国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第39回)デカルト著作集とか日本の古典の現代語訳があります。

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第39回)
421)『デカルト著作集』1,白水社,1993.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13153744 (参照 2025-12-12)
これは方法叙説と、その付録の屈折光学、気象学、幾何学の全訳です。方法叙説の翻訳はよく読まれていますが、その実践例となる付録は読んでいない人が多いと思います。最後の幾何学はデカルトによる解析幾何学の建設を記念する作品です。白水社版の著作集は新しくきれいなので読みやすいです。
422)『デカルト著作集』2,白水社,1993.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13153745 (参照 2025-12-12)
これは省察と反論と答弁の全訳です。
423)『デカルト著作集』3,白水社,1993.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13153746 (参照 2025-12-12)
これは哲学原理(抄訳)、情念論、書簡集の翻訳です。
424)『デカルト著作集』4,白水社,1993.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13321678 (参照 2025-12-12)
これは、精神指導の規則、宇宙論その他の文書の翻訳です。
425)C.U.M.スミス 著 ほか『生命観の歴史』上 (古代からデカルトへ),岩波書店,1981.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604322 (参照 2025-12-12) これは、古代ギリシャあたりからデカルトにいたる生命観の歴史の本です。
426)C.U.M.スミス 著 ほか『生命観の歴史』下 (現代への展開),岩波書店,1981.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604325 (参照 2025-12-12) これは上の続きで、デカルト以降、ダーウインやメンデル、ドリーシュの生気論、など盛りだくさんの内容からなる生命観の歴史の本です。
427)鈴木牧之 原著 ほか『北越雪譜 : 雪ものがたり』,教育社,1980.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12458226 (参照 2025-12-12) 雪の季節なので、日本の雪についての古典の現代語訳をあげておきます。この現代語訳シリーズをいくつか以下にならべます。
428)杉田玄白 原著 ほか『蘭学事始』,教育社,1980.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12590473 (参照 2025-12-12)
これも現代語訳です。103)で紹介した岩波書店版の現代語訳もみてください。 https://dl.ndl.go.jp/pid/12590512
429)宮本武蔵 原著 ほか『五輪書,兵法家伝書』,教育社,1980.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12148748 (参照 2025-12-12) 何度か紹介している宮本武蔵の五輪書、および柳生新陰流の兵法家伝書の現代語訳です。
430)新井白石 原著 ほか『西洋紀聞』,教育社,1980.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12184765 (参照 2025-12-12)
431)山本常朝 原著 ほか『葉隠』上,教育社,1980.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12224363 (参照 2025-12-12)
432)山本常朝 原著 ほか『葉隠』中,教育社,1980.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12283358 (参照 2025-12-12)
433)山本常朝 原著 ほか『葉隠』下,教育社,1980.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12224433 (参照 2025-12-12)
434)森重都由 原編著 ほか『合武三島流船戦要法 : 村上水軍船戦秘伝』上,教育社,1979.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12230519 (参照 2025-12-12) 九大に出入りしている薬品会社の方で村上水軍の子孫の方がおられてお世話になりました。村上水軍の秘伝書。こんな本の現代語訳もでているんですね。司馬遼太郎の「坂の上の雲」にでてくる参謀 秋山真之もこの本を読んだかもしれません。
435)森重都由 原編著 ほか『合武三島流船戦要法 : 村上水軍船戦秘伝』下,教育社,1979.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12230520 (参照 2025-12-12)
436)吉仲正和 著『力学的世界の創造 : ガリレイ・デカルト・ニュートン』,中央公論社,1979.1. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592824 (参照 2025-12-12) デカルトと、ガリレオ・ニュートンの科学を扱った読みやすい本です。
437)有安和人 [著]『パスカル自然学の構造』. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3145424 (参照 2025-12-12)
これはパスカルの科学についての博士論文です。読みごたえがあります。

東京大学理学部のホームカミングディの宇宙についての動画が小学生以上向けで面白い!

今日もChatGPTで論文用の図の整形を行っていました。モデル5.1は4oと較べると だいぶ賢くなってきましたが、まだhtmlファイルのコードの整形を依頼すると昔のモデルに負けることがあります。今の5.1は自分の出した最初の案にひきずられて、うまくいかないと汚いコードをどんどん追加していく傾向があるようです。昔o4-mini-highで行った整形法をチャット履歴から探し出して、5.1に教えると今までの整形法とまったく違う方法を一瞬で思いつくようです。コードをChatGPTでつくってもらって、改変につぐ改変みたいな泥沼化しているときには、こちらの頭で考えて泥沼から抜け出す手立てを教えてやるとすっきりしたコードになるようです。いろいろコードを書いてもらっているとこちらもだいぶ慣れてきます。

さて、今日の動画は、小中学生でも楽しめる次の動画です。
東京大学理学部ホームカミングデイ2025 講演「目には見えない熱く激しい宇宙を『見て』みよう」馬場彩 准教授
https://youtu.be/CxxYDYFdo20?

太陽や超新星爆発など面白い知識がいっぱい得られると思います。藤原定家がみた超新星が今はどうみえるかなどの話題にもひきこまれます。X線で観る宇宙の話も面白いです。小学生、中高生や先生にもおすすめします。

これは必見の動画です。「研究者を取り巻くAIの進化とその活用法」!!

文部科学省のYouTube動画で、素晴らしいAIの研究者向け利用法に関するものが公開されました。Researcher Plus by 文部科学省のチャンネル
https://www.youtube.com/@Researcherplus の動画です。

AI and the Future of Academic Research ―研究者を取り巻くAIの進化とその活用法―
国立情報科学研究所教授の相澤彰子先生による講演です。
https://youtu.be/TgBCvms52sY?

『2025年10月22日(水)に文部科学省「世界で活躍できる研究者育成プログラム総合支援事業」が主催しました、研究者のための+αシリーズVol.37の録画配信です。』とのことです。

内容は、AIを用いてどのように研究をすすめるか、論文の検索や要約など研究に活用できるどんなAIサービスがあるのか、どのようにAIで論文を書くか、そしてAI査読の問題点、AIをもちいた研究の進め方、AIサイエンティストとはなにか、など盛りだくさんです。それぞれが的確に要約されていて内容はぎっしりつまっていて、これは皆が視聴するべき動画だと思います。是非ご覧ください。

最初のほうで、AIのハルシネーションの話がでています。なんとSpringer-Natureから今年の4月に発売された169ドルもの値段の本に、架空の引用文献、誤った引用などが満載だった例が紹介されています。私は知りませんでしたが、こちら(Retraction Watch)に詳しい話がのっています。参考になります!
https://retractionwatch.com/2025/06/30/springer-nature-book-on-machine-learning-is-full-of-made-up-citations/

またAI査読に世界中の論文著者が危機感をいだいているという話もあります。私も先日、糖鎖生物学のRoadmapに執筆した際、LLMがめちゃめちゃな批判をしてきたのを体験しています。LLMは自分が知らないことを棚に上げて、ここに書いてある内容は著者の致命的な誤解にもとづいており、この部分には致命的な誤りがあるなどと指摘してきました。専門家なら絶対知っている内容なのですが、Proモードで動いているLLMは知らなかったようで、けちょんけちょんにいわれました。もしレフリーがこういうLLMを査読に使ったらと思うとぞっとします。査読者がLLMを使う危険性というのを予想させる体験でした。皆がそういう危険性(他にもいろいろありますので相澤先生の動画をご覧ください!)を危惧しているそうです。

日本生化学会2025年大会の創立100周年記念講演がvimeoで公開されました。

日本生化学会2025年大会の創立100周年記念講演がvimeoで公開されました。
京都の国際会館で11月初めに開催された生化学会大会のシンポジュウムの講演です。私も会場で聴きましたが、動画でみるとスライドも止めてみられるしなにより撮影が見事な動画です。会場で聴講するよりずっと理解が進むと思います。ノーベル賞受賞者3人の講演です。是非きいてみてください。

■第98回日本生化学会大会会頭挨拶 岩井一宏(京都大学)
■Aaron Ciechanover (Technion-Israel Institute of Technology) 
「The Ubiquitin-Proteasome Proteolytic System: From the Very Beginning all the Way to
a Novel Regulatory Pathway ? Metabolic Regulation of Proteasome Compartmentalization.」
■William G. Kaelin Jr (Harvard Medical School)
「Choosing Cancer Drug Targets Wisely and Overcoming the Undruggables」
■本庶 佑 (京都大学)
「30 years’ journey of my PD-1 cancer immunotherapy」

例によってvimeoのこの動画は埋め込み禁止になっています。下のリンクから動画をご覧ください。

https://vimeo.com/channels/jbsoc
これは日本生化学会のチャンネルです。以下が3人のノーベル賞受賞者による講演動画です。

https://vimeo.com/1143682434?
https://vimeo.com/1143669319?
https://vimeo.com/1143686906?

(12/09追記あり)オートファジーと寿命、アルツハイマー病との関係などの動画(Oxford)がでています。

オートファジーを制御することで老化を防止しようというOxfordでの研究の紹介動画です。2021年の動画のようですが数日前にアップロードされた動画です。寿命やオートファジー、アルツハイマーについての基礎的解説が含まれているので参考になります。

昨日は寝てしまったので、関連動画の記事を追加しませんでした。11月の記事へのリンクを埋め込んでおきます。

老化を抑える薬を開発している企業のリーダーによる老化の一般向け解説動画がおすすめです!

吉田塁先生のGoogleのNotebookLMの入門動画です。

吉田塁先生の最新の動画です。
GoogleのNotebookLMの初心者向けの紹介です。これはGoogleのアカウントをもっていれば使えるサービスで、この頃これをつかって論文を紹介したり動画をまとめたりしているサイトが増えてきましたね。私は使ったことがないのでこの動画で勉強しようと思います。

2025年12月 教育現場における NotebookLM の活用(2025年12月7日)
https://www.youtube.com/live/X7yIOEMe2Jc?

東京大学 吉田塁 研究室のチャンネルの動画です。

山本 典史先生の化学、量子化学などについての記事を紹介します。

山本 典史先生のツイートで、最近多数のPythonで化学を学ぶ記事をZennに投稿されているのを知りました。一つ例をあげておきますが、他の記事については以下のツイートをごらんください。
nitterのリンクをあげておきます。
https://nitter.net/yamnor

 

山本先生のいろんな資料については以下の過去記事もご覧ください。他の記事もあるので先生のお名前で検索してみてください。

山本典史先生による学生のためのAI活用講座の資料が公開されています。必見です!

量子化学入門に最適の資料が公開されています―千葉工業大学の山本典史先生のサイトをご覧ください。

高校レベルから大学レベルへつながる物理学講義と量子化学・分子動力学が簡単に試せるアプリの紹介です。

研究をする人向けの必読書『イシューからはじめよ』(改訂版)がAmazonのプライムリーディングで読めるようになっています!これはすごい!

今朝iPadでKindle本を読んでいて、久しぶりにPrime Reading (Amazonプライム会員なら追加料金なしで読めるKindle本)で読める本に何か良いものがないか探していました。すると、なんと安宅和人さんの「イシューからはじめよ」の改訂版が読めるようになっているのを発見しました。これはすごい。
Amazonプライムの会員になっている方は、是非ライブラリに追加して読んでみてください。安宅さんは、生命科学系の東京大学大学院でDNAを扱う分子生物学的手法での脳科学で修士まですすみ、マッキンゼーに就職、途中でアメリカの大学院に進学してそこで脳科学の研究でPhDを取得した方です。ですから生命科学研究を熟知しておられるうえに、その後またマッキンゼーに復職しYahooで活躍されていた時にこの本の初版をだされたようです。現在は慶応義塾大学教授。ラボのホームページはこちらです。
https://atakalab.org/

私は紙の本を初版、改訂版ともに買って持っているのですが、タブレットで読めるKindle本も便利ですので皆さんにおすすめします。
この本は、ビジネス書の賞もとっている名著です。前にも書いたように私のラボに来た人に必読書として推薦していた本です。簡単な前の記事も参照してください。

名著「イシューからはじめよ」の改訂版が出版されました!

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第38回)

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第38回)は、第37回以降にこのブログで紹介した本をまとめておきます。あちこちにちらばっていては探しにくいのでまとめてみました。さらに末尾には新しい本も追加してあるのでご覧ください。

402)  J.グドール 著 ほか『森の隣人 : チンパンジーと私』,平凡社,1973. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12637836 (参照 2025-10-05) 奥さんの大学時代の愛読書で私がはじめてグドールさんのことを知った本です。

403) H.バン・ラービック, J.グドール 著 ほか『罪なき殺し屋たち』,平凡社,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12637845 (参照 2025-10-05) グドールさん夫妻の本。夫はオランダ貴族で写真家だったそうです。

404) ジェーン・グドール ほか「世界は変えられる : 「希望」のかけ橋をつなぐ旅 : グドール博士講演会」『研究所報』(17),南山大学. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/9603611 (参照 2025-10-05) グドールさんが日本を訪れた時の講演会の記録です。2006年11月11日の日本の南山大学での講演会の様子がよくわかります。

405)  レオナルド・ダ・ヴィンチ [著]『マドリッド手稿』1巻,岩波書店,1975. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12420009 (参照 2025-10-15)

406)  レオナルド・ダ・ヴィンチ [著]『マドリッド手稿』2巻,岩波書店,1975. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12420010 (参照 2025-10-15)

407)  レオナルド・ダ・ヴィンチ [著]『マドリッド手稿』3巻,岩波書店,1975. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12420013 (参照 2025-10-15)

408)  レオナルド・ダ・ヴィンチ [著]『マドリッド手稿』4巻,岩波書店,1975. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12420014 (参照 2025-10-15)

409)  レオナルド・ダ・ヴィンチ [著]『マドリッド手稿』5巻,岩波書店,1975. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12420017 (参照 2025-10-15)

410)  松井喜三 編集・解説『レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖図集』,みすず書房,1971. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12670972 (参照 2025-10-15)

411)  高津道昭 著『レオナルド=ダ=ヴィンチ鏡面文字の謎』,新潮社,1990.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13262703 (参照 2025-10-15)

412)  加茂儀一 著『レオナルド・ダ・ヴィンチ伝 : 自然探究と創造の生涯』,小学館,1984.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12420088 (参照 2025-10-15)

413)  スタニスワフ・レム 著 ほか『ソラリスの陽のもとに』,早川書房,1977.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12576337 (参照 2025-11-14)

ソラリスにまつわる論考が載っている本もあります。これもとても面白いと思います。
414)  小阪修平 編『思考のレクチュール』4 (記号の死),作品社,1986.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12221638 (参照 2025-11-14)

415)  フランシス・クリック [著] ほか『生命この宇宙なるもの』,思索社,1982.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604328 (参照 2025-12-03)

フレッド・ホイルの本もおすすめです。こちらはホイルの宇宙からの生命に関する論文の翻訳を集めた本です。

415)  F.ホイル, Ch.ウィクラマシンゲ 著 ほか『宇宙からの生命』,青土社,1985.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604336 (参照 2025-12-03)

416)アレクシー・カレル 著 ほか『ルルドへの旅・祈り』,春秋社,1983.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12291541 (参照 2025-12-04) これはノーベル賞を受賞した医師カレルが奇跡の泉とよばれていたルルドを訪れたときの記録です。カレルは細胞培養の父でもありますが、培養した細胞を神のように祭っていたのは有名な話です。
417)アレキシス・カレル 著 ほか『人間 : この未知なるもの』,日本CI協会,1979.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12676141 (参照 2025-12-04) 同じくカレルの最も有名な本です。

418) 池田和義 著『力学への招待 : 微積分の基礎から彗星の運動まで』,現代数学社,1985.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592878 (参照 2025-12-04)

419)三宅泰雄 著『科学者の眼 : 人・自然・社会』,三省堂,1984.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12589608 (参照 2025-12-04) 先日紹介した本、長篇小説『翠雨の人』の主人公 猿橋勝子さんのメンターであった三宅先生の著書です。一読の価値がある本です。
420)三宅泰雄 著『死の灰と闘う科学者』,岩波書店,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12594403 (参照 2025-12-04) 私の子供のころは大気内核実験をアメリカ、フランス、ソ連、中共(中華人民共和国)などが行っていて、死の灰が日本に降り注いでいました。映画館で日本に降った雨水にガイガー・カウンターをあてるとガーガーと鳴り響くニュース映画を見ました(当時は、映画を見に行くと本篇の開始前にニュース映画という短いニュース番組が上映されるのが普通でした。日本の南極観測船・宗谷が氷の海に閉じ込められた時、ソ連の原子力砕氷船が助けてくれたというニュースもよく放映されていました!)。雨にあたったら禿げるとか、子供どおしで話題になっていたのを思い起こしています。この本は猿橋さんの小説にある核実験の放射能を調べる科学者の話です。三宅さんや猿橋さんなど日本の科学者の精密な化学測定の結果は、大気内核実験の禁止に大きく貢献したといわれています。この本も当時を知り、核戦争について知るための基礎資料として貴重だと思います。

小惑星Bennuのサンプルからなんと6種類もの糖が発見されました!

小惑星BennuからNASAのOSIRIS-REx探査機が持ち帰ったサンプルの中から、なんと6種類もの糖が検出されたというのがニュースになっています。東北大学の古川善博先生の論文です。
はやぶさ2がもちかえった、りゅうぐうからのサンプルは少なすぎて、糖を検出できなかったそうで、Bennuからのサンプルではじめて糖が検出できたのだそうです。6種類の糖が発見されており、グルコースとガラクトース、キシロースにアラビノース、そしてリキソースにリボースが見つかりました。糖鎖生物学をやっている私達からみると、ガラクトースやキシロースがみつかったことは大発見だと思います。グルコースは宇宙でその存在がみつかったのは初だそうで、これもすごいことですね。リボースはRNAを作る材料ですがDNAの材料であるデオキシリボースはみつからなかったとのこと。しかしRNAをつくるのに必要なウラシル、グアニン、シトシン、アデニン、リン酸はBennuのサンプルから見つかったそうです。
宇宙からふりそそぐ隕石や小惑星のかけらに生命をつくる材料が豊富に含まれていることがわかったので、地球上の生命の起源の研究も大きく進展しそうですね。また隕石のなかには生物らしき形を発見したという論文もいくつか過去に発表されているので、宇宙から生命がやってきたというパンスペルミア説もまたぞろ注目されそうです。
東北大学のプレスリリースの本文pdfはこちら。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20251203_01web_Bennu.pdf
東北大学の古川先生の論文はオープンアクセスなのでこちらから読めます。
https://www.nature.com/articles/s41561-025-01838-6
Furukawa, Y., Sunami, S., Takano, Y. et al. Bio-essential sugars in samples from asteroid Bennu. Nat. Geosci. (2025). https://doi.org/10.1038/s41561-025-01838-6

NASAの動画はこちら。
Bio-Essential Sugars Discovered in Samples from Asteroid Bennu
https://youtu.be/9LyH6jTefU8?

この動画や資料はこちらからダウンロードできます。
https://svs.gsfc.nasa.gov/14932
 パンスペルミア説についてはクリックの意図的パンスペルミア説の本も面白いですよ。
フランシス・クリック [著] ほか『生命この宇宙なるもの』,思索社,1982.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604328 (参照 2025-12-03)

フレッド・ホイルの本もおすすめです。こちらはホイルの宇宙からの生命に関する論文の翻訳を集めた本です。
F.ホイル, Ch.ウィクラマシンゲ 著 ほか『宇宙からの生命』,青土社,1985.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604336 (参照 2025-12-03)