免疫系の細胞をマイクロマシーンに改造しての癌治療、人工的にオーガナイザー細胞の集団を作成して自在に組織・器官分化を操る!

去年のブログ記事で、ナノテクノロジーについて書きました。その中で、生きている細胞を改造して思い通りの動きをさせるようにするのがもっとも簡単にナノテクノロジーでマイクロマシンを作る方法だと指摘しました。これが第一世代のナノマシーン(マイクロマシーン)という位置づけになると考えます(ブログの記事は文末にリンクをペーストしておきます)。今年の3月14日にNIHでの講演で、実際に免疫細胞や細胞を人工的に改変してこうしたマイクロマシンをつくっている先生の仕事を知りました。Wendell Lim先生(UCSF教授・Cell Design Institute所長)で彼のホームページが動画をみるのに参考になりますので動画と合わせてご覧ください。https://limlab.ucsf.edu/

Generative Biology: Learning to Program Cellular Machines https://videocast.nih.gov/watch=52291

免疫細胞を改変して、脳内のグリオーマ(グリア細胞の癌、神経膠腫)という腫瘍を攻撃して消滅させる実験、細胞をオーガナイザー細胞に改変して体内で組織構築や幹細胞ニッチなどを作る実験など、細胞をマイクロマシンに改変する基礎技術はすでに確立されつつあるようです。まだ全部は見ていないのですが、この動画は必見です。私の分子発生学の講義を聞いた方は、それ以降の発展をこの動画で知ることができます。Notchとかなじみの遺伝子がでてきますし、どのように細胞の転写ネットワークを制御して思い通りに作動するように改変するかという戦略も詳しく説明されています。癌細胞を特異的に認識して攻撃するように免疫細胞を改変して治療に使う、その戦略がとても参考になります。

Wendell Lim先生はCellやScienceにいっぱい論文を書いている有名な先生です。Jennifer A. Doudnaさんとの共著もあります。
https://limlab.ucsf.edu/papers.html
以下の論文はCRISPRを使って遺伝子の転写を制御するという画期的な論文です。

CRISPR-mediated modular RNA-guided regulation of transcription in eukaryotes
Gilbert LA, Larson MH, Morsut L, Liu Z, Brar GA, Torres SE, Stern-Ginossar N, Brandman O, Whitehead EH, Doudna JA, Lim WA, Weissman JS, Qi LS.
Cell. 2013
Repurposing CRISPR as an RNA-guided platform for sequence-specific control of gene expression
Qi LS, Larson MH, Gilbert LA, Doudna JA, Weissman JS, Arkin AP, Lim WA.
Cell. 2013

ノーベル賞を受賞したJennifer A. Doudnaさんも来月、NIHで講演するそうで楽しみです。https://videocast.nih.gov/watch=54303

生物学はナノテクノロジーをどう変えるか?第一世代のナノマシーン?

最後に論文作成に際してのAI利用についての講演も五月にあるそうです。Holden Thorp先生(雑誌Scienceのeditor-in-chief )による講演で、スケジュールに入れておくとよいと思います。
https://videocast.nih.gov/watch=54049