生物学はナノテクノロジーをどう変えるか?第一世代のナノマシーン?

ナノテクノロジーの古典に、エリック・ドレックスラーの書いた「創造する機械」という本があります。

https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=410389016

テレビのSF番組のスタートレックでも、この本の影響でしょうか。敵役のボーグがナノマシーンの集合体でうごいており、ナノプローブを相手に注入して同化するという設定に変わったようです。昔の映画「ミクロの決死圏」で描かれた潜水艇のようなものもつくれるのではないか、それで映画のように脳出血の場所にいって血栓を焼き切って治療できるかもなどという話もでて当時は大いに盛り上がり、話題になったものでした。まだ読んでおられない方はこの本、一読をおすすめします。Internet Archiveでも借りることができます。https://archive.org/search.php?query=creator%3A%22Drexler%2C+K.+Eric%22

https://archive.org/details/enginesofcreatio0000drex

私も当時、高校の先生向けの講演会で話させてもらった時、今後のナノテクノロジーはまず生きている細胞を人工的に改変して体内にいれてそとからあやつって治療につかったりするという方向で大発展をとげるだろうと予測しました。たとえばマクロファージとかいろいろなリンパ球を改変することは可能ですから、体内で動き回れるこうした細胞を人工的に改変して利用するのが、第一世代のナノマシーンとなるのではないかと予想したわけです。これらは患者さんの細胞からつくりだすので、異物としては認識されないわけで、免疫回避しながら細胞で体を修理するとか、薬剤を運ぶとかを目指すのがもっとも簡単で効率的なナノテクノロジーの進歩の道筋だと考えたわけです。iPS細胞の技術やゲノム編集技術の発達、そして人工生命の作成成功など合成生物学の進歩で、この可能性はますます高くなってきていると思います。マイコプラズマとかを改変してナノマシーンとして利用する実験はすでに成功しており、やっと人工改変細胞での治療が可能になる時代が来たようです。Drexlerさんはまた別のラインのナノテクノロジーを考えておられるようで、去年の講演ではタンパク質設計の話なども交えて展望を騙っておられたようです。
以下のYouTubeビデオをご覧ください。https://youtu.be/HjgjtAk-lws