今年も金蘭が咲いています。

毎年4月の下旬になると、いつもの散歩コースにキンランが咲いています。金蘭は絶滅危惧II類 (VU): 絶滅の危険が増大している種に指定されている植物です。株を掘り返して庭や鉢に植えても育てることはできません。生育には特殊な生育環境の維持(地中の共生生物や微小環境)が必要で、植物園などでも育てることが極めて困難だそうです。散歩道にある生育場所も、まわりを囲んで立ち入り禁止になっているので、スマホやコンデジでの撮影ではなかなかアップの写真はとれません。
今年は牧野富太郎の朝ドラがはじまっているので、以前紹介した無料でダウンロードできる牧野日本植物図鑑(北隆館、昭和18年発行第三版)で「きんらん」を探してみました。
https://www.etext.jp/makino/makino.html
カラーではないのですが、実際のキンランのことがよくわかる図と説明です。
オンラインで牧野植物図鑑をみることもできます。こちらの高知県立牧野植物園
https://www.makino.or.jp/
のサイト内には牧野植物図鑑がオンラインで見られるページがあります。
http://www.hokuryukan-ns.co.jp/makino/index.php
https://www.makino.or.jp/fixed/?page_key=dr_makino-book
図鑑の次の項目を見ると、白い花をさかせる「ぎんらん」という植物もあるのを知りました。
www.hokuryukan-ns.co.jp/makino/coma1.php?no1=2080

朝ドラででてきた「きんせいらん」はこれらの図鑑にはのっていません。なぜ掲載されていないのかはよくわかりません。
下の写真はギャラリーになっているので、写真をクリックして拡大してご覧ください。ブラウザによっては何回かクリックしないと拡大しないこともあります。

 

 

ChatGPTの誤りについてChatGPTと対話してみました。

ChatGPTをいろいろ試しています。
ChatGPTは日本のSFについてどれくらい知っているかを試してみようと、小松左京について教えてくださいと聞いてみました。すると、答えは次のとおりでした。以下はGPT-4を使っています。簡単にわかる誤りの部分をアンダーラインで表示して×をつけておきます。

【ChatGPT】小松左京(1931年 – 2011年、本名:小松崎喜代春×)は、日本の著名なSF作家で、多くの賞を受賞し、幅広い世代に影響を与えました。彼の作品は独創的で社会的なテーマを扱い、未来予測やディストピアなどの分野で顕著な業績を残しています。小松左京の作品は、科学技術の発展が人類や地球に与える影響を描写し、批判的な視点で議論を呼んでいます。

彼の代表作には以下のようなものがあります。

「日本沈没」(原題:『日本沈没』)
「竜馬がゆく」(原題:『竜馬がゆく×』)
「わが背中に蹄」(原題:『わが背中に蹄×』)
「神々の山嶺」(原題:『神々の山嶺×』)
「果てしなき流れの果てに」(原題:『果てしなき流れの果てに』)
「日本沈没」は彼の最も有名な作品であり、地球の地殻変動により日本列島が沈む様子を描いています。この作品は国際的にも高い評価を受け、映画やテレビドラマ化されるなど広く知られています。小松左京は、社会問題や環境問題、政治や歴史の要素を巧みに組み込んだ作品を多く残し、日本のSF文学において大きな影響力を持っています。

嘘がいろいろはいっています。それで私も嘘を入れてきいてみました。
【私】竜馬がゆくという作品は、芥川龍之介の作品ではなかったですか。
【ChatGPT】おっしゃる通り、誤りがありました。申し訳ありません。『竜馬がゆく』は、実際には司馬遼太郎によって書かれた歴史小説であり、小松左京の作品ではありません。『竜馬がゆく』は、日本の幕末期に活躍した坂本龍馬を主人公として描いた作品で、彼の生涯と彼を取り巻く時代の変革を詳細に描いています。

芥川の作品ではなく司馬遼太郎の作品だと答えて謝ってきました。そこで、誤りの理由をきいてみました。
【私】今回の誤りは、確率の計算結果が二人の著者が共に言及されることが多いため、誤ったということですか。
【ChatGPT】私の回答における誤りは、確率や統計的な関連性だけでなく、言語モデルの学習と理解の過程における複雑な要因によって引き起こされています。私は、大量のテキストデータをもとに、文脈や関連性を解釈して情報を提供するように設計されていますが、時折、誤った情報や混同が発生することがあります。
今回の場合、小松左京と司馬遼太郎が共に著名な日本の作家であるため、彼らの名前が一緒に言及されることがあるという関連性が、誤った情報提供につながった一因となった可能性があります。しかし、私の誤りはそれだけに限定されず、言語モデルの学習と理解の過程における他の要因も関与しているかもしれません。

私はユーザーからのフィードバックを大切にし、正確な情報提供に努めています。今回の誤りについてお詫び申し上げます。今後も改善に努めてまいります。

それに対して以下のようにきいてみました。
【私】このような誤りがあるということは、AIをはじめてあつかう一般人にとってよい教育結果を生み出すと思います。最初から誤りのないAIが提供されることは、AIが返してくる結果を疑うという態度を人間が失う結果につながる可能性が高いです。徐々に改善されていく様子をみることができる現在のChatGPTの導入の仕方が極めて教育的であると思います。

【ChatGPT】ありがとうございます。そのようなポジティブな視点でAIの進化と向き合っていただけることは、私たちAI開発者にとっても大変励みになります。
確かに、AIが完璧であるという誤解は、人々がAIの提供する情報を盲目的に信じる危険性を生み出す可能性があります。現在のAI技術はまだ完全ではなく、誤りや不正確な情報を提供することがあります。ユーザーには、AIの回答に対して疑問を持ち、批判的な視点で情報を評価することが重要です。
徐々に改善されていく過程を共有することで、ユーザーがAIの限界や可能性を理解し、より適切な方法で活用できるようになることを期待しています。私たちAI開発者は、ユーザーからのフィードバックや意見を大切にし、より正確で信頼性の高いAIを目指して改善に努めてまいります。

ということで、主語が私たちAI開発者となった回答が戻ってきました。
ChatGPTのような大規模言語モデルの驚異と脅威についてのよい日本語の動画があります。

「大規模言語モデルの驚異と脅威」東京工業大学情報理工学院 教授 岡崎 直観先生のAIPシンポジウム成果報告会(2023 年 3 月 28 日)での特別講演の動画です。 どういう原理でこのAIが動いているのかについてわかりやすい解説がありますし、論文執筆への応用の例や注意もありますので是非ご覧ください。今日はこの動画をみていたので、簡単な記事になりました。https://youtu.be/PUuk4Cv-ycg

 

ChatGPT時代の情報倫理についての動画と、ChatGPTの最新の解説動画とスライド資料(日本語)を紹介します。4/25追記あり

情報倫理オンラインセミナー、水野義之「ChatGPT等の大規模言語モデルLLMと情報倫理の課題」〜続・「AIに関する『情報倫理』の課題について」〜」、2023/02/25(土)というのがYouTubeのおすすめにでてきました。紹介しておきます。演者の先生は物理学出身の方です。https://youtu.be/jUpN2mjNTuw

それから、これはTwitterで知ったのですが、MicrosoftにおられるHirosato Gamoさんが4月21日に講演された「ChatGPTによって描かれる未来とAI開発の変遷」という講演の日本語のスライド資料がSpeakerdeckで公開されています。動画も4/24日に公開されました。大変参考になる資料ですので是非ご覧ください。
https://youtu.be/l9fpxtz22JU

スライド資料は以下のリンクでみられます。
https://speakerdeck.com/hirosatogamo/0421dsxie-hui-chatgptniyotutemiao-kareruwei-lai-toaikai-fa-nobian-qian
ダウンロードボタンを押すとpdfがダウンロードできます。
Speaker Deckは、いままでスライドを共有するために最も利用されていたSlideshareの改悪(広告がやたらにスライドをみていると入るようになりました)にともない、ほとんどの利用者がこちらに移動したサービスです。
https://speakerdeck.com/ こちらのurlからトップページを表示すると、日本語や英語のスライドを上部にあるSearchボタンで検索して閲覧、ダウンロードすることができます。
たとえばRについて入門的スライドが必要なら、検索窓に「R  初心者」といれてSearchボタンを押すと検索結果が表示されます。表示のトップにはGoogleの広告がならぶので、 Adと表示されている部分はとばしましょう。

M87銀河中心の巨大ブラックホールの画像が機械学習で鮮明化されたそうです。

2019年に史上はじめてブラックホールの撮影に成功したというニュースは世界に衝撃を与えました(この記事末尾にある、世界同時配信された撮影成功の報告動画をご覧ください)。その時撮影された、M87銀河の中心部に存在する超巨大ブラックホールの画像が、機械学習のアルゴリズムによって鮮明化されたという論文が4月13日でました。最後の会見動画にあるようにM87のブラックホールは日本人研究者が詳しく研究してきたもので、2019年の史上初のブラックホール撮影成功を報ずる論文の著者にも多くの日本人研究者が名を連ねています。今回の論文は、あのアインシュタインが在籍していたプリンストン高等研究所の研究者も参加しており、研究所からの次のプレスリリースをご覧ください。
https://www.ias.edu/news/sharper-look-m87
機械学習の威力を示す例がまた一つ増えました。論文はOpen Accessでこちらから読めます。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/acc32d

The Image of the M87 Black Hole Reconstructed with PRIMO
Published 2023 April 13 by the American Astronomical Society.
Lia Medeiros, Dimitrios Psaltis, Tod R. Lauer, and Feryal Özel
The Astrophysical Journal Letters, Volume 947, Number 1
Lia Medeiros et al 2023 ApJL 947 L7
DOI 10.3847/2041-8213/acc32d
写真はこの論文の図1です。左端がもとの画像、真ん中が左端のオリジナル画像データを機械学習アルゴリズムPRIMOで鮮明化したもの、右端がその鮮明化画像をオリジナルデータと同じ解像度に戻したものです。今回の鮮明な画像で、ブラックホールの明るいリングの大きさや幅がより正確に決定できるので、ブラックホールの質量がより正確に推定できるようになるそうです。

2019年のブラックホール撮影の成功報告の動画(日本語)は以下にあります。https://www.youtube.com/live/sO39eoOkKDI?feature=share

電子展示「NINJA 虚像(エンタメ)と実像 (ほんもの)」を紹介します。

国立国会図書館のデジタル展示会で忍者についての展示が行われています。
https://www.ndl.go.jp/kaleido/entry/33/

これはミニ電子展示「本の万華鏡」というページで開催されているオンライン展覧会です。https://www.ndl.go.jp/kaleido/
サイトには「様々なテーマに沿って、皆さまを国立国会図書館の蔵書の世界へと誘います気軽な読み物として、また、リンクをたどって幅広い資料を知る入り口としてお楽しみください。」とあります
今回は、「第33回 NINJA 虚像(エンタメ)と実像 (ほんもの)」というテーマの展示です。世界的に知られていて学ぶ人も多い忍術。それを操る忍者とはいったいどういうものだったのでしょうか。国立国会図書館に所蔵されている小説や忍術資料へのリンクもたどれる今回の展示で、映画やドラマ、小説に出てくる忍者とほんものの忍者との違いも知ることができると思います。妖術を駆使する児雷也、石川五右衛門、服部半蔵、猿飛佐助などの載っている本へのリンクは貴重です。
大正6年に出版された「忍術の極意」という本は、個人送信資料ではなくデジタルコレクションにあるので、登録なしにだれでも読めます。https://dl.ndl.go.jp/pid/1088342
忍者が使った手裏剣についての本も読めます。昭和17年にでた藤田西湖という人の書いた本です。「忍術からスパイ戦へ」というタイトルで、これもこちらから、
https://dl.ndl.go.jp/pid/1125955/1/135
誰でも自由に読むことができます。他にも忍術の秘伝書へのリンクなどもあって楽しめる展示です。外国の人も忍者や武道について興味を持っている人が多いので話のネタにもなると思います。古澤満先生は、John Gurdonさんと夕食を食べにいったとき、宴会の定番技として有名な箸の袋で割りばしをエイやと切る技をみせたそうです。Gurdonさんが「あれは合気道の技だそうだ、He is very dangerous!」と私に話してくれました。私がケンブリッジに行ったときはちょうどKarate Kidsという映画が、Cambridgeの映画館にかかった後でみんなその映画をみたらしいです。私にビール瓶の口を手刀できってくれという人もいましたし、息子は小学校で同級生に空手をつかったとかいわれて、私が校長先生に呼び出されて無実を説明したりしたこともあります。日本人はカラテを使うと思っている人が多いみたいでした。というわけで、忍者やカラテ、武道の話題は外国では結構役立ちます。Cambridgeでは弓をやっている女性研究者も結構いました。

実験的な酵素の立体構造決定についてのわかりやすい動画と、有用な化学の動画サイトを紹介します。

化学関連の日本語のポータルサイトとしてはケムステが有名で役立つということは以前紹介しました。(今日の記事の末尾に貼り付けておきます。)
https://www.chem-station.com/

ケムステはYouTubeでケムステチャンネルを開設していていろいろ役立つ動画を配信しています。ライブ配信もよくあるのでチャンネル登録しておくとよいと思います。https://www.youtube.com/@chemstationch/playlists
今日は一例として、私もお世話になった九州大学農学部の角田佳充先生の講演動画を紹介しておきます。
【第28回Vシンポ「電子顕微鏡で分子を見る!」】での角田佳充 先生 (九大院農 教授)の「X線結晶構造解析とクライオ電子顕微鏡解析による酵素の立体構造決定」というお話です。AlphaFold2についても触れられている最新のお話ですので是非ご覧ください。講演後のオンラインの質疑応答もみられますのでおすすめです。https://youtu.be/d14U8ZmOsyQ

以前の投稿もペーストしておきます。

2022/4/2
今日は化学のポータルサイト Chem-Station (ケムステ)を紹介します。化学のニュース、ブログ、データベース、化学英語などなど、さまざまな情報が集まっていますので参考になります。YouTubeチャンネル(ケムステチャンネル)もありますのでご覧くだ

AlphaFold2の使い方入門動画(実習付き)を紹介します。

タンパク質の立体構造を予測する強力なAIシステムであるAlphaFold2についてはこのブログでもたびたびとりあげています。その使い方について実習を交えてわかりやすく解説してくれる日本語での講習会(一部英語)が去年あったようでその動画や資料が公開されていてダウンロード可能です。

2022/11/24 オンライン開催された「第7回タンパク質結晶構造解析ビームライン中級者向け講習会
という講習会です。講演および演習スライドが以下にまとめて公開されています。
https://research.kek.jp/group/pxpfug/katsudo/shiryo8.html
これはわかりやすそうで是非実習をやってみられることをお勧めします。わたしもやってみようと思っています。
以下は講演のタイトルリストです。

講演1 「構造生物学者が知るべきColabfold活用方法」伏信 進矢 (東京大学)
実習1 「構造生物学者が知るべきColabfold活用方法」小野田 浩宜 (名古屋大学)
講演2 「PDBjのツールを使って+αの構造情報を得る」栗栖 源嗣 (大阪大学)
講演3 「タンパク質のポケット・キャビティサーチを探索して結合部位を予測する」于 健 (大阪大学)
YouTubeにも動画があるはずですが、上に紹介したリンクの方がスライドと動画がまとまっていて使いやすいです。伏信先生のイントロのお話もすっきりと明快なもので是非ごらんになることをおすすめします。伏信先生が動画の中でとてもためになる読み物として紹介されている総説は以下のブログ記事でも紹介していますのでご覧ください。

日本語のAlphaFold2の総説を紹介します。

次の動画はYouTubeにある講演動画の一例です。他の動画もあるのかもしれませんが私は探していません。

https://youtu.be/zTHFXTFuNHE

機械学習の教科書決定版と言われる本の第二刷がでています。

去年の3月はじめに紹介していた機械学習の教科書の決定版と言われる本が、誤りを訂正して第二刷としてアップロードされています。以下のリンクから無料でダウンロードできますので興味のある方はダウンロードして読んでみてください。
Probabilistic Machine Learning: Advanced Topics
https://probml.github.io/pml-book/book2.html

Probabilistic Machine Learning: An Introduction
https://probml.github.io/pml-book/book1.html

著者のKevin P Murphy さんは多くの業績があるコンピュータ科学者で、カリフォルニア大学バークレー分校をでて、カナダにあるUniversity of British Columbiaのassociate professorをしていた方です。現在はGoogleで研究しておられます。
https://www.cs.ubc.ca/~murphyk/

以下には以前の記事を貼り付けておきます。

2022/3/1
ツイッターで知った(https://twitter.com/imai_eruel)のですが、機械学習の本がいくつか公開されています。前に第一巻を紹介した

Kevin P Murphyさん(Googleに籍を置いてカナダの大学で教えている方です)の有名な教科書二冊が以下のgithubのリンクからダウンロード可能です。https://probml.github.io/pml-book/Probabilistic Machine Learning: An Introduction
https://probml.github.io/pml-book/book1.htmlProbabilistic Machine Learning: Advanced Topics
https://probml.github.io/pml-book/book2.htmlまた、別にグラフニューラルネットワークやグラフの深層学習についての教科書がでています。アメリカの大学で教えておられる二人の研究者(Yao Ma and Jiliang Tang)による教科書です。生命科学系の応用についても書かれています。タンパク質分子をグラフとしてとらえて、相互作用を研究したり、薬の相互作用を示すグラフの深層学習によって、薬の副作用を調べたりする手法についてもふれられています。
Deep Learning on Graphs
https://web.njit.edu/~ym329/dlg_book/

写真は今 我が家で咲いているリンゴの花です。去年カミキリにやられて枝をすこし切り落としましたが綺麗に花が満開になっています。明日も今日と同じく夏日のようで暑い日が続きます。

発生を理論的に解析する試みの歴史と展望がわかる面白い動画をみつけました。

今日は暑い一日で福岡も夏日でした。桜もすっかり散って緑の葉が茂り、新緑が美しい一日でした。
さて、今日は発生生物学の理論の動画を紹介します。
発生現象を理論的にとらえる試みの歴史と今後を概観するのにおてもよい動画です。https://youtu.be/TGyrr20h9mw

ダーウインのEndless forms most beautifulという進化発生学のもとになった言葉の解説や、ゲーテのUrpflanzeの話、D’Arcy ThompsonのOn Growth and Formの紹介とこれらのアプローチの限界について話がすすみます。形態形成場のアイデアやWaddingtonのEpigenetic landscapeの話、そして彼の弟子のBrian GoodwinのGenerative Principlesという理論の話が面白いです。そして力学系による発生の解析の話があって、かつて一世を風靡したRene Thom(フィールズ賞受賞者)のカタストロフィーの理論の紹介もあります。このブログでも以前書いたことがありますが、私の院生のころカタストロフィーの理論が注目をあびて、岡田節人先生もイギリスで開催されたカタストロフィーの理論の研究会に参加されて、発生生物学に革命が起こるかもしれないと期待されていたそうです。京大にルネ トムが来たときには私も数学教室で行われたセミナーに参加しました。残念ながらほとんど理解不能でした。
この動画のJohannes Jaegerさんは理論生物学的に生命を解析する試みをしている人で、いろいろ論文もあるので探してみてください。彼の動画は昨日、検索していてはじめて知ったのですが、彼のYouTubeチャンネルにも面白い動画がいろいろあるようです。これから見てみようと思います。
https://www.youtube.com/@johannesjaeger757/videos

複雑系の科学でよく話題になる、カオスについて遊べるサイトを紹介します。

今日は、カオスについて遊べるサイトを紹介します。
ローレンツアトラクターというのをご存知ですか。こちらのサイトをChromeなどでひらいてみると(Firefoxではなぜか青いバタフライが飛びません)、ローレンツアトラクタをいろいろな条件で試して遊んでみることができます。
http://www.malinc.se/m/Lorenz.php

もともとはアメリカの気象学者Lorenzが大気の対流運動を記述するために研究していた連立微分方程式で以下の式です。温度差による大気の上昇・下降の流れや、地球の回転によるコリオリ力など、大気の複雑な挙動を捉えるための非線形連立微分方程式でした。
dx/dt = σ(y – x)
dy/dt = x(r – z) – y
dz/dt = xy – bz
で記述される点(x,y,z)の時間変化が解になります。σとrとbがパラメーターで、このサイトの上部にあるパラメータをスライダで変化させると、カオスのアトラクタが現れたり、消えたりします。ページを開いた時のデフォルト値はσ=10 r=28 b=2.5になっており、Small cubeボタンかLarge cubeボタンのどちらかを押してsimulationをはじめると、はじめ近くにあった青色のバタフライが時間とともに運動をはじめて、時間がたつと羽根をひらいた蝶のような形の軌道にそって運動するようになることがわかります。それぞれの青色のバタフライは、微分方程式を満たすように運動しているだけですが、この場合、周期性はまったくない運動となります。すべての解が時間がたつと羽根を広げた蝶々のような空間の領域に分布する様子がよくわかります。アトラクタというのはこういう解の点が一定の領域に集中することからついた名前です。ローレンツアトラクタがあらわれるのは、σ=10 b=3/8の場合、r>24.74の場合で、ごく近くにあった二つの点の運動を上記の連立微分方程式系で計算すると、まったく異なるカオスの振る舞いをすることになります。上のサイトでいろいろ試してみてください。
サイトのHide butterflyボタンを押した場合は、二つの点の運動の軌跡が表示されます。

また、図の上にマウスをおいてドラッグすると図形全体を回転させたりできるので、三次元空間でのローレンスアトラクタの形を詳しく観察することもできます。

カオスについては以下の英語の動画もわかりやすいのでお勧めです。

Chaos: The Science of the Butterfly Effect
https://youtu.be/fDek6cYijxI