M87銀河中心の巨大ブラックホールの画像が機械学習で鮮明化されたそうです。

2019年に史上はじめてブラックホールの撮影に成功したというニュースは世界に衝撃を与えました(この記事末尾にある、世界同時配信された撮影成功の報告動画をご覧ください)。その時撮影された、M87銀河の中心部に存在する超巨大ブラックホールの画像が、機械学習のアルゴリズムによって鮮明化されたという論文が4月13日でました。最後の会見動画にあるようにM87のブラックホールは日本人研究者が詳しく研究してきたもので、2019年の史上初のブラックホール撮影成功を報ずる論文の著者にも多くの日本人研究者が名を連ねています。今回の論文は、あのアインシュタインが在籍していたプリンストン高等研究所の研究者も参加しており、研究所からの次のプレスリリースをご覧ください。
https://www.ias.edu/news/sharper-look-m87
機械学習の威力を示す例がまた一つ増えました。論文はOpen Accessでこちらから読めます。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/acc32d

The Image of the M87 Black Hole Reconstructed with PRIMO
Published 2023 April 13 by the American Astronomical Society.
Lia Medeiros, Dimitrios Psaltis, Tod R. Lauer, and Feryal Özel
The Astrophysical Journal Letters, Volume 947, Number 1
Lia Medeiros et al 2023 ApJL 947 L7
DOI 10.3847/2041-8213/acc32d
写真はこの論文の図1です。左端がもとの画像、真ん中が左端のオリジナル画像データを機械学習アルゴリズムPRIMOで鮮明化したもの、右端がその鮮明化画像をオリジナルデータと同じ解像度に戻したものです。今回の鮮明な画像で、ブラックホールの明るいリングの大きさや幅がより正確に決定できるので、ブラックホールの質量がより正確に推定できるようになるそうです。

2019年のブラックホール撮影の成功報告の動画(日本語)は以下にあります。https://www.youtube.com/live/sO39eoOkKDI?feature=share

電子展示「NINJA 虚像(エンタメ)と実像 (ほんもの)」を紹介します。

国立国会図書館のデジタル展示会で忍者についての展示が行われています。
https://www.ndl.go.jp/kaleido/entry/33/

これはミニ電子展示「本の万華鏡」というページで開催されているオンライン展覧会です。https://www.ndl.go.jp/kaleido/
サイトには「様々なテーマに沿って、皆さまを国立国会図書館の蔵書の世界へと誘います気軽な読み物として、また、リンクをたどって幅広い資料を知る入り口としてお楽しみください。」とあります
今回は、「第33回 NINJA 虚像(エンタメ)と実像 (ほんもの)」というテーマの展示です。世界的に知られていて学ぶ人も多い忍術。それを操る忍者とはいったいどういうものだったのでしょうか。国立国会図書館に所蔵されている小説や忍術資料へのリンクもたどれる今回の展示で、映画やドラマ、小説に出てくる忍者とほんものの忍者との違いも知ることができると思います。妖術を駆使する児雷也、石川五右衛門、服部半蔵、猿飛佐助などの載っている本へのリンクは貴重です。
大正6年に出版された「忍術の極意」という本は、個人送信資料ではなくデジタルコレクションにあるので、登録なしにだれでも読めます。https://dl.ndl.go.jp/pid/1088342
忍者が使った手裏剣についての本も読めます。昭和17年にでた藤田西湖という人の書いた本です。「忍術からスパイ戦へ」というタイトルで、これもこちらから、
https://dl.ndl.go.jp/pid/1125955/1/135
誰でも自由に読むことができます。他にも忍術の秘伝書へのリンクなどもあって楽しめる展示です。外国の人も忍者や武道について興味を持っている人が多いので話のネタにもなると思います。古澤満先生は、John Gurdonさんと夕食を食べにいったとき、宴会の定番技として有名な箸の袋で割りばしをエイやと切る技をみせたそうです。Gurdonさんが「あれは合気道の技だそうだ、He is very dangerous!」と私に話してくれました。私がケンブリッジに行ったときはちょうどKarate Kidsという映画が、Cambridgeの映画館にかかった後でみんなその映画をみたらしいです。私にビール瓶の口を手刀できってくれという人もいましたし、息子は小学校で同級生に空手をつかったとかいわれて、私が校長先生に呼び出されて無実を説明したりしたこともあります。日本人はカラテを使うと思っている人が多いみたいでした。というわけで、忍者やカラテ、武道の話題は外国では結構役立ちます。Cambridgeでは弓をやっている女性研究者も結構いました。

実験的な酵素の立体構造決定についてのわかりやすい動画と、有用な化学の動画サイトを紹介します。

化学関連の日本語のポータルサイトとしてはケムステが有名で役立つということは以前紹介しました。(今日の記事の末尾に貼り付けておきます。)
https://www.chem-station.com/

ケムステはYouTubeでケムステチャンネルを開設していていろいろ役立つ動画を配信しています。ライブ配信もよくあるのでチャンネル登録しておくとよいと思います。https://www.youtube.com/@chemstationch/playlists
今日は一例として、私もお世話になった九州大学農学部の角田佳充先生の講演動画を紹介しておきます。
【第28回Vシンポ「電子顕微鏡で分子を見る!」】での角田佳充 先生 (九大院農 教授)の「X線結晶構造解析とクライオ電子顕微鏡解析による酵素の立体構造決定」というお話です。AlphaFold2についても触れられている最新のお話ですので是非ご覧ください。講演後のオンラインの質疑応答もみられますのでおすすめです。https://youtu.be/d14U8ZmOsyQ

以前の投稿もペーストしておきます。

2022/4/2
今日は化学のポータルサイト Chem-Station (ケムステ)を紹介します。化学のニュース、ブログ、データベース、化学英語などなど、さまざまな情報が集まっていますので参考になります。YouTubeチャンネル(ケムステチャンネル)もありますのでご覧くだ

AlphaFold2の使い方入門動画(実習付き)を紹介します。

タンパク質の立体構造を予測する強力なAIシステムであるAlphaFold2についてはこのブログでもたびたびとりあげています。その使い方について実習を交えてわかりやすく解説してくれる日本語での講習会(一部英語)が去年あったようでその動画や資料が公開されていてダウンロード可能です。

2022/11/24 オンライン開催された「第7回タンパク質結晶構造解析ビームライン中級者向け講習会
という講習会です。講演および演習スライドが以下にまとめて公開されています。
https://research.kek.jp/group/pxpfug/katsudo/shiryo8.html
これはわかりやすそうで是非実習をやってみられることをお勧めします。わたしもやってみようと思っています。
以下は講演のタイトルリストです。

講演1 「構造生物学者が知るべきColabfold活用方法」伏信 進矢 (東京大学)
実習1 「構造生物学者が知るべきColabfold活用方法」小野田 浩宜 (名古屋大学)
講演2 「PDBjのツールを使って+αの構造情報を得る」栗栖 源嗣 (大阪大学)
講演3 「タンパク質のポケット・キャビティサーチを探索して結合部位を予測する」于 健 (大阪大学)
YouTubeにも動画があるはずですが、上に紹介したリンクの方がスライドと動画がまとまっていて使いやすいです。伏信先生のイントロのお話もすっきりと明快なもので是非ごらんになることをおすすめします。伏信先生が動画の中でとてもためになる読み物として紹介されている総説は以下のブログ記事でも紹介していますのでご覧ください。

日本語のAlphaFold2の総説を紹介します。

次の動画はYouTubeにある講演動画の一例です。他の動画もあるのかもしれませんが私は探していません。

https://youtu.be/zTHFXTFuNHE

機械学習の教科書決定版と言われる本の第二刷がでています。

去年の3月はじめに紹介していた機械学習の教科書の決定版と言われる本が、誤りを訂正して第二刷としてアップロードされています。以下のリンクから無料でダウンロードできますので興味のある方はダウンロードして読んでみてください。
Probabilistic Machine Learning: Advanced Topics
https://probml.github.io/pml-book/book2.html

Probabilistic Machine Learning: An Introduction
https://probml.github.io/pml-book/book1.html

著者のKevin P Murphy さんは多くの業績があるコンピュータ科学者で、カリフォルニア大学バークレー分校をでて、カナダにあるUniversity of British Columbiaのassociate professorをしていた方です。現在はGoogleで研究しておられます。
https://www.cs.ubc.ca/~murphyk/

以下には以前の記事を貼り付けておきます。

2022/3/1
ツイッターで知った(https://twitter.com/imai_eruel)のですが、機械学習の本がいくつか公開されています。前に第一巻を紹介した

Kevin P Murphyさん(Googleに籍を置いてカナダの大学で教えている方です)の有名な教科書二冊が以下のgithubのリンクからダウンロード可能です。https://probml.github.io/pml-book/Probabilistic Machine Learning: An Introduction
https://probml.github.io/pml-book/book1.htmlProbabilistic Machine Learning: Advanced Topics
https://probml.github.io/pml-book/book2.htmlまた、別にグラフニューラルネットワークやグラフの深層学習についての教科書がでています。アメリカの大学で教えておられる二人の研究者(Yao Ma and Jiliang Tang)による教科書です。生命科学系の応用についても書かれています。タンパク質分子をグラフとしてとらえて、相互作用を研究したり、薬の相互作用を示すグラフの深層学習によって、薬の副作用を調べたりする手法についてもふれられています。
Deep Learning on Graphs
https://web.njit.edu/~ym329/dlg_book/

写真は今 我が家で咲いているリンゴの花です。去年カミキリにやられて枝をすこし切り落としましたが綺麗に花が満開になっています。明日も今日と同じく夏日のようで暑い日が続きます。

発生を理論的に解析する試みの歴史と展望がわかる面白い動画をみつけました。

今日は暑い一日で福岡も夏日でした。桜もすっかり散って緑の葉が茂り、新緑が美しい一日でした。
さて、今日は発生生物学の理論の動画を紹介します。
発生現象を理論的にとらえる試みの歴史と今後を概観するのにとてもよい動画です。https://youtu.be/TGyrr20h9mw

ダーウインのEndless forms most beautifulという進化発生学のもとになった言葉の解説や、ゲーテのUrpflanzeの話、D’Arcy ThompsonのOn Growth and Formの紹介とこれらのアプローチの限界について話がすすみます。形態形成場のアイデアやWaddingtonのEpigenetic landscapeの話、そして彼の弟子のBrian GoodwinのGenerative Principlesという理論の話が面白いです。そして力学系による発生の解析の話があって、かつて一世を風靡したRene Thom(フィールズ賞受賞者)のカタストロフィーの理論の紹介もあります。このブログでも以前書いたことがありますが、私の院生のころカタストロフィーの理論が注目をあびて、岡田節人先生もイギリスで開催されたカタストロフィーの理論の研究会に参加されて、発生生物学に革命が起こるかもしれないと期待されていたそうです。京大にルネ トムが来たときには私も数学教室で行われたセミナーに参加しました。残念ながらほとんど理解不能でした。
この動画のJohannes Jaegerさんは理論生物学的に生命を解析する試みをしている人で、いろいろ論文もあるので探してみてください。彼の動画は昨日、検索していてはじめて知ったのですが、彼のYouTubeチャンネルにも面白い動画がいろいろあるようです。これから見てみようと思います。
https://www.youtube.com/@johannesjaeger757/videos

複雑系の科学でよく話題になる、カオスについて遊べるサイトを紹介します。

今日は、カオスについて遊べるサイトを紹介します。
ローレンツアトラクターというのをご存知ですか。こちらのサイトをChromeなどでひらいてみると(Firefoxではなぜか青いバタフライが飛びません)、ローレンツアトラクタをいろいろな条件で試して遊んでみることができます。
http://www.malinc.se/m/Lorenz.php

もともとはアメリカの気象学者Lorenzが大気の対流運動を記述するために研究していた連立微分方程式で以下の式です。温度差による大気の上昇・下降の流れや、地球の回転によるコリオリ力など、大気の複雑な挙動を捉えるための非線形連立微分方程式でした。
dx/dt = σ(y – x)
dy/dt = x(r – z) – y
dz/dt = xy – bz
で記述される点(x,y,z)の時間変化が解になります。σとrとbがパラメーターで、このサイトの上部にあるパラメータをスライダで変化させると、カオスのアトラクタが現れたり、消えたりします。ページを開いた時のデフォルト値はσ=10 r=28 b=2.5になっており、Small cubeボタンかLarge cubeボタンのどちらかを押してsimulationをはじめると、はじめ近くにあった青色のバタフライが時間とともに運動をはじめて、時間がたつと羽根をひらいた蝶のような形の軌道にそって運動するようになることがわかります。それぞれの青色のバタフライは、微分方程式を満たすように運動しているだけですが、この場合、周期性はまったくない運動となります。すべての解が時間がたつと羽根を広げた蝶々のような空間の領域に分布する様子がよくわかります。アトラクタというのはこういう解の点が一定の領域に集中することからついた名前です。ローレンツアトラクタがあらわれるのは、σ=10 b=3/8の場合、r>24.74の場合で、ごく近くにあった二つの点の運動を上記の連立微分方程式系で計算すると、まったく異なるカオスの振る舞いをすることになります。上のサイトでいろいろ試してみてください。
サイトのHide butterflyボタンを押した場合は、二つの点の運動の軌跡が表示されます。

また、図の上にマウスをおいてドラッグすると図形全体を回転させたりできるので、三次元空間でのローレンスアトラクタの形を詳しく観察することもできます。

カオスについては以下の英語の動画もわかりやすいのでお勧めです。

Chaos: The Science of the Butterfly Effect
https://youtu.be/fDek6cYijxI

MITの名物教授Walter Lewinさんの物理学チャンネルには、ファインマンさんの講義動画もあります。

以前 ノーベル賞を授賞した物理学者ファインマンさんの講演動画や本を紹介しました。

超有名な物理学者ファインマンんさんの動画や本の紹介です。

ほかにもファインマンさんの動画を載せているサイトがあったので紹介しておきます。
Lectures by Walter Lewin. They will make you ♥ Physics.
というYouTYubeチャンネルです。
https://www.youtube.com/@lecturesbywalterlewin.they9259/playlists
これはマサチューセッツ工科大学の教授だったWalter Lewinさん(天体物理学者)の有名な初等物理学の講義などを公開している彼の開いているチャンネルです。MITの名誉教授だったのですが、2014年にオンラインのセクハラ行為で名誉教授称号を剥脱されているようです。研究業績もあり数々の賞を授賞、講義も大好評の先生で教育でもいろいろ賞をもらっている方です。YouTubeの講義の再生回数も100万回~300万回を超えるものが沢山あります。本も邦訳されていてこちらに紹介ページがあるので興味がある方はご覧ください。https://books.bunshun.jp/sp/physics
彼は昨日も自宅から動画を配信しておられるようです。次の動画は力学の講義です。https://youtu.be/wWnfJ0-xXRE

この先生のサイトに、ファインマンさんの動画や他の先生の講義動画もいろいろ集めてくれています。ファインマンさんの動画のリンクをあげておきます。
https://youtube.com/playlist?list=PLyQSN7X0ro23NUN9RYBP5xdBYoiv2_5y2

弁理士が登場する水曜夜のテレビドラマが面白いです!

テレビで面白いドラマをやっています。日テレの4月スタート新水曜ドラマ【それってパクリじゃないですか?】です。
https://www.ntv.co.jp/sorepaku/
弁護士が登場するドラマは多いですが、弁理士が登場するドラマははじめてだそうで、弁理士の方々の間で熱狂的に支持されているようです。
https://youtu.be/BVMBHm-AD6k

いろんな弁理士の方が解説をネットに書いておられます。いろいろ面白い解説があります。たとえばこちらなどをご覧ください。
https://lowtech.xlinkpat.jp/archives/111
このドラマは、私達のような一般人が、知財をあつかうとはどんなことかというのを知るのに絶好の番組だと思います。日本弁理士会関西のトップページhttps://www.kjpaa.jp/でもこのドラマが紹介されていました。第一話を録画してあったのを今日見終わりましたが、とても面白かったです。朝ドラでおなじみの芳根京子さんの主演で、彼女は日本アカデミー賞を受賞されているだけあって、ものすごく上手い演技で感心しました。おすすめのドラマです。

ChatGPTで専門家レベルの回答をひきだすコツと留意点に関する記事を紹介します。

昨日はChatGPTに英語科学論文の英文校閲を依頼するプロンプトをつくってもらう話をしました。ChatGPTはコーパスを学習しているので英文作成や校閲にはとても役立つと思います。試しに手元の英語の冠詞の使い方に関するテキストの誤用例をいろいろ入力して訂正を依頼すると、完璧に誤用法を訂正してくれました。このように英文校閲には強力な助っ人ですが、知識に関して無知も目立ちます。私の専門の線虫の糖鎖生物学についての知識はおぼつかないものです。前に書いたように、コンドロイチンの初期発生での機能をたずねてみると、哺乳類などでコンドロイチン硫酸についてわかっていることを、あたかも線虫でも同じだと類推して、断定的に答えてきます。ChatGPTは硫酸化コンドロイチンのテキストは学習しているようで、その知識を線虫にあてはめてウソの回答をしてくるわけです。日本の糖鎖生物学者の研究で、線虫のコンドロイチンはほとんど硫酸化されていないことや、初期胚の細胞分裂にコンドロイチン合成が必須であることなどが明らかになっているのですが、ChatGPTはそれらの知識はもっていません。どちらも2019年以前に論文発表しているのですがそれらについては完全に無知です。というわけで、専門分野の知識を得るためにChatGPTを使うのは、結構危険で、十分注意する必要があります。この点について、今日、twitterでChatGPTの使い方について面白いnote記事があるのを知りました。

「 ChatGPTでstep by stepもロールプレイもやめたらプロダクト開発で使える精度になったよ」という記事です。
https://note.com/mryy/n/nd0aff5c9fc4f

私が上に書いたChatGPTがそもそも自分の専門分野の知識をちゃんともっているかをチェックしてから使わなくてはいけないという指摘も、わかりやすく解説されています。その他ChatGPTを使って、各自の専門分野で、本当に使いものになる回答を得るためのヒントと留意点が満載されている記事ですので、是非読まれることをお勧めします。

下の動画は今日、私のYouTubeのおすすめ動画にでてきた英国のRoyal Institutionの動画です。How geometry created modern physics – with Yang-Hui Heというタイトルの、Yang-Hui He教授の講演です。ユークリッド幾何学、非ユークリッド幾何学、ガウス、リーマンの業績と現代の物理学の関係をわかりやすく解説してくれています。
https://youtu.be/z8jdndd-x7w