SF小説 つばき時跳び の紹介など

今日は肩の凝らない話です。タイムトラベルもののSFを紹介します。以前AmazonのKindle Unlimitedに梶尾真治さんの「つばき時跳び」という小説が入っていたので読みました。作者は「黄泉がえり」(映画化されて竹内結子さんと草彅剛さん主演でよい映画でした)も書かれていて短編、長編小説の名手です。「つばき時跳び」は、熊本在住の作者の以前暮していた自宅(熊本地震で壊れてしまったそうです)を舞台に、そこで暮すかけだしの作家が若い女性の幽霊?と出会い、それが家に知らないうちに設置されていた装置によって引き起こされた時間跳躍によるものだと気付くことから始まります。最初は江戸時代に熊本のこの家で暮らしていた女性(つばきという名前だとわかります)が現代にやってきて、作者と交流してテレビや自動車、電車などに驚く話から始まり、つばきさんが突然消えた後、作者は屋根裏の見知らぬ装置をいじってなんとかもう一度つばきさんと会おうと試みます。装置をいじったせいで、逆に自分が江戸時代へと跳躍してしまいます。江戸時代での探索の結果、この装置はタイムトラベラーによって設置されていたと判明し‥‥。というような話です。梶尾さんの作品はハッピーエンドですので安心して楽しめる作品です。文庫本にもなっていますのでお読みになることをおすすめします。この作品は、ラジオドラマになってNHKで放送されていましたし、舞台での上演も行われています。また映画化も大林 宣彦監督が予定していましたが、惜しくもなくなられたので別の監督さんによって映画化される予定とのことです。
梶尾さんのタイムトラベルものの小説では、「クロノス・ジョウンターの伝説」が有名です。これは2019年に映画化されているようですね。この本の第3話「鈴谷樹里の軌跡」が特に面白かったです。子供の時に出会った難病の青年を救いたいと、開発されたばかりの特効薬をもってタイムトラベルする女性医師の話です。一読をお勧めします。また「クロノス・ジョウンターの黎明」という新刊も面白そうです。

Machine Learning for Drug Discoveryという講演がありました―NIH Videocast

機械学習を使ってコンピュータで新たな抗生物質を設計するといった講演が聴けます。

現在 機械学習はAlphaFold2の威力でわかるように生命科学の発展に絶大な貢献をしています。今回紹介するNIH Videocastの講演は、以下のタイトルで行われた若い科学者による講演です。
Artificial Intelligence Approaches for Antibiotic Discovery​​

Headshot of Speaker, Dr. César de la Fuente
​César de la Fuente, Ph.D. Credit: Martí E. Berenguer.

​César de la Fuente, Ph.D.による若手科学者による講演です。

薬剤耐性菌をやっつける新しい抗生物質や抗菌剤を、耐性菌の膜に相互作用する物質を選び出すようにプログラムしたコンピュータで見つけて、耐性菌をin vitroやモデル動物内で殺すことに成功したというお話です。さらにヒトのプロテオームに含まれる数千もの抗生物質候補をコンピュータで発見したり、自然界の毒素を改変して新しい抗菌剤を開発しているという話も聴けます。斬新なアプローチなので若い科学者の方々にも刺激になる講演だと思います。是非聴いてみてください。

 

 


https://videocast.nih.gov/watch=45918


Linuxのコマンドラインの活用に役立つ本を2冊紹介します

Linuxのコマンドラインの活用法についての無料本を紹介します。
http://linuxcommand.org/index.php
にある本です。このサイトにはLearning the Shellと題するわかりやすいshellの解説記事もあります。
http://linuxcommand.org/lc3_learning_the_shell.php

現在のコンピュータはマウスとポインタで動かすのが普通です。著者は、それはコンピュータを電気ではなくて、手押しポンプで動かしているようなものだと言います。今のコンピュータは性能がものすごく向上して、小さいおもちゃのような$35 のRaspberry Piマシンが、1990年初頭の$30,000もした Unixワークステーションに匹敵する性能を持っています。電気で動くこうしたコンピュータの性能を存分に発揮して活用するにはコマンドラインが一番というわけです。その手引きとなる入門記事が英語ですが、いろいろhttp://linuxcommand.org/index.php このリンクのサイドメニューにあるのでご覧ください。

無料のコマンドライン本はこちらにリンクがのっています。
http://linuxcommand.org/tlcl.php
このページからは以下の二冊の本が無料ダウンロードできます。
The Linux Command Line by William Shotts
これはLinuxのコマンドラインについて詳しく書かれた本です。
この本の続きというか補完本のような本もダウンロードできます。
Adventures with the Linux Command Line by William Shotts

私もこの二冊をダウンロードして、手元において随時参照してみることにします。

「Rで塩基配列解析」 (東大 門田幸二先生のサイト)を紹介します

東京大学の門田幸二先生のweb pageにはRで塩基配列解析をするための詳細かつ丁寧、わかりやすい資料が満載です。たとえばRとRStudioのインストール方法や使い方が最初から一歩一歩丁寧に解説されています(スライドやpdfがダウンロードできます)。Rで塩基配列解析をしてみようと思う方には必須のサイトですので是非ご覧ください。先生のこのページ
https://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_seq.html
のトップのほうにあるリンクではRやRStudioおよび必要なパッケージの初心者用インストールの手引きがダウンロードできます。
https://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/R_install_win.pdf
Mac用の手引きももちろんあります。これでR、RStudio、必要なパッケージなどをインストールできたら次は「基本的な利用法」
https://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_seq.html#users_guide
にある資料でRStudioを使っていきましょう。最高の手引きだと思います。
これが終わったらあとは、塩基配列解析の手引きがはじまります。一歩一歩着実にわかりやすい手引きにしたがってRの塩基配列解析法を学んでいきましょう。先生が書かれた日本乳酸菌学会誌に書かれた記事もダウンロードして読めます。
次にあげる、門田先生のラボのホームページ(いろいろな有用な情報がのっているので是非ご覧ください。)
https://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/index.html
にのっている、第16-18回の記事へのリンクを下にのせておきます。
https://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/kadota/JSLAB_16_kadota.pdf
https://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/kadota/JSLAB_17_kadota.pdf
https://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/JSLAB_18_kadota.pdf

蜘蛛の形のしっぽで鳥をおびき寄せて食べるヘビの話です

今日も生物関係の動画を紹介します。
Iranian spider-tailed viper tricks birdという動画です。
https://youtu.be/XFjoqyVRmOU

この動画のヘビは、イランに生息しており、尾の部分に蜘蛛と見まがう構造を持つものです。鳥は蜘蛛を餌にして、ヘビは鳥を餌にするという関係があります。ヘビは尾を蜘蛛とそっくりな動きで動かして、鳥は蜘蛛がいると思って食べに来たところをヘビの餌になるというわけです。尾は蜘蛛の形と動きをするルアーになっているわけです。
恐ろしい動画ですね。進化生物学の観点からこんな生物がどうしてできたのかと思いますよね。これについての解説が書いてある本があるそうで、「Dancing Cockatoos and the Dead Man Test」というタイトルです。Marlene ZukというHamiltonさんとの共同研究でも有名な、ミネソタ大学の行動生態学、進化生物学などを研究している先生(女性)による本です。
この本と蛇の動画は、「shorebird 進化心理学中心の書評など」という有名ブログで知りました。進化や哲学に興味のある方にお勧めのブログです。
https://shorebird.hatenablog.com/entry/2022/09/13/110957
この動画がのっているSciNewsのYouTube チャンネルには他にも面白い
動画がいろいろあります。
https://www.youtube.com/c/ScinewsRoPlus/playlists

日本語版「疫学のための R ハンドブック」がでたそうです!

秋が深まってきて、シュウメイギク(秋明菊)の花が咲き始めました。ソライロアサガオはまだ毎日沢山花を咲かせていますが、そろそろ種もできはじめたようです。
8月21日のブログに「Rによる疫学解析のためのハンドブックがあるそうです。」という記事を書きました。
https://glycostationx.org/2022/08/21/4362/
英語版の紹介でしたが、めでたく日本語版「疫学のための R
ハンドブック」がでたそうです。無料で本格的な解析方法が学べます。これはおすすめです。オンライン版はこちらから読めます。https://epirhandbook.com/jp/

ただオフライン版のリンクは英語版のhtmlファイルになっているようです。

タコが隠れている動画です―頭足類の体色変化の講義も聴けます。

これは凄い動画です。カモフラージュしているタコが最初はまったくどこにいるのかわかりません。
後半で逆再生しているのをみると、体色を巧みに変化させているタコの凄さがわかります。ウッヅホール臨海研究所のHanlonさんの動画です。次のiBiologyの講義では詳しい解説を聴けます。
Roger Hanlon (MBL) Part 1: Camouflage and Signaling in Cephalopods

https://www.ibiology.org/ecology/cephalopods/
タコなどの頭足動物の体色変化についての講義ビデオです。part 3まであります。
最初のYouTubeの動画の解説もありますので聴いてみてください。

「長い長いお医者さんの話」を読んでいます。

Amazon のKindle Unlimitedを3か月99円というプランで利用しています。以前は科学関係の本が少ないという記事を書きましたが、現在は少しづつ改善されているようです。今までは岩波書店の本があまり入っていなかったのですが、昨日百冊以上の本がKindle Unlimitedで読めるようになっているのを知りました。表題の「長い長いお医者さんの話」は、私が子供の時に読んだ童話集です。カレル・チャペックというチェコの劇作家、小説家の作品です。懐かしいので今読んでいます。チャペックはロボットという言葉を発明した人物です。SFの古典といわれる「ロボット-R.U.R」や「山椒魚戦争」も書いていてどちらもKidle unlimitedで読めます。岩波書店の本として新しくKindle unlimitedに入った本をいくつか紹介します。
「御冗談でしょう、ファインマンさん」 ファインマン(岩波現代文庫)上、下巻
「学びとは何か」今井むつみ(岩波新書)
「英語独習法」今井むつみ(岩波新書)
「実践 自分で調べる技術」宮内泰介・上田昌文(岩波新書)
「ゲーム理論入門の入門」鎌田雄一郎 (岩波新書)
「深層学習の原理に迫る 数学の挑戦」今泉 允聡 (岩波科学ライブラリー)
「驚異の量子コンピュータ」藤井 啓祐 (岩波科学ライブラリー)
「脳の大統一理論 自由エネルギー原理とはなにか」 乾 敏郎、阪口 豊 (岩波科学ライブラリー)
「科学者の卵たちに贈る言葉-江上不二夫が伝えたかったこと」笠井 献一 (岩波科学ライブラリー)
「五輪書」 宮本武蔵(渡辺一郎校注)(岩波文庫)
「茶の本」岡倉覚三(村岡博訳) (岩波文庫)
そのほか、エンデの「モモ」とか梅棹 忠夫の「知的生産の技術」とかも入っています。これだけの本が無料で読めるので一か月1000円以下の利用料金は安いと思います。今井むつみ先生の「英語独習法」は、以前このブログでお勧めした本です。最後の本は、中学生の時、担任の先生が卒業祝いの餞別に皆にくださった本の一冊です。私は「みずうみを頂きました。

ノーベル財団の血液型判定ゲームで遊んでみましょう!

ノーベル賞の発表が続いています。今日は文学賞でしたね。
nobelprize.orgのページをみていると、下のほうに血液型ゲームというのがあるのに気づきました。
ABO式血液型とRh式血液型についてゲームで学べるというものです。ベッドに患者が横たわっていて、輸血が必要。血液型を判定して輸血するというゲームです。血液型についての知識も別途まとめられているので、それを読んでからプレイすることもできます。皆さんは基本的知識をお持ちですから、いきなりプレイをはじめてもOKでしょう。

ほかにもいろんなゲームがあるのがわかりました。
Educational games というページにまとめられています。興味のあるもので遊んでみるとよいでしょう。
https://educationalgames.nobelprize.org/educational/index.php
Blood Typing
Pavlov’s Dog
Control of the Cell Cycle
The Red Cross Movement
MRI
Chirality
Vitamin B1などのゲームがあります。さらにFlash playerを必要とするゲームが下に列挙されています。

糖鎖生物学の Carolyn Bertozzi(キャロリン ベルトジ)さんにノーベル化学賞!

このブログでたびたび紹介してきた糖鎖生物学の Carolyn Bertozziさんにノーベル化学賞が贈られました。おめでとうございます。私も以前コンドロイチンをclick chemstryでラベルして可視化できないか彼女とメールをやり取りしたことがあります。彼女の動画はいろいろありますのでこのブログなどからご覧ください。

Carolyn Bertozzi

2022/3/30
今日は深夜12時から英国Cambridge(ケィンブリッジと発音します)にあるMRC分子生物学研究所(MRC LMB)のセミナーをオンラインで視聴しました(現地時間午後4時です)。昔 在籍したことがある研究所ですが、Zoomでオンラインセミナーをやってくれているので最新のセミナーに参加できて助かります。昨夜はスタンフォード大学に移籍された糖鎖生物学の有名な研究者Carolyn Bertozzi (キャロリン ベルトジ)先生のシアル酸と結合するレクチンSiglec(シグレック)やSiglecが結合する、シアル酸が付加されている分子を標的とした癌治療法の開発のお話でした。とてもわかりやすく面白いセミナーでした。YouTubeのMRC LMBチャンネルで公開されていますので是非ご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=jVm3Ec53aeg

他のYouTubeビデオも以下に貼り付けておきます。click chemistryについてはpart 2が参考になります。

https://youtu.be/WCbg-kOY_8E

https://youtu.be/g17QmtZOyWc

2005年のNIH videocastの講演もあります。click chemsitryの話です。
https://videocast.nih.gov/watch=38867

こちらは2020 年のvideocastです。https://videocast.nih.gov/watch=38867