無料で読める、英語を第二外国語としている人のための英語論文執筆の手引きを見つけました!

英語で科学論文をはじめて書く外国人のための論文執筆の指導書がオープンアクセスで公開されています。
The Pathway to Publishing: A Guide to Quantitative Writing in the Health Sciences  (Springer)という本で以下のリンクから誰でもダウンロード可能です。pdf版とEPUB版どちらでもダウンロードできます。
https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-030-98175-4
著者 (スタンフォード大学のStephen Lubyさんと、 ハーバード大学/CDCのDorothy L. Southernさん)はバングラデシュやパキスタンで疫学をもとに現地の健康のために活動してきた方々です。https://lubylab.stanford.edu/
はじめて論文を書く人を指導して論文の原稿を直してあげた豊富な経験をお持ちの先生です。その過程で、初めて論文を執筆する人が犯しがちな誤りのリストをまとめていったそうです。論文を直すときに、「リストの何番にのっている誤りですので見てください」と言うように使うリストが、どんどん膨らんでいったそうです。そのリストの最新版をもとに書かれたのが本書で、part 1では論文の執筆法についての詳細な手引き、part 2ではよくある誤りのリストがそれぞれ詳しい解説と例文つきでのっています。最初の論文の書き方の部では、論文執筆をする具体的な方法、ドラフト版の共著者への回覧と返されてきたコメントを元に改良するやり方、投稿するジャーナルの選び方や、著者の記載順の決め方、gift authorshipなどの問題についてもきっちり書かれています。2022年出版の本ですのでプレプリントサーバーへの原稿のアップロードについても的確に指南されているのはありがたいです。part 2では、よくある誤りが網羅されています。疫学の論文など定量的データを扱う論文を書くときに犯す誤りのリストのみならず、どんな科学論文の執筆でもありがちなエラーもリストされているので、この本は生命科学一般の論文執筆指導書としても大いに役立つものになっています。正しいコンマの入れ方、スペースの入れ方などまで書かれていますし、ポスター発表の手引きまで書いてありますので、どなたにも大いに参考になると思います。この本はオープンアクセスにしてありますがその理由は、お金のない はじめて論文を書こうとする科学者が無料でダウンロードして読める論文執筆指導書を提供するためだそうです。英語で書かれていますが、英語を第二外国語とする人のために書かれた本ですので是非ダウンロードして読んでみてください。論文執筆を指導している先生にも読んで役立つ本だと思います。付録もとても役立ちます。

田口 善弘先生のバイオインフォマティクス(テンソル分解のゲノムサイエンスへの応用)の動画の紹介です。

奈良先端科学技術大学院大学の動画を紹介します。
田口, 善弘 (タグチ, ヨシヒロ) 先生のTwitterで先生の講義の動画がみられることを知りました。Application of tensor decomposition based unsupervised feature extraction to genomic scienceというタイトルです。英語ですが、わかりやすい英語なので私も勉強してみようと思います。田口先生はブルーバックスに「はじめての機械学習」という本を書いておられます。こちらはやさしい入門書でおすすめします。他にもブルーバックスに「生命はデジタルでできている」という本も書かれております。

さて講義の動画ですが、以下のリンクで
https://library.naist.jp/opac/book/102922
上のほうにある2022年10月5日の資料内のMPDASHのボタンをクリックすると
自動再生失敗」というタイトルのポップアップがでて、「自動再生はブロックされました。手動で再生してください。」と表示されます。ポップアップを閉じると下の方に再生ツールバーが出るので、手動再生して視聴してください。

https://library.naist.jp/library/archive_top/st/2022.htmlのページにはいろんな講義がならんでいます。Freeの文字が緑の背景に白抜きでくっきり見える講義は動画が公開されているようです。興味のあるものを見てみるとよいでしょう。

江戸の怪談についての本を読みました。

お化けの話を書くとブログのアクセス数があがるのがわかりました。近くの図書館で借りてきた本に

「江戸の怪談がいかにして歌舞伎と落語の名作となったか 」
http://shop.kasamashoin.jp/bd/isbn/9784305709646/
というのがあります。

櫻庭由紀子(著/文 他)四六判  352頁 定価 1,800円+税(笠間書院)
これは落語の皿屋敷で有名な番町皿屋敷、四谷怪談、牡丹灯籠など怖い怪談のなりたちや、内容などを詳しく知ることができる本です。通読できる大変面白い本なのですが、詳細な文献引用もあって、研究書ともいえるほど詳細な知識が得られる本になっています。こちらの動画がこの本の紹介動画になっています。
https://youtu.be/BDKzjzLUGTo
ラジオの番組です。この番組によると櫻庭さんの夫は落語家の三遊亭楽松さんだそうで、楽松さんが有名な円朝怪談の練習をはじめたところ、みるみるやつれていって陰にこもった、死に急ぐような感じになったのだそうです。それで円朝怪談について元ネタを含めて調べ始めたのが執筆のきっかけだそうです。
写真は散歩の途中の景色です。快晴が毎日続いて秋が深まってきています。

英語で論文を書くときに役立つツールや本、記事などをまとめたサイトを再度紹介します。

英語で論文を書くときに役立つツールや本、記事などをまとめたサイトを以前(9/29)紹介しました。

TwitterをみていたらAcademic Phrasebankの本の日本語訳が出版されたとのことでした。
たとえばこちら。https://nitter.net/kspub_kodansha

以前詳しく紹介しようと思っていたAcademic phasebank
https://www.phrasebank.manchester.ac.uk/ (論文を書くときに必要な言い回しの例文を網羅しているサイトです)
ですが、このサイトの内容を増補したebookが、サイトからenhanced pdfあるいはKindle本としてダウンロード購入できます。初心者の方は、今回出版された翻訳本で読むのも良いと思います。
「アカデミック・フレーズバンク そのまま使える!構文200・文例1900」
著者:ジョン・モーリー 訳:高橋 さきの 監修:国枝 哲夫 (講談社)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000314092
この本の活用法については翻訳者の高橋さんのTwitterに詳しいです。
https://nitter.net/sakinotk
高橋さんによる「日本語訳をてがかりに必要な英語の文を拾って並べていくと、とりあえず文章の原型が完成します」といった手法の紹介のほかいろいろ有用な情報がみられます。

探してみたのですが、今のところ、日本語版のKindle版はなさそうです。原書の英語版Kindle本は翻訳書よりずっと安く手に入ります(さっき購入しました。893円でした)ので、英語版を買う方が便利かもしれません。kindle版は検索機能が使えますので役立ちます。

こうした英語論文執筆に役立つサイトやツール、本などを詳しく紹介している以前紹介した、以下のQiitaのサイトはおすすめです。私がこのブログに書いている内容や、以前分子生物学会のランチョンセミナーで紹介したサイトなどもいくつか入っています。
https://qiita.com/k-kawakami213/items/5e7e1ffccbe708e6ac50
この記事中には他にもいろいろ役立つサイトが紹介されています。リンクの方も是非ご覧ください。たとえば以下のサイトなどです。
いつか博士になる人へ  https://www.ki1tos.com/entry/2020/03/27/183528 

 

「人間の建設」(小林秀雄と岡潔の対談)を紹介します。

YouTubeをみていたら右側のおすすめ動画にこんなのがでていました。
https://youtu.be/-5oQgijHgS8

スケザネという方の動画です。渡辺祐真(スケザネ) さんについては以下のnoteに詳しく書かれています。。
https://note.com/sukezane33/n/n87668250cbe8
毎日新聞文芸時評担当(2022年4月~)だそうで、俵万智さんについての本なども書いておあられます。動画には俵万智さんとの対談もあります。

動画は岡潔と小林秀雄の対談「人間の建設」についての紹介です。私はこの本を何回か読みました。あまり面白い本ではないと思い対して感銘も受けず、岡潔より小林秀雄がリードしている対談だと感じていました。夏ごろ、Kindleポイント50パーセントキャンペーンの対象だったので、Kindle版を半額で買って読み直しました。今回読んだときはじめて、二人が対等に話していると感じました。そしてタイトルの「人間の建設」というのが深い意味をもっているのだと初めてわかりました。「人間の建設」という言葉の深い意味を知りたい方は、一度読んでみることをお勧めします。とても深い内容だと、年をとった今はわかりました。スケザネさんの感銘を受けておられるところと私の感銘したところは全然違います。人それぞれの感銘する部分が違うと思いますので、皆さんも一度読んでみてください。
スケザネさんの「文学系チャンネル【スケザネ図書館】」の動画一覧には以下をご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UCLqjn__t2ORA0Yehvs1WzjA/videos

数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアムの動画やスライドを紹介します。

数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム(九州大学も参加しています)は、全国すべての高等教育機関の学生が、数理・データサイエンス・AIを習得できるような教育体制の構築、普及を目指しているとのことです。詳しくは次のweb page
「数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアムとは」
http://www.mi.u-tokyo.ac.jp/consortium/overview.htmlをご覧ください。

拠点校の東京大学のサイト
http://www.mi.u-tokyo.ac.jp/consortium/index.html
に教育的な動画やスライドがいろいろおいてあります。ライセンスを一読の上、利用されるとよいと思います。以下のリンクから利用可能です。

応用基礎レベルモデルカリキュラム対応教材
http://www.mi.u-tokyo.ac.jp/consortium/e-learning_ouyoukiso.html
1. データサイエンス基礎
2. データエンジニアリング基礎)
3. AI基礎

リテラシーレベルモデルカリキュラム対応教材
http://www.mi.u-tokyo.ac.jp/consortium/e-learning.html
1. 社会におけるデータ・AI利活用
2. データリテラシー
3. データ・AI利活用における留意事項
4. オプション

写真は山際に咲いている野萩です。このところ快晴の日が続いていますので秋を満喫できますね。

古代ギリシャ天文学者ヒッパルコスの星図の一部が発見されたそうです!

古いギリシャの天文学者ヒッパルコス(紀元前190生ー120ごろ没)の失われた星図(星座観測記録)の一部が発見されたそうです。https://www.nature.com/articles/d41586-022-03296-1
論文はこちらにあります。
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/00218286221128289

中世の修道院では、書物をつくるための羊皮紙を使いまわしていました。古い羊皮紙の本の文字を消してその上に新しい本を書き込んでいくわけです。そういう本をpalimpsest パリンプセストと呼びます。今回、エジプトの修道院に保存されていた祈祷書の下にギリシャ語のテキストが発見されました。方法はマルチスペクトルスキャンで、異なる波長の光をあててうかびあがってくる文字を映像のコンピュータ解析で復元するという方法です。これは古代ギリシャの偉大な科学者アルキメデスの著作「方法」を中世の祈祷書のテキストの下から復元した仕事と似ています。学生実習でパリンプセストを解析していたところ、下になにやらギリシャ語があるというのを学生が発見して、本気になって解析を進めた末の大発見だそうです。プトレマイオス(紀元83年頃 – 168年頃)のアルマゲストには星座を構成する星の位置の観測データの表がのっています。これが最古の星の位置の観測データだったのですが、その記録が更新されて、なんと羊皮紙の下に書かれていたのは失われたヒッパルコスの星図の一部だろうという結論になったそうです。星の位置の現在の値とのずれは1°以下で、プトレマイオスのアルマゲストの値より正確だそうです。発見されたかんむり座(かんむりざ、冠座、Corona Borealis)を構成する星の位置を、このブログでも紹介しているStellariumその他で計算して観測された時代を推定したところ、紀元前のヒッパルコスの時代の空の星図とぴったり合うのがわかったようです。大発見ですね。
まだ星図の全文は回収されていないので今後は、修道院にある他の羊皮紙の本を調べるなどしてできる限りすべての本文を回収する計画だそうです。

量子コンピュータのやさしい解説の動画を紹介します

秋が深まってきましたね。今日も昨日に引き続いて、Royal Institutionの動画を紹介します。
Quantum computing in the 21st Century – with David Jamieson
https://youtu.be/zxml8UQSwC0

質疑応答はこちら。
https://youtu.be/gnf9eH4WjQM

この新しい動画は、オーストラリアのメルボルン大学の David Jamieson先生による量子コンピュータの平易な解説動画です。シリコンチップで量子コンピュータdeviceを作成している先生です。
20世紀の科学の発展、月着陸やスマートフォンの開発などを回顧し、ヤングの光の二重スリット実験の解説をかわきりにスピンの話、量子コンピュータの話がわかりやすく語られています。時間のあるときにご覧ください。よくわかります。
写真は散歩の途中でみつけたカラスウリです。田んぼのそばにあったのであやうく見逃すところでした。秋が深まってきています。

ビッグバン以前の宇宙はどうなっていたのか―多元宇宙による宇宙の起源の動画がありました

今日は宇宙の起源についての新しい学説の動画を紹介します。ビッグバンの前はどうなっていたのか、という疑問に答える画期的理論を提唱した女性科学者の講演です。
Laura Mersini-Houghtonさんは共産主義に支配されていたアルバニア生まれでフルブライト奨学金をうけてアメリカで学んだ理論物理学者で、多元宇宙multiverse研究の世界的リーダーだそうです。ノーベル賞候補ともいわれているそうです。

https://youtu.be/GYVg50_w1UA

Lauraさんの新著”Before the Big Bang: The Origin of Our Universe from the Multiverse” https://geni.us/2TDDa の宣伝を兼ねた講義です。多世界理論を使えばこの宇宙の起源を鮮やかに説明できるのだそうです。以下はRoyal InstitutionのYouTubeページにのっている講義の目次です。
0:00 Introduction
3:15 The story of the universe in one slide
6:49 Why does entropy make the universe seemingly impossible?
11:49 The origin of the universe in philosophy
16:54 Is the universe deterministic
22:14 The quantum to classical transition
28:45 Developing the theory of the multiverse
33:32 A crisis in string theory
37:48 Using quantum cosmology
45:18 The cold spot theory and cosmic variants
48:10 The progress of cosmology
52:22 Dinner in a nuclear reactor

質疑応答は以下のリンクにあります。
https://youtu.be/6xpVP_ITEYE

幽霊をみたという話

幽霊をみたという話

今日は科学の話ではなくて、お化けの話を書きます。
私は京都生まれですので、深泥池の幽霊の話はよく聞きました。深泥池は氷河期以来の動植物が生息する天然記念物に指定されている池です。近くに病院があってあたりはなんとなく不気味な雰囲気が感じられるところでした(私が京都に住んでいた昔の話です)。夜、タクシーが深泥池近くの道路を走っていると、女の人がタクシーを止めます。行先を告げたので走り出して しばらくして「お客さん」、といってバックミラーを見ると女の人は消えていて、止めて座席を見るとびっしょりと濡れていたというのが定番の深泥池の幽霊の話です。https://www.leafkyoto.net/makai/2017/03/midorogaike/
女の人が車から落ちたと思って交番に運転手が駆け込んだという話がこれに続きます。
そういう話がときどき京都の新聞にのっていました。比叡山にのぼって展望台で京都を眺めていた時、中学生二人が近くの席で話しているのが聞こえてきました。「あの幽霊見たって新聞にでていたの、xx君のお父さんやで。」「そうやそうや」と。その会話を聞くと、結構信頼性のある話みたいでした。実は私の住んでいた左京区の役場の所長さんも幽霊を車にのせたのだそうです。これは全国放送のテレビでやっていました。八瀬の人通りもない寂しい車道を夜 車で走っていると道に若い女の人が立っていたので、こんなところに夜女性一人で歩いているのは危ないと、車をとめて後部座席に乗せてあげたそうです。「送りますわ」、といって車を走らせてしばらくして橋を渡る時ふと後ろをみると、誰ものっていなかったそうです。「えらいこっちゃ、女の人が落ちた」と、車をとめて橋の周囲や川などを探したのですがどこにも見当たりません。警察にとどけたのですが、やはり女の人がのっていた座席はぐっしょりと濡れていたそうです。この所長さんは役所のいろいろな手続きでよく応対してくれていた方なので、土曜10時すぎからのバラエティ系のニュース番組に出演されているのをみてびっくりしました。こういう幽霊の話は京都ではけっこうある話でした。ではおやすみなさい。