物理学の本をダウンロードしてみよう―Internet Archiveの使い方5

ちくま学芸文庫にはさまざまな科学の名著が網羅されています。カタログを眺めてみると、どれをとっても読んでみたい本ですが、科学の古典もいろいろ含まれていてそれらが日本語で読めるのはとても素晴らしいことです。Internet Archiveには、この文庫でとりあげられている多くの本や、岩波書店その他から翻訳本がでている本が沢山収録されています。Internet Archiveからは、KINDLE, epubやpdf形式など電子書籍の形式を選んで、自分のタブレットやPCにダウンロードできます。後はアプリを使って辞書を自動でひきながら読めるので、英語その他の外国語の本を読むのもずいぶん楽になりました。本当にいろんな本がよめます。今日は物理の本を紹介しましょう。
たとえば 理論物理学の教科書の定番ランダウ・リフシッツの 理論物理学教程は日本語版も出版されていますが、Internet Archiveからは英語版が無料でダウンロード可能です。検索窓に
creator:”L.D. Landau”とかcreator:”L.D. Landau & E.M. Lifshitz”で検索してみてください。とりあえず「力学」へのリンク(第2版第3版)をはっておきます。
こちらのブログ(とね日記)に詳しい情報(一部リンク切れあり)もあります。第3版のありかは、このブログに教えてもらいました。
この「とね日記」にはファインマン物理学全巻が無料でオンラインで読めるというサイトの紹介などもあっておすすめです。ファインマンはアメリカの有名な物理学者で朝永振一郎やシュヴィンガーとともにノーベル物理学賞を授賞しています。彼の大学での物理学の講義は有名でとても面白い教科書です。またご冗談でしょうファインマンさんなどの本でも有名ですね。Internet Archiveには著作の朗読や動画を含めていろいろ無料でダウンロードできるものがそろっています。ここをご覧ください。
私の学生のときには、物理学者のガモフの本の翻訳をよく読んだものでした。ガモフは遺伝暗号の解読にも参加していたので生物学への影響も大きかった人です。宇宙の開闢の時にビッグバンがあったというのを提唱した人でもあります。そのガモフの本もInternet Archiveにはいろいろありました。George Gamowで検索してみてください。トムキンス氏の冒険とかもみつかります。
「物理の伝記」とか「1,2,3、無限大」それに前に紹介した「重力」とかもあります。p135あたりから以前紹介した Faradayの研究の話が書いてあります。
その他の科学の名著として、たとえば、ちょっと検索するだけで、
フォン・ノイマンの自己増殖オートマトンの理論
とか、
Theory Of Games And Economic Behavior ゲームの理論と経済行動とかもあります。
Norbert Wienerの本もいろいろありました。サイバネティクスで有名で、二次の確率過程であるWiener過程はランジュバン方程式の勉強の時におめにかかったことがあります。
サイバネティクス Cybernetics Or Communication And Control In The Animal And The Machine は有名な本ですね。他に検索してみると、彼の自伝とかもあります。

いろいろ検索してみてください。 田んぼに水が張られて田植えの準備がはじまりました。(2020年7月13日追記:新型コロナウイルス拡大にともなう支援策としてSpringer-Natureは多くの物理学、化学、生物学、統計学、数学その他の本を2020年7月末までの期間限定で無料公開しています。。本のリストはこの記事にありますので、本ブログのこの記事にあるリストをダウンロードして必要な本をダウンロードしてみてください。)(2020/11/24追記:無料公開している本の一覧を紹介したこちらの記事にも多くの本があげてあります。こちらはオープンアクセスですので、期間限定ではないのでダウンロードして利用されるといいと思います。)

最新の論文を探してみよう プレプリントサーバー bioRxivの利用法1

最新の論文を探すのには、PubMedやGoogle検索を使う方法が良く知られています。今回は、投稿前の論文、査読中の論文の探し方を紹介します。

論文を投稿する前に、完成した論文をプレプリントのかたちで公開サーバーにアップロードして皆に読んでもらい、プライオリティの取得もかねて意見を求めるというのは、昔から物理などで盛んな ならわしでした。現在では生命科学の論文用のプレプリントサーバーbioRxiv(バイオアーカイブと読みます)が盛んに利用されています。このサーバーを検索すれば最新の査読されていない またはここに公開と同時に査読中の論文を読むことができます。

bioRxivはCold Spring Harbor Laboratoryが維持しているプレプリントサーバーで、投稿すると内容をチェックした上で(非科学的な内容ではないか、テロに用いられるような危険な知識を提供するものではないか、剽窃した内容でないかなどのチェックです。査読してくれるわけではありません)翌日には公開されます。利用は無料です。

このサーバーはほとんどの著名な生命科学系の学術雑誌(ここに今日、ダウンロードした提携雑誌のリストがあります。投稿前に必ずこちらhttps://www.biorxiv.org/about-biorxivで確認してください。)と提携しており、bioRxivに いったん投稿しておけば、提携雑誌へ投稿する際は自動的にデータがその雑誌に移動できるようになっていて、投稿時にもう一回著者のリストを入れたりする手間はないのでおすすめのサービスです。投稿してしまえば引用可能になりますので、取り下げることはできません。利用法としては、査読のある雑誌への投稿と同時にこのサービスで投稿原稿を公開したり、bioRxivのサーバーで公開して皆にすぐ読んでもらった後で、査読のある雑誌に投稿することができます。またbioRxivに公開した後、コメントなどを参考に改訂してバージョンアップした後、投稿することも可能です。下の紹介動画をご覧ください。

私の良く知っている線虫の研究者、Josh Bembenekさんも盛んにこのサービスを利用しており、最近もこんな論文のプレプリントを公開しています。
https://www.biorxiv.org/content/early/2018/05/10/319657

線虫の細胞系譜にそって細胞質分裂の仕方が変化するという面白い内容です。

皆さんもbioRxivの検索画面で自分の好きなキーワードでいろいろ検索してプリプリントを探してみてください。最新の研究成果がいろいろ見つかると思います。

多くの雑誌ではプレプリントサーバーにアップロードして公開した論文は、投稿前のもの
prior to submissionとみなされます。中には投稿前にbioRxivでの公開を許さない雑誌もありますので、投稿前に十分調べてから投稿してください。Oxford Journal系の雑誌のように、公開プレプリントサーバーに公開しているものが投稿後にアクセプトされて掲載されるときには、すでに公開していたのだからといって、オープンアクセスの料金を払わねばならないところもありますので注意してください。各雑誌のポリシーは
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_academic_journals_by_preprint_policy
などにまとまっています。

他の分野でのプレプリントサーバーには、物理関係(経済分野も含む)のものや、は科学哲学関係のものなどもありますので、興味ある方は訪問してみてください。

ライフサイエンス辞書のコーパスを使った英語の書き方

ライフサイエンス辞書Life Science Dictionaryのサイトで、コーパス (corpus)を検索できます。先日紹介した広島大の河本健先生のページにある動画では、コーパス検索のデフォルトとしては、詳細検索を使うのがよいとのことでした。今回お伝えしたいのは、次の点です。

ひょっとしたらコーパス corpusの検索窓に、いつも一つの単語だけをいれていませんか?それはもったいないです!

コーパスの検索窓には、複数の単語の並びをいれることができます。たとえば、今論文を書いていて、 「GPIアンカー型タンパク質は、アーキアからヒトまで保存されいる」という英文が書きたいとします。アーキア(archaea)というのは古細菌ともいいます。
「アーキアからヒトまで保存されている」というのはどう書いたらいいでしょう?

まずライフサイエンス辞書のページのコーパスタブを開きます。でフルトの簡単検索画面がでますので、それにfrom archaeaといれてみましょう。

詳細検索をクリックして、表示数などを調整します。
最大1000 行表示にして、設定を記憶。冠詞や前置詞を文章内のリストに含めるなどにしています。
検索ボタンを押すと、from archaeaの部分の前後が表示されます。(表示されないときは、スペリングミスか、あるいは入力した句を含むコンコーダンスの例がみあたらないことを示します。たとえばfrom archeaとしてみてください。archeaでも正しいはずですが、用例がありません。)

上の図のコンコーダンスをみていくと、from archaea to humansという用例があるのがわかります。保存されているconservedという単語を使っている用例がないかなぁ、と詳しくみていくと(conservedという単語を画面で検索しただけですが)、ありました!
35番の文に古細菌からヒトまで保存されているという用例がでていました。

あとは、文の番号35をクリックすると、新しいタブが開いてこのように

PubMedの画面がでてきて要約Abstractの部分にある例文が容易にみつけられます(ブラウザ画面でhumansなどの単語で検索してハイライトさせてみました)。

これで目的の作文ができました。
こんな感じで、コーパスの検索窓にいろんな句を入力して用例を探すと、英文作成がずいぶんはかどりますので試してみてください。
コーパスはphrase 検索でつかわないともったいないです。

 

糖鎖生物学の最新の英語講義シリーズの紹介と、その他の面白いサイトの紹介です

このサイトですが、RSSフィードがこのブログページからしかでないというデフォルト設定でした。今日、プラグインをいれて、固定ページからもRSSフィードがでるようにしました。リンク集を今朝、すこし改訂して以下の記事のサイトもとりこみましたが(入れたばかりのリンクを赤い文字で表示してみつけやすくしました)、そうした固定ページへの変更もRSSフィードでわかるようになっているはずですので、是非、RSSフィードも使って訪問してくださるようお願いします。

さて本題です。ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins大学)医学部で2018年におこなわれている糖鎖生物学の最新の講義Introduction to Glycobiology(英語の講義です)が面白そうです。ビデオが順次アップロードされており、みるだけで糖鎖生物学の基本と医学とのかかわりが勉強できます。有名なG. Hart先生やその他の先生が講義されておりシラバスがここにあります。是非聴講してみてください。

その他、リンク集には:
科学技術振興機構JSTのバイオサイエンスデータベースセンターのポータルサイトへのリンクも載せました。中にはいろいろ役立つサイトへのリンクがありますのでクリックして探してみてください。
たとえば、新着論文を紹介している、
ライフサイエンス新着論文レビュー
最新のレビュー記事をのせている、
ライフサイエンス領域統合レビュー
など参考になるリンクがあります。自分に役立ちそうなサイトをブックマークして使ってみてください。

またバイオ系の英語の書き方については以下のブログも参考になります。
http://bioenglish.hatenablog.com/

ノーベル賞受賞者Sulston先生について

線虫C. elegansの研究でノーベル賞をとられたSulston先生が今年3月6日に75歳で亡くなりました。胃癌だったとのことですが、亡くなる一か月前までは仕事をしておられたとか。先生らしい最後だと思いました。昔、私がケンブリッジのMRC LMB (The MRC Laboratory of Molecular Biology )の John White先生のラボにいたとき、ハロウィーンのパーティーをSulston先生のご自宅でやるからということで、皆でうかがいました。夜でしたが、御庭の池のほとりには日本の提灯が灯をともしてぶらさげられていて、私もお土産に、息子の折った折鶴で口に小さな線虫を咥えているものを、何重もの箱の中にいれてお土産に先生に渡しました。先生は面白そうに箱を何回も開けて、やっとでてきた折鶴が、線虫をくわえているのをみて笑っておられました。

MRC LMBの線虫研究者John White先生の手で、世界で初めてレーザー共焦点顕微鏡が実用化された(MRC LMBの工場で組み立てたそうです)のですが、この MRCの線虫ラボには伝説の床というのがありました。Sulstonさんたちが世界ではじめて、線虫のすべての細胞の系譜Cell Linages(どの細胞がどんな細胞になるかという系譜)を明らかにしました。多細胞生物の細胞系譜の完全な記述は世界初の偉業でした。

その実験ノートが残っています。線虫の胚発生を実体顕微鏡で逐一観察し、丸椅子に腰かけて実体顕微鏡で線虫の発生する様子を逐一観察しては、ノートブックへ発生の様子を書き込み、また顕微鏡にもどって観察するという作業を繰り返していたそうです。その作業のたびに丸椅子がくるくる回るので、とうとう床に穴があいたのだそうです。それが伝説の床なのです。左の写真はその床の場所を私が撮影したものですが、さすがに床は修理されていました。

毎日4時間休みなしで観察する作業を2回くりかえし、18か月におよぶ観察で約1000個の体細胞からなる線虫のすべての細胞の発生の様子(細胞系譜:どの細胞が分裂して、どの細胞になり、どの細胞がいつ死ぬかなど)が明らかになりました(White先生が書かれたSulstonさんへの追悼の辞をごらんください)。そのノートの一例がMRC のサイトにありますのでご覧ください(写真)
A4のノートの一行目に日付が書いてあります。細胞は色鉛筆で色分けされて示してあります。観察しているSulstonさんに一番近い細胞が赤、その下が緑、次に離れているのが黒、次が青、次が紫という色分けで3次元の細胞配置をスケッチしています。、観察している時間が発生中の胚の部分の絵の左上に書き込んであります。丸で囲んであるのは、胚の発生開始後の時間です(分表示で205分、215分とか書いてありますね)。
当時は、自動で胚発生を観察して記録するシステムもなかったので、すべて直接観察で手書きでスケッチしていったのですね。ものすごい努力です。
私がMRC LMBの線虫ラボに留学していたときには、White先生がパイオニアのレーザーディスクに発生の様子を自動記録するシステムを完成させておられて、観察と記録がもうすこし楽にできるようになっていました。ちなみに、White先生はレーザー共焦点顕微鏡の開発の他、線虫の300個程度の全神経回路網(どの神経が体のどこにあって、その神経細胞がどの細胞と接触しているかというのの全貌:今でいうコネクトーム)を解明したのでも有名です。

Sulston先生はその後、線虫ゲノムの配列解析の偉業にとりくまれて、完成。多細胞生物ではじめての全ゲノム配列の決定に成功しました。このプロジェクトの経験は、続いてSulstonさんと Bob Waterston先生(当時MRC LMBのポスドクで、セントルイスのワシントン大学へ移動)がとりくんだヒトゲノム配列の決定に大きく寄与したのです。Sulstonさんや線虫の研究者は、得られた成果を囲いこむことなく広く皆で共有するという秀逸な方針をもちつづけたため、ヒトゲノム配列の決定結果を売りだしたVenterたちとは対立し、急いでヒトゲノム計画を完成させました。、他にも乳癌遺伝子の成果を特許で囲い込もうとする動きにも鋭く対立しておられたと記憶しています。近年は生命科学と倫理の問題にとりくんでおられたと聞いています。

ここに載せている実験ノートの写真もCC BY 4.0といういう自由に利用できるという宣言がなされているものです。Sulstonさんの研究データの公開、共有という方針とおなじですね。

歴史にのこる科学者Sulston先生のご冥福をお祈りするとともに、その精神を受けついていくのが大事だと思います。

NCBI Bookshelfの紹介と、糖鎖生物学の教科書、糖鎖科学のロードマップの紹介です。

ランチョンセミナーでも紹介しましたし、またこのサイトのリンク集にもあげてありますが、NCBI Bookshelfには様々な生命科学の本がアップロードされており、自由にオンラインで読めたり内容を検索して読んだりできるので、勉強や研究にとても役立つ、活用できるサイトです。ストライアーの生化学(第5版)だのMolecular Biology of the Cellの古い版(第4版)などもありますので、本のタイトルを見るだけではなく、ページの一番上にある、キーワード検索ボックスを活用していろんな本を縦断検索してみてください。レポート作成や、新しい分野の研究のための予備知識の収集、セミナーや授業の準備などに大いに役立ちます。

私達の研究している糖鎖生物学の定番の教科書Essentialsof Glycobiologyの第3版(Cold Spring Harbor Press社、2017年発行の最新版です)がこのサイトにあるので、オンラインで無料で読むことが出来ます。編集者のEskoさんのカリフォルニア大学サンディエゴ分校のサイトには、この本の図(低解像度版)と図のパワーポイントスライドをダウンロードできるようにしてありますので、興味のある方は訪れてみてそこに書いてある著作権に留意した上でご利用ください。
糖鎖生物学は、アメリカでは研究のロードマップが公開され、集中的な予算投下で研究が猛烈に進んでいる分野です。アメリカの医療研究機関では糖鎖生物学の研究者がひっぱりだこで、人材不足になっているという話です。この糖鎖科学研究のロードマップ(Transforming Glycoscience
A Roadmap for the Future, National Research Council (US) Committee on Assessing the Importance and Impact of Glycomics and Glycosciences))もBookshelfに公開されていますのでご覧ください。pdf版もここからダウンロードできます。
これは日本語訳も発行されていますが、日本でも最新の研究成果をふまえたグライコサイエンスのロードマップが完成しており、ほどなく公開される予定です(私も執筆しています。英語版も発行されます)。

 

夏目漱石や芥川龍之介、その他日本の著者の本を読んでみよう―Internet Archiveの使い方4

私の昨年12月のランチョンセミナー(ConBio2017)では、Internet Archiveの使い方に軽くふれただけでしたので、このブログでYouTubeの動画よりももっと詳しく紹介する記事を続けています。
私が英国のケンブリッジ大学に留学していた時、ケンブリッジ大学図書館の利用票をもらったので、よく大学図書館に通いました。図書館には英語の本だけではなく、中国語や日本語の本も沢山所蔵されていました。日本語の本では、夏目漱石全集だの芥川龍之介全集、坪内逍遥訳のシェークスピア全集など様々な本があったので、当時小学校に通っていた子供の勉強にも役立ちました。
Internet Archiveには、下で紹介した寺田寅彦の青空文庫だけではなく、寺田寅彦全集も収録されています。私がみた範囲では一巻だけ欠落していますが、ほぼ全巻収録されています。また夏目漱石全集、芥川龍之介全集、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)全集、夏目漱石の奥さんの「漱石の思い出」、芭蕉の俳句集、その他いろんな日本語の本が読めることがわかるでしょう。多くは外国の大学図書館の日本語書籍コレクションをネット公開しているものです。探し方はいろいろあるとおもいますが、夏目漱石の本を探す時の一例を画像を交えて紹介します。(画像はギャラリー表示しているのでクリックすると大きく表示されます。)

Internet Archiveのホームページにアクセスして、Search Metadataにnatsumeと入れる。漱石がsosekiになるのか、sohsekiか などがわからないので名字だけいれます(一番上の画像)。
そして左のMedia Typeのtextsのボックス(上から二番目の画像)にチェックを入れ本や論文など、テキストファイルだけに表示をしぼります。さらに、AvailabilityのところにあるAlways Availableにチェックを入れると無料で読めるものだけに表示がしぼられます(上から3番目の画像)。本の表紙などの画像が自動で表示されますので、あとは画像を上から順にみていくだけです。マウスをドラッグして表示の下まできたら、 マウスをさらに下にドラッグするとFetching more resultsというメッセージがでて矢印がくるくるまわり、さらに本が表示されますので、どんどん表示させてみていってください。画像をみていくとマンガとかもヒットしていますが、それはnatsumeで検索しているから漱石でないnatsumeさんがヒットしているわけです。今回はそれは無視して画像をみていくと、漱石の作品の英訳本や漱石の伝記、「漱石の思い出」などがあって、その下あたりに漱石全集の画像があると思います(一番下の画像)。クリックすると本が表示されますので読んでみてください。虫メガネのアイコンをクリックすると画像を大きくして読むこともできます。
今回はtextにチェックをいれて表示を本に絞りましたが、チェックをいれないで検索するのもやってみてください。漱石の作品の朗読なども聞けます。いろいろ試してみてください。

ノストラダムスの大予言がふっとぶ予言書? ルクレチウスの事物の本性について-Internet Archiveの使い方3

このところ紹介しているInternet Archiveは、様々な本が登録されていて、pdfのほか、epub形式その他 様々な形式でダウンロードできます。iOSの人もwindowsの人も、Linuxの人もKindleの人も、それぞれにあった形式の電子書籍をダウンロードできるのがすごいところです。もちろん動画や音楽なども登録されているのでそちらをいろいろみてみるのも楽しそうです。今日はInternet Archiveに入っている、紀元前のローマの詩人、古代ギリシャの原子論を現代に伝えているルクレチウスの本(英語への翻訳版)”On the Nature of Things”「物の本質について」を紹介します。この本は、ピュリッアー賞をとった「1417年その一冊がすべてを変えた」(原題はThe Swerve: How the World Became Modern という本によって、一躍 欧米で注目された本で、有名なビーナスの誕生の絵はルクレチウスの著作の始めの部分をモチーフにして描かれているという説もあります。
日本では寺田寅彦が随筆「ルクレチウスと科学」でやさしく紹介したので、昔から有名で、私が初めてルクレチウスの名前を知ったのも岩波文庫で寺田寅彦随筆集を読んだ時でした。子供向けの本(「原子の歌 宇宙をつくるものアトム」 (科学入門名著全集)など)としても翻訳がでていました。寺田寅彦のこの随筆はInternet Archivesにも収録されていて、全文はここにあります。これは日本の青空文庫のものをアップしてあるのです。この随筆をみてすぐに岩波文庫の「物の本質について」を買ってきて読みました。

寺田寅彦の紹介を読んでもらえばわかりますが、この本は19世紀から20世紀にかけて多くの科学者に読まれ、インスピレーションの源泉として利用された本です。成立したのは紀元前1世紀、原子論で有名なエピクロスの学説を詳しく伝えているとされる本です。1417年、ドイツのとある修道院でこの写本がみつかりこの一冊がルネサンスをよびよせたともいわれるほど大きな影響を与えました。神々の怒りに恐れている人々に、この世には原子と空虚しかなく、原子は不滅であるので何も恐れることはないと説くこの本は、宗教に脅されている人々には強い味方となったと思います。すべてが決定論的におこらないように、ルクレチウスのアトムはときどきランダムなずれの運動(swerveと訳されています)をおこなうと書かれています。まるで量子力学の波束の収縮の予言、あるいは波動関数の確率解釈の予言みたいですね。

寺田寅彦の紹介を読むと、ルクレチウスは現代科学を生む原動力になったのがよくわかります。ノストラダムスの大予言というのが昔、はやりましたが、ルクレチウスの本は、ノストラダムスよりも、もっともっと影響力の大きい予言書として働いたという言い方も可能かもしれません。さまざまな科学者がルクレチウスを読んでそれをどう解釈して科学に役立てるかを考えたようです。ルクレチウスと科学についてはInternet Archiveにもいろいろ本がならんでいます。寺田寅彦の随筆には、Munro訳のOn the Nature of Thingsについて触れられていて、これはInternet Archiveにアップロードされており(全3巻)、 その第2巻に、寺田寅彦の紹介している物理学者のAndradeの序論(The Scientific Significance of Lucretius)が載っています。寅彦の読んだ本を今、ネットで自由にダウンロードしてタブレットやパソコンで読める時代になっているのですね。感慨もひとしおです。

この原稿を書こうとネット検索しているとき以下のページにルクレチウスの本の英訳をみつけました。Vancouver Island Universityの名誉教授Ian Johnston先生が、なくなったお子さんに捧げているページです。そこにはルクレチウスのほか、ホメロスモンテーニュ、カフカカントの著作(「永遠平和のために」など)もアップロードされていますし、「ダランベールの夢」とか、デカルトの方法序説省察ニーチェの著作などもあって、とてもいいサイトになっていましたので、ご覧ください。ルクレチウスについての紹介の他、Munro訳をもとにした新訳がアップロードされていてオンラインで読める他、rtf版もダウンロード可能です。(2022/3/2追記:日本語で読めるルクレティウスの解説本について記事を書きましたのでそちらも参照してください。

 

宇宙から見た地球

国際宇宙ステーションからみた地球のライブ映像がインターネットで提供されています。iPhoneとかAndroidとかの携帯のアプリ ISS HD Liveをダウンロードしてインストールすると、写真のようなライブ映像(iPhoneのiOS対応アプリで撮影)がみられます。携帯を90度かたむけると地球の映像がフルスクリーンになります。地図とともにあと何分で夜に入る、あと何分で朝になるなどが表示されますので、この図のような写真をとるのも簡単です。

パソコンで見られるサイトはいろいろありますが、たとえば例えばこことかこことかがあるようです。

宇宙からみた地球はとてもきれいで感慨もひとしおです。是非ごらんください。

ライフサイエンス辞書のコーパス活用法の動画がでています

ライフサイエンスディクショナリーのページに、「ライフサイエンス辞書・英語共起表現の活用法(広島大学ライティングセンター・河本健」が紹介されていました。まだみていませんが、とても役立ちそうです。こちらには河本先生のコーパスについての解説もあります。

近所のキンランは、合計5株花が咲いています。すこし画質のいい写真をならべておきます。