ChatGPTに自然言語で文献検索を依頼するときの注意点(その1)

前2回の記事で、Europe PMCやPubMedを検索式を作って検索する方法を紹介しました。最近では生成AI の文献検索を依頼する方も多いと思います。ChatGPTに自然言語で文献検索を依頼するときに、ハルシネーションを少なくして検索結果を得る方法を尋ねてみたのでその結果の一部を引用します。


自然言語検索(ChatGPTなどLLMに依頼する検索)と検索式検索を組み合わせる方法が便利です:

2026年現在、研究者にとって最も便利な文献検索法はこの両者を組み合わせる方法です。例ではPubMedとしていますが、Europe PMCでも同じです。

例えば研究者はChatGPTに、

C. elegansのchondroitinについての文献を検索したい。
概念を分解し、PubMedのMeSHとTitle/Abstract語を使った感度の高い検索式を作ってください。
CSなどの表記も考慮してください。

と依頼します。AIが検索式を作ってくれるので、それをPubMedで実際に実行します。得られた結果のSearch Detailsを確認して、既知の重要論文が検索結果に入っているかを見ます。うまく検索できていない場合は、検索式を修正します(LLMに修正を依頼しても自分で修正してもOKです)。この方法なら、検索式を一から人間だけで作る必要はなく、しかも最終的な検索はPubMedで実行されるため再現性があることになります。


ChatGPTに文献探索を依頼するときの推奨プロンプトの例:

2026年現在なら、単に「○○について論文を探して。」とするより、次のように依頼する方がハルシネーションが少なく安全です。

○○について文献を調査してください。

PubMed、Europe PMC、および出版社の原論文ページを
実際に検索してください。

モデル内部の知識だけから文献を挙げないでください。

各論文について、
・タイトル
・著者
・雑誌
・発表年
・PMID
・DOI
を可能な範囲で確認してください。

存在を確認できない文献はリストに含めないでください。

最後に、
・使用した検索語
・可能ならPubMed検索式
・検索したデータベース
・検索日
を示してください。

このプロンプトの最大の意味は、生成ではなくretrievalを要求することです。文献の外部からの取得を依頼しない場合、ChatGPTやGeminiなどの生成AIは、内部情報から文献リストを作るので、架空の文献がでてくるハルシネーションが避けられません。必ずプロンプトで、文献の外部からの取得を依頼することが必要です。


網羅性が必要な場合のプロンプトは少し違います:

例えば、「C. elegans の innate immunityに関する主要論文を教えてください。」ならChatGPT SearchやDeep Researchで十分な場合が多いです。(innate immunityは自然免疫のことです。)

しかし、「2000~2026年に発表されたC. elegans の innate immunity研究を可能な限り漏れなく収集したい。」となると方法を変える必要があります。この場合はAIに直接「論文を全部探せ」と依頼するより、

「このテーマをPubMedで高感度に検索するための概念群と同義語を列挙し、MeSHとTitle/Abstract語を組み合わせた検索式を作ってください。」

と依頼するほうがよいです。そして完成した式をPubMedまたはEurope PMCで実行します。つまり、

AIに論文を探させるのではなく、AIに検索戦略を設計させる
という方針がよいということです。

この違いはかなり重要です。(以下、明日に続く)