RNA-seqのデータ解析をやってみよう!わかりやすい日本語の動画が公開されました。

昨夜から今朝にかけては福岡ではかなり激しい雨が長く降りました。暖かでまるで4月の雨のようでした。自宅の周辺では今朝はめずらしくかなり深い霧がかかっていました。春の朝という感じでした。

今日は最近公開されたTogoTVの動画 「ブラウザ上でRNA-seqデータを解析する @ AJACSオンライン14」 を紹介します。RNA-seqは現在の生物学では必須の解析技術です。実際にバルクRNA-seq解析をブラウザ上でやってみるというハンズオン講習の動画です。バルクRNA-seqは組織など多細胞をまるごとRNA-seqするという方法で、昔から行われている方法で、最近可能になってきた単一細胞のRNA-seq (シングルRNA-seq)に対する手法です。RNA-seq解析がどんなふうに行われるかを一度体験してみるのに絶好の動画だと思います。興味のある方は是非講習をやってみてください。大変わかりやすい解説動画で参考書やウエット実験の参考資料も紹介してくださっていますので、初心者にも絶対おすすめの動画です。https://youtu.be/IiHlJ2d661s

 

氷と水。水素結合の偉大さを実感させてくれるシミュレーション動画がありました。

氷と水、踊る水分子と整列する水分子の動画を紹介します。分子科学研究所のYouTubeチャンネルにある動画です。

https://www.youtube.com/playlist?list=PLFeFFDIymHoPaG7BJ_f4B-OCUOXhm5IlP
水と氷について、高校生のときに読んだポーリングの本 「分子の造型」 ではじめて氷の中での水分子の様子の絵をみたのが強く印象に残っています。この本は前に紹介したように国立国会図書館の個人送信資料で読むことができます。2022年6月29日の記事です(この記事の末尾に再録しておきます)。
Linus Pauling, Roger Hayward 著 ほか『分子の造型 : やさしい化学結合論』,丸善,1967. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1382524 (参照 2023-01-13)

氷をどのように水分子が形成しているかという絵はこちらにあります。41番目の項目です。(個人送信資料が読めるように登録していないとみられません。登録してからログインしてからみてください。)
https://dl.ndl.go.jp/pid/1382524/1/49

原著を見たい人は、はInternet Archiveで貸出してもらうこともできます。
https://archive.org/details/architectureofmo00paul/mode/2up

昔はこうした絵でしか見られなかった氷の中の水分子の様子ですが、今では分子動力学の計算などで動画で氷の出来る様子、融ける様子などのシミュレーションをじっくり見ることができます。
以下の分子研の動画を是非ご覧ください。水素結合についての興味がかきたてられますね!
水が氷になるまで https://youtu.be/8eXdXHP5dk8

氷が融解して液体の水になるまで
https://youtu.be/5mPL6BgIohk

https://youtu.be/pYoZ3Cy0fmw
以下は以前のブログ記事の再録です。
2022/6/29
国立国会図書館の個人送信資料にはポーリングの本もあります。 ポーリング(Linus Pauling)はノーベル化学賞と平和賞をダブル受賞したアメリカの偉大な科学者です。2つのノーベル賞を授賞した科学者は何人かいますが、それぞれの賞を単独で2つ受賞したのはポーリングだけだそうです。詳しくはホームの記事をご覧ください。ここではリンクのみあげておきます。以前の記事で彼の実験ノートを紹介したことがあります。奥さんとの愛情を示す奥さんによるほほえましい書き込みI love youが残っている実験ノートです。 PaulingについてはPauling onlineというサイトがあって、http://scarc.library.oregonstate.edu/coll/pauling/index.html 彼の実験ノートや写真、Pauling本人の講演ビデオや関連ビデオや資料が網羅的に集められていますので是非訪れてみてください。面白いことうけあいです。 http://scarc.library.oregonstate.edu/digitalresources/pauling/ http://scarc.library.oregonstate.edu/coll/pauling/bond/index.html 平和運動についてもまとめてあって、現在おきている、第三次世界大戦が勃発するかもしれないような行動をとっている愚かな国々の行動を止めさせるためのヒントにもなると思います。http://scarc.library.oregonstate.edu/coll/pauling/peace/index.html 個人送信資料にはポーリングの翻訳書がいくつもありますのでご覧ください。 私が高校、大学生の時に読んでいたポーリングの化学の教科書や、高校生の時に読んでいた化学の絵本「分子の造型―やさしい化学結合論」もみつけました。 ワトソンとクリックが読んでいた化学結合論第二版はこちら。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2440315
Paulingの大学用教科書College chemistryの翻訳書はこちら。われらが科学 化学Iと化学IIという二分冊で翻訳されたものです。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2421549  https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2421550
分子の造型という絵本はこちらです。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1382524

LinuxでWindows OSを使う方法 (1)

今までWindows OSにVirtualbox https://www.virtualbox.org/を入れて、Linuxを利用してきました (Linux Mint https://linuxmint.com/を使っています)。最近のPCは性能が上がって来たので逆に、UbuntuのパソコンにVirtualboxをインストールして、VirutualboxにWindows OSをインストールすることも試みてみました。WindowsのOSをインストールするにはOSを購入して与えられるプロダクトキーが必要です。従ってWindowsにUbuntuやLinux Mintをインストールするように気軽に無料でインストールできるわけではありません。しかしプロダクトキーさえもっていれば、Ubuntu LTS 22.04の入っているPCにVirtualboxの最新版をインストールして、Windows OSをインストールするのは極めて簡単でした。最新版のVirutualboxにWinodws OSのインストールディスクのISOファイルのありかを指定してやると、自動でOS がWindowsであると認識してくれ、This OS type can be installed unattendedly. The install will start after this wizard is closed.と表示されます。自動インストールができるという意味のメッセージです。次に進むと、プロダクトキーを入力する部分があるので、そこにプロダクトキーをいれてパスワードなども設定して次にすすむだけで、後はなにも入力することもなく、完全自動でISOディスクファイルを使ってWindows OSが動く仮想ディスクを作ってくれるのです。これはものすごく便利です。最近のPCは高性能ですから、Ubuntuのもとで仮想ディスク上のWindowsを動かしてもWindowsがストレスなく利用できることがわかりました。こうしておけば、UbuntuマシーンでWindowsの各種ソフトも使えます。Linuxでしか使えない様々な科学技術系ソフトその他のソフトを利用することもできるので、とても具合がよさそうです。もちろんWindows 11や10の入っているPCでUbuntuを動かすこともできるのですが、私の場合はWindows PCのスペックがUbuntuマシンより低いので、UbuntuでVirtualboxでWindowsを使う方がよさそうです。Windows固有のOfficeなどのソフトをVirutalbox上のWindows内で使い、RやPythonやMathematicaやMD計算ソフトなどはUbuntuで使う方が高性能のPCが安く手に入るのでおすすめです。Virtualboxの詳しい使い方などは順次このブログで紹介していきます。Linuxが主で、Windowsが従というPCがこれからのおすすめになるような気がしています。

最新の著作権についての解説本が公開されています。

著作権といえば、CC by 4.0などと書いてある本をよくみかけます。これはどういう意味なのでしょうか。
著作権についてのわかりやすい本には、学生さんが読むのに最適な本として、

正しいコピペのすすめ―模倣,創造,著作権と私たち
宮武 久佳 著 (岩波ジュニア新書)2017年発行があります。これはAmazon のKindle unlimitedに入っているので会員の方は無料で読めます。
高校生や大学生、そして社会人が楽しんで読むうちに、著作権についての考え方の基本が興味深く理解できる絶好の入門書です。ただ著作権法は2021年にも改訂されているので最新の本が欲しいところでした。

ちょうどCC BY 4.0を宣言している本で、著作権についての最新の解説本がでていたので紹介しておきます。この本をご覧になればこの意味がよくわかります。

「すごくわかる 著作権と授業」という先生向けと書かれている本です。こちらのページからダウンロードして読んでください。
https://axies.jp/report/copyright_education/
大学ICT推進協議会(AXIES)という全国の大学を会員とする組織が作った本です。この本は授業を担当する先生だけでなく、学生も読んで得るところが多い本だと思います。学生向けの動画も順次公開されるそうですので、サイトを時々チェックしてみてください。

私も授業での著作権の扱いについては講習会を受講したことがありますが、著作権法の改正もあったのでもう一度読んでみることにしています。

上にあるCC BY 4.0というのはこちらにも解説がありますのでご覧ください。https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja

高校の情報の教科書のまちがいについての記事をよみました。

Qiitaをみていたら高校の「情報」という科目の教科書(教科書の見本を最初は使ったそうです)のまちがった記述をならべた記事があることを知りました。

個人情報とかデジタル署名やSSL、あるいは変数とかインタプリタ型言語などなどについて、自分が誤解していたところがあるのがよくわかりました。

「やはり俺の情報教科書はまちがっている。」という本日づけの記事です。皆さんもご覧になることをお勧めします。

https://qiita.com/nodai2h_ITC/items/6c7b7ad029adf17da5f0

生物学はナノテクノロジーをどう変えるか?第一世代のナノマシーン?

ナノテクノロジーの古典に、エリック・ドレックスラーの書いた「創造する機械」という本があります。

https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=410389016

テレビのSF番組のスタートレックでも、この本の影響でしょうか。敵役のボーグがナノマシーンの集合体でうごいており、ナノプローブを相手に注入して同化するという設定に変わったようです。昔の映画「ミクロの決死圏」で描かれた潜水艇のようなものもつくれるのではないか、それで映画のように脳出血の場所にいって血栓を焼き切って治療できるかもなどという話もでて当時は大いに盛り上がり、話題になったものでした。まだ読んでおられない方はこの本、一読をおすすめします。Internet Archiveでも借りることができます。https://archive.org/search.php?query=creator%3A%22Drexler%2C+K.+Eric%22

https://archive.org/details/enginesofcreatio0000drex

私も当時、高校の先生向けの講演会で話させてもらった時、今後のナノテクノロジーはまず生きている細胞を人工的に改変して体内にいれてそとからあやつって治療につかったりするという方向で大発展をとげるだろうと予測しました。たとえばマクロファージとかいろいろなリンパ球を改変することは可能ですから、体内で動き回れるこうした細胞を人工的に改変して利用するのが、第一世代のナノマシーンとなるのではないかと予想したわけです。これらは患者さんの細胞からつくりだすので、異物としては認識されないわけで、免疫回避しながら細胞で体を修理するとか、薬剤を運ぶとかを目指すのがもっとも簡単で効率的なナノテクノロジーの進歩の道筋だと考えたわけです。iPS細胞の技術やゲノム編集技術の発達、そして人工生命の作成成功など合成生物学の進歩で、この可能性はますます高くなってきていると思います。マイコプラズマとかを改変してナノマシーンとして利用する実験はすでに成功しており、やっと人工改変細胞での治療が可能になる時代が来たようです。Drexlerさんはまた別のラインのナノテクノロジーを考えておられるようで、去年の講演ではタンパク質設計の話なども交えて展望を騙っておられたようです。
以下のYouTubeビデオをご覧ください。https://youtu.be/HjgjtAk-lws

ChatGPTというのがはやっているようです。

AIでいろいろな質問や指示に答えてくれるChatGPTというのがいま流行っているそうです。私は使ったことがないのですが、英語でいろいろ質問や指示をあたえるとそれに答えてくれるようです。たとえば英文を入力して、入力した文章を校正してくれと指示すると文法チェックなどもしてくれるそうです。ただし未公開の文を入力すると、その文が記憶されてAIに利用されて公開されてしまうリスクもあるので、未公開の論文とかをいれるのはやめた方がよいそうです。学会のアブストラクトをChatGPTに書かせる人も増えたようで、AIで科学論文を書くことを禁止する学会もでてきたそうです。
https://gigazine.net/news/20230106-chatgpt-ai-writing-tool-banned/

ChatGPTに、こんなテーマについてブログを書いてくれとか、本を書いてくれとかいう要求を入れている人もいるそうです。Chromeの機能拡張もあるそうで、このAIシステムにどの様な使いかたがあるかというのは、たとえば以下のサイトをご覧ください。twitterとかでいろいろ使い方を公開している人がいるのですが、twitterから集めた使用例とかも豊富にのっています。ChatGPTの解説とかもありますので覗いてみてください。https://enchanting-trader-463.notion.site/Best-ChatGPT-Resources-101-94a7c6dbabcc4febbfb498c555d6ef5f

1月7日は ほんげんぎょう の朝でした。

今朝はひさしぶりに ほんげんぎょう を見にでかけました。朝6時半点火が二か所、午前8時点火と午前9時点火の合計4カ所での実施です。私達は6時半点火と8時点火を見に行きました。夜半には激しい雨が降ったので心配していましたが、点火時刻前には止んで、濡れることもなく現地に到着しました。火を扱う行事なので消防団の消防車もやってきて近くで皆さんそばで、待機してくださっていました。しだいに夜があけてきて、左の写真のころには、空にまんまるの月がかかっているのが、雲の間から見えていました。火の粉をあびるとよいことがあるそうです。

今日のリンクは面白いSFの読めるサイトの紹介です。
「毎月27日は仏壇の日! 八島游舷の創元SF短編賞受賞作「天駆せよ法勝寺」を期間限定無料公開」と題された、Web東京創元社マガジンのサイトです。サイトから「てんくせよ ほっしょうじ」という短編SFがいまのところ無料でよめます。いつまで限定公開しているのかはわかりませんのでお早めにお読みください。

http://www.webmysteries.jp/archives/30623071.html

佛理学という言葉をはじめて知りました。お寺が宇宙船になって宇宙を飛ぶというお話で、面白いですよ。著者の八島游舷さんのサイト
https://yashimayugen.com/
にはこの作品で使われている用語を開設した用語集
https://yashimayugen.com/works/related-info/hosshoji-glossary/
やIME用の変換辞書
https://yashimayugen.com/wor/related-info/buddhic-terms-dictionary/
なども用意されていて のりのりのサイトです。
「応信せよ尊勝寺」https://www.amazon.co.jp/dp/B0BFQ6NRL7/というこの短編の前日譚も刊行されており、長編版も執筆中とのことで楽しみです。

Rの基本骨格(Basic R)を学ぼうという趣旨の無料公開の教科書(英語版)を紹介します。

さきほど「独学大全」という本が期間限定で全文無料公開中だそうです。という記事を書いたのですが、全文無料では読めませんでした!有料会員登録したら全文読めるという話でした。私の誤解で、記事をみていただいた方には申し訳ありませんでした。他の記事に差し替えます。
Rは強力な無料のプログラミング言語で、統計解析だけではなくゲノム解析その他さまざまな分野で利用されているソフトです。最近ではデータの読み込みと前処理にtidyverseなどが使われていて勉強されている方も多いと思います。今回紹介する教科書Deep R Programmingは、こうした後発のパッケージ群が10年たっても同じように存在しているだろうかという発想で書かれた本です。今使い方を学んでいるパッケージが10年後にも同じように使えるでしょうか?たしかに後発のパッケージは、改良改変が加えられて栄枯盛衰を経験する可能性が高いと思われます。それに対する対策として、Rというプログラミング言語の基本骨格の部分をしっかり利用できるように実力をつけておけば、Unixと同じように何十年たっても学んだことが使えなくなるということがない、本当のさびつかない実力が養えると著者は考えているようです。Rの開発にも関与している有名な著者による本ですので、プログラミング言語として「R使い」になりたい方には最適の教科書だと思います。一度ダウンロードして読んでみてください。気に入るかもしれません。リンクは以下の通りです。https://deepr.gagolewski.com/index.html

同じ著者による機械学習の入門書(データ処理の観点からの入門書)Minimalist Data Wrangling with Pythonもありますのでこちらもおすすめします。

https://datawranglingpy.gagolewski.com/

 

AIは物理学にどう寄与するのか?AIがデータから人の思索を介さずに基本法則を発見する時代がくるのでしょうか?

東京大学の 次世代知能科学研究センター(UT AICenter)主催の 第11回連続シンポジウム「共進化する物理学と人工知能の現在」 の動画
https://youtu.be/Zikx09oV9Pw
が公開されています。
これは物理学に人工知能を応用するという新分野のよい紹介になっています。

YouTubeのUT AICenterのチャンネル
https://www.youtube.com/@utaicenter1332
には他にもシンポジュウムの動画がありますのでご覧ください。

上の動画のYouTubeのページによると、以下のような内容でシンポジュウムが進行しています。

00:00 ご挨拶・趣旨説明
02:25 樺島祥介(東京大学大学院理学系研究科)「物理とAI〜これまでとこれから〜」
15:42 大槻東巳(上智大学理工学部機能創造理工学科)「深層学習による波動関数の解析と生成」
38:05 小林研介(東京大学大学院理学系研究科​​)「量子テクノロジーと機械学習」
1:01:32 村尾美緒(東京大学大学院理学系研究科)「量子系をプログラミングする」
1:21:00 橋本幸士(京都大学大学院理学研究科)「深層学習と重力時空」
1:40:50 パネルディスカッション「共進化する物理学と人工知能の現在」

最後のパネルディスカッションには脳,カオス,複雑系、ゲノムなどに関連した数理的基礎問題を研究されている東大の合原一幸先生も参加されていて面白かったです。最初の趣旨説明の部分でAIの定義やそれがどう物理学に関わるかを、プランクの量子の発見やティコブラーエのデータからのケプラーの法則、ニュートン力学の形成などを例にとってわかりやすく解説してくださっています。その後の各講演の内容は専門的で、細部の理解はとうてい無理ですが、AIが物理学に応用されている現場の様子を垣間見ることができると思います。興味のある方は是非ご覧ください。
ただ一つお願いは、動画のバックに音楽を流すのは止めてほしいです。