Discourse: Mathematical tools to transform the world – with Becky Shipley
https://www.youtube.com/live/idL3wvU3yu8
英国The Royal Institutionの最新講演動画です。血管の生物物理学をテーマに数学的手法の生命科学、医学への応用を紹介している動画です。コロナ対策の話もでてきます。
こちらは、日本語の記事で、中には生物物理関係のものがあります。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/natsugaku/4/0/_contents/-char/ja
第70回物性若手夏の学校テキスト(2025年度)です。去年の夏の学校のテキストがもう公開されているのはすごいですね。面白そうなテキストを選んで抄録と一緒に引用しておきます。
『【畠山 哲央】, 理論生物物理学入門, 物性若手夏の学校テキスト, 2026, 4 巻, 第70回物性若手夏の学校, p. 88-123, 公開日 2026/04/01, Online ISSN 2758-2159, https://doi.org/10.57393/natsugaku.4.0_88, https://www.jstage.jst.go.jp/article/natsugaku/4/0/4_88/_article/-char/ja, 抄録: 本講義では、理論生物物理学とは何か、他の物理学分野とどのように異なるのかを出発点とし、生命システムを「多階層の安定性を持つ系」として位置づける。生命システムは、取り得る状態があまりにも膨大であるため、進化の過程で安定な状態の探索をする際に、それまでの履歴に依存せざるを得ない。これが、生命システムに多様性が生まれる一つの要因になっている。しかし、その多様性にも関わらず、多階層での安定性の要請という強い制約がかかり、そこに普遍性が生じることが期待される。実際に、適応システムや代謝システムなどを例として、生命システムの物理において普遍性を調べるという理論的アプローチが有効であることを紹介する。
【永井 佑紀】, 機械学習と物性物理学, 物性若手夏の学校テキスト, 2026, 4 巻, 第70回物性若手夏の学校, p. 186-197, 公開日 2026/04/01, Online ISSN 2758-2159, https://doi.org/10.57393/natsugaku.4.0_186, https://www.jstage.jst.go.jp/article/natsugaku/4/0/4_186/_article/-char/ja, 抄録: 本講義ノートでは、機械学習が物理学(特に物性物理学)にどのように使われているか、今後ど のように使われるだろうか、についてまとめたものである2。そして、物理学を学ぶものにとって わかりやすい機械学習の入門のノートという側面も持つ3。一方、機械学習分野は非常に急速に進 展しているため、ここで述べる内容はすぐに古びてしまう可能性はある。しかし、物理学を学ぶ ものが機械学習に触れようとする際に重要となる内容はそれほど大きく変わらないと信じている。
【足立 景亮】, タンパク質相分離の凝縮系物理, 物性若手夏の学校テキスト, 2026, 4 巻, 第70回物性若手夏の学校, p. 246-258, 公開日 2026/04/01, Online ISSN 2758-2159, https://doi.org/10.57393/natsugaku.4.0_246, https://www.jstage.jst.go.jp/article/natsugaku/4/0/4_246/_article/-char/ja, 抄録: 有機化合物の液晶化や金属の超伝導転移など、多数の要素が相互作用することで生み出される協同現 象は、多くの研究者を魅了し続けている。一方、細胞あるいは細胞内の生体分子といった生命現象に関 係する要素の多体系においても、様々な協同現象が観測され、その物理的性質の研究が進められている (過去の夏学テキスト[1–4] 参照)。特に、線虫の初期胚においてタンパク質が液液相分離を起こしてい ることが発見され[5]、細胞内で生体分子を局在させる普遍的機構として相分離が注目されるようにな ってきた[6]。タンパク質はアミノ酸残基の一次元配列で構成されるが、遺伝子強制発現や精製タンパ ク質を利用した実験からは、相挙動を決定づけるアミノ酸配列の一般規則(分子文法と呼ばれる[7])が 存在するのではないかという仮説が立てられている。凝縮系物理の立場からは、分子文法を明らかにす るという問題は、アミノ酸残基同士の相互作用に基づいてタンパク質の相挙動を説明するという統計力 学の問題に他ならない。本テキストでは、生物と物理の境界領域で発展するタンパク質相分離の研究を 概観し、分子文法の解明に向けた数値的・理論的研究を紹介する。 まず第2節で、タンパク質の相分離現象を概説する。生体分子の作る凝縮体についてわかってきたこ とを簡単に紹介し、相分離を駆動する分子機構や、タンパク質のアミノ酸配列に依存した相挙動につい ても説明する。次に第3節では、タンパク質の相挙動を説明・予測するための数値的アプローチを取り 上げる。粗視化分子モデルに基づく分子動力学シミュレーションや場の理論的シミュレーション、また stickers-and-spacers モデルを用いたMonte Carlo シミュレーションを紹介し、それぞれの特徴と応用 例を説明する。続いて第4節では、統計力学に基づく理論的アプローチを概説する。特に、ビリアル展 開、乱雑位相近似、平均場近似といった近似理論とそれらの応用例を紹介する。数値的・理論的アプロ ーチともにまだ決定版と呼べるものはなく、現在も分子文法の解明に向けて計算物理やポリマー物理な ど各方面から方法論が模索されている。第5節では、まとめと今後の展望を短く述べる。
【谷 茉莉】, ひもやシートが作り出すかたちと力学, 物性若手夏の学校テキスト, 2026, 4 巻, 第70回物性若手夏の学校, p. 259-269, 公開日 2026/04/01, Online ISSN 2758-2159, https://doi.org/10.57393/natsugaku.4.0_259, https://www.jstage.jst.go.jp/article/natsugaku/4/0/4_259/_article/-char/ja, 抄録: 私たちの身の周りには、さまざまなかたちの物体が存在する。中でも、薄いシートや細長いひもは少し力 をかけると大きく変形し、バラエティに富んだかたちやパターンを見せる。そのバリエーションは、生き物 から人工物まで、また、ミクロからマクロまで、まさに多種多様である。それらが織りなす美しく不思議な かたちやパターンはどのように作り出されるのであろうか?それらは力学的にどのように説明できるので あろうか?本稿では、多様なかたちとそれを説明する力学を概観したのちに、日常生活の中でも馴染みのあ るような現象を例に、そこに現れるかたちとその力学的発現機構を考えたい。
【曽根 和樹】, トポロジカルアクティブマター:生物と固体物理の協奏, 物性若手夏の学校テキスト, 2026, 4 巻, 第70回物性若手夏の学校, p. 283-292, 公開日 2026/04/01, Online ISSN 2758-2159, https://doi.org/10.57393/natsugaku.4.0_283, https://www.jstage.jst.go.jp/article/natsugaku/4/0/4_283/_article/-char/ja, 抄録: 量子のスケールを扱う固体物理と目で見える(古典の)スケールを扱う生物物理、2つの分野は一見独立 しているように思えるでしょう。しかし、今回お話しするトポロジカルアクティブマターはこれらの独立し て見える分野を結びつけるものとなっています。トポロジカルアクティブマターのトポロジカルというの は、トポロジカル絶縁体と呼ばれる物質群に由来しています。トポロジカル絶縁体ではバンド構造の非自明 なトポロジーに対応して、エッジモードと呼ばれる試料端に局在した固有状態が出現します。一方で、アク ティブマターは自走粒子の集団を指す言葉で、生物集団などのモデルとして利用されています。トポロジカ ルアクティブマターの理論は、エッジモードがそのような生物集団でも実現することを予言します。 本集中ゼミでは、トポロジカル絶縁体とアクティブマターの両方の基礎理論から説明を始めます。そし て、アクティブマターを記述する流体方程式に基づいて、その線形化によってシュレディンガー方程式とア クティブマターのダイナミクスを結びつけることができることを説明し、その実効的なシュレディンガー方 程式のハミルトニアンにトポロジカルな性質を持たせる方法を紹介します。また、近年注目を集めている非 エルミートなどへの拡張についても時間の許す範囲で紹介できればと思います。』
どれも面白そうで読みごたえがある解説です。私は相分離生物学のテキストや、機械学習、ひもやシートのテキストなどから読み始める予定です。
