Ulam記念講演第2夜は老化についての一般向け講演でした―12時間ほど前に配信済み

昨日紹介したVenki Ramakrishnanさんの講演会が終わり、動画が配信されています。Ramakrishnanさんはリボソームの構造決定でノーベル化学賞を受賞した生命科学者(構造生物学者)で英国MRC LMBの所長もつとめていた方です。老化研究についての一般向けの本Why we dieはベストセラーになっていて日本語訳もあるので読んだ方もいるかもしれません。
Why We Die (ホワイ・ウィ・ダイ) 老化と不死の謎に迫る
価格 2,420円(税込)ISBN 9784296113590 発行日 2025年01月29日
著者名 ヴェンカトラマン・ラマクリシュナン 著、土方 奈美 訳
発行元 日本経済新聞出版
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/24/12/13/01776/
老化研究について線虫C. elegansの果たした役割にも一章があてられていて、
とても読みやすそうな本です。
この本についての講演もすでにYouTubeにでていたのでリンクをあげておきます。

今回のUlam講演は特に人間の老化とその対策について主に扱う話になっています。もちろんヒドラや死なないクラゲの話 もあるので視聴してみてください。

ノーベル化学賞受賞者が語るリボソームのすべて:Santa Fe Instituteの一般講演会Ulam記念講演会が必見です!

ノーベル化学賞受賞者が語るリボソームのすべて
2009年のノーベル化学賞を受賞したMRC LMBのVenki Ramakrishnanさんが、複雑系科学の頂点の研究所Santa Fe Instituteで一般向け講演(Ulam Lecuter)を二晩にわたっておこなっています。第一夜の講演が公開されました。リボソームの構造解析でノーベル賞を受賞した研究者がリボソームやクライオ電顕についてわかりやすく話していますので、とても役立つ講演です。是非視聴してみてください。

My Adventures in the Ribosome: The Cellular Machine that Reads our Genes
Santa Fe Institute
Venki Ramakrishnan 30th Ulam Lecture Night 1
https://www.youtube.com/live/xJ5BFBbakSk?

明日は第二夜で老化と死、寿命と長寿にtづいての科学が学べるようです。これも必見です!

量子力学100年ですので、1925年のハイゼンベルグの行列力学の論文を解説している動画や、その論文と数式解説などへのリンクを紹介します!

Dr. Jorge S. Diazの量子力学の歴史の動画シリーズが更新されました。
なんと、ハイゼンベルグの行列力学の論文1925年の解説です。行列力学の歴史はなじみがうすいので、とてもよさそうに思えます。
いつもながら、素人でも数式を巧みにおっていけるように導いてくれる動画ですので、すばらしい作品だと思います。
This is how Heisenberg created quantum mechanics – a step-by-step guide
https://youtu.be/oVzzIkkYGY8?

原論文の英訳はこちらにあります。
https://www.neo-classical-physics.info/uploads/3/4/3/6/34363841/heisenberg_-_qm_interp_of_kin_and_mech.pdf
また、この論文の数式を丁寧におっていきながら解説するという、プレプリントもあるので参考にしてください。
https://mwolf.pracownicy.uksw.edu.pl/MK/Aitchison%20et%20al%20Understanding%20Heisenberg%e2%80%99s%20%e2%80%98magical%e2%80%99%20paper%20of%20July%201925%20a%20new%20look%20at%20the%20calculational%20details%200404009v1.pdf

日本語解説としては、武谷三男さんの本がよさそうです。デジタルコレクションで読めます。

武谷三男, 長崎正幸 著『量子力学の形成と論理』3 (量子力学の成立とその論理),勁草書房,1993.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592598 (参照 2025-08-25)

またSources of Quantum Mechanicsという有名な本にはこの論文の前後の論文、量子力学の始まりの論文などが網羅されているのでおすすめです。波動力学の論文はふくまれいないので注意してください。Internet Archiveで借りることができます。https://archive.org/details/sourcesofquantum0000unse
Google検索してみると、こちらのサイトにこの本へのリンクがあるのがわかりました。
https://mwolf.pracownicy.uksw.edu.pl/MK/
シュレーディンガーの波動力学の論文集へのリンクものっています。ド・ブロイの学位論文とかTonomuraの二重スリット実験の論文、Bellの不等式の論文などいろいろリンクがあって楽しめます。二重スリットの実験の共著者には江沢洋先生がはいってたのですね。はじめて知りました。

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第36回)藤永茂先生の本とブログ記事など

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第36回)

昨日は100歳を今年迎えられた江崎玲於奈さんの著書を紹介しました。
今日は来年100歳を迎えられる藤永茂先生の著書とブログ記事を紹介します。藤永先生はこのブログでも何度も紹介していますので適宜検索してみてください。専門書では名著と名高い分子軌道法がデジタルコレクションで読めます。

先生のブログ記事も紹介しておきます。
『人間をかえせ』
2025-08-09 08:32:06 https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/45c88da90f151274289316f794d4a42c
藤永先生のお兄さんは長崎で被爆されています。お兄さんのその後についても書かれていて感銘をうけました。

核抑止力についての藤永先生の記事も紹介しておきます。
悪魔の代弁人
2025-08-16 20:45:30
https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/1bac556cbcd717b7f5fea72197405d90
この記事で紹介されている核抑止力についての必読書は、すべてデジタルコレクションの個人送信サービスで読めるので以下で紹介します。

以前紹介したこの本も再度リンクをあげておきます。
111)  藤永茂 著『おいぼれ犬と新しい芸 : 在外研究者の生活と意見』,岩波書店,1984.1. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12589597 (参照 2024-05-30) 藤永先生のこの本はおすすめです。
382) 藤永茂 著『アメリカ・インディアン悲史』,朝日新聞社,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12149296 (参照 2025-08-24)
383) 藤永茂 著『分子軌道法』,岩波書店,1980.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12697671 (参照 2025-08-24)
以下の4冊が、『悪魔の代弁人』の記事に掲載されている必読書です。是非読んでみてください。第三次世界大戦をひきおこしかねないウクライナでの戦争を考える上でも必読書です。
384) 豊田利幸 著『核戦略批判』,岩波書店,1965. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/9544597 (参照 2025-08-24)
385) 豊田利幸 著『新・核戦略批判』,岩波書店,1983.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/11894416 (参照 2025-08-24)
386) 豊田利幸 著『SDI批判』,岩波書店,1988.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12658991 (参照 2025-08-24)
387) 日本平和委員会 編『平和運動20年資料集』,大月書店,1969. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/11925427/1/307 (参照 2025-08-24)
これはラッセル・アインシュタイン宣言がのっている本です。掲載されてるページへのリンクを載せました。
388) その他の豊田利幸さんの本もデジタルコレクションで読めます。豊田利幸 [ほか]編著『太平洋の非核化構想』,岩波書店,1990.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12761829 (参照 2025-08-24)
389)豊田利幸 著『核時代における科学と政治』,れんが書房,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/11927269 (参照 2025-08-24)

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第35回)江崎玲於奈さんの本

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第35回)
私の中学時代、図書室で本を読んでいました。司書の先生が「この部屋でノーベル賞をとった江崎玲於奈さんが君と同じように本を読んでおられた」と教えてくださいました。江崎さんは京都府立一中の試験に落ちて同志社中学に入学されたそうです。読売新聞のノーベル賞フォーラムでの対談によると、『江崎氏: 私も小学校の成績は良く、いわゆる優等生だった。しかし、当時の京都府立一中に進もうとして、受験で落とされた。軍国主義の時代で、健康優良児が求められていたが、私は体が細かった。当然入れる試験に落ちて大きな打撃だった。それ以後、入学試験をあまり信用しなくなった。東京大学は、戦争中で入試が行えず、無試験で入学した。』とのことです。
江崎先生は今年で100歳になられたそうで、今年あちこちで祝われている「量子力学100年」と完全に重なっているのですね。量子力学の実用の扉を切り開いた方なので国立国会図書館のデジタルコレクションで読める本を並べてみました。

375)江崎玲於奈 著『トンネルの長い旅路』,講談社,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12593810 (参照 2025-08-21)
376)江崎玲於奈 著『新・日本イソップ物語 : 一科学者の提言』,日刊工業新聞社,1978.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12266407 (参照 2025-08-21)
377)『創造性への対話 : 江崎玲於奈対談集』,中央公論社,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12589472 (参照 2025-08-23)
378)江崎玲於奈 [述] ほか『創造の風土』,富山県未来財団,1994.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13105097 (参照 2025-08-23)
379)江崎玲於奈 著『アメリカと日本 : ニューヨークで考える』,読売新聞社,1980.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12237999 (参照 2025-08-23)
380)江崎玲於奈 著『個性と創造』,読売新聞社,1993.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/13058784 (参照 2025-08-23)
381)江崎玲於奈 著『日本への提案 : 技術立国を目指して』,現代研究会,1980.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12589551 (参照 2025-08-23)

これらの本が書かれた後、日本の科学や世界の科学がどのようになっていったかを見るのも今後の科学の発展の道しるべづくりに役立つと思います。

東大の吉田塁先生の小・中・高生、保護者、教員向けの生成AI入門講座が公開されました!渡辺先生の解析力学入門(高校生向け)も開講予定とのこと!

少し前に東京大学の吉田塁先生の教員向け生成AI講座の動画を紹介しました。

東大の吉田塁先生の生成AI]入門講座が公開中です。私がGPT5を使ってみて気付いた注意点もご覧ください。

以下に埋め込んであるツイートでさっき知ったのですが、吉田塁先生のAI入門講義のアーカイブ動画が全部公開されています。
小学生向け、中学生向け、高校生向け、保護者向け、教員向けなどがありますので是非自分に向いていそうなものから視聴してみてください。

詳しくはこちらに内容紹介があります。
https://www.meta-school.t.u-tokyo.ac.jp/junior/
動画はこちらから視聴できます。
https://www.youtube.com/@luiyoshida-lab/streams

東京大学のMETAVERSEでは上記の講座以外にも多彩な講座が開講、公開されています。
https://www.meta-school.t.u-tokyo.ac.jp/junior/
JUNIOR ENGINEERING PROGRAMS LIST
このページからの引用です。
『ジュニア工学教育プログラム(通称・ジュニア講座)とは
多様な工学の学びや卒業後のキャリアを伝える、参加費無料の講座を実施します。
主な受講対象者は中高生・保護者・教師ですが、講座によってはそれ以外の対象者も受け付けております。
お申し込みは、各講座の詳細をご覧ください。』

開講予定の講座をみると、なんと渡辺 悠樹先生の解析力学入門という講座があるのを知りました。高校生向けとのことですが、一般も申し込みできるそうです。渡辺先生の有名な教科書への入門にもなるのではないでしょうか。
https://www.meta-school.t.u-tokyo.ac.jp/junior/25sam/
最後に埋め込んでいるのは吉田先生の動画です。
『生成AIに関する最新情報の提供と生成AIを活用したエクセル入門』
https://www.youtube.com/live/lYSESWPjgWk?

Roger Penroseの新宇宙論―今の宇宙の前の宇宙?

以前の記事でノーベル物理学賞の受賞者であるRoger Penroseの最新の宇宙論の講演があると紹介しました。宇宙はサイクリックに進化しており、今の宇宙の前に存在した宇宙の痕跡がJames Web宇宙望遠鏡で見つかったのではないかというような講演だったと思います。ライブは未明の時間帯だったのでそのうちYouTubeに出るだろうと思ってみなかったのですがまだ出ません。ちらほらと一般のニュース動画には関連動画がでているのでそれを紹介しておきます。

Is the Universe Eternal? James Webb and Nobel Winner Roger Penrose’s Bold Theory
https://youtu.be/p1BfzXeQTnE?

本人によるちょっと前の対談はこちらで聴けます。
Conformal Cyclic Cosmology with Sir Roger Penrose and Dr. Jack Holland
https://youtu.be/yKB4yMJPFRM?

彼の本の日本語訳も出ています。

「宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか」
ロジャー・ペンローズ/著 、竹内薫/訳
https://www.shinchosha.co.jp/book/506591/

pdfをテキストファイルに変換する方法をいくつか紹介します。

今日はpdfをテキストファイルにする方法をいくつか紹介します。
論文や本のpdfファイルをテキストファイルに変換すると、テキストエディタなどでgrep検索ができるようになります。(grepができるソフトについては末尾の註を参照してください)
grep検索すると本文の検索語を含む部分を一覧で表示してくれるので、タグジャンプして該当する本文を読めます。読んだあとはバックタグジャンプでもとのgrep検索結果にもどり、つぎの検索結果にカーソルをあわせてタグジャンプするというのを繰り返せばよいわけです。これは便利ですのでやったことがなければ是非試してみてください。

またテキストファイルにしたpdfファイルから、任意の単語を抜き出してくることも簡単にできます。私はpdfファイルに含まれている線虫C. elegansの遺伝子名をプログラムで抜き出してきて一覧にする作業を先日やりました。プログラムはChatGPT5に書いてもらいました。

ではpdfファイルをテキストファイルにする方法をいくつか紹介します(これもChatGPTに教えてもらった方法の一部です)。

① pdftotext(Poppler)(Linux / Mac / Windows)を使って変換する:
特徴: 高速・軽量、コマンドラインで使える。grepとの相性抜群。

インストール(Ubuntu例):
sudo apt install poppler-utils

【使い方】
pdftotext input.pdf output.txt

改行や段落が崩れることもありますが、検索用には非常に向いています。

② Calibreを使って変換する:
Calibreはフリーの電子ブック閲覧ソフトです。
特徴: GUIで簡単にPDF→TXT変換可能。
ダウンロード: https://calibre-ebook.com/
【使い方】
PDFをCalibreに読み込む。
「本を変換」→ 出力形式を「TXT」にする。
保存

③ Microsoft Office を利用する方法:
WordでPDFを開く(Office 2013以降)
WordでPDFを直接開くと、自動で編集可能な形式に変換してくれます。
その後「名前を付けて保存」で「.txt」形式を選ぶ

以上の方法で、図はテキストファイルには入りませんし、レイアウトが崩れる可能性もあります。しかし検索目的なら問題はありません。簡単ですので是非試してみてください。

註:grepが使えるソフトやエディタのまとめ。ChatGPTに教えてもらったものが中心です。 VSCodeがよさそうですね。

  • Windows: AstroGrep / grepWin / Notepad++/秀丸エディタ

  • Mac: EasyFind / BBEdit / TextMate

  • Ubuntu: Catfish / Krusader / VS Code

  • 共通: VS Code / Sublime Text

今井翔太 先生のYouTube動画はGPT-5や最新のAI動向について知るのにおすすめです。

今日も遺伝子の勉強で忙しかったので簡単な記事ですみません。今井翔太さんのYouTubeの動画が最新のGPT-5などの情報を手っ取り早く知るのにおすすめです。

 
YouTubeのリンクはこちら。
https://youtu.be/rZkvWSgWMDU?
動画も埋め込んでおきます。

安宅和人さんの新刊『「風の谷」という希望―残すに値する未来をつくる』を読んでいます!

先日書いた安宅和人さんの新刊本 『「風の谷」という希望―残すに値する未来をつくる』を読んでいます。1000ページ弱の本なので紙の本を買うのをやめてKindle版を買ってiPadで読んでいます。検索ができて、註もタップするだけでポップアップしてくるので読みやすいのでお勧めです。都市に対する『風の谷』という場を作っていくプランの話で、社会のあらゆる面を考慮して100年、200年のスパンで計画、実行していくという緻密で壮大な計画です。大学にいたものとしては、「風の谷」を、理想の研究環境がある場所(場)におきかえて読んでしまいます。都市に対する「風の谷」とおなじように、すばらしい知の拠点としての「風の谷」も、こんな風な緻密な考察と計画でつくれるのではないかと思いながら読み進めています。こういうプランについて、それを妨害しようとする流れ、そして予想もしなかった社会の変化、科学や技術の進歩にどう対処していくのか、波にどうのっていくのがいいのか、そんなことも考えながら読んでいっているところです。よい本に巡り合えたと思います。

この本については安宅さんがブログ記事を書いておられます。


これから読み始める人にも今読んでいる人にも役立つ記事だと思いますので是非参照してみてください。
https://kaz-ataka.hatenablog.com/entry/2025/08/04/190956