言語処理学会のチュートリアルや招待講演が面白そうです。

言語処理学会という学会をご存知ですか?私は最近までその存在を知りませんでした。
学習院大学の田崎先生が次のツイートを紹介されていたので初めて知りました。

 

言語モデルの内部について学べる動画のようで見てみたいと思いました。https://youtu.be/h1hPultagtA?

言語処理学会はこういう言語モデルについての動画を多数公開されているようです。YouTubeのチャンネルから選んで視るのもよいと思います。
https://www.youtube.com/@anlpyoutubechannel7888/videos

岩波新書の「英語独習法」の今井むつみ先生の動画もありました。
言語処理学会 30周年記念シンポジウム 招待講演2: 言語習得に記号接地は必要か 今井むつみ
https://youtu.be/dyU_-S4DIE4?

以前紹介したように私には読み通せなかった本を読むのに役立つかもしれません。
記号接地という用語が説明を読んでも意味不明でした。オノマトペとかいうのも違和感があってそこで挫折しました。

今井むつみ先生の講義動画と、Blueskyでみつけた英語論文の書き方についてのツイートを紹介します。

ショウジョウバエでヒトのALSを研究する―NIHの講演がわかりやすかったです。

今日はNIH videocastで公開された、ショウジョウバエをモデル生物として使ってヒトのALS(Amyotrophic Lateral Ssclerosis 筋萎縮性側索硬化症 ―きんいしゅくせいそくさくこうかしょう― )の研究をするという講演を紹介します。

WALS: Of Flies and Men – Harnessing the Power of Drosophila to Decipher the Molecular Mechanisms of Neurodegeneration
https://videocast.nih.gov/watch=55028

講演日:Wednesday, March 26, 2025   演者:Daniela Zarnescu, Ph.D.
モデル生物でヒトの病気をどのように研究するかのお手本にもなる講演です。ショウジョウバエについてあまり知らない人むけに、ショウジョウバエとヒトの神経系が結構似ているというスライドもあって参考になります。
RNA結合タンパク質であるTDP-43がALSの患者さんでは凝集体を形成すること、前頭側頭型認知症(FTD)でみられる凝集体の半分はTDP-43からなることなどの話からはじまって、ショウジョウバエにTDP-43の遺伝子を導入してALSと同じような症状がでてくる研究の話から講演がはじまります。今までの彼女のラボの研究と最新の未発表の知見がみどころの講演です。最後の質疑応答の部分も英語での質疑応答のお手本として役立ちます。最近のNIHの動画は質疑応答の画面で質問者と演者がそれぞれ画面の半分をしめるようになっていて聞き取りやすいです。例によって動画とキャプションはダウンロード可能であるのもありがたいですね。
今回はショウジョウバエの話でしたが、モデル生物である線虫C. elegans でもTDP-43やALSの研究は活発にすすめられています。たとえば北海道大学のこちらのプレスリリースなどをご覧ください。
https://life.sci.hokudai.ac.jp/fa/topic/17834
北大プレスリリース:ALS/FTDの原因となる凝集体形成機構を解明~神経細胞の毒となるタンパク質凝集を抑制する薬剤などの研究発展に期待~
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/240621_pr.pdf

最新の生成AIと機械学習入門講義の動画が公開されました。初心者むきの最高の動画です!

この前紹介した吉田塁先生の生成AIの入門講座の動画が休憩時間など空白部分を除いた再編集版で公開されました。ツイートを引用しておきます。


https://youtu.be/Lmad_gPIyBA

またこのブログで何度も紹介している計算物理 春の学校の今年の講義の一つが公開されていました。これは機械学習のきっちりとした入門に最適の最新情報満載の講義です。機械学習をこれからしっかり学ぼうと思っている人には一番よい入門講義ではないでしょうか。
おすすめします。

計算物理 春の学校 2025 機械学習入門:基礎から最近の話題まで
https://youtu.be/zkATeNluChk

離散数学の最新版の教科書が無料ダウンロードできます!無料の数学本をあつめた宝の山のようなサイトもあります!

福岡は春です。近所に散歩に行くと桜はほぼ満開、スミレの花もあちこちに咲いていました。桜の下では若者が音楽を鳴らして酒盛りをしている様子でした。あいにく今日は曇天で桜の写真をとるには向いていない日でしたが2枚だけ春らしい写真をのせておきます。

左の書影は最新版の離散数学の教科書(Discrete Mathematics, 4th edition by Oscar Levin) です。なんとAmazon で今日現在 1万円ちょっとで販売されている本(ペーパーバックとKindle版ともに同じ値段です)が著者のサイトで無料でpdfをダウンロードできるようになっています。オンラインで読めるページへのリンクや、この本の第3版(これも著者のサイトで無料でダウンロードできます。Kindle版だと329円です) を用いた講義の動画へのリンクなども次のページにありますので是非、ダウンロードして勉強してみてください。
https://discrete.openmathbooks.org/dmoi4.html

最後に、この本を含めて多くの無料で公開されている数学の教科書を集めたサイトも紹介しておきます。
American Institute of Mathematics のOpen Textbook Initiativeというサイトです。これは宝の山です。次のApproved Textbooksのサイトをまずご覧ください。
https://textbooks.aimath.org/textbooks/approved-textbooks/

文部科学省の「一家に1枚」シリーズの科学ポスターは小学生から楽しめるおすすめです!

私のラボが九大医学部のコラボステーションⅡにあった頃、実験室の壁に「一家に1枚ヒトゲノムマップ」というのをJSTからもらって貼っていました。卒論生のお父様も作成にかかわっておられたようで、みんなで毎日眺めていました。別の壁には「一家に1枚元素周期表」も貼ってあって、どちらも時々みては参考にしていたのを思い出します。
今日ツイートをみていると、なんと今では21種類も「一家に1枚シリーズ」のポスターがあるのを知りました。A3版のpdfファイルは無料でダウンロードできるので印刷して飾るのも簡単でしょう。元素周期表も何度も改訂されていて、今やニホニュウムも入っていて見ていて楽しいものです。他にどんなポスターがあるかは、以下のリンクでご覧ください。小学生のお子さんにも役立つ素晴らしいポスターシリーズです。
https://www.mext.go.jp/stw/series.html

 

小惑星の衝突から地球を救う本当の方法とは?映画アルマゲドンの方法は有効か?

今後、隕石や小惑星が地球に衝突して、恐竜が絶滅した時のような大被害がもたらされ、文明や人類そのものが滅びる可能性は否定できません。
ただ現代の人類は核兵器をもっている上に、小惑星などを監視する技術もすすんでいます。衝突の可能性のある天体をみつけてリストアップし、軌道計算をして衝突の確率をはじきだすことも可能になりつつあります。では衝突しそうな天体がみつかったらどのような対策をとればよいのでしょうか?

今日YouTubeにアップロードされた英国The Royal Institutionの動画で、ずばりその問題の専門家による解答があったので紹介します。
昔、アルマゲドンという映画で、地球に衝突する軌道にある小惑星に着陸して穴を掘り、核爆弾をその穴にいれて小惑星中心部で爆発させ真っ二つに小惑星を割って、軌道を変えるというのを見たことがあります。こういうことで軌道を変えることができるのでしょうか?この講演ではアルマゲドンの映画の話もでてきて、本当に使える衝突回避法について楽しく学べるので是非ご覧ください。

講演では地球への天体衝突の歴史(ツングース隕石もでてきます)と、衝突による被害の予想、衝突コースにある天体の起動の変更のやりかたと、実際行われた軌道変更実験の動画などをまじえて話がすすむので飽きさせません。
いまや未来の人類を救う方法が確立しつつあるのがわかる 面白い講演です。英語が早くて聞き取りにくいかもしれませんが字幕をオンにして視るとよくわかるのでお試しください。

AIを使って科学研究を加速する―2024年のノーベル化学賞を受賞したSir Demis Hassabisの動画は必見です!

YouTubeのおすすめに、2024年のノーベル化学賞受賞者、Demis Hassabisがケンブリッジ大学のコンピュータラボで今月行った講演がでてきました。ケンブリッジ大学のコンピュータラボ出身のはじめてのノーベル賞受賞者だそうです。彼がノーベル賞をもらう前にMRC LMB(英国ケンブリッジのMRC 分子生物学研究所)で行った講演の動画を以前紹介しましたが、いまや英国でナイトに叙せられているんですね。 Sirが名前の前についています。
彼はGoogle DeepMindの共同創設者でCEOをしています。同僚のJohn Jumperも彼と一緒にノーベル化学賞を受賞しているので Google DeepMindは2人のノーベル化学賞受賞者をかかえているわけですね。
今回の講演では、ケンブリッジでのコンピュータ科学の発展史からはじまって、AlphaGO(囲碁の世界最強のプレイヤーの人工知能プログラムです。Demis自身も囲碁をたしなむそうで、日本棋院の名誉9段だそうです), AlphaFold2 and 3 (今やタンパク質構造予測の定番)とその多彩な応用、さらに任意の標的分子(タンパク質を含む)と結合する新蛋白質を設計できるAlphaProteoなども紹介されています。最後のほうでは、動画や画像を生成モデル、天気予報や材料科学、核融合などへのAIの応用、そしてGemini 2.0の話や量子コンピュータと組み合わせたAIのすごい可能性についての話もありました。講演後の質疑応答も収録されているので勉強になります。面白くわかりやすい講演なのでゆっくり楽しんで視聴してみてください。

Accelerating Scientific Discovery with AI – lecture by Sir Demis Hassabis
https://youtu.be/hHooQmmzG4k

The co-founder and CEO of Google DeepMind, Demis was awarded the 2024 Nobel Prize in Chemistry jointly with his DeepMind colleague Dr John Jumper “for protein structure prediction”.

高校生向けのやさしい免疫や雪の話―現代人必見のサイエンスカフェの動画をおすすめします!

高校生むけに企画されている様々な科学イベントの一つに北海道大学CoSTEPの開催しているサイエンスカフェがあります。YouTubeのチャンネルに様々な動画が公開されています。
https://www.youtube.com/@CoSTEP_HU
今日はその中から二つ紹介します。

1) これは現代人必見の免疫学入門の動画です。いろんな本を読んでよくわからなかった人もこの動画をみて読み直すとよくわかると思います。
第135回サイエンス・カフェ札幌「おしゃべりな細胞と謎の言葉~がんからコロナまで、サイトカイン研究の最前線~」北海道大学CoSTEP
https://youtu.be/5xczRb4ov8E

■日時 :2024年6月16日(日) 14:30 – 16:00(開場14:00) 
■場所 :紀伊國屋書店札幌本店 1F インナーガーデン
■ゲスト:松田 正(まつだ・ただし)さん(北海道大学大学院 薬学研究院 教授)
■聞き手:奥本 素子(CoSTEP准教授)
■主催 :北海道大学 大学院教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)

この動画の詳細は次のリンクを参照してください。
https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/event/30459

2) こちらは北海道大学の伝統ある雪の研究の最新情報です。雪についての新しい見方、考え方が学べます。
第139回サイエンス・カフェ札幌 「しゃっこい雪の、なまらためになる話 ―北海道の雪を科学する」高校生むけ
https://youtu.be/NXT5yYiygZg

日時:2025年2月10日(月)18:30~20:00
場所:札幌市民交流プラザ2F(SCARTSモールC区分)
ゲスト:佐藤 陽祐さん(北海道大学理学研究院准教授)
聞き手:大内田 美沙紀(北海道大学CoSTEP 特任助教)
主催:北海道大学大学院教育推進機構オープンエデュケーションセンター
科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
この動画の詳細は次のリンクを参照してください。
https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/event/31607

科学者になる前の若きマイケル・ファラデーがとったノートブックの一部画像が今日、公開されました!

今日は3月24日、先日の記事で紹介したマイケル・ファラデーのノートブックの一部が公開される日です!
まだ若い製本職人だったころのファラデーが、一般向けの科学講演会に参加して学んだことをまとめたノートブックが今後全部公開されるそうです。今日公開されたのは彼がまだ製本屋に勤めていたとき(19歳から21歳の時)科学講演会にいってとったノートです。5冊あるノートからとった画像が公開されています。
https://www.rigb.org/explore-science/explore/blog/notebooks-preview-note-taking-life-young-michael-faraday
これは彼の実験ノートではありません。まだ科学者になる前の若きファラデーが、科学講演会に参加して、どのように他人の講演を理解してまとめたかがわかる貴重な資料です。彼は有名なDavyの講演を聴きに行く前(1810年2月から1811年9月の間)に、Silversmith John Tatumの13回の講演に参加しています。その時のノートに図も書き込んで索引もつけて自分用のノートブックにしたものを4冊製本しています。その後、彼がRoyal Institutionに雇用されるきっかけとなった、ハンフリー・デイビーの講演会に参加したときのノートを製本したものも一冊残っており、これら5冊のノートの全ページが今後完全にオンラインで公開されるそうです。若きファラデーのノートがみられるとはなんとも素晴らしい時代になったものです。5冊のノートの実物は4月14日からロンドンの王立研究所に付属しているファラデー博物館で無料公開される予定とのことです。

超初心者向け:計算科学用のWindows設定法の教科書とLaTexの入門サイトを紹介します。

5日前の水曜日は福岡での最高気温が8度でしたが、今日は25度を越えてめちゃめちゃ暑い一日でした。桜のつぼみも膨らんできたのでもうすぐ開花するかもしれません。
今日は無料で利用できる日本語の本とサイトを紹介します。

1)大野 周平さんによるZennで公開された無料で読める本
『計算科学のためのWindowsセットアップ』 はとても役立つと思います。
https://zenn.dev/ohno/books/356315a0e6437c
Windows10/11での計算科学(計算物理や計算化学―量子化学や物理化学)のコンピュータのセットアップ(ソフトのインストール法やPCの設定など)の教科書です。WindowsでのLinux設定(WSL)で利用する話もあるので、Linuxでのソフトウエアの設定にも参考になります。
以下はこの本のサイトからの引用です。
Windows全般, Chrome, Office, Zoom, Visual Studio Code, Git, LaTeX, gnuplot, Julia, Jupyter Notebook, Python, WSL(Ubuntu), C, C++, Fortran, OpenMPIなどのインストール・初期設定について解説します. Winmostar, Gaussian16, GAMESSなどの量子化学ソフトウェアのインストールについても解説しました. Docker, ifort, mpiifort, Intel MPI Library, MOPAC, SMASHについて追記しました.
凄く役立ちそうです。是非皆さんも読んでみてPC環境を改善しましょう!この本にはLaTeXの導入、設定法もでています。https://zenn.dev/ohno/books/356315a0e6437c/viewer/547128

この本と同じシステムの導入法は以前紹介しています。TeX LiveとVSCodeの導入法を紹介した以下の記事にある動画も参考にしてください。

快適なLaTex環境を簡単に導入する方法の動画が公開されました!

LaTeXといえば、ちょうどLaTeXの超初心者向けの日本語入門ページも公開されていたので紹介しておきます。
『Learn LaTeX(日本語版)―高品質な組版を実現するために設計された文書作成システム「LaTeX」に入門しましょう』というページです。
https://www.learnlatex.org/ja/
こちらはインストールの必要なしにLaTeXの入門ができるチュートリアルです。まずこちらで入門しながら自分のPCにLaTeXを設定するのもよいと思います。