでしょう。

英語の上級レベルのリスニング訓練用プロンプトが公開されています!

今日はWormCatというエンリッチメント解析ツールでつくったSunburstダイアグラムを、比較していたので、簡単な記事にします。
いつも有用なツイートをしておられる「限界助教|ChatGPT/Claude/Geminiで論文作成と科研費申請 (@genkAIjokyo)」 さんの作成された、英語の上級リスニング訓練用プロンプトを柳瀬先生がほめておられるのでみてみました。これは役立ちますね。皆さんも自分用にカスタマイズして、リスニングの練習をしてみてください。限界助教さんのツイートは他にも役立つ内容満載です。
nitterならこちらから読めます。(nitterについてはブログの末尾をご覧ください。)
https://nitter.net/genkAIjokyo

京都大学の柳瀬陽介先生のツイートから:

 

ツイートの全体はこちらのnitterのリンクでもみることができます。
https://nitter.net/genkAIjokyo/status/2075897501807505713#m


nitterについての簡単な紹介です。
nitterはx.comにログインすることなくツイートを読むサービスです。nitter以外にも次のリンクにある生きているインスタンスでx.comにログインすることなくツイートを読むことができます。
https://status.d420.de/
インスタンスの切り替えかたは簡単です。
nitter.netのところを、下の図の左にあるnitter.catsarch.comとかnitter.spaceとかのインスタンスに入れ替えるだけです。たとえばhttps://nitter.space/genkAIjokyo
のようにするだけです。セキュリティチェックがあるインスタンスも多いので、チェックがないnitterが良いと思います。ただ過去ツイートは他のインスタンスのほうがたくさん残っている場合もあるのでnitterで表示されるものより古いツイートを見たいときはインスタンスを変えてみてください。

英語復文学習法とはどんなものか?

中学生のころ、英語の事典のようなものを買って読んでいた時に知った学習法です。明治時代の学者は、英作文を学ぶときに英文をまず自分で日本語に翻訳し、次に原文をみずに自分の訳した日本語文から英作文して、できた英文ともとの英文とを比較して英作文技術を学んだそうです。何の本でみたのかわからなかったので、Geminiにきいていみたら、これは復文という方法での英語学習だそうです。漢文を日本文に訳して、日本文を自力で原文をみずに漢文にもどすという方法で漢文を学ぶという方法を復文法と呼び、江戸時代からあった学習法だそうです。英語を学ぶときに、漢文の素養のあった人々は復文法を英語学習に使って実力を高めたのだそうです。この方法は今でも役立つとされており、たとえば外国で英語をおしえる学校や講義などでは復文のことをback translationあるいはreverse translationとよんでいるそうです。復文法は高度な英語学習法として、特にアカデミックライティング・コースや翻訳家 養成コースなどで採用されているそうです。

ネット検索してみると、なんとこんな本も2022年に出版されていました。
はじめてでも「使える英語」が身につく! 英語復文勉強法田中健一 (著) ジャパンタイムズ社
この学習法についての論文もあって、オンラインで読むことができます。

『ICTを活用した「歴史的」英語指導法の研究(Ⅰ):DTR学習法導入の試み』
https://pu-hiroshima.repo.nii.ac.jp/records/1068
これは、英語の文章をDictationして書き取り、それを日本語に翻訳Translation、翻訳した日本文から英文をなにもみずに作成 Re-translation(復文)して、原文と比較するという学習法です。論文には明治時代の文献も引用してあるので復文の手法が歴史的に利用されていたという典拠も知ることができます。実際に復文をしてみた学生さんのアンケートについても書かれていて参考になります。

Geminiに生成AIをつかって、この復文学習法を実行する方法を考えてもらったのでペーストしておきます。今のAIは音声で会話もできるのでDictationを組み合わせるのも面白いと思います。


明治時代の「復文」という堅実な学習法と、現代の生成AIを組み合わせることで、かつてないほど効率的でパーソナライズされた語学トレーニングが可能になります。

AIを「高度なネイティブのチューター」として活用する、現代版・復文メソッドの具体的なステップをご提案します。

現代版「AI復文」メソッドの手順

**1. 最適な英文素材の選定**
まずは、学習のベースとなる短い英文(数文〜1パラグラフ程度)を用意します。

* **AIの活用:** AIに自分の関心領域の英文を作成させます。例えば、「生命科学系の論文のアブストラクトから、標準的な構文を使った短い英文を出力して」「医学の歴史に関する英語のエッセイを作成して」と指示することで、興味を保ちながら学習できる良質なテキストが手に入ります。

**2. 自力での和訳と、AIによる「解釈のすり合わせ」**
用意した英文を、まずは自力で日本語に翻訳します。

* **AIの活用:** 自分の和訳が元の英文のニュアンスを正確に捉えているか、AIにチェックさせます。

> **プロンプト例:** 「以下の英文を私はこう和訳しました。構文を誤読している箇所や、ニュアンスの漏れがあれば指摘してください。」

**3. 自力での「復文」(英訳)**
和訳が完成したら、元の英文を隠し、自分の和訳だけを見て英語に訳し戻します。当時の日本人と同じように、ここは辞書を引きながらでも自力でひねり出すことが重要です。

**4. AIによる高度な比較・分析(最大のメリット)**
昔は「元の英文と見比べる」だけで終わっていましたが、AIを使えば「なぜ違うのか」「自分の英文はどこが不自然なのか」を深掘りできます。

> **プロンプト例:**
> 「正解の英文(A)と、私が和訳から復文した英文(B)を比較してください。
> A: [元の英文]
> B: [自分の英文]
> 文法的な間違いの指摘だけでなく、Aの表現が選ばれている理由(ニュアンスや文脈の適切さ)を解説し、私の英文(B)をより自然にするための改善点を教えてください。」

### 学習をさらに深めるAI環境の活用

* **ローカルLLMの活用:** 外部にデータを送りたくない未発表の研究テキストなどを素材にして英語の練習をしたい場合、Ubuntuなどのローカル環境で動かしているLLM(Ollama経由のモデルなど)を添削役にすることで、機密性を保ったまま高度な復文トレーニングが可能です。
* **知識ベースの構築:** NotebookLMのようなツールを活用し、元の英文、自分の復文、そしてAIによる解説のセットをノートとして蓄積していくことをおすすめします。「自分がよく間違える構文」や「特定の分野で頻出する言い回し」をソースとして読み込ませておけば、いつでも自分専用の英語学習データベースとして対話や検索ができるようになります。

復文は非常に脳に負荷のかかるトレーニングですが、AIがその都度「なぜその単語を選ぶべきなのか」を伴走して論理的に解説してくれるため、独学でも学習効果を飛躍的に高めることができます。


タンパク質の立体構造が似たものを探す方法の解説動画が役立ちます!

AlphaFoldの登場以来、アミノ酸配列が知られているほとんどのタンパク質の予測立体構造が、データベースに記載されているという時代になりました。これを利用して、自分が調べているタンパク質の立体構造と、似た立体構造をもつものを探して、タンパク質の機能の起源や進化を探るのは面白い研究テーマです。3月の記事(この記事の末尾にうめこんでいます)で、タンパク質構造が類似するクラスターを検索する方法を紹介しましたが、今日TogoTVで次の動画が公開されました。

『FoldMasonを使ってタンパク質構造のマルチプルアライメントを高速に行う (2026年版)』
https://youtu.be/jACphwV9ReU

Uniprotからワンクリックで自分の興味があるタンパク質の立体構造のマルチプルアライメントができるので、アマチュアでも簡単に立体構造のマルチプルアライメントができます。これはすばらしいツールです!

UniprotからFoldseekが、これもワンクリックで使えるというTogoTVの動画もあるので埋め込んでおきます。上の動画ではFoldseekからFoldMasonを使うので、以下の動画をみてから最初の動画を見るのもよいと思います。

『UniProtからFoldseekを使って高速にタンパク質構造の類似性を検索する』
https://youtu.be/LGSzMIHjU1M

Uniprotは昔からほぼ毎日使っていますが、すばらしいサイトです。
https://www.uniprot.org/
まださわったことがない人はこれを機会に使ってみてください。
今年3月の過去記事も参考にしてください。

タンパク質の立体構造比較の画期的ツールがでています!これは使わなくては!

AlphaFold Protein Structure Database Clustersを使ってタンパク質構造が類似するクラスターを検索する
https://youtu.be/XYI3QRoSisM

 

安宅和人さんのブログ記事の紹介です!

安宅和人さんのブログ記事が更新されました。
https://kaz-ataka.hatenablog.com/
このブログでも安宅さんの著書 『イシューからはじめよ』
(AmazonのPrime ReadingやAudibleでPrime会員なら無料で利用できます!)や
『風の谷という希望』を何度も紹介しました。
前者は研究室に入った人への必読書として指定していた本です。後者は長い本ですので、Kindle版で買ってゆっくりよんでいるところです。安宅さんのブログはこれらの本を読むのと、読みながら実践のための参考になるのでお勧めです。

経済が複利で増えるのに対して、分化は発酵し‥‥というのは本当だと思います。cultureという英語の意味についてのお話から始まる文章は価値がある内容です。企業文化 (corporate culture) というのはよく聞く言葉ですが、cultureには文化の他に、培養するいう意味があります。オンラインのLife Science Dictionary
https://lsd-project.jp/bin/ejdic.pl
でcultureをひいてみると:
「culture ***** 培養, 培養液, 培養物, 培養組織, (教養) 文化, (農学) 栽培, 養殖, ((動詞)) 培養 する 」とあります。
企業文化というのは実はどちらかといえば誤訳で、正しくはその企業が育んできた人と生産物を育て、育む培養液、培養条件にあたるものを意味しているのです。

余談になりますが、fieldを場の量子論で用いられているような場の意味で訳すのもよくある誤訳もどきです。生物学で morphogenic fieldを「形態形成場」と訳すのですが、これを初めて聞いた人はなにか摩訶不思議なベクトル場もどきが生物の形態形成を支配していると想像してしまうのではないでしょうか。もともとfieldというのはa field of wheat 麦畑のように使うことが普通ですから、形態形成場というのはそこで形態がつくられていく畑みたいな場所というのが本来の意味だと思います。
逆に物理の場という意味でfieldを使う場合、麦畑をイメージするとわかりやすいと思います。麦の穂をベクトルと考えて、それがあちこちを向いていて畑のように分布しているというイメージをもてば、物理でいうfieldの理解が進むと思います。

「明治・大正・昭和の細菌学者たち 北里柴三郎から藤野恒三郎まで」(竹田美文 著)は必読書です!

細菌学者の野口英世は有名で1000円札になっていましたが、細菌学者の北里柴三郎の新1000円札もすっかりおなじみになってきたと思います。こうした日本の細菌学者についてまとめられた素晴らしい本があるので紹介します。大阪大学出版会からでている

阪大リーブル 80の「明治・大正・昭和の細菌学者たち 北里柴三郎から藤野恒三郎まで」(竹田美文 著)
という本です。
https://www.osaka-up.or.jp/book.php?isbn=978-4-87259-651-9

国立感染症研究所の所長をしておられた竹田美文先生の力作です。
日本の近代医学の夜明けにあたるシーボルトや適塾からはじまり昭和初期の細菌学者までその業績が一般人でもよくわかるように読みやすく書かれています。5000円札になっている発生生物学を学んだ津田梅子についてのコラムもあるので、お札にでてくる3人の学者のことはこの本で全部わかります!
内容は、上の大阪大学出版会のサイトに目次や内容紹介があるので是非ご覧ください。
わが国の近代医学の祖 北里柴三郎の世界的業績、志賀潔の赤痢菌の発見、秦佐八郎の梅毒治療薬の発見、野口英世の研究、病原スピロヘータの発見者(稲田龍吉、井戸泰、二木謙三、谷口腆二)らと野口英世の交流、、長與又郎による つつが虫病病原体の発見、谷口腆二による大阪大学微生物病研究所の創設、大原八郎の野兎病病原体の発見、藤野恒三郎による腸炎ビブリオの発見など盛りだくさんの内容ですがすらすら読み進むことができます。私たちは志賀毒素の研究やレプトスピラの研究もしていたので、志賀潔の章と九大の稲田、井戸によるレプトスピラ研究開拓の歴史は特に興味深く読めました。野口英世の章では、研究の再現性についてとかく悪く言われることが多い野口の、世界的業績についての再評価がなされており、野口英世について語る人は、小説や俗説ではなく細菌学者によるこの本を読んでから語るべきだと思いました。必読書です。

AlphaFoldをどうやって研究に使うのか?―その見事な実例を学べる講演動画が公開されました!

今日の大宰府は最高気温37.8℃で全国一暑かったそうです。台風9号からの南東の風が九州山地にあたってフェーン現象をおこしているとのこと。明日、明後日はもっと暑くなり福岡市でも38℃になる可能性もあるそうです。一昨日、今年はじめてヒグラシの鳴き声を聴きました。また昨日ははじめてクマゼミの声をきいて夏が始まったのを実感しています。写真は一昨日、散歩の途中でみつけた ねむの木(合歓の木)に咲いた花です。このまえ写真をとったのは一か月前ですから、二回目の花が咲いたことになります。結構たくさん花がついていて見事でした。今回は花が低いところで咲いてくれていたので、ピントがあってぼけていない写真がとれてうれしかったです!

 

今日はAlphaFold2でヒトのキナーゼを網羅的にモデリングして研究しているという講演があったので紹介します。
以前の記事で、演者の Roland DunbrackさんによるAlphaFoldの入門動画を2本紹介しました。

AlphaFoldを使う人のためのワークショップ動画とスライドが公開されました!

今回の動画は、この入門動画を見た人が、実際の研究でどのようにAlphaFoldを活用していくかを実感するのに最適の内容になっています。単に「AIが構造を予測した」というレベルにとどまらず、構造バイオインフォマティクスを駆使して立体構造予測データをどう料理し、どう研究や創薬に役立てるかが詳細に語られている素晴らしい動画です。

Structural Bioinformatics & AlphaFold Modeling of the Human Kinome & Its Interactions.
https://youtu.be/o1s13RGEWFY

演者の Roland Dunbrackさんが、フランスのナント大学 理学・科学技術学部(NANTES UNIVERSITÉ – UFR SCIENCES ET TECHNIQUES)で、今年の6月10日に行った講演の動画です。ヒトのKinaseの網羅的モデリングの話で、AlphaFoldを使う研究の実技編にあたる講演で、上の二つの講演を聴いたあとに聴くのに最適の講演です。もちろんイントロもちゃんとあるので、上の二つの講演を聴いていない人にも理解できます。例によってオームというのはオームの前の対象物の全部を集めた集合のことです。kinase (リン酸化酵素)のすべてということで、kinomeと呼ぶわけです。

以下はGeminiによる動画の要約です。動画はまだみていないのですが、要約をみるとものすごく面白そうですね。明日見てみようと思います。 以下の要約に書いてある[20:30]など[  ]で囲まれている数字は再生位置を示しています。この例では20分30秒の部分をみなさいという意味です。


1. なぜ「ヒト・キノーム(リン酸化酵素群)」を標的にするのか?

ヒトには約500種類のキナーゼ(リン酸化酵素)ドメインが存在し、がん細胞の異常増殖などに直接関わるため、極めて重要な創薬ターゲットです [00:09]。
キナーゼは、ATPと基質(別のタンパク質)に結合してリン酸化反応を触媒しますが、常にオンになっているわけではなく、「活性型」と「不活性型」などの様々な状態(コンフォメーション)を行き来しています。実は、既存の実験手法(X線結晶構造解析など)で構造が解明されている「活性型」キナーゼは、全体の約25%に過ぎませんでした [43:40]。残りの構造をどう予測するかが大きな課題でした。

2. 独自のスコア「IPS」による複合体予測の精度向上

AlphaFoldが出力する予測モデルには、構造の信頼性を示すスコアが付属しています。

pLDDT: 各アミノ酸の局所的な構造の確からしさ。構造を持たない天然変性領域などの判別に有用です [20:30]。
PAE (Predicted Aligned Error): 離れたドメイン間や、2つのタンパク質間の相対的な位置関係の誤差予測。

巨大なタンパク質同士の複合体を予測する際、AlphaFold標準の評価スコア(ipTMなど)では、構造を持たない「天然変性領域」の不確実性にスコア全体が引っ張られてしまい、本当に結合しているドメイン間の評価が不当に下がってしまうという弱点がありました。
そこでDunbrack博士のチームは、AlphaFoldが「自信を持っている(PAEが低い)領域」だけを抽出してドメイン間の相互作用を評価する「IPSスコア」を独自に考案しました [29:46]。これにより、生体内での真の相互作用と偽の相互作用を高精度で見分けられるようになりました。

3. AlphaFoldに「活性型構造」を強制的に作らせる

通常のAlphaFoldは、PDB(タンパク質構造データバンク)に登録されている最も安定した状態や一般的な状態を予測しがちです。博士らは、過去のPDBの膨大なデータから、キナーゼが基質やATPと結合して「活性型」になるための厳密な立体構造の条件(特定アミノ酸の二面角や距離など)を数学的に抽出しました [33:34]。
そして、その条件を満たす構造を鋳型(テンプレート)としてAlphaFoldに与えることで、未解明だった残り75%のキナーゼ群についても、「活性型」の立体構造モデルを人為的に予測させることに成功しました [45:24]。

4. タンパク質デザイン(人工タンパク質創出)への応用

これらの精密な構造解析とIPSスコアは、次世代の創薬にも繋がっています。例えば、標的のキナーゼの活性を抑え込むための「人工ミニタンパク質」をコンピュータ上で設計する際、生成された無数の候補の中から「本当に標的に強固に結合するデザイン」を、IPSスコアを用いて的確にスクリーニングできることが示されています [57:48]。

この動画から学べること(まとめ)

この講演の最大のメッセージは、「AlphaFoldは、ただ配列を投げ込めば望み通りの答えを出してくれる魔法の箱ではない」ということです。対象となる生体分子のメカニズム(キナーゼの活性化ループの挙動など)を深く理解し、計算機科学の力(スコアの再定義や条件のチューニング)を掛け合わせて初めて、生物学的に意味のあるデータを取り出すことができます。基礎的な生化学の知識が、最先端のインフォマティクス研究でどう活用できるのかを感じられる必見の講演です。

Rで解析する際に最適なパッケージをAIを使って探してくれるサイト、The Warehouse が登場しました!

プログラミング言語のRでこんなことを解析したいと思った時に、その作業にぴったりのパッケージを探してくれるサイトができています。
メルボルン大学の Kylie Ainslieさんが公開しているサイトThe Warehouseです。

こんなことをRでやりたいが、適切なパッケージを見つけたい時に役立つサイトです。紹介記事は上のツイートにリンクがありますが、こちらにあります。

”Searching the R Ecosystem by Function, Not Package Name”
https://r-consortium.org/posts/the-warehouse-searching-r-packages-by-function/

AIを使ってCRANだけでなく、BioconductorやGitHubまで探してくれて、維持開発が盛んなパッケージを推薦してくれます。パッケージの名前を知らなくても探せるのでこれは役立つサイトです。ブックマークしておくとよいでしょう。

AIを使っているので、質問入力には英語だけでなく、日本語も使えるので試してみてください。

https://rwarehouse.netlify.app/

たとえば「R commanderのプラグインをリストして」
といれて、Search Packagesボタンを押すと、EZRをはじめとするプラグインがいろいろでてきます。生存解析のパッケージもありますね!


プラグインがずらっと100ほど並んで表示されます。それぞれをクリックすると詳細も表示されます。

もちろん、「こんな作業をしたいので役立ちそうなパッケージを推薦して」、などというプロンプトもOKですし、「Rでやりたいこと」を入力するだけで、それに使えそうなパッケージをずらっと列挙してくれます。とにかく柔軟な入力に対応しているので是非使ってみてください。