YouTubeのOxford Mathematicsにも一般向けの科学講演会の動画がいろいろ公開されています。 以前紹介した様々な動画を見ることができますが(末尾のリンクをみてください)、最近の動画としては、文学を通して数学を学ぶという去年年末のクリスマスレクチャーが面白そうです。演者のSahra Hartさんはメルビルの白鯨にサイクロイドがでてくるという数学者の言葉をきっかけに、長年読むのを意識的に避けてきたメルビルの白鯨を読み始めたのだそうです。これをきっかっけに文学と数学の関係についての研究にとりくみ、最近次の本をだしておられます。 ‘Once Upon a Prime: the Wondrous Connections between Mathematics and Literature’ 数学が登場する文学というのは、アリストファネスの鳥(紀元前414年初演)でこのギリシャ劇にも数学への言及があるそうです。トルストイは微分積分学についてふれており、ジェームズ・ジョイスは幾何学について言及しています。ルイス・キャロルは言うまでもないでしょう。このように文学に登場する数学はいろいろあって、両方をともに楽しむことができるそうです。一度講演をきいてみてください。 A Mathematical Journey through Literature – Sarah Hart https://youtu.be/1N_bDXyh36c?si=XIw3gWf-_DbPVQM0
また、去年の11月には、 Does Life know about quantum mechanics? – Jim Al-Khaliliという講演があったそうです。これはこのブログでおなじみのKhaliliさんの一か月前に行われた一般向け講演です。https://youtu.be/sbx95iv870g?si=Jxf18QuRy6CxbnZk また次の日本人数学者 時枝正先生による動画は好評だそうです。
A world from a sheet of paper – Tadashi Tokieda https://youtu.be/8p02DtmyQhU?si=Zq-ay1mnQcpL5eHX Wikipediaによると日本で画家(6歳で二人展を画廊で開催!)として育ち、日本とフランスで文献学の研究に従事した後、ロシアの物理学者ランダウの伝記を読んだのをきっかけに数学の勉強をはじめてプリンストン大学で数学の博士号を取得。英国ケンブリッジ大学のトリニティカレッジのフェローやケンブリッジ大学の図書館長を務めた後、スタンフォード大学の数学の教授をしている数理科学者です。10か国語くらいを自由に操り、今まで合計8か国に暮らしたことがあるそうで、数学のアウトリーチ活動にも熱心で、the African Institute for Mathematical Sciences (the AIMS) の活動に大きく貢献しておられるそうです。the AIMSは次のアインシュタインはアフリカから生まれるというスローガンで活動しているアフリカの人のための数理科学の研究、教育ネットワークで、時枝先生の講義はたとえばこんなのがあります。 https://www.youtube.com/playlist?list=PLTBqohhFNBE_09L0i-lf3fYXF5woAbrzJ
今日はInternet Archiveで読める日本語の全集を紹介します。以前書いたと思うのですが、私が英国Cambridgeに留学していたとき、Cambridge大学図書館も使えるようになったので暇をみては訪れていました。蔵書には日本語の全集もいっぱいありました。日本語のシェークスピア全集とか漱石全集とかもあってさすがケンブリッジ大学だと感心したのを思い出します。このように海外の大学図書館にはいろいろ古い日本語の本が所蔵されています。Internet Archiveで検索言語をJapaneseに指定して検索すると、カナダのトロント大学の蔵書(University of Toronto Cheng Yu Tung East Asian Library )がネット公開されており、そこに夏目漱石全集とか寺田寅彦全集、芥川龍之介全集、新井白石全集、小泉八雲全集などいろんな日本語の全集があることがわかります。群書類従とかもあるのでびっくりです。
https://archive.org/details/chengyutung からは、日本語をふくめたUniversity of Toronto Cheng Yu Tung East Asian Libraryのネット公開されている資料が全部みられます。 これらの本は、様々な型式でダウンロードすることができるので一度ながめてみるとよいでしょう。
The Royal Institutionのクリスマスレクチャーが公開されました。実施後、BBCで英国内で放送されたあと、全世界向けにYouTubeで公開されたものです。 今年はAIについてのクリスマス講義で、対象は一般向け(子供以上が対象)です。一時間程度の講演が連続3回です。クリスマスレクチャーは1800年代はじめから続いているイベントで、マイケル・ファラデーの「ロウソクの化学」の有名な本も、彼の1848年のクリスマスレクチャーを書籍化したものです。ファラデーはなんと生涯で19回もクリスマスレクチャーをしたという前人未到の記録をもっています。このあたりのクリスマスレクチャーの歴史にについては、こちらのサイトを見てください。 https://www.rigb.org/christmas-lectures/history-christmas-lectures
ことしのクリスマスレクチャーの動画を以下に貼り付けておきます。