年末年始の恒例イルミネーションが近所ではじまりました。無料で読める日本生物物理学会の和文誌を紹介します。

数日前から近所の丘の上の年末年始のイルミネーションが点灯テストをしていました。今日から正式にイルミネーションがはじまるとの放送がはいったので、さっそく今夜 見に行きました。今年は今までで一番豪華なイルミネーションになっていました!イルミネーションの近くまで登っていくと、なんと豚汁をふるまうイベントをやっていました。私たちは夕食後だったのでお腹いっぱいで遠慮しましたが、みんな楽しそうでよかったです。ハートの部分に二人でならんで写真を撮っている人も多かったです。来年の1月10日まで毎日点灯するとのことで、年末年始に帰省する人も楽しめます。また近くを走っている西鉄バスからも見ることができるので運転手さんも楽しみにしているそうです。

今日は無料で読めるJ-STAGEにある日本の学会誌を紹介します。2年ほどまえに雑誌の生物物理や化学と生物が読めるという記事を書いていますのでそちらも参照(末尾のリンク)してください。

今日は最新号まで無料で読める日本生物物理学会の学会誌「生物物理」を紹介します。
この雑誌には、線虫C. elegansについての論文 (空飛ぶC. elegansとか電気ショックの恐怖の記憶とかその他いろいろ面白い記事があるので検索してみてください)もでているので私の研究の参考にもなります。また最新のトピックスが紹介されているのでそれらについて学ぶ手掛かりにもなります。
たとえば相分離生物学についてのこんな論文はいかがでしょうか。MLOというのはMembraneless organelles の略です。
『藤原 奈央子, 廣瀬 哲郎, 膜のない細胞小器官の謎に迫る』, 生物物理, 2024, 64 巻, 2 号, p. 71-77
内容紹介を引用しておきます。

膜に囲まれない細胞内区画である非膜オルガネラ(MLO)は,様々な生体反応を制御している.本稿では,MLO形成の駆動力である相分離のメカニズムと,MLOの作動機序について概説し,代表的なMLOの構造と機能を個別に紹介する.また,MLOと疾患との関連や治療標的としてのMLOの可能性について解説する.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/64/2/64_71/_html/-char/ja
以下は以前の記事へのリンクです。

日本語での鳥の渡りの量子生物学の解説がありました。J-STAGEを使ってみましょう!

AlphaFoldのノーベル賞受賞秘話、Hannah FryさんがJumperさんに聞く動画がでています。

AlphaFoldの開発者でノーベル賞受賞者のJumperさんのPodCastが公開されています。GoogleDeepMindのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@googledeepmind/videos
の動画です。
ノーベル賞受賞のお知らせの電話がかかってきた時のエピソードからはじまって、タンパク質の立体構造を高精度で予測できる革命的AIの誕生とその予測力の話も迫力があります。聞き手は英国Cambridge大学の数学者Hannah Fryさん(ケンブリッジ大学教授)です。彼女は数学を一般に普及する活動でも有名で、2019年のRoyal Institutionのクリスマスレクチャーでも有名です。マイケル・ファラデーのクリスマスレクチャー以来、このクリスマス講演(一般向けの講演です)の演者の評価は高いです。

AlphaFoldについてのインタビュー動画はこちら。
AlphaFold: Grand challenge to Nobel Prize with John Jumper
https://youtu.be/-pGs0btGmgY?

Hannah Fryさんの2019年のクリスマスレクチャーのリンクも載せておきます。レクチャーの紹介文も引用しておきます。
In a series of lectures packed with mind-boggling demos and live experiments, Hannah Fry shows us how to decode life’s hidden numbers; to help us all make better choices, sort fact from fiction, and lead happier lives. But she also warns how our unwavering faith in figures can lead to disaster when we get the sums wrong.

How to get lucky

How to bend the rules

How can we all win?

ひさしぶりにYouTubeの物理学者とティータイムの新しい動画が公開されました。

ひさしぶりにYouTubeの物理学者とティータイムの新しい動画が公開されました。
【学習物理学】AI✕固体物理。量子の“指紋”を追え!【学術変革】
物理学者とティータイム
https://youtu.be/_oF6SOftyKg?

 

書道家の夏生さんによる、上智大学の大槻 東巳 (おおつき とうみ) 先生のインタビュー動画です。つづきもありそうなので楽しみです。

伊与原新さんの最新作『翠雨の人』の一読をおすすめします!

核実験抑止へ導いた猿橋勝子の生涯を描いた長篇小説『翠雨の人』著者インタビュー 伊与原 新(直木賞作家) /【公式】おはよう寺ちゃん 8月13日(水)
https://youtu.be/e_ESEcTYVuI?

直木賞作家の伊与原 新さんの受賞後の最新作、「翠雨の人」を読み終えました。女性科学者の猿橋勝子さんの実話にもとづいた評伝的なフィクションです。私の知っている人が二人、猿橋賞を受賞しているので有名な女性科学者だとは知っていましたが他は全く知らない人でした。この本を読んで、猿橋さんのことがよくわかりました。伊与原さんの文章はとてもよみやすくて ぐんぐん読み進めることが出来る作品です。
子供の頃からマリー・キューリーにあこがれ、最初は医学の道をめざして東京女子医科大学の前身の東京女子医専を受験、合格するも面接での出来事で入学を取りやめて、東邦大学の前身である帝国女子理学専門学校に入学したエピソードには考えさせられました。子供の頃から雨や雪に興味を持っていたので気象学を専攻、三宅泰雄先生をメンターとして気象学、海洋化学の研究に進みます。三宅のもとでの最初の研究は、なんとキューリーの発見したポロニュウムを使った実験でした。戦時中の軍との気象学研究も詳しく紹介されていて戦争と科学についても考えさせられる作品になっています。戦後の大気圏内核実験による第五福竜丸の被曝、原水爆実験による海洋汚染の実態の解明、そして平塚らいてうとの出会いと国際民婦連の世界大会での原水爆実験による汚染についての国際講演、日本での女性科学者の会の立ち上げ、そしてアメリカにでむいての米国物理学者とのセシュウム濃度測定をめぐる道場破りのような快挙など、初めて知ることばかりで感動しました。巻末には参考文献がしっかりあげてあって、その多くは国立国会図書館のデジタルコレクションで読むことができます。

最初にあげた動画は作品について語る伊与原さんの肉声を聞くことができるのでまず聞いてみてください。

東大TVのヒトの認識の数理モデルと、太陽光エネルギーについての動画は秀逸です。是非みてください!

『ヒトの認識の数理モデル』
Mathematical Model of Human Cognition[JP] 柳澤秀吉 東京大学工学系研究科教授

ヒトの認識がベイズ推論で定式化できることを理解し、その根拠となる自由エネルギー原理のエッセンスを理解するという目標の講義です。
https://youtu.be/c8Av2ZHmXL4?

とてもわかりやすい講義です。講義がお上手な先生ですね。感心しました。ベイズの定理なども完全に理解できるのではないでしょうか。
このブログでもたびたび紹介している脳の自由エネルギー原理についても学べます。こんなよい動画が今はごろごろしている時代で、何を学ぶにしてもよい時代になっています。

東大TVのYouTubeチャンネルには他にどんな動画があるかなぁとみてみました。
https://www.youtube.com/@UTokyoTV
次の動画が面白そうです。
Solar Power Is the Strongest Energy, So Why Can’t It “Save the Planet”? [JP]
https://youtu.be/Bv6bjsYDYYM?

太陽光発電の環境破壊、効率性、今後などを考えるのに役立つ動画です。太陽光パネルが林立して自然破壊を繰り返している現状が、」なぜ起きているのかがよくわかりました。原子力、火力発電、再生可能エネルギーをどんな割合で動かせばよいのかを議論するための基礎知識も得られると思いました。

分子科学研究所創立50周年特別版の公開講演会がおすすめです。これは面白い講演です。

今年は分子科学研究所創立50周年の記念すべき年だそうです。詳しくはこちらの分子研レターズや特設サイトをみてください。
https://www.ims.ac.jp/about/publication/letters92.html
https://www.ims.ac.jp/50th/

分子科学フォーラムも50周年特別版の講演になっています。小・中学生くらいから一般市民むけの講演です。
第144回分子科学フォーラム 50周年特別版 「ねじれた光」で見る左と右、鏡写しの世界
https://www.youtube.com/live/GHQ1eU4W_Ns?

これは面白い。円偏光とか立体化学の基礎も学べます。是非ご覧ください。
また143回の講演もおすすめです。こちらは触媒の話ですが、二十世紀初頭に報知新聞にのった未来予想の話もあったりして楽しい講演です。

第143回分子科学フォーラム 50周年特別版「観ることで広がる触媒の世界」
https://www.youtube.com/live/FTqxf5rGI7g?

 

幼稚園児から使える量子力学!

Kindergarten Quantum Mechanics, now for real!
https://www.youtube.com/live/Oz5dmtIyrrc?

Streamed live on 15 Nov 2025
このブログでたびたび紹介しているBob Coeckeさんの圏論的量子力学は、絵で計算できる新しい量子力学の定式化です。ヒルベルト空間を使う定式化と同じ結果をより簡単にみちびけるので、これで学んだ高校生がOxford大学の修士の試験問題を解くことが出来るようになったというのは新聞でも報道されていました。高校生の量子力学の教育に実際用いられ始めているほか、量子コンピュータ開発の現場でも利用されているそうです。その辺の文献はYouTubeのMoreの部分に詳しく書かれているので興味のある方は見てください。このブログの過去記事にも講習会の動画や本の紹介があるので検索してみてください。Quantum in Pictures: A New Way to Understand the Quantum World (English Edition) Kindle版は655円で売ってますね。

この動画が公開されているRelatoriumというチャンネルには面白そうな動画が満載です。

https://www.youtube.com/@Relatorium/streams

ミシガン大学の土曜日朝の物理学講演会シリーズとAssumptions of Physicsという本の紹介です。

ここ数日、好天が続いていて暖かいのどかな日射し、青い空を楽しんでいます。昨日は、山の上からハンググライダーが二機飛び出したのを目撃しました。また福岡市周辺の山でのハンググライダーブームが到来したようです。今日の夜は、近所で花火が打ち上げられていました。さすがに先日参加した京都国際会館での日本生化学会の花火には負けますが、とてもきれいでした。連休ですね!
今日は忙しいので、簡単な動画の紹介です。

アメリカのミシガン大学のYouTubeチャンネルにある動画です。
https://www.youtube.com/@universityofmichigan1817/streams

Saturday Morning Physics という土曜朝の物理の一般向け講演会シリーズの最新の一本です。

Saturday Morning Physics – What is Classical and What is Quantum?
https://www.youtube.com/live/blRyVsvoK_0?

古典力学と量子力学の関係をわかりやすい数式で説明しているよい動画のようです。
演者は、ミシガン大学で、物理学すべてを導ける物理学の基礎体系を構築しようとしているプロジェクトAssumptions of Physicsを進めている人だそうです。

Assumptions of Physicsは
A research program led by Christine Aidala and Gabriele Carcassi(この人が動画の演者です) at the University of Michigan
という研究プロジェクトで、目的は
Our research program aims to identify a handful of physical principles and assumptions from which the basic laws can be rigorously derived.だそうです。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
https://assumptionsofphysics.org/
プロジェクトから生まれた本も無料公開されています。
https://assumptionsofphysics.org/book/
本の最新版へのリンクもあります。
https://www.fulcrum.org/concern/monographs/tx31qm110

電子ブックの問題点を鋭く指摘した動画を紹介します。オープンアクセス本の検索サイトも末尾に紹介しています。

今日はYouTubeのおすすめにでてきたTED talkの紹介です。電子ブックの問題点について皆が知るべきことをわかりやすく解説している動画です。日本でも全く同じ状況なので是非ご覧ください。この記事の後半には、無料でアクセスできる教科書や記事を検索できるペンシルベニア州立大学図書館のサイトも紹介しているのでご覧ください。

トークのタイトルは
Why is knowledge getting so expensive? | Jeffrey Edmunds | TEDxPSU です。
https://youtu.be/PygUK16aQgk?

EdmundsさんはPenn State University(ペンシルベニア州立大学)の図書館員で、大学図書の多くが電子書籍になっていることの問題点から話を始めています。

電子ブックは、紙の本とちがって所有権が認められておらず、内容にアクセスする権利をお金を払った人や組織が認められるだけだというのが、大きな問題であることが指摘されています。提供しているサービスが終了したらお金を払っていたにも関わらず、本や雑誌が二度と読めなくなるというリスクはたびたび現実化している(最近も日本のサービスが終了して問題になりました)のはご存知でしょう。世界的には5つの主要な出版社がほとんどの電子ブック、電子ジャーナルを支配しており、図書館がある本やある雑誌だけを購読しようとしてもみとめられず、必ず抱き合わせ販売で不要な電子ジャーナルや電子ブックを合わせて高額の料金を払わなくてはならないという不条理がまかり通っています。これは日本でも同様ですが、あまり知られていないではないでしょうか。

この電子ブック、電子ジャーナルに書かれている知識は、実は出版社が作り出したものではなく、大学や研究所などに資金援助している納税者を中心とする社会全体の援助で得られたものです。論文などを書いてレフリーがコメントを書いて、それに応じて著者が内容を改訂してチェックしたうえで完成した知識を、第三者である出版社に与えて高額な掲載料を払い、それを社会が知るためにはまた高額の購読料を出版社に支払う、この不条理な制度について的確に指摘されていて見ごたえがあるトークです。ある雑誌の購読料が不当に高いということで編集者全員が辞任して、彼らで無料のオープンアクセスの雑誌を作ったという話も紹介されています。教科書も最近は昔の値段の10倍以上に値上がりしてしまい、学生が困っているそうです。その対策としての無料教科書などについても紹介されています。

日本でも、全く同じ状況ですので何とかしていかなくてはなりませんね。

Penn State University Librariesのサイトからは無料でオンラインで読める資料がいろいろ見つけられます。
TOPページはこちら。
https://catalog.libraries.psu.edu/

FormatからBookを選ぶとこんなページがでてきます。
https://catalog.libraries.psu.edu/?f%5Bformat%5D%5B%5D=Book

無料でオンラインで読める本を、quantum chemistryという検索キーワードで探したのがこんな結果になります。
onlineとFree to Readにチェックを入れて検索してください。
https://catalog.libraries.psu.edu/?f%5Baccess_facet%5D%5B%5D=Online&f%5Baccess_facet%5D%5B%5D=Free+to+Read&f%5Bformat%5D%5B%5D=Book&q=Quantum+chemistry&search_field=all_fields

線型代数 linear algebraでも検索してみました。

https://catalog.libraries.psu.edu/?f%5Baccess_facet%5D%5B%5D=Free+to+Read&f%5Bformat%5D%5B%5D=Book&search_field=all_fields&q=linear+algebra
良いサイトです。皆さんも検索して無料で読める教科書や資料を見つけてください。

AIの次の革命はNeuroevolutionとevolutionary computationからもたらされるという教科書が公開中です。

AIの次の革命はNeuroevolutionとevolutionary computationからもたらされる、という教科書が無料公開されています。
奥村先生のリツイートで知りました。

 

こちらから、html版の教科書 Neuroevolution: Harnessing Creativity in AI Agent Design が読めます。
序文だけ読むと、どんなことを扱っている本かがよくわかります。面白そうです。

Neuroevolution: Harnessing Creativity in AI Agent Design
An MIT Press Book by Sebastian Risi, Yujin Tang, David Ha, and Risto Miikkulainen
Foreword by Melanie Mitchell

The online version of the book is now freely available in an open-access HTML format. The print edition will be released later in 2026.ということで、紙の本ももうすぐ出版されるようです。