感染症数理モデルの基礎といわれるSIRモデルをソフトウエアを使って理解してみましょう。

先日の数理生物学セミナーの二日目には、京都大学の小林鉄郎先生による 「感染症数理モデル入門 ~新型コロナウイルス感染症(COIVD-19)を例に~」という講演がありました。最初から最後まで、とてもわかりやすい講演で、感染モデルのSIRモデルの解説もわかりやすかったです。SIRモデルの予測を目で見るためのモデルソフトウエアとして、Berkeley Madonna を使っておられました。
https://berkeley-madonna.myshopify.com/
このソフトは初めて知ったのですが、微分方程式や差分方程式を数値的にとけるソフトウエアで、モデルをフローチャートで表して簡単に作成して微分方程式などを数値的にとけるソフトです。無料版と有料版があり無料版はデータの保存その他の制限がありますが、だいたいの用途には無料版でいいのではないでしょうか。Windows7をまだ使っている方が
インストール後ソフトを起動するには、インストール先のBerkeley Madonnaフォルダにあるバッチファイル、 BerkeleyMadonna.batをクリックする必要があります。その他のOSでは実行ファイルから起動できます。

SIRモデルは、感染症数理モデルの基本モデルです。1927年にでたモデルだそうです。このモデルを元に様々な改良型モデルが実際の感染対策に利用されています。たとえばHethcote, Herbert. (2000). The Mathematics of Infectious Diseases.SIAM review, 42. 599-653(クリックするとpdfがみられます)をご覧ください。

SIRモデルの予測を実際行うには連立の常微分方程式を解くことになります。Mathematicaでも解析できますが、小林先生が講演で利用されていたBerkeley Maonnaで簡単に解析することもできます。やり方はこちらなどにでています。https://www.cs.appstate.edu/~rt/VCTWorkshop/2006/BerkMad_intro.pdf

Berkeley Maonnaは昔からあるモデル作成ソフトのStellaをもとに作られたソフトのようです。Stellaもまだあるようですが(ISEEという名前です)、どちらも有料ソフトです。結構な値段がします。無料のソフトで解析したいと言う場合は、フローチャートで解析する機能はないのですが、解析能力はこれらをしのいでいるソフトXPPAUTを使うのもよさそうです。
http://www.math.pitt.edu/~bard/xpp/xpp.html

Mathematicaでの解析法はこちらにあります。https://youtu.be/-kI9J0k8pYA
丸山先生の丁寧でわかりやすい説明です。YouTubeのページからMathematicaのnotebookもダウンロードできます。以前書いたように無料利用できるversionを利用すれば、無料で解析することができます。