タコやカニ、ハチやクモや線虫は意識をもっているのでしょうか?AIは?

タコは意識をもっているのか?昆虫は? クモは?線虫は? 胎児はいつから意識をもつのか? 培養皿の中で育つヒト幹細胞からできた脳のオルガノイドは意識をもつのか?あるいはAIは意識をもっているのか?
こうした問いかけは、今や切実な研究課題となっています。この問題を考えるのに役立つ本がOxford University Pressから刊行されて、pdfを無料でダウンロードできるようになっています。今日の奥村晴彦先生のリツイートで知りました。


https://academic.oup.com/book/57949?login=false

Birch, Jonathan, The Edge of Sentience: Risk and Precaution in Humans, Other Animals, and AI (Oxford, 2024; online edn, Oxford Academic, 19 July 2024),

https://doi.org/10.1093/9780191966729.001.0001, accessed 6 Nov. 2024.

高校物理から解析力学までを扱う日本語の動画の公開が始まっています。

この頃は、ネットの動画で大学の授業相当の情報を入手できるようになっています。外国の大学では講義を部分的にネットで公開しているところも多いので、英語圏の人は日本よりずいぶん有利だと思います。日本ではなにかいろいろ理由をつけて、大学の講義の公開を渋っているところが多いのは残念です。

今日は日本語で学べる、物理の力学の入門動画を紹介します。
少し前に東北大学の大関真之先生のわかりやすい講義動画を紹介しました。東北大学は大関先生の講義を数年前のものをふくめてオンラインで見られるようにしています。先日紹介した高校物理の動画はおまけみたいですが、力学から物理入門したい人には最適の動画シリーズになっていると思います。もう第3回まで公開されています。
【受験生必見!みんなと物理】第3回: 単振動をマスターしよう!【Education Open Style】
https://www.youtube.com/live/CY9iZfqSjiU?si=mmgunerN9HRxnfmz

この動画をみて理解した人は、東京大学の渡辺 悠樹先生の解析力学講義が理解できるのではないでしょうか。
渡辺先生は今年、
『解析力学: 基礎の基礎から発展的なトピックまで』 2024/7/11
渡辺 悠樹 (著) 共立出版
https://www.kyoritsu-pub.co.jp/book/b10084114.html

という評判の本を出されました。サポートページもあって大評判の教科書のようです。
その渡辺先生の東大での解析力学の講義(二年生向け)を公開しようとされたのですが、諸般の事情で公開できないそうです。そのかわりにその講義をまとめた動画を作って公開してくださいました。
今日から動画の公開がはじまって第二回までアップされたようです。見ましたがわかりやすい講義です。
上にあげた本の第一章の内容とのことです。本を買いたくなることうけあいの動画だと思いました。
解析力学講義 第1回:Introduction
https://youtu.be/n9wJm09J8pE?si=XsQXutLaCzHnzTcP

解析力学講義 第2回 Newton 力学の復習
https://youtu.be/v-w5W1_JLQ0?si=fuyJroBJYo_vWjAC

(追記:11月20日現在 12回目の講義動画までアップロードされています(チャンネルアドレスが変わったのでこの記事でも動画の埋め込みリンクを変更しています。)
大関先生の動画についての最近の記事へのリンクを次に埋め込んでおきます。

高校物理のわかりやすい講義動画(東北大学・大関真之先生)が公開されました!

The Physics of Quantum Mechanics (Oxford University Press) という本のpdf版が著者のサイトで無料公開されています

The Physics of Quantum Mechanics (Oxford University Press)
という本のpdf版が著者のサイトで無料公開されています。Amazonでみると大変高評価の教科書です。

https://www-thphys.physics.ox.ac.uk/people/JamesBinney/
が著者のサイトで、そこにあるLecturesに量子力学の講義へのリンクがはってあります。
https://www-thphys.physics.ox.ac.uk/people/JamesBinney/lectures.html
講義のスライドの中にある本へのリンクがこちらです。
https://www-thphys.physics.ox.ac.uk/people/JamesBinney/QBhome.htm
Printer-friendly pdfというのが2010/11年の講義用のpdfのようですが、実際は2013年版がダウンロードできるようになっています。
この教科書の正誤表、星印の問題に対する解答もこのページからダウンロードできます。

以前、有名なシッフの量子力学の教科書が無料公開されているのを紹介しましたが、昨今、無償で公開される教科書がふえましたね。

シッフの量子力学の教科書が無料でダウンロードできます。

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第19回)

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第19回) ひさしぶりにリストに追加します。

194)砂川重信 著『物理入門』上 (力学・電磁気・熱),岩波書店,1981.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12609384 (参照 2024-11-07)
195)砂川重信 著『物理入門』下 (相対論・量子力学),岩波書店,1981.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12609383 (参照 2024-11-07)
この二冊は岩波書店から出ていた物理学のやさしい入門書です。

196)大鹿譲, 金野正 共著『量子力学』,共立出版,1984.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592682 (参照 2024-11-07)
197)大鹿譲, 森田正人 共著『量子力学』2,共立出版,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2429929 (参照 2024-11-07)
198)大鹿譲, 森田正人 共著『量子力学演習』,共立出版,1977.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592638 (参照 2024-11-07)
この三冊は量子力学の教科書と演習書です。演習の解答もついている本です。

199)コンスタンチネスキュ, マギアリ 著 ほか『量子力学演習』上,共立出版,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592616 (参照 2024-11-07)
200)コンスタンチネスキュ, マギアリ 著 ほか『量子力学演習』下,共立出版,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592617 (参照 2024-11-07)
この二冊も量子力学の演習書です。これも解答つきです。面白そうな本だと思います。

201)内山竜雄, 西山敏之 共編『量子力学演習』,共立出版,1965. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2429102 (参照 2024-11-07)
これも量子力学の演習書です。解答付です。

202)マージナウ, マーフィー 著 ほか『物理と化学のための数学』第1,共立出版,1959. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1377527 (参照 2024-11-07)
203)マージナウ, マーフィー 著 ほか『物理と化学のための数学』第2,共立出版,1961. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1378708 (参照 2024-11-07)
この二冊はコンパクトな物理数学の本です。一見難しそうですが いろんな物理数学がまとまっており、それぞれ要点をきっちり書いてあると思います。必要なところを選んで読むとよい本です。

204)R.D.ガスリー 著 ほか『糖質化学』,共立出版,1977.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604822 (参照 2024-11-07)
これは糖質化学の入門書です。第四版の訳なので結構読まれていた教科書だということがわかります。

『妥協しないデータ分析のための微積分+線形代数入門』という本の紹介など。

10月に京都に行った時に、本屋で微積分と線形代数の入門書を購入しました。とてもよい本だと思うので紹介します。

『妥協しないデータ分析のための微積分+線形代数入門 定義と公式、その背景にある理由、考え方から使い方まで完全網羅!』杉山聡 著 (ソシム)定価 3,080円(本体価格 2,800円) という本です。
https://www.socym.co.jp/book/1480

行列や微積分について実際にこれらを駆使したい人のために、基本的な考え方から詳しくかつ簡潔にどんどん教えてくれる本です。テンポがよいのでぐんぐん読める本だと思いました。データ分析を学ぶ人が数学の基本を理解するためのよい参考書、多分手元において必要なたびに見直すのにも使える教科書です。
まだ電子ブックは出ていない模様ですが、買って損はしないよい本だと思います。行列は一番最初にでてきますが、行列式は本の末尾のほうにでてきます。よくある行列と行列式をまとめて、連立方程式とか置換とかを使って教える方式につまづいた人には、特におすすめの教え方だと思いました。行列Σの行列式detΣは数値(正負と0も含む)であり、行列Σであらわされる変換による、図形の体積(面積)の拡大率を示すということがちゃんと最初から書いてあるのもよかったです。

著者の杉山さんはYouTubeのチャンネルも持っておられて、いろいろデータサイエンス関連の動画をアップロードされています。おすすめの動画サイトです。

https://www.youtube.com/@AIcia_Solid

この本の宣伝の動画も埋め込んでおきます。
https://youtu.be/iBCpwo03gX0?si=T2WO_3JrNI9XIhoe

ツイートもされています。nitterで見たい人は、こちらなどから見ることができます。

https://xcancel.com/AIcia_Solid

参考までに、今x.comのサービスにログインせずにツイートを読めるnitterサービスで動いているのは以下の3つがあるようです。

https://nitter.privacydev.net/
https://xcancel.com/
https://nitter.poast.org/ (11/09 追記:昨日復旧したと書いた3つ目のサイトですが、今朝からこのサイトはアクセスできない、あるいはアクセスしないようにとの警告がでています。poast.orgのnitterは不安定ですね)

『Pythonで動かして始める量子化学計算 』という本を立ち読みしてきました。

先日、久しぶりに博多駅の丸善・ジュンク堂にいったら『Pythonで動かして始める量子化学計算 』という本がありました。これは初心者むけの量子化学入門書のおすすめ本だと思います。GAMESSを使う前に手軽に量子化学計算をやってみるのもよいと思います。

実はこの本は以前紹介したのですが、手に取ってみるのははじめてでした。

『Pythonで動かして始める量子化学計算』 野田 秀俊 公益財団法人微生物化学研究会 D.Sc. 著
https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339066685/

立ち読みもオンラインでできるので興味のある方は読んでみてください。著者のサイトにはこの本のもとになった記事がありますのでそちらをみて、よさそうだったら購入してみてはいかがでしょうか。次の記事から読んでみるとよいでしょう。https://future-chem.com/psi4-intro/
野田先生のサイトとこの本を紹介した過去記事を以下にペーストしておきます。

RDKit入門の記事があります。

話はかわりますが、Internet Archiveはだいぶ復活がすすんでいるようです。さっき、ログインもできるようになっているのがわかりました。これで本を借りることもできるようになり、いろんな本が読めるのでたすかるサイトです。Wayback Machineとともになくてはならないサイトの復旧を祝いたいと思います。

モデルを正しく理解して使うためにはどのような心構えが必要でしょうか?

統計学のモデルについて深く考えるきっかけになると思える動画があったので紹介します。有名な心理統計の先生Richard Shiffrin教授(全米科学アカデミーの会員), Indiana UniversityのSanta Fe Instituteでの講演の動画です。Santa Fe Instituteは複雑系の研究で有名ですが、この講演では複雑系だけではなく、線形回帰でデータを説明できると思っているような状況でも、いろいろな誤りが起きうるということを解説してくれています。まだ全部は見ていないのですが、統計モデルを使う人だけではなく、演繹と帰納、データから現象をどの様に説明するのがよいかなどに興味がある人には最適の動画だと思います。

Understanding and Misunderstanding Models (and everything else)
https://youtu.be/VNPigsz0ldM?si=DyYj3r3invs3Nwy-

無料の量子化学計算ソフトGAMESSをUbuntuにインストールする方法

今日はページビューが14000を越えました。Textpressoの紹介記事の効果かもしれません。

さて今回は量子化学の記事です。
千葉工業大学の山本 典史先生のサイトは以前紹介しました。先生のサイトhttps://yamnor.me
には役立つ記事がいろいろあっていつも拝読させてもらっています。さて、先生の記事『量子化学計算入門講座』
https://yamnor.me/2024-06-22-1251/

にあるGAMESSの紹介を読んで、Ubuntu (Linuxです)にインストールしてみたくなりました。
昨日、山本先生が、 最新版のUbuntuにインストールする方法を詳しく解説した記事を公開されたので紹介します。
『GAMESS のインストールガイド(Ubuntu 24.04 向け)
このノートでは、代表的な量子化学計算プログラムパッケージの GAMESS をインストールする手順をまとめています。』という記事です。
https://yamnor.me/2024-11-02-1415/
GAMESS はめちゃめちゃ高価で、私など個人では手がでない有料ソフトGaussianに次ぐユーザー数を誇る無料で使える量子化学計算ソフトです。アップデートも頻繁で、様々な最新計算手法もどんどんとりいれられているそうです。なんかRみたいですね。早々にGaussianを駆逐してくれることを願います。
今は時間がないのでインストールできませんが、記事を読む限り簡単にインストールできると思います。うまくインストールして動いたらまた報告します。

文献検索サイトTextpressoを使いましょう!サイトの簡単な使い方を紹介します。

文献検索サイト Textpressoを使いましょう!

https://textpresso.org/
このサイトでは、多くのモデル生物(線虫、シロイヌナズナ、ゼブラフィッシュ、マウス、出芽酵母)に関する文献、アルツハイマー病に関する文献、コロナウイルスに関する文献の文献検索ができます。今日はこのサイトの簡単な使い方を紹介します。
まずトップページ。サイトの中の、よく使う検索ページをブックマークしておくとよいでしょう。
今回はページの左上にある、線虫C. elegansの論文検索サイトで 線虫の論文を探してみます。

赤い字で表示されているTake me thereの部分をクリック。
こんなページが開きます。一番下にある検索窓SEARCH CORPUSの部分に検索語を入れて検索します。

今日、Metascapeでエンリッチメント解析していた時に現れた遺伝子に、skr-4というのがありました。この遺伝子は一体何かわからなかったので、これについて調べることにします。Search Corpusの部分にskr-4といれて上の画像のようになった状態でエンターを押します。すると線虫の検索をしますがよいですか?というポップアップ警告がでるので、よければStart Searchボタンを押して検索を始めます。

あっというまに検索が終わり、24の文献がヒットしたと表示されます。
PubMed IDと論文のタイトル、文献名、掲載年月日、文献のタイトル、スコアなどが表示されます。

Ubiquitin-related processes and innate immunity in C. elegansというタイトルの論文を詳しく見てみましょう。タイトル欄の右向き矢じりをクリックすると詳しい表示が出ます。著者名、雑誌名やDOI、PubMed IDやWormBaseの文献IDなどが表示されています。Click for Abstractを押すと、アブストラクトが全文表示されます。

ヒットしたskr-4という遺伝子名を含む論文中の文が、前後の文をあわせて表示されます。この遺伝子に関する記述が論文をダウンロードして開くことなく、すばやく確認できます。skr-4というのはSentence 2によると、surveillance immunityにかかわっている遺伝子で、細胞内に侵入した病原体に対する応答に働く遺伝子のようです。関連する遺伝子として、cul-6, skr-3, skr-5などがあったりするのがわかります。F-boxタンパクとかcullinとも関係があるのもわかりました。必要なら文献のDOIやPubMed IDその他を利用して論文を読んでみることも簡単にできます。

このようにTextpressoを使うと、手軽に、そして一挙に、入力した検索語関連の情報が得られるので大変便利です。もちろんコーパス検索しているので、英語の書き方の例文探しにも役立ちます。是非、今日から使ってみてください。これを使うと使わないで能率がものすごく違うのを実感できると思います。

面倒なことはやWeb検索はLLMにやらせよう!‥‥という動画二本を紹介します。

今日は動画二本を紹介します。

最初は『面倒なことはLLMにやらせよう Guest:からあげ “Beginning LLM Level.9″』
https://youtu.be/Ng1XJRX1ac0?si=DlUPnUEe8E6wxuVr

これは『面倒なことはChatGPTにやらせよう』という本(私も読みました)の著者による最新版のLLMの動向の紹介と使い方の動画です。
最近のLLMっていっぱいあって、ついていけないという感じをもっていましたが、この動画で整理してくださっているので参考になりました。またExcelファイルをアップロードしていろいろ作業をしてもらうというような例(私もよくやってもらっています)も紹介されているので初等的な利用ですがまだやったことがない人にも優しく、さらに高度な利用を目指す人にも役立つ講演だと思いました。

あとChatGPTに検索モードが入ったというので話題になっていますね。このブログでおなじみの中村祐太さんが動画でさっそく紹介しています。
『【新機能】Google検索はいらない!?ChatGPT Search 登場!圧倒的に便利!!』
https://youtu.be/Gjb87d9MBzQ?si=6txuiFX70tsuVoC_