原子から宇宙まで、豊富な画像と映像で紹介するBBCドキュメンタリーが必見です。

顕微鏡下の世界から原子まで見てよくわかるBBCの番組の動画がYouTubeのおすすめにでてきました。
みとれてしまいました。
量子生物学ブームをまきおこした本の著者で現代のCarl Saganとも呼ばれるJim Al-Khaliliが案内する、BBCのドキュメンタリーです。3年ほど前に公開されたもののようで、この動画は小さい世界についてふれており、X線回折による結晶構造の解明の原理や、原子をみる方法などもわかりやすく紹介されています。

Secrets of Size: Atoms to Supergalaxies – Going Small
https://youtu.be/akyw9U666so?

スクリプトも表示できるし、英語もやさしいのでおすすめです。日本語字幕もついています。
次の動画は上の動画の続き、第二部で、こちらは大きな世界、宇宙について紹介しています。3年前のドキュメンタリーで最新の宇宙望遠鏡の成果ははいっていませんが、わかりやすくておすすめです。

Secrets of Size: Atoms to Supergalaxies – Going Big – BBC Science Documentary
https://youtu.be/miDIJOxXiI8?

Quantamagazineの気候変動特集号がよさそうです。

異常気象が問題になっていますが、今月のQuantamagazineは地球環境についての特集だそうです。
こちらのリンクから全記事が読めます。最初の表示が極めてうっとおしいですが、右のスライダを下に引っ張っていくと、全記事へのリンクがあるので読んでみてください。気候変動などの基礎について学べます。二酸化炭素や窒素の量子力学が気候変動にどう影響するかとかの記事もあって楽しめます。

https://www.quantamagazine.org/how-we-came-to-know-earth-20250915/

以下のツイートで知りました。

渡辺 悠樹先生の解析力学入門の講義にZoomで参加しました!

今日はZoomでこちらの講義に参加しました。

渡辺 悠樹先生の解析力学の教科書を読むためのイントロにも最適の講義だったと思います。この本の解説動画はYouTubeにあるので参考になります。
この教科書のサポートページは充実しており、著者への質問もすることができて完璧な教科書になっていると思います。おすすめです。
https://sites.google.com/view/watanabegroup/AMbook

以前のこの教科書や先生の動画について触れている投稿へのリンクをはっておきます。

高校物理から解析力学までを扱う日本語の動画の公開が始まっています。

Appleがタンパク質構造予測に参戦―SimpleFoldが公開されました。Macでなくても動きます。

SimpleFoldというタンパク質の立体構造予測プログラムがオープンソースで公開されていました。よくみるとAppleの研究所からのプレプリントなんですね。AlfaFoldより簡潔なアルゴリズムで予測するということで以下のGitHubからダウンロードして試せます。どれくらい簡潔化というのは一番下に埋め込んだツイートの図をご覧ください。
MacBookで動きますというのがキャッチフレーズみたいですが、Pythonベースのシステムですので、もちろんLinuxでも動くはずです。
SimpleFold: Folding Proteins is Simpler than You Think
https://github.com/apple/ml-simplefold

This github repository accompanies the research paper,
“SimpleFold: Folding Proteins is Simpler than You Think (Arxiv 2025).
Yuyang Wang, Jiarui Lu, Navdeep Jaitly, Joshua M. Susskind, Miguel Angel Bautista
arXiv:2509.18480 [cs.LG]
(or arXiv:2509.18480v1 [cs.LG] for this version)”
https://doi.org/10.48550/arXiv.2509.18480

AIの生命科学・医学への応用とその未来の展望を語る動画が公開されています。

英国のThe Royal InstitutionのYouTubeチャンネルにAIの生命科学・医学への応用とその未来の展望を語る動画がアップされていたので紹介します。今年の7月7日の講演の動画だそうです。

Decoding the secrets of life with AI – with Mikhail Burtsev
https://youtu.be/l28WCnZXNNg?

AIを生命科学、医学に応用するための一つの手段は、通常言語の本や論文ではなく、遺伝子配列をつかってAIをトレーニングすることだといわれています。ロシア出身のMikhail Burtsevはオープンソースの対話できるAI フレームワークである DeepPavlovの開発リーダーでした。DeepPavlovについてはhttps://deeppavlov.ai/や、https://github.com/deeppavlov/DeepPavlovをご覧ください。
彼は現在 英国のLondon Institute for Mathematical SciencesのLandau AI Fellowだそうです。今のAIよりもはるかに優れた知性をもつAIを作ろうとしており、そうしたAIを動かすための数学の専門家だそうです。今回の動画では、遺伝子配列を入力として医学、生命科学に役立つAIが何ができるか、また現在のAIがどのように生命科学の研究、医学の研究に役立つのかについてやさしく紹介しています。AIの生命科学・医学への応用の現在とありうる未来についての動画で大変参考になる動画ですので是非ご覧ください。

研究する時のデータをどう管理するかを学べる日本語教材を九州大学が公開しました!

九州大学データ駆動イノベーション推進本部研究データ管理支援部門と九州大学附属図書館図書館DX支援室が、「研究データ管理のための自己学習教材」を公開したと発表したそうです。こちらの紹介記事をご覧ください。https://current.ndl.go.jp/car/258613
今回公開された自己学習教材への直リンクはこちらです。
『研究データ管理のための自己学習教材(九州大学 研究データ管理支援)』
https://rds.dx.kyushu-u.ac.jp/self-guided-workshop

研究で得られるデータの扱い方、パソコンに保存してある研究データの系統的な命名法などとても参考になる情報満載の教材です。イリノイ大学の作成した教材を日本語化して、日本の実情にあうように改訂したものだそうです。イリノイ大学の教材はこちらです。https://researchdataservice.illinois.edu/self-guided-workshop/

なお参考になる関連動画もあるのでご覧ください。プレイリストへのリンクを載せておきます。

『はじめての研究データ管理:研究室の日常から』
https://youtube.com/playlist?list=PL1UGL1S8MxrFmYjutFeg4p0z0JesSDLp0&
プレイリスト中の「動画を一つサンプルとして埋め込んでおきます。どれも短い動画なので是非視聴してみてください。

『はじめての研究データ管理 : 研究室の日常から : Episode1 データの組織化・文書化』
https://youtu.be/uavBIzUD458?

以前の関連記事へのリンクも埋め込んでおきますので参考にどうぞ。

研究で得られるデータの収集、解析、公開などについての最新の手法を学べるサイトを九州大学が公開しています。ぜひご覧ください。

線虫C. elegansの学習についての日本語解説動画を紹介します。

YouTubeで検索していたらこんな動画がヒットしました。これは線虫C. elegansの基本についての解説の後、線虫がどのように学習するかを研究する方法などが学べるすばらしい動画です。是非ご覧ください。

ロザリンド・フランクリンRosalind Franklinの撮影したDNAのX線構造解析の写真(photo 51とphoto 42)のネガが無料でダウンロードできます!

ロザリンド・フランクリンRosalind Franklinの撮影したDNAのX線構造解析の写真(photo 51とphoto 42)のネガが無料でダウンロードできます!
有名なPhoto 51は、これを盗み見たCrickとWatsonがこの写真をもとにDNAの二重らせんモデルを構築したので有名です。最近英国で発行されたロザリンド・フランクリン記念硬貨もこの写真をもとにデザインされています。

ロザリンド・フランクリンのDNAの構造解明への貢献


そのオリジナルネガが公開されているので紹介します。

Acetate film negative containing X-Ray diffraction images of A-form and B-form DNA
Photo 42 and Photo 51, Circa 1952
https://digital.sciencehistory.org/works/sfsnpoy/viewer/qgwcn5z
Downloadボタンを押すと、いろんな解像度のダウンロードリンクがでてくるので、お好きな解像度のものをダウンロードしてみてください。オンラインでみることができる写真のほうが解像度が最適化してあって見やすいかもしれません。

この写真はScience History Institute https://www.sciencehistory.org/で公開されています。
他にもロザリンド・フランクリンのたくさんの写真や手紙、分子生物学の開拓者のPerutzや、Klug, Paulingなどを含む様々な資料が無料で公開されているので、たまらない すごいサイトです。いくつか面白そうなリンクを紹介しておきます。

photo 51や42の写真をとったGoslingの実験ノート Raymond Gosling’s notebook, circa 1951-1953
https://digital.sciencehistory.org/works/kwa2enq なんと189ページあります。
他にも

Francis Crick’s laboratory notebook, 1952  19ページあります。
https://digital.sciencehistory.org/works/m1iswzd

分子生物学だけでなくその他の資料も公開されているので探してみてください。時間がたつのを忘れます。

Paulingで検索すると、化学結合についての講義も見ることが出来るのを知りました。
“Linus Pauling Lectures on Valence and Molecular Structures: Part 1.” 16mm (photographic film size), 1957. Science History Institute 16mm Film Collection. Science History Institute. Philadelphia. https://digital.sciencehistory.org/works/twr0k94.
分子生物関係のトップページはこちらです。
https://www.sciencehistory.org/about/press/science-history-institute-acquires-molecular-biology-archive/

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第37回)

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第37回)
まず昨日紹介した原子爆弾の制作の道筋を示した物理学者パイエルスの本でデジタルコレクションで読めるものを紹介します。
390) R.パイエルス 著 ほか『理論物理秘伝集』,共立出版,1985.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12621959 (参照 2025-09-21) これは研究者を目指す学部生、院生向けにピッタリの本のようです。
391) R.E.パイエルス 著 ほか『物理の世界 : 自然法則の探究』,岩波書店,1967. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1381916 (参照 2025-09-21) こちらは一般向けの本ですが、本格的です。
392) パイエルス 著 ほか『固体の量子論』,吉岡書店,1957. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1376738 (参照 2025-09-21) 有名な固体物理の教科書。
393) 玉城康四郎 [著]『仏教の根底にあるもの』,講談社,1986.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12266581 (参照 2025-09-11) 前に紹介した岡潔関連の本をリストに入れておきます。
394) 小宮豊隆, 和辻哲郎 編『中勘助全集』第1巻,角川書店,1960. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1665557 (参照 2025-09-11) 同上。
395) 「科学」編集部 編『現代進化論の展開』,岩波書店,1982.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604287 (参照 2025-09-21) 木村資生、大野乾、松田博嗣などそうそうたるメンバーが執筆した雑誌『科学』に掲載された進化論の論考集。
396) 新田義弘 [ほか]編『岩波講座現代思想』10 (科学論),岩波書店,1994.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13264437 (参照 2025-09-21) マッハの思想や、トマス・クーンによる論考、ヴィトゲンシュタインの思想その他の科学論コレクションです。
397) 新田義弘 [ほか]編『岩波講座現代思想』11 (精密科学の思想),岩波書店,1995.1. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13264453 (参照 2025-09-21)ブルバッキ、ヘルマン・ワイルなど現代数学についての論考、湯川秀樹と朝永振一郎に関する論考など多彩な内容が楽しめます。
398) 新田義弘 [ほか]編『岩波講座現代思想』12 (生命とシステムの思想),岩波書店,1994.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13264446 (参照 2025-09-21) 生命論が集められています。清水博さんの論考も読めます。
399) 河合隼雄 [ほか]編『岩波講座宗教と科学』6 (生命と科学),岩波書店,1993.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13153156 (参照 2025-09-21)清水博さんや中村桂子さんの論考、なんと塩川光一郎さんの対談などものっているようです。
400) 河合隼雄 [ほか]編『岩波講座宗教と科学』1 (宗教と科学の対話),岩波書店,1992.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13154722 (参照 2025-09-21) これも岩波講座の一冊で、宗教と科学をテーマにしている本です。カトリックの司祭で物理学者の柳瀬先生などの論説もはいっています。
401) 河合隼雄 [ほか]編『岩波講座宗教と科学』4 (宗教と自然科学),岩波書店,1992.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13154720 (参照 2025-09-21) こちらは一風変わった切り口の宗教と科学の関係についての論文集。戸田盛和さんや小田稔さん、坂井利之さんなど有名な科学者による論考も読むことができます。

原子爆弾はいかに開発されたか―映画『オッペンハイマー』の誤りと背景についての動画が公開されました。

原子爆弾開発の歴史についての最新動画がでています。
The real science of the nuclear age: behind Oppenheimer – with Frank Close
https://youtu.be/rBV4czuCFvg?

著者の書いた本はこちらです。https://www.amazon.co.jp/dp/0241700868?
Destroyer of Worlds: The Deep History of the Nuclear Age: 1895-1965
広島、長崎につながる原子爆弾の開発史の本です。
今回の講演はこの本の宣伝をかねていると思います。
映画オッペンハイマーの誤っている点にも触れている講演です。
核分裂を発見したのはオットー・ハーンであるというのは嘘で、本当の発見者は彼と30年も共同研究していた物理学者リーセ・マイトナーとオットー・フリーシであったという有名な話も聴くことができます。
また原子爆弾については、その原料のウラニュウムは地球のいたるところに鉱床があるのに、なぜ自然に核爆発が起こらないのかを詳しく解説してくれています。ウランには質量数235と 238の同位体があり、235は238に較べて圧倒的に存在量が少ないのです。そして核分裂には奇数の質量数のもののほうが偶数のものより適しており、存在量が少ないウラン235を濃縮することが核分裂に必要だと強調しています。それを初めて示唆したのはオッペンハイマーではなくニールス・ボーアで、ウラン235を用いての核爆弾の現実的設計を行ったのはパイエルスという物理学者であることも明かされます。パイエルスはゾンマーフェルト、ハイゼンベルグ、パウリに師事した物理学者でナチスの台頭によってイギリスに逃れてイギリスの原子爆弾開発の中心的指導者として活躍しました。パイエルスが書いた原子爆弾開発についてのレポートに従って、イギリス、そしてそれを引き継いだアメリカの原子爆弾開発がすすめられたのだそうです。パイエルスは量子力学の創始者ではありませんが、完成した量子力学を応用する時代の先駆者で、固体物理の研究で著名です。一般向け研究者向けの本も日本語に訳されていて国立国会図書館デジタルコレクションで読むことができます。彼の本へのリンクは明日、他のデジタルコレクションの本とともに載せる予定です。