論文やプレプリントを一挙に検索できるEurope PubMed Centralの使い方(1)

今日はEurope PMC (PubMed Central )の使い方をまとめてみます。長くなるので二回にわけます。

Europe PMCでPubMed・PMC・プレプリントをまとめてRSS監視する

PubMedでは検索式をRSS feedとして登録しておくことで、自分の研究分野の新着論文を継続的にチェックできます。以前この方法を紹介した記事を書きました。

生命科学系論文の探し方―PubMedの定期的検索

しかし最近は、正式な論文としてPubMedに収載される前に、bioRxivなどのpreprint serverに重要な研究成果が公開されることも多くなっています。そこで今回は、PubMedだけでなく、PMCの全文とpreprintも含めて一括検索し、その検索結果をRSSで監視する方法としてEurope PMCでのRSSの設定方法をまとめます。

Europe PMCとは

Europe PMCは、EMBL-EBIが運営する生命科学・医学文献データベースです。
https://europepmc.org/
PubMedだけのヨーロッパ版というわけではありません。また米国で公開されているPubMed Centralは全文が読める論文のみを集めているもので、Europe PMCよりずっと狭い範囲の論文データベースです。
Europe PMCは:

  • PubMedに収録されている文献
  • PubMed Central(PMC)の全文
  • bioRxiv、medRxiv、Research Square、orgなど多数のpreprint server
  • Agricolaなどの追加文献データ

などが統合されている大規模のデータベースです。したがって、一つの検索式で査読済み論文とpreprintを同時に検索できるのが大きな特徴で便利な点です。Europe PMC公式サイトによれば、PubMedとPMCからのデータは日々取り込まれているそうです。

PubMedで使っていた検索式

最初に紹介した記事では、PubMedで、C. elegansについて次のような検索式で検索を行っていることを紹介しました。

elegans AND (glyco* OR sugar OR transferase OR proteoglycan OR fatty OR
fat OR division OR meiotic OR meiosis OR GPI OR lipid OR sphingo*)
AND 2003[EDAT] : 2030[EDAT]

glyco* の * はワイルドカードで、glyco*と書けば、glycan、glycosylation、glycoproteinなど、glyco から始まる語を広く拾うことができます。

PubMedの検索式をEurope PMC用に書き換える

Europe PMCでも * のワイルドカードが使用できるので、上の検索式の検索語の部分はほぼそのまま移植できます。注意する必要があるのは日付指定です。

PubMedで使われる2003[EDAT] : 2030[EDAT]という表記はEurope PMCでは使用できません。
Europe PMCで「最初に公表された日」を指定する場合には、
FIRST_PDATE:
を使用します。したがって、上の検索式はEurope PMCでは次のように書き換えて利用できます。

elegans AND
(glyco* OR sugar OR transferase OR proteoglycan OR fatty OR
fat OR division OR meiotic OR meiosis OR GPI OR lipid OR sphingo*)
AND
FIRST_PDATE:[2003-01-01 TO 2030-12-31]

FIRST_PDATE は、その文献が最初に公開された日付で、電子版と印刷版のうち早い方を基準にするフィールドです。Europe PMCの検索画面でPublication dateを指定した場合にも、この FIRST_PDATE が使用されます。したがって、FIRST_PDATE:[2003-01-01 TO 2030-12-31]は、

「2003年1月1日から2030年12月31日までに最初に公開された文献」という意味になります。

なお、Europe PMCにはCREATION_DATE:という別の日付フィールドもあります。これは論文の発表日ではなく、そのレコードがEurope PMCデータベースに登録された日を意味します。

新着論文をRSSで監視するだけなら、通常は検索式に CREATION_DATE を書く必要はありません。RSS自体が、新しく検索結果に加わった文献を知らせてくれるからです。

Europe PMCでは検索範囲がPubMedより広くなる

ここは重要な違いです。上のように単にelegans

やglyco*

と入力すると、Europe PMCでは利用可能な全文も検索対象になります。PMCに全文がある論文や、一部のpreprintでは全文まで検索されるため、PubMedで同じ単語を検索した場合よりも多くの文献がヒットする可能性があります。Europe PMC自身も、全文を検索できることをPubMedとの違いの一つとして挙げており、これは文献を広く拾う目的なら非常に大きな利点です。その一方で、fatやdivisionのような一般的な単語を含む検索では、本文中にたまたまその語が登場しただけの論文まで拾い、検索結果がかなり増える可能性があります。そのあたりは検索式をつくるときに注意してください。今日はここまでにします。
とりあえず、Europe PMCのサイトにいって、上の検索式をいれて検索して感じをつかんでみるのがよいでしょう。RSSフィードも簡単につくれます。ただし上の検索式の日付範囲指定の部分があるとエラーになってRSSフィードがつくれません。検索では日付範囲指定が使えるのですが、RSSフィードでは使えない仕様になっているようです。(PubMedの方は日付範囲指定をしていてもRSSフィードはつくれます。)