癌細胞や幹細胞では酸素が存在しても呼吸系よりも解糖系の作用が亢進していることが知られており盛んに乳酸が産生されています。この現象は、これを詳しく研究したドイツの偉大な生化学者ワールブルクWarburgにちなんでワールブルク効果と呼ばれています。Warburgは晩年、癌の治療にこの好気的解糖の阻害が効果があるはずだという仮説をたてて、癌の治療法を開発しようとしていたことも有名です。
このWarburg effectを哺乳類の細胞でなくしてしまうことに成功したというプレプリントが発表されました。その結果は、増殖がとまることなく呼吸系を用いて細胞増殖が普通におこるという結果だったそうです。プレプリントと、この研究を行ったPIによる一連のツイートをご覧ください。
After ~8 years, happy to share work done w/@Nathan_E_Lewis showing you can eliminate the Warburg effect in mammalian cells-w/out impacting growth rate!-by simultaneous knock out of pyruvate dehydrogenase kinases and lactate dehydrogenases.
Thread below:https://t.co/MDUI7CVOF4
— Hooman Hefzi (@hhefzi) August 8, 2024
プレプリントはこちらです。
Multiplex genome editing eliminates the Warburg Effect without impacting growth rate in mammalian cells
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.08.02.606284v1
ワールブルクの簡単な伝記は丸山工作先生の書かれた『生命現象を探る―生化学の創始者たち』(自然選書)で読めます。
国立国会図書館の個人送信資料へのリンクをはっておきます。
https://dl.ndl.go.jp/pid/12603521/1/98
ワールブルク効果についてはこの辺りに書かれています。
https://dl.ndl.go.jp/pid/12603521/1/119