The Royal Institutionで開催されたマルチバースの解説動画がとても面白そうです。
Quantum Paradoxes: 5 Ways to Test the Multiverse | Maria Violaris
https://youtu.be/B1WP3jgavbA
講師のMaria ViolarisさんはOxford大学でPhDを取得したOxford大学の研究者で量子コンピュータの専門家です。一般向けの活動で表彰された人で、YouTubeチャンネルやPodcastも評判になっているそうです。
この動画では、マルチバースの存在を検証する5つの実験についてわかりやすく解説してくれています。
量子力学が示す「重ね合わせ状態」が、観測された時ににどうなるのかという根本的な問いについての話から講演が始まります。単一世界解釈(コペンハーゲン解釈など)では、観測によって量子状態は一つの結果に「不可逆的に収縮(コラプス)」するとされていますが、多世界解釈(Many-Worlds Interpretation)では、 観測者自身も量子力学に従う原子でできているため、系と観測者がエンタングルして「もつれ」状態になり、重ね合わせが宇宙全体に波及して世界が分岐するという立場をとるのだそうです。講演ではマルチバースの存在を検証するための実験や思考実験を5つとりあげています。シュレーディンガーの猫の実験の観測の逆再生は可能かという思考実験(量子コンピュータの誕生にもかかわる思考実験だそうです)、量子爆弾テスト(Elitzur-Vaidmanの爆弾テスト)の実験結果がマルチバースの存在を実証しているのかという話、量子テレポーテーションと局所性 の解釈にはマルチバースの立場の方が有効ではないかという話、量子コンピュータの圧倒的な計算リソースがマルチバース由来ではないかという仮説の検討、Mariaさん自身の研究テーマである、「分岐した別の世界の自分と通信することは可能か?」という究極の問いに対しては、現在はまだ可能ではないがAIを搭載した量子コンピュータが完成すれば可能になるのではないかと考えているそうです。
とても面白い動画なので是非ご覧になることをお薦めします。彼女のPodcastにはマルチバース関係のものもいろいろあります。
マルチバースの解説動画
Part 1 数式なし編
The Physicist Convinced There’s a Quantum Multiverse
https://youtu.be/kdd-tAvFdOI
Part 2 数式入り編
The quantum multiverse: explained mathematically
https://youtu.be/4Z4YPSiV6bM
彼女のIBMでの解説シリーズQuantum paradoxesも理解を助けてくれると思います。https://www.mariaviolaris.com/quantum-paradoxes/
YouTube動画もあります。たとえばこちらの日本語記事からリンクをご覧ください。Royal Institutionの動画ででてくるWignerの友人の解説があります。
https://www.ibm.com/jp-ja/think/insights/wigners-friend-qiskit
入門には今週土曜日のこのNHKの番組がよさそうですね。
7月4日(土) NHK総合で午後7:30から「知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?」で、『宇宙とはなにか』が放送されます。
タモリさん、山中伸弥さん、新MCのMISIAさんに加え、ゲストには私の同僚である村山斉教授が登場します。…— 野村泰紀(Yasunori Nomura) (@YasuNomu1) July 2, 2026