英語でのプレゼンテーションの練習をChatGPTでおこなう方法について先日紹介しました。
今日は追加で、英語で演説するための手引書を紹介します。朝ドラのカムカムエブリボディで最初のラジオ英語会話を担当された平川先生が登場しましたが、平川先生の後を引き継いだのは松本亨先生でした。
松本亨先生がカムカム先生の後をついでラジオ英語会話を担当されたという体験談は、松本先生の本「Hello Friends」に詳しいです。興味のある方は国立国会図書館の個人送信資料でご覧ください。
https://dl.ndl.go.jp/pid/2494554
なぜか松本先生については朝ドラではふれられませんでしたが、私が高校生の頃は、松本先生の英会話の時間をいつも楽しみにしていました。その松本先生は上にリンクを張ったブログ記事で紹介したように、ユニオン神学校の奨学金を得で日米学生会議で米国留学中に日米開戦となり、日系米国人とともに強制収容所にいれられた経験をお持ちです。戦争中に収容所からだされて米国各地の教会や集会で「本当の日本人として」講演や説教(松本先生は米国で牧師の資格を取得されていました)をした方です。ノーベル文学賞を受賞したパール・バック女史に依頼されて日米戦争の最中に講演されたこともあるそうです。こういう英語講演の名手が、戦後の日本人のために書かれた本が「英語演説」です。国立国会図書館の個人送信資料でよむことができますので、是非ご覧ください。https://dl.ndl.go.jp/pid/2509053
序文にはこうあります。「この本は、テーブル・スピーチとか、3分間演説の雛形を紹介するハンドブック的なものではありません。大勢の人の前で、英語で自己を主張する技術―public speaking―の原則と実際について、私の経験と知識を通して、野心ある英語青年に贈るために書いたものです。」
この本では、英語演説での声の出し方、イントネーション、話の運び方、演説の構成の仕方など、ご自身の経験をもとに詳しく説明してくださっています。後半には、世に有名な演説も収録、紹介されているので自分で英語演説する人はもちろん、英語演説とはどんなものかを知りたい人にも役立つ本になっています。昔の本ですので、スライドを使って講演するという現代のスタイルとは違って、話と表情、アイコンタクトなどだけで相手に伝える演説のやり方です。目次をご覧になってわかるように今でも大切な、I 人の前で話す心構え、II 聞く人を知ることの重要性、そしてIII タイトルのえらび方,つけ方 V スピーチの構造などについても詳しく書かれています。
以下が国立国会図書館のサイトからコピーしたこの本の目次です。
目次/p5
I 人の前で話す/p7
II 聞く人を知れ/p22
III タイトルのえらび方,つけ方/p29
IV スピーチの内容/p46
中学生の部/p46
高校生の部/p58
大学生の部/p72
社会人の部/p88
V スピーチの構造structuring a Speech/p97
VI 発声法Elocution/p106
VII 有名な演説/p113
山上の垂訓/p114
マーカス・アントーニアス/p130
チャーチル首相の就任演説/p134
ケネディ大統領の就任演説/p146
ジョンソン大統領の就任演説/p158
VIII スピーチこぼれ話/p172
IX 発音上達のためにPronunciation Aid/p179
第1表/p181
第2表/p192
最後の表は、演説のときrとlの発音を間違いやすい単語のリストや、発音の難しい単語の代替語のリスト、および演説の必須な単語のリストです。これらの単語は是非使えるようにしておきましょう。
また、目次のVII「有名な演説」にあるマーカス・アントーニアスの演説はこんな感じです。
Friends, Romans, countrymen, lend me your ears;
I come to bury Caesar, not to praise him.
The evil that men do lives after them;
The good is oft interred with their bones;
So let it be with Caesar. The noble Brutus
Hath told you Caesar was ambitious:
If it were so, it was a grievous fault,
And grievously hath Caesar answer’d it.(以下略)
本文には、演説の際に強調すべき単語に印がつけてあって、演説の時に留意すべき点も解説されています。この演説は、実はシェイクスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー」の戯曲に載っている演説です。とても有名な演説ですので、私の好きな英国のテレビドラマ(BBCの「ブラウン神父」)をみていたら、この演説をもじったセリフがでてきて驚きました。英国人はシェイクスピアをよく知っていますね。息子が英国の小学校に通っていた時、お世話係になってくれた男の子が、家によく来ていましたが、彼はTo be, or not to be, that is the questionとかいって遊んでいました。ハムレットです。
この英語演説の本にある、有名な演説ですが、YouTubeでこの本にのっている演説を聴くことができます。
こんなのはどうでしょう。Charlton Hestonの映画です。
Charlton Heston Mark Antony speech “Julius Caesar” (1970)
https://youtu.be/0bi1PvXCbr8
これはチャーチルの演説です。https://youtu.be/s_jYYl74awM
ケネディ大統領やジョンソン大統領の就任演説もYouTubeで本人による演説を聴くことができます。キリストの山上の垂訓はさすがに本人の演説はきけませんが、検索するといろんな俳優さんの演ずるキリストが演説する動画を聴くことができます。
是非一回、松本亨先生のこの本を読んでみて、これらの演説も聴いてみてください。英語で講演するときの参考になります。