小惑星Bennuのサンプルからなんと6種類もの糖が発見されました!

小惑星BennuからNASAのOSIRIS-REx探査機が持ち帰ったサンプルの中から、なんと6種類もの糖が検出されたというのがニュースになっています。東北大学の古川善博先生の論文です。
はやぶさ2がもちかえった、りゅうぐうからのサンプルは少なすぎて、糖を検出できなかったそうで、Bennuからのサンプルではじめて糖が検出できたのだそうです。6種類の糖が発見されており、グルコースとガラクトース、キシロースにアラビノース、そしてリキソースにリボースが見つかりました。糖鎖生物学をやっている私達からみると、ガラクトースやキシロースがみつかったことは大発見だと思います。グルコースは宇宙でその存在がみつかったのは初だそうで、これもすごいことですね。リボースはRNAを作る材料ですがDNAの材料であるデオキシリボースはみつからなかったとのこと。しかしRNAをつくるのに必要なウラシル、グアニン、シトシン、アデニン、リン酸はBennuのサンプルから見つかったそうです。
宇宙からふりそそぐ隕石や小惑星のかけらに生命をつくる材料が豊富に含まれていることがわかったので、地球上の生命の起源の研究も大きく進展しそうですね。また隕石のなかには生物らしき形を発見したという論文もいくつか過去に発表されているので、宇宙から生命がやってきたというパンスペルミア説もまたぞろ注目されそうです。
東北大学のプレスリリースの本文pdfはこちら。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20251203_01web_Bennu.pdf
東北大学の古川先生の論文はオープンアクセスなのでこちらから読めます。
https://www.nature.com/articles/s41561-025-01838-6
Furukawa, Y., Sunami, S., Takano, Y. et al. Bio-essential sugars in samples from asteroid Bennu. Nat. Geosci. (2025). https://doi.org/10.1038/s41561-025-01838-6

NASAの動画はこちら。
Bio-Essential Sugars Discovered in Samples from Asteroid Bennu
https://youtu.be/9LyH6jTefU8?

この動画や資料はこちらからダウンロードできます。
https://svs.gsfc.nasa.gov/14932
 パンスペルミア説についてはクリックの意図的パンスペルミア説の本も面白いですよ。
フランシス・クリック [著] ほか『生命この宇宙なるもの』,思索社,1982.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604328 (参照 2025-12-03)

フレッド・ホイルの本もおすすめです。こちらはホイルの宇宙からの生命に関する論文の翻訳を集めた本です。
F.ホイル, Ch.ウィクラマシンゲ 著 ほか『宇宙からの生命』,青土社,1985.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604336 (参照 2025-12-03)

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の作品とその朗読あれこれ

小泉八雲がNHKの朝ドラでとりあげられていますね。私は観ていませんがこのブログでも以前小泉八雲の本についてとりあげたことがあります。
Internet Archiveのこちらのリンクから、小泉八雲全集が読めるのを紹介しておきます。トロント大学の図書館が公開しているもので日本語版です。
https://archive.org/details/chengyutung?tab=collection&query=Hearn%2C+Lafcadio

トロント大学の図書館からは、他にも漱石全集、芥川龍之介全集、寺田寅彦全集(一冊欠巻があります)、内村鑑三全集などいろいろ読むことができます。

トロント大学が所蔵する日本語の本がInternet Archiveで読めるのをご存知ですか?

怪談などハーンのいろんな作品の日本語版は青空文庫の他、Open Shelfでも読めます。

Open Shelfという色々な本がオンラインで読めるサービスがあります

もちろん、国立国会図書館のデジタルコレクションでも小泉八雲全集や作品集その他いろいろが読めます。
https://dl.ndl.go.jp/search/searchResult?accessRestrictions=internet&accessRestrictions=ooc&collection=A00001&collection=A00002&collection=A00022&collection=A00003&collection=A00014&collection=A00015&collection=A00188&collection=A00017&collection=A00016&collection=A00019&collection=A00121&collection=A00024&collection=A00152&collection=A00150&collection=A00173&collection=A00122&collection=A00162&collection=B00000&fullText=true&creator=Lafcadio+Hearn&eraType=AD&availableType=Persend&identifierItem=ISBN&includeVolumeNum=true&pageNum=0&pageSize=20&sortKey=ISSUED_DESC&displayMode=list

怪談の英語版朗読はこちらなどで聞けます。
https://archive.org/details/kwaidan_1005_librivox

朗読の途中に註の朗読が入るのが興ざめです。むじなの朗読のリンクも載せておきます。
https://archive.org/details/kwaidan_1005_librivox/kwaidan_08_hearn.mp3

Youtubeにもあります。こちらはページ番号かなにかを朗読するのでこれも興ざめです。
https://youtu.be/WAiBdHoMDtY?

https://youtu.be/WAiBdHoMDtY?

私はウイリアム・ムーアさんが朗読している旺文社発行のKwaidanという本を持っているのですが、この朗読はよかったです。英語の勉強用に最適でした。ただしフォノシート(知っていますか?うずっぺらいプラスチックみたいなもので作ったレコードです)がついている本なのでレコードプレイヤーがないと再生できあません。国立国会図書館は音声をデジタル化したのをもっているのですが、来館利用になっていてネットでは聞くこと不可です。

L.ハーン 著 ほか『怪談 Kwaidan』,旺文社,1964.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/10259366 (参照 2025-12-02)

人工生命国際学会ALIFE2025(京都)の動画が公開されています。

今日はものすごく暖かな一日でした。気温の変化が激しいですね。暖房なしで過ごせる一日で、外ではワイシャツ一枚で動き回れました。
今夜YouTubeをひらいてみるとおすすめに、京都で今年の10月に開催された人工生命国際学会ALife2025の動画が上がっていました。こんな学会があったんですね。京都産業会館で開催されたようでオンサイトとオンライン併用で、なんと参加費は10万円ほどだったようです!円安なので学会参加もできない時代になってしまいました。https://2025.alife.org/
このサイトから学会の予稿集などがダウンロードできます。また動画へのリンクものっています。

https://www.youtube.com/@ALIFE2025

ちょっと動画をながめると、LevinのKeynote lecture動画がありました。彼は発生生物学をやっていますが人工生命の研究者なのですね。いろんな人工生命関連の論文があるようです。
Keynote, Michael Levin
https://youtu.be/jhjID2aAf_I?

オートマトンとMathematicaで有名な、WolframのKeynote lectureの動画もあります。
Keynote, Stephen Wolfram
https://youtu.be/EBt2a3we-Us?

他にも進化とかロボットとか、いろんな動画があるので面白そうなのを選べます。

年末年始の恒例イルミネーションが近所ではじまりました。無料で読める日本生物物理学会の和文誌を紹介します。

数日前から近所の丘の上の年末年始のイルミネーションが点灯テストをしていました。今日から正式にイルミネーションがはじまるとの放送がはいったので、さっそく今夜 見に行きました。今年は今までで一番豪華なイルミネーションになっていました!イルミネーションの近くまで登っていくと、なんと豚汁をふるまうイベントをやっていました。私たちは夕食後だったのでお腹いっぱいで遠慮しましたが、みんな楽しそうでよかったです。ハートの部分に二人でならんで写真を撮っている人も多かったです。来年の1月10日まで毎日点灯するとのことで、年末年始に帰省する人も楽しめます。また近くを走っている西鉄バスからも見ることができるので運転手さんも楽しみにしているそうです。

今日は無料で読めるJ-STAGEにある日本の学会誌を紹介します。2年ほどまえに雑誌の生物物理や化学と生物が読めるという記事を書いていますのでそちらも参照(末尾のリンク)してください。

今日は最新号まで無料で読める日本生物物理学会の学会誌「生物物理」を紹介します。
この雑誌には、線虫C. elegansについての論文 (空飛ぶC. elegansとか電気ショックの恐怖の記憶とかその他いろいろ面白い記事があるので検索してみてください)もでているので私の研究の参考にもなります。また最新のトピックスが紹介されているのでそれらについて学ぶ手掛かりにもなります。
たとえば相分離生物学についてのこんな論文はいかがでしょうか。MLOというのはMembraneless organelles の略です。
『藤原 奈央子, 廣瀬 哲郎, 膜のない細胞小器官の謎に迫る』, 生物物理, 2024, 64 巻, 2 号, p. 71-77
内容紹介を引用しておきます。

膜に囲まれない細胞内区画である非膜オルガネラ(MLO)は,様々な生体反応を制御している.本稿では,MLO形成の駆動力である相分離のメカニズムと,MLOの作動機序について概説し,代表的なMLOの構造と機能を個別に紹介する.また,MLOと疾患との関連や治療標的としてのMLOの可能性について解説する.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/64/2/64_71/_html/-char/ja
以下は以前の記事へのリンクです。

日本語での鳥の渡りの量子生物学の解説がありました。J-STAGEを使ってみましょう!

AlphaFoldのノーベル賞受賞秘話、Hannah FryさんがJumperさんに聞く動画がでています。

AlphaFoldの開発者でノーベル賞受賞者のJumperさんのPodCastが公開されています。GoogleDeepMindのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@googledeepmind/videos
の動画です。
ノーベル賞受賞のお知らせの電話がかかってきた時のエピソードからはじまって、タンパク質の立体構造を高精度で予測できる革命的AIの誕生とその予測力の話も迫力があります。聞き手は英国Cambridge大学の数学者Hannah Fryさん(ケンブリッジ大学教授)です。彼女は数学を一般に普及する活動でも有名で、2019年のRoyal Institutionのクリスマスレクチャーでも有名です。マイケル・ファラデーのクリスマスレクチャー以来、このクリスマス講演(一般向けの講演です)の演者の評価は高いです。

AlphaFoldについてのインタビュー動画はこちら。
AlphaFold: Grand challenge to Nobel Prize with John Jumper
https://youtu.be/-pGs0btGmgY?

Hannah Fryさんの2019年のクリスマスレクチャーのリンクも載せておきます。レクチャーの紹介文も引用しておきます。
In a series of lectures packed with mind-boggling demos and live experiments, Hannah Fry shows us how to decode life’s hidden numbers; to help us all make better choices, sort fact from fiction, and lead happier lives. But she also warns how our unwavering faith in figures can lead to disaster when we get the sums wrong.

How to get lucky

How to bend the rules

How can we all win?

ひさしぶりにYouTubeの物理学者とティータイムの新しい動画が公開されました。

ひさしぶりにYouTubeの物理学者とティータイムの新しい動画が公開されました。
【学習物理学】AI✕固体物理。量子の“指紋”を追え!【学術変革】
物理学者とティータイム
https://youtu.be/_oF6SOftyKg?

 

書道家の夏生さんによる、上智大学の大槻 東巳 (おおつき とうみ) 先生のインタビュー動画です。つづきもありそうなので楽しみです。

伊与原新さんの最新作『翠雨の人』の一読をおすすめします!

核実験抑止へ導いた猿橋勝子の生涯を描いた長篇小説『翠雨の人』著者インタビュー 伊与原 新(直木賞作家) /【公式】おはよう寺ちゃん 8月13日(水)
https://youtu.be/e_ESEcTYVuI?

直木賞作家の伊与原 新さんの受賞後の最新作、「翠雨の人」を読み終えました。女性科学者の猿橋勝子さんの実話にもとづいた評伝的なフィクションです。私の知っている人が二人、猿橋賞を受賞しているので有名な女性科学者だとは知っていましたが他は全く知らない人でした。この本を読んで、猿橋さんのことがよくわかりました。伊与原さんの文章はとてもよみやすくて ぐんぐん読み進めることが出来る作品です。
子供の頃からマリー・キューリーにあこがれ、最初は医学の道をめざして東京女子医科大学の前身の東京女子医専を受験、合格するも面接での出来事で入学を取りやめて、東邦大学の前身である帝国女子理学専門学校に入学したエピソードには考えさせられました。子供の頃から雨や雪に興味を持っていたので気象学を専攻、三宅泰雄先生をメンターとして気象学、海洋化学の研究に進みます。三宅のもとでの最初の研究は、なんとキューリーの発見したポロニュウムを使った実験でした。戦時中の軍との気象学研究も詳しく紹介されていて戦争と科学についても考えさせられる作品になっています。戦後の大気圏内核実験による第五福竜丸の被曝、原水爆実験による海洋汚染の実態の解明、そして平塚らいてうとの出会いと国際民婦連の世界大会での原水爆実験による汚染についての国際講演、日本での女性科学者の会の立ち上げ、そしてアメリカにでむいての米国物理学者とのセシュウム濃度測定をめぐる道場破りのような快挙など、初めて知ることばかりで感動しました。巻末には参考文献がしっかりあげてあって、その多くは国立国会図書館のデジタルコレクションで読むことができます。

最初にあげた動画は作品について語る伊与原さんの肉声を聞くことができるのでまず聞いてみてください。

東大TVのヒトの認識の数理モデルと、太陽光エネルギーについての動画は秀逸です。是非みてください!

『ヒトの認識の数理モデル』
Mathematical Model of Human Cognition[JP] 柳澤秀吉 東京大学工学系研究科教授

ヒトの認識がベイズ推論で定式化できることを理解し、その根拠となる自由エネルギー原理のエッセンスを理解するという目標の講義です。
https://youtu.be/c8Av2ZHmXL4?

とてもわかりやすい講義です。講義がお上手な先生ですね。感心しました。ベイズの定理なども完全に理解できるのではないでしょうか。
このブログでもたびたび紹介している脳の自由エネルギー原理についても学べます。こんなよい動画が今はごろごろしている時代で、何を学ぶにしてもよい時代になっています。

東大TVのYouTubeチャンネルには他にどんな動画があるかなぁとみてみました。
https://www.youtube.com/@UTokyoTV
次の動画が面白そうです。
Solar Power Is the Strongest Energy, So Why Can’t It “Save the Planet”? [JP]
https://youtu.be/Bv6bjsYDYYM?

太陽光発電の環境破壊、効率性、今後などを考えるのに役立つ動画です。太陽光パネルが林立して自然破壊を繰り返している現状が、」なぜ起きているのかがよくわかりました。原子力、火力発電、再生可能エネルギーをどんな割合で動かせばよいのかを議論するための基礎知識も得られると思いました。

分子科学研究所創立50周年特別版の公開講演会がおすすめです。これは面白い講演です。

今年は分子科学研究所創立50周年の記念すべき年だそうです。詳しくはこちらの分子研レターズや特設サイトをみてください。
https://www.ims.ac.jp/about/publication/letters92.html
https://www.ims.ac.jp/50th/

分子科学フォーラムも50周年特別版の講演になっています。小・中学生くらいから一般市民むけの講演です。
第144回分子科学フォーラム 50周年特別版 「ねじれた光」で見る左と右、鏡写しの世界
https://www.youtube.com/live/GHQ1eU4W_Ns?

これは面白い。円偏光とか立体化学の基礎も学べます。是非ご覧ください。
また143回の講演もおすすめです。こちらは触媒の話ですが、二十世紀初頭に報知新聞にのった未来予想の話もあったりして楽しい講演です。

第143回分子科学フォーラム 50周年特別版「観ることで広がる触媒の世界」
https://www.youtube.com/live/FTqxf5rGI7g?

 

幼稚園児から使える量子力学!

Kindergarten Quantum Mechanics, now for real!
https://www.youtube.com/live/Oz5dmtIyrrc?

Streamed live on 15 Nov 2025
このブログでたびたび紹介しているBob Coeckeさんの圏論的量子力学は、絵で計算できる新しい量子力学の定式化です。ヒルベルト空間を使う定式化と同じ結果をより簡単にみちびけるので、これで学んだ高校生がOxford大学の修士の試験問題を解くことが出来るようになったというのは新聞でも報道されていました。高校生の量子力学の教育に実際用いられ始めているほか、量子コンピュータ開発の現場でも利用されているそうです。その辺の文献はYouTubeのMoreの部分に詳しく書かれているので興味のある方は見てください。このブログの過去記事にも講習会の動画や本の紹介があるので検索してみてください。Quantum in Pictures: A New Way to Understand the Quantum World (English Edition) Kindle版は655円で売ってますね。

この動画が公開されているRelatoriumというチャンネルには面白そうな動画が満載です。

https://www.youtube.com/@Relatorium/streams