国立国会図書館デジタルコレクションの個人送信資料で無料でよめる本の紹介―第2回です。
今日は科学読み物で、私がこれは面白いと思ったものを紹介します。まずは私の大学院の指導教官だった岡田先生の気楽に読める本 2冊です。
岡田先生のお父さんは有名な芭蕉一門の研究者で伊丹市長もつとめていた方ですが、鳥マニアでどうしても欲しい鳥が神戸港に着いた船にのせられていて、その鳥を買うために抱き合わせ販売でゾウを買って飼育していたという話もでてきます。岡田先生の留学先のボスだったワディントンやエバートさんのボスとしての違いなどもとても参考になると思いますので是非、二冊ともお読みください。(番号は昨日からの通し番号です。)
9)岡田節人, 田原総一朗 著『細胞に刻まれた未来社会』,朝日出版社,1985.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12602948
10)岡田節人 著『生命科学の現場から』,新潮社,1983.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12603162
岡田先生の本には、ノーベル賞をとったフランスの生物学者ジャコブが竹市雅俊先生の細胞接着分子の研究の競争者として登場します。そのジャコブの有名な本も読めます。
11)フランソワ・ジャコブ 著 ほか『生命の論理』,みすず書房,1977.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604965
次の2冊は丸山工作さんの本です。12)は生化学の創始者の読みやすい伝記です。セントジェルジやワールブルク、クレブスなど生化学の創始者たちについて知るにはよい本です。13)はクレブスサイクルで有名なクレブスが、ワールブルクについて書いたという得難い本の翻訳です。ワールブルク効果で有名な生化学者ですが他にもすごい業績をあげた人です。
12)丸山工作 著『生命現象を探る : 生化学の創始者たち』,中央公論社,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12603521
13)H.クレブス 著 ほか『オットー・ワールブルク : 生化学の開拓者』,岩波書店,1982.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12603274
物理の本にうつって、アインシュタインが来日した時の講演について知ることができるのは次の本です。
14)石原純 著『アインシュタイン講演録』,東京図書,1978.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592509
次の山内恭彦 先生の本はとてもすらすらよめる面白い本です。物理を専門としない人にもすらすらよめます。
15)山内恭彦 著『現代科学論 : ある物理屋の見た世界』,筑摩書房,1970. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12590068
湯川先生のエッセイや文章は以下の自選集で堪能できます。古本で買おうかと迷っていたのですがオンラインで読めるようになっていて驚きました。
16)『湯川秀樹自選集』1 (学問と人生),朝日新聞社,1971. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12407619
朝永先生について知りたいときは以下の二冊がおすすめです。
17)松井巻之助 編『回想の朝永振一郎』,みすず書房,1980.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12194005
18)伊藤大介 編著『追想朝永振一郎』,中央公論社,1981.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12225593
物理学に関する本では以下のものが面白いです。
19)E.P.ウィグナー 著 ほか『自然法則と不変性』,ダイヤモンド社,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12609298
自然科学において数学がおかしなほど有効であることについて という有名なエッセイも入ってます!
映画オッペンハイマーをみて原爆、水爆開発について興味を持った人には、水爆の開発者ウラムの本はいかがでしょうか。
20)ウラム 著 ほか『数学のスーパースターたち : ウラムの自伝的回想』,東京図書,1979.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12221623
渡辺慧さんと奥様の共著も面白そうです。
21)渡辺慧, 渡辺ドロテア 著『時間と人間』,中央公論社,1979.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12226193
数学のエッセイや啓蒙書はいろいろあるので後日取り上げようと思いますが、今日は次の2冊を紹介しておきます。若くして亡くなられた京大の小針先生の本です。
22)小針晛宏 著 ほか『数学の七つの迷信』,東京図書,1986.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12608719
23)小針晛宏 著『対話・現代数学入門 : すべての人に数学を』,講談社,1970. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12607345
検索してみつけたのですが、有名なクーンの本も読めます。
24)トーマス・クーン [著] ほか『科学革命の構造』,みすず書房,1971. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12590209
パラダイムという言葉がこの本で有名になったのですが、上の渡辺慧さんや藤永茂先生はこの本を厳しく批判しておられます。クーンよりはるかに業績のある科学者であるぽらにーや、有名な哲学者バシュラールによる次の2冊を読んでみたあとで、クーンの本を眺めるのがよいと思われます。
25)マイケル・ポラニー 著 ほか『暗黙知の次元 : 言語から非言語へ』,紀伊国屋書店,1980.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12286629
26)G.バシュラール 著 ほか『新しい科学的精神』,中央公論社,1976.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12590104
バシュラールの著作は他にもたくさんありますが、ほとんどの本が国立国会図書館デジタルコレクションで読めるようになりました。
明日は、科学の入門書や専門書をとりあげる予定です。