21世紀の量子コンピュータ時代に量子力学の骨組みを理解するための本の紹介です。

今年の4月に量子力学を全く新しい観点からまとめている本を紹介しました。最近、関連した日本語の教科書をみつけたので紹介しておきます。
図式と操作的確率論による量子論 玉川大学教授  博士(工) 中平健治 (著)という本です。森北出版から今年秋に出版された新刊です。
https://www.morikita.co.jp/books/mid/017061
著者の中平先生のサイトには、図式で量子力学を定式化して計算する方法がわかりやすくまとめてあります。
https://sites.google.com/view/nakahira/


https://sites.google.com/view/nakahira/%E5%9B%B3%E5%BC%8F

まだ試し読みと中平先生のnote記事を読み始めたばかりで、全部はちゃんと読んでいませんが、名古屋大学の堀田昌寛先生の教科書、「入門現代の量子力学―量子情報・量子測定を中心として」
https://www.kspub.co.jp/book/detail/5239230.html
よりはずっとわかりやすい本だと思いました。堀田先生の本は出版後すぐに購入して読み始めましたが、私には難しすぎました。量子力学を根本的に再構成したというふれこみの本ですが、骨組みが私のようなものにわかるようにはまとめて書かれていないようで、圏論的量子力学の本のほうがわかりやすいと思いまます。
以下は固定ページにある、4月14日の記事の再録です。あと上の写真は我が家のクリスマスイルミネーションの太陽電池パネルにいるテントウムシです。暖かい日はいつもいますが、どこで越冬するのでしょうか。今朝実がいっぱいついた柚子の木を剪定していると、黒いナミテントウもみかけました。もうすぐクリスマスですね!

2022/4/14
今日は量子力学の本を紹介します。Picturing Quantum Processes (Cambridge University Press)という本で、量子力学を全く新しい観点からまとめている本です。日本語訳もあります。圏論的量子力学入門(森北出版)という本で電子版もあります。圏論の観点からダイアグラム(String diagram)で量子力学をまとめているようです。まだ読み始めたばかりですが、京都大学の山田亮先生のサイトに先生のこの本のまとめが載っていますので、面白そうだと思うかたはちょっと高い本ですが、買って読むとよいでしょう。ヒルベルト空間による定式化と等価な新しい定式化が学べるようです。著者の一人Bob Coecke教授(Oxford大学)による解説は以下の動画などいろいろあります。

 

https://youtu.be/g06K8djeN9c

山田亮先生は有名な教科書「遺伝統計学の基礎」の著者で、京都大学医学研究科 附属ゲノム医学センター 統計遺伝学分野 教授をされています。先生のサイトには統計遺伝学の勉強の参考になる情報がいっぱい掲載されているので是非ご覧ください。
意外なことに先生のサイトには、様々な数学に関する本の記事も多数掲載されています。また統計遺伝学のRコードもあるので、上記の遺伝統計学の基礎を勉強するのにも便利なサイトです。九大の方はMaruzen eBook Libraryにこの本「遺伝統計学の基礎」が入っていますので、ダウンロードして読むことができます。

英語の音声教材や、英語の動画で字幕を自動生成する方法を紹介します。

英語動画や英語音声教材の字幕を自動生成する方法の紹介です。

ブラウザで英語圏のstream番組や動画をみている時、字幕がでないものも多いです。また英語の音声教材で字幕を表示したいこともよくあります。そういうときに便利なChromeの字幕自動生成機能の使い方を紹介します。

まずブラウザのChromeを起動します。Windows 10ではChormeの右上の端にある点が縦に並んだ部分をクリックして、「設定」⇒「ユーザー補助機能」と進むと、「自動字幕起こし」が開いたリストの一番上に表示されます。スライダでオンにしたらOKです。「自動字幕起こし」の下にある「字幕の設定」を使えば字幕の大きさや背景、色などいろいろカスタマイズできます。字幕は最初は50%に縮小された小さな表示で表示されるので、大きくするには字幕窓の下部の下向き矢印の頭(arrow head)をクリックしてください。100%表示に拡大します。Windows7の場合 設定⇒字幕⇒自動字幕起こし、とすすんでスライダで自動字幕起こし機能をオンにします。

Choromeの自動字幕起こしで表示される字幕はコピーできないみたいです。スクリーンキャプチャしてOCRするようなアドオンを探していますのでやり方がわかったらまた記事にします。

字幕のない英語の動画や、音声ファイルをドラッグアンドドロップするなどしてChrome上で再生すると、英語字幕が自動で表示されますので字幕の無い動画や音声教材を利用するのにとても便利です。

青年ガウスは目覚めとともに 正17角形の 作図法を発見した―本の紹介です。

歴史に残る大数学者ガウスがまだ19歳の学生の時、朝目覚めてベッドから出ようとするせつなに、正17角形の作図法(定規とコンパスで作図する方法)を思いついたというエピソードは有名です。世界的数学者であった高木貞治の「近世数学史談」はこのエピソードからはじまっており、この本は多くの人を数学の道へと誘ってきたといわれています(岩波文庫にはいっていますが品切れとなっていました。中古本は安く入手できるようです。国立国会図書館の個人送信資料にもありますが、1946年版が一番新しくて漢字カナ文なので通読できないと思います)。ギリシャ人は正三角形、正四角形、正五角形、正15角形およびそれらの辺数を二倍にしてできる正多角形―たとえば正六角形、正10角形など―の定規とコンパスでの作図法を発見していましたが、ガウスの時代までの2000年余り、それ以上の発展はありませんでした。ガウスの正17角形の作図可能性の研究はその暗黒を打ち破り、新たな数学の発展を告げる成果だったわけです。「近世数学史談」にはガウスの著した本やガウスの手紙にもとづいてこの発見が生き生きと描写されています。ただ結構むずかしくて私は読み終えられませんでした。新しい入手可能な本では、九州大学におられた高瀬 正仁(たかせまさひと)先生の本「ガウスの数論―わたしのガウス」(筑摩学芸文庫)にも詳しく書かれていますので読んでみてください。https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480093660/
また、英語の本でガウスの正17角形の作図法の発見について高校生向けにやさしく解説してあるOpen Accessの本を見つけたので紹介しておきます。
Mathematical Surprises(Springer Nature 2022)という新刊書です。
高校で習う数学レベルで、多くの驚くような数学の定理や事実を学ぶことができるという本です。
著者のMordechai (Moti) Ben-Ari 先生はイスラエルのthe Weizmann Institute of Scienceの名誉教授で、コンピューター科学のための論理の本やロボット工学の教科書も書いておられるそうです。(Mathematical Logic for Computer Science、Elements of Robotics (with Francesco Mondada))また優れた教育家として次の賞を授賞されているそうです。the ACM SIGCSE Award for Outstanding Contributions to Computer Science Educationおよびthe ACM Karl V. Karlstrom Outstanding Educator Award.

https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-031-13566-8
本のダウンロードは以下からも可能です。
https://directory.doabooks.org/handle/20.500.12854/92235

 

ユニークな歴史年表 「情報の歴史21」(松岡正剛 監修)の高画質・検索可能なpdf版が出版されます。

「情報の歴史21」という密度の濃い世界と日本の歴史を一度に把握できる歴史年表のpdf版がでるそうです。
以前出版された「情報の歴史」は松岡正剛さんの編集・監修のもと、1990年に初版、1996年に増補版が出ていましたが、絶版になっていて、高価な古書籍でしか入手できませんでした。この本は松岡正剛さんが解説進行を(矢部)華恵さんと一緒につとめておられたNHKの番組「世界遺産 一万年の叙事詩」の中で取り上げられていたと思います。ある年に、日本だけでなく全世界で同時に何がおこっていたのかを政治や文化など多方面から鳥瞰できる本です。読みたかったのですが、九大でもたしか文系の研究室にしか所蔵されていませんでした。うれしいことに2020年に、2020年までのデータを追加した紙の本がでました。買おうかどうか迷っていたのですが、紙の本の画質が悪いと言う批評などもあって買いそびれていました。今回12月6日販売開始のpdf版は、2021年のデータも追加されていて、検索可能で、紙の本では見にくかった細かい図も高画質で拡大してみられるとのことで、私は事前予約しました。事前予約特典付きの予約は12/5までだそうです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000028649.html
https://www.eel.co.jp/topics/news/4028

この本とは別に、松岡正剛さんの千夜千冊のサイトもおすすめです。幅広い該博な知識をもとに、多彩なジャンルの本に関する密度の濃い読み応えのある記事が毎回掲載されています。バックナンバーも併せて、是非ときどきのぞいてみてください。
https://1000ya.isis.ne.jp/

感染症数理モデルの基礎といわれるSIRモデルをソフトウエアを使って理解してみましょう。

先日の数理生物学セミナーの二日目には、京都大学の小林鉄郎先生による 「感染症数理モデル入門 ~新型コロナウイルス感染症(COIVD-19)を例に~」という講演がありました。最初から最後まで、とてもわかりやすい講演で、感染モデルのSIRモデルの解説もわかりやすかったです。SIRモデルの予測を目で見るためのモデルソフトウエアとして、Berkeley Madonna を使っておられました。
https://berkeley-madonna.myshopify.com/
このソフトは初めて知ったのですが、微分方程式や差分方程式を数値的にとけるソフトウエアで、モデルをフローチャートで表して簡単に作成して微分方程式などを数値的にとけるソフトです。無料版と有料版があり無料版はデータの保存その他の制限がありますが、だいたいの用途には無料版でいいのではないでしょうか。Windows7をまだ使っている方が
インストール後ソフトを起動するには、インストール先のBerkeley Madonnaフォルダにあるバッチファイル、 BerkeleyMadonna.batをクリックする必要があります。その他のOSでは実行ファイルから起動できます。

SIRモデルは、感染症数理モデルの基本モデルです。1927年にでたモデルだそうです。このモデルを元に様々な改良型モデルが実際の感染対策に利用されています。たとえばHethcote, Herbert. (2000). The Mathematics of Infectious Diseases.SIAM review, 42. 599-653(クリックするとpdfがみられます)をご覧ください。

SIRモデルの予測を実際行うには連立の常微分方程式を解くことになります。Mathematicaでも解析できますが、小林先生が講演で利用されていたBerkeley Maonnaで簡単に解析することもできます。やり方はこちらなどにでています。https://www.cs.appstate.edu/~rt/VCTWorkshop/2006/BerkMad_intro.pdf

Berkeley Maonnaは昔からあるモデル作成ソフトのStellaをもとに作られたソフトのようです。Stellaもまだあるようですが(ISEEという名前です)、どちらも有料ソフトです。結構な値段がします。無料のソフトで解析したいと言う場合は、フローチャートで解析する機能はないのですが、解析能力はこれらをしのいでいるソフトXPPAUTを使うのもよさそうです。
http://www.math.pitt.edu/~bard/xpp/xpp.html

Mathematicaでの解析法はこちらにあります。https://youtu.be/-kI9J0k8pYA
丸山先生の丁寧でわかりやすい説明です。YouTubeのページからMathematicaのnotebookもダウンロードできます。以前書いたように無料利用できるversionを利用すれば、無料で解析することができます。

クリスマスイルミネーションが灯りました!本の紹介は「算法少女」です。

今年は近所の公園のイルミネーションが11月28日に点灯しました! 今までになかった早い点灯です。さっそく今夜近くで見にでかけました。子ども達もバスの運転手さんも楽しめるきれいな照明です。今年はのぼり階段にもイルミネーションがついていました。
去年はこんな感じで医療関係者への感謝のメッセージつきでしたが、今年はかわいいイルミネーションでこれもいいですね。

コロナに負けんばい―Christmasイルミネーション2021が灯っていました!

今日は面白かった歴史小説を紹介しておきます。「算法少女」という小説です。このタイトルは実在の和算(日本で発達していた数学)の本の題名からとられたものです。江戸で医者をしていた父と、父から和算を教えてもらった娘の合作の和算書で国立国会図書館にも所蔵されています。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3508165
この歴史小説の著者の遠藤寛子さんは小学校3年の時、お父さんが「日本にも昔むずかしい算術の本をかいた女の子がいる」という話をしてくれて、簡単にその内容も話してもらったのだそうです。その本の題名が「算法少女」だと聞いたそうで、その本のことがとても印象に残ったそうです。少年少女向けの歴史小説を書いてほしいと出版社から企画を持ち込まれたのを機に、多くの日本の和算研究者の教えをうけながら、国会図書館の本も写しをとって読んで、この少年少女向け歴史小説を書かれたそうです。一度絶版になってしまいましたが、高校などで教材に使っている先生も多く、復刊ドットコムなどでの強い復刊希望が集まったため、ついに復刊が実現し、現在はちくま学芸文庫に入っています。
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480090133/

著者の寄稿されたこの本についての文章もご覧ください。
https://www.webchikuma.jp/articles/-/714

Kindle版もあります。

自由エネルギー原理の講義を聴きました

昨日と一昨日は、東京医科歯科大学数理生物学同好会(大学院生の会だそうです)が開催してくださっているTMDU数理生物学セミナー(2022年度数理生物学セミナー)を聴講していました。
2022年度数理生物学セミナー
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/8140/
大変よいセミナーで、参加して良かったと思います。面白い講演ばかりでした。
初日の最初の講演は理化学研究所・京都大学兼任の磯村拓也先生による講義で、「自由エネルギー原理は普遍的な脳理論なのか?」というタイトルでした。講義の録画は公開予定だそうです。
自由エネルギー原理 (The Free-Energy Principle)は、イギリスのエジンバラ大学のカール・フリストン (Karl Frinston) 教授が提唱した脳理論で、生物の知覚や学習、行動は、自由エネルギーと呼ばれるコスト関数を最小化するように決まるというものです。磯村先生はFrinstonの理論を活発に発展させておられる研究者で、Frinstonとの共著論文も沢山書かれています。いくつかのわかりやすい解説もすでに発表されているので以下のリンクを参照してみてください。先生の講義を聞くと、これは単なる解釈理論ではなく、実際の培養神経細胞の回路についても実証されつつある画期的な理論であると思いました。。

1)物理学と統計学で脳を理解する
https://www.riken.jp/pr/closeup/2022/20220322_1/index.html

2)神経回路は潜在的な統計学者
-どんな神経回路も自由エネルギー原理に従っている-
https://www.riken.jp/press/2022/20220114_3/

3)YouTubeの動画もあります。自由エネルギー原理ってなに?
https://youtu.be/LU21q8BFziM

脳は量子重力を使っているのか?Sabine HossenfelderさんのYouTubeチャンネルの紹介

今日も数理生物学のセミナーを聴いていたので簡単な記事になります。

理論物理学者のSabine HossenfelderさんのYouTubeチャンネルがおすすめです。
https://www.youtube.com/@SabineHossenfelder
10月5日からは毎週Science Newsのコーナーが更新されていて最新のニュースについての彼女のコメントが聴けます。たとえば脳が量子効果を使っているという論文がでたようですが、量子重力とかが書かれている論文なので彼女がコメントしています。
https://youtu.be/GrFa4tXTQQk

こんな動画もあります。
https://youtu.be/v1wqUCATYUA

彼女は物理学の基礎を研究しているフランクフルトの研究所(the Frankfurt Institute for Advanced Studies)のresearch fellowです。科学のアウトリーチ活動にも熱心で、New ScientistやScientific Americanその他にサイエンスライターとして記事を書いたり、62万人あまりが登録している上記のYouTubeチャンネルで動画を発信したりもしておられます。
本もいろいろ書いておられるようで、最近次の本が出版されました。
Existential physics: answering life’s biggest questions – with Sabine Hossenfelder
https://geni.us/oBMXZv

The Royal Institutionのこの本に関する講演は以下からご覧ください。
https://youtu.be/fl9oDJzfg58

学部生向きの英語科学論文の書き方の手引き:ハーバード大学版その他について

今日は数理生物学のセミナーをZoomで聞いていたので簡単な記事ですみません。
英語の科学論文の書き方の手引きがあったので、紹介しておきます。英語で書いてある手引きですが参考になると思います。

Turbek, S.P., Chock, T.M., Donahue, K., Havrilla, C.A., Oliverio, A.M., Polutchko, S.K., Shoemaker, L.G. and Vimercati, L. (2016), Scientific Writing Made Easy: A Step-by-Step Guide to Undergraduate Writing in the Biological Sciences. Bull Ecol Soc Am, 97: 417-426. https://doi.org/10.1002/bes2.1258
という論文でこれは学部生向きの手引きです。https://asset-pdf.scinapse.io/prod/2529326884/2529326884.pdf からダウンロードできます。この論文の末尾に追加文献としてあげられているハーバード大学が提供している次の文献も役立ちそうです。
Morris, J., T. Jehn, C. Vaughan, E. Pantages, T. Torello, M. Bucheli, D. Lohman, and R. Jue.
2007. A student’s guide to writing in the life sciences. The President and Fellows of Harvard
University, Massachusetts.

ダウンロードはこちらから。https://writingproject.fas.harvard.edu/files/hwp/files/life_sciences.pdf

第一原理電子状態計算から入る量子力学入門のすすめ

量子力学を勉強するとき、いわゆる啓蒙書にかいてあるようなことばかりにひっかかってその先にすすめない人も多いと思います。量子力学の基礎というのは、実はとても専門的な分野で、勉強しても実務にはたいして役立たないようなものだと聞いたことがあります。それで実際の分子の計算とかをやってみて量子力学に慣れるほうが量子力学の入門者には良いと思います。このブログでもいろいろ量子力学や量子化学の入門書や入門コースを紹介していますので、検索窓に量子化学や量子力学といれて記事を検索してみてください。たとえば Mathematicaを使って量子力学を学ぶ本を以前紹介しました。https://glycostationx.org/2022/09/04/mathematica%e3%82%92%e4%bd%bf%e3%81%a3%e3%81%9f%e9%87%8f%e5%ad%90%e5%8a%9b%e5%ad%a6%e3%81%ae%e5%ad%a6%e7%bf%92%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/
また、2022/1/3の記事ではわかりやすい量子化学の解説書も紹介しています。

2022/1/3
今日は、わかりやすい量子化学計算の解説ページを紹介しておきます。元旦に紹介した「ノーコードではじめる機械学習」の著者である久我涼子さんのホームページで、pythonによるアプリケーション開発などの記事もあってきわめて参考になります。このブログの記事から生まれた本は

ゼロからわかる!! 独習 量子化学計算: 理論からはじめない新しい量子化学計算の本

というKindle本で、これは解りやすい本です(紙の本はありません)。またこちらのページには、tsujimotterさんこと辻順平さんによる、簡単な分子軌道法の入門解説記事があります。

量子力学による実際の電子状態計算をやってみるのに良い本は、「動かして理解する第一原理電子状態計算 DFTパッケージによるチュートリアル(森北出版)」という本です。
https://www.morikita.co.jp/books/mid/017031
これは良くできた本で、無料の密度汎関数法(DFT)のパッケージであるQuantum Espressoを利用して実際に計算できるように書かれています。Linux入門者でもこのパッケージが使えるように丁寧にかかれているのでLinux入門をかねて、第一原理電子状態計算を学べるおすすめの本です。この本で是非実際に計算してみて、量子力学に入門するとよいと思います。この本のタイトルにある、密度汎関数法については以下の動画に解説があります。

密度汎関数理論に基づく第一原理計算ざっくり入門(固体材料編)
https://youtu.be/9w9FXijKVv0

またWindowsでQuantum Espressoをつかってみたいという方には、学生なら無料で使えるGUIソフト(学生以外は高い値段で手がでませんが…)を使った入門動画が公開されているので参考にしてください。
https://youtu.be/g97-iX_e4Uw

英語ですがQuantum Espressoの入門動画もあります。
https://youtu.be/K2eAHGxCsEg

もうQuantum Espresso入門をすませた人むけには、今年の11月に開催されたQuantum Espressoのアドバンストコースのチュートリアルがあります。スライドと動画などはこちらから。
https://sites.google.com/view/hubbard-koopmans/program
また今回のコースの動画がまとまっているのはこちら。
https://piped.mha.fi/playlist?list=PL19kfLn4sO_-ox_Oylwi4IEb5qUp0dXfJ

この講習会の勉強用には、Quantum Mobileというvirtual machineが用意されています。
https://sites.google.com/view/hubbard-koopmans/quantum-mobile
これを使ってWindows, Mac, Linuxそれぞれ好きなOSを使ってVirtualBoxの仮想マシーン上で講習会のチュートリアル課題をやってみることができるそうです。こちらも参照してください。
https://github.com/materialscloud-org/hubbard-koopmans-2022