ブルーバックス「新しいゲノムの教科書 DNAから探る最新・生命科学入門」の紹介。

今日から神戸大学で開催される「計算生命科学の基礎10」の聴講をはじめました。
このシリーズ講義はこのブログでも何度もアーカイブの動画などを紹介していましたが、今回は自分で聴講することにしました。この「計算生命科学の基礎」の講義は今年で10年目を迎えるそうで、その間にゲノム解析、Cryo電顕技術、AlphaFoldやChatGPTで代表されるAIと機械学習の研究の大発展があったわけです。
まさに今、人類はルネサンス以来の科学の大発展を目撃していることになりますね。
今日は中井 謙太 先生(東京大学医科学研究所 教授)による入門的講義「ゲノムインフォマティクスの基礎」をZoomで視聴しました。

私が九大で担当していた「分子発生生物学」で紹介していた内容: ヒストンコード、RNA-seq、ChIP-seqやATAC-seq、Hi-Cなどがどのように現在発展して、使われているかがよくわかって、古い知識のブラッシュアップができてよかったです。また最新の生成AI とtransformerによる遺伝子発現の推定(Enformer: https://www.nature.com/articles/s41592-021-01252-x)やスプライシング部位の推定などがかなり実用的レベルまですすんでいることも知れてよかったです。
なお、今のべたDeep Mindの開発しているenformerについての日本語の解説は、田口 善弘 先生のこちらの記事がよいと思います。
https://qiita.com/Yh_Taguchi/items/5cc86cf1839eeb9be1fb

今回の中井先生の授業で教えてくださった基本的な内容については、中井先生が今年だされたブルーバックス「新しいゲノムの教科書 DNAから探る最新・生命科学入門」
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000373371にあるので、興味のある方は読んでみるとよいと思います。授業のスライドの多くはこの本からとったものを使っておられて、授業理解のための教科書として先生も紹介されておりました。 すくなくとも私の授業を聞いたことがある卒業生の方なら、ほぼ完全に理解できるよい教科書だと思います。おすすめの一冊です。