Kindle unlimitedで「量子化学」で検索したらよい教科書がヒットしました。現在Kindle unlimitedを契約していれば無料で読むことができます。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0GX2VGWGT
「量子化学計算のしくみ: 分子軌道法の理論とアルゴリズム [プリント・レプリカ] Kindle版
伊藤 靖朗 (著) 形式: Kindle版」
これは、広島大学の伊藤靖朗教授が開発された無料の量子化学計算ソフトを利用して学べる量子化学入門教科書です。まず計算して量子化学計算を体験したあと、理論を学ぶという順のサイクルを繰り返しながら学べる入門書です。
伊藤教授は本格的な量子化学ソフトGANSU(GPU Accelerated Numerical Simulation Utility) を開発・公開されており、本書でも触れておられますが、教科書内のほとんどの計算は「インストール不要で URL を開くだけで量子化学計算できるソフト」GANSU Liteで行うことができて、その結果を「分子軌道の 3 次元可視化ソフト」MOrbVisに渡して目でみることができます。HOMOとかLUMOとかも立体表示されて感激します。 それぞれのリンクをあげておきます。GANSU Liteの計算結果はボタン一つでMOrbVisに送られるようになっていて簡単に可視化できるのが入門者にやさしい設計です。
https://yasuaki-ito.github.io/GANSU-Lite/
https://yasuaki-ito.github.io/morbvis/
Amazonにでているこの本の紹介文から引用しておきます。です!
本書の特徴
「まず動かす、あとから理屈」の構成:先にHartree-Fock法の計算手順を学び、その後でなぜそうなるのかを量子力学の原理から回収します。実際に動く計算を先に体験することで、理論が腑に落ちやすくなります。
ブラウザだけで手を動かせる:本書の演習問題の大半は、著者が開発したブラウザ版量子化学計算ツール「GANSU Lite」で実行できます。インストール不要、ログイン不要。数式を読んだらすぐに計算して確認できます。
HF法から励起状態まで一冊で:Hartree-Fock法(第I〜III部)、化学結合と構造最適化(第IV部)、電子相関法(MP2、CCSD、Full CI、第V部)、励起状態計算(CIS、ADC(2)、EOM-CCSD、第VI部)まで、現代の量子化学計算の主要手法を体系的に解説します。
前提知識は大学1年の数学だけ:線形代数(行列・固有値)と微積分があれば読み始められます。量子力学の予備知識は不要です。
伊藤先生によるより詳細な紹介はこちらにあるのでまずあこれを読んでみてください。
https://zenn.dev/comp_lab/articles/1a4825cb61c33a
ハートリーフォック法にとどまらずその後(Post-HF)の計算法での計算もできるソフトウエアが動くようになっており、これらを動かして量子化学を実践的に学べる本です。
実際読み始めているのですが、とても読みやすい本で小説を読むようにすいすいと読めます。これは良い教科書に出会えたと思っています。
上のGANSU Liteのサイトにはいろんなサンプル分子が選べるようになっているので、まずこんなことをして遊んでみてはどうでしょう?
1)H₂Oを選ぶ
2)HF / STO-3Gで計算
3)エネルギー、軌道エネルギー、Mulliken電荷を見る
4)基底関数を 3-21G、6-31G に変えて結果を比較
5)HFとDFT、MP2(Post-HF法の一つです)のエネルギー差を見る
6)H₂Oの双極子や電荷分布を表示して、化学結合・極性と対応させる
「量子化学計算とは何を入力し、何が出力されるのか」が直感的にわかります。
伊藤先生が富士通と共同開発された量子化学ソフトGANSUはGPUを駆使して計算する本格的ソフトで、新しいGPUを搭載しているPCで動かすことができます。
広島大学のプレスリリースはこちらです。https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/254954/Efficient%20GPU%20Implementation%20of%20the%20McMurchie%E2%80%93.pdf
残念ながら私のPCのGPUは古いのでインストールできませんでした。多分Google Colab動かすことはできると思いますが、無料版のT4では仕様書をみるとだめだとわかります。Pro版のA100, L4, H100は対応しているGPUなので多分動くでしょうがやってみていないので断言はできません。
同じように手軽に量子化学計算を可視化できるソフトには、前に紹介したMoleculatio
があります。https://moleculatio.yamlab.app/
これはケモインフォマティクス、量子化学、分子動力学の計算結果をならべて学べるよいソフトで、もちろんHOMO, LUMOなどの立体可表示もできます。
他の量子化学計算ソフトとしては、これも前に紹介したPySCF(Pythonによる量子化学計算ソフトウエア)があります。このソフトウエアの使い方も現在Kindle Unlimitedで読める次の本にでているので興味のある方はご覧ください。
Pythonで始める量子化学計算(LABCODEブックス)
https://amzn.asia/d/0gziXwiE
Kindle版は3,000円ですが、Zennのオンライン版は2500円で読むことができます。
https://zenn.dev/labcode/books/4d87375120c83b
