『妥協しないデータ分析のための微積分+線形代数入門』という本の紹介など。

10月に京都に行った時に、本屋で微積分と線形代数の入門書を購入しました。とてもよい本だと思うので紹介します。

『妥協しないデータ分析のための微積分+線形代数入門 定義と公式、その背景にある理由、考え方から使い方まで完全網羅!』杉山聡 著 (ソシム)定価 3,080円(本体価格 2,800円) という本です。
https://www.socym.co.jp/book/1480

行列や微積分について実際にこれらを駆使したい人のために、基本的な考え方から詳しくかつ簡潔にどんどん教えてくれる本です。テンポがよいのでぐんぐん読める本だと思いました。データ分析を学ぶ人が数学の基本を理解するためのよい参考書、多分手元において必要なたびに見直すのにも使える教科書です。
まだ電子ブックは出ていない模様ですが、買って損はしないよい本だと思います。行列は一番最初にでてきますが、行列式は本の末尾のほうにでてきます。よくある行列と行列式をまとめて、連立方程式とか置換とかを使って教える方式につまづいた人には、特におすすめの教え方だと思いました。行列Σの行列式detΣは数値(正負と0も含む)であり、行列Σであらわされる変換による、図形の体積(面積)の拡大率を示すということがちゃんと最初から書いてあるのもよかったです。

著者の杉山さんはYouTubeのチャンネルも持っておられて、いろいろデータサイエンス関連の動画をアップロードされています。おすすめの動画サイトです。

https://www.youtube.com/@AIcia_Solid

この本の宣伝の動画も埋め込んでおきます。
https://youtu.be/iBCpwo03gX0?si=T2WO_3JrNI9XIhoe

ツイートもされています。nitterで見たい人は、こちらなどから見ることができます。

https://nitter.poast.org/AIcia_Solid

参考までに、今x.comのサービスにログインせずにツイートを読めるnitterサービスで動いているのは以下の三つがあるようです。
https://nitter.poast.org/
https://nitter.privacydev.net/
https://xcancel.com/

『Pythonで動かして始める量子化学計算 』という本を立ち読みしてきました。

先日、久しぶりに博多駅の丸善・ジュンク堂にいったら『Pythonで動かして始める量子化学計算 』という本がありました。これは初心者むけの量子化学入門書のおすすめ本だと思います。GAMESSを使う前に手軽に量子化学計算をやってみるのもよいと思います。

実はこの本は以前紹介したのですが、手に取ってみるのははじめてでした。

『Pythonで動かして始める量子化学計算』 野田 秀俊 公益財団法人微生物化学研究会 D.Sc. 著
https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339066685/

立ち読みもオンラインでできるので興味のある方は読んでみてください。著者のサイトにはこの本のもとになった記事がありますのでそちらをみて、よさそうだったら購入してみてはいかがでしょうか。次の記事から読んでみるとよいでしょう。https://future-chem.com/psi4-intro/
野田先生のサイトとこの本を紹介した過去記事を以下にペーストしておきます。

RDKit入門の記事があります。

話はかわりますが、Internet Archiveはだいぶ復活がすすんでいるようです。さっき、ログインもできるようになっているのがわかりました。これで本を借りることもできるようになり、いろんな本が読めるのでたすかるサイトです。Wayback Machineとともになくてはならないサイトの復旧を祝いたいと思います。

モデルを正しく理解して使うためにはどのような心構えが必要でしょうか?

統計学のモデルについて深く考えるきっかけになると思える動画があったので紹介します。有名な心理統計の先生Richard Shiffrin教授(全米科学アカデミーの会員), Indiana UniversityのSanta Fe Instituteでの講演の動画です。Santa Fe Instituteは複雑系の研究で有名ですが、この講演では複雑系だけではなく、線形回帰でデータを説明できると思っているような状況でも、いろいろな誤りが起きうるということを解説してくれています。まだ全部は見ていないのですが、統計モデルを使う人だけではなく、演繹と帰納、データから現象をどの様に説明するのがよいかなどに興味がある人には最適の動画だと思います。

Understanding and Misunderstanding Models (and everything else)
https://youtu.be/VNPigsz0ldM?si=DyYj3r3invs3Nwy-

無料の量子化学計算ソフトGAMESSをUbuntuにインストールする方法

今日はページビューが14000を越えました。Textpressoの紹介記事の効果かもしれません。

さて今回は量子化学の記事です。
千葉工業大学の山本 典史先生のサイトは以前紹介しました。先生のサイトhttps://yamnor.me
には役立つ記事がいろいろあっていつも拝読させてもらっています。さて、先生の記事『量子化学計算入門講座』
https://yamnor.me/2024-06-22-1251/

にあるGAMESSの紹介を読んで、Ubuntu (Linuxです)にインストールしてみたくなりました。
昨日、山本先生が、 最新版のUbuntuにインストールする方法を詳しく解説した記事を公開されたので紹介します。
『GAMESS のインストールガイド(Ubuntu 24.04 向け)
このノートでは、代表的な量子化学計算プログラムパッケージの GAMESS をインストールする手順をまとめています。』という記事です。
https://yamnor.me/2024-11-02-1415/
GAMESS はめちゃめちゃ高価で、私など個人では手がでない有料ソフトGaussianに次ぐユーザー数を誇る無料で使える量子化学計算ソフトです。アップデートも頻繁で、様々な最新計算手法もどんどんとりいれられているそうです。なんかRみたいですね。早々にGaussianを駆逐してくれることを願います。
今は時間がないのでインストールできませんが、記事を読む限り簡単にインストールできると思います。うまくインストールして動いたらまた報告します。

文献検索サイトTextpressoを使いましょう!サイトの簡単な使い方を紹介します。

文献検索サイト Textpressoを使いましょう!

https://textpresso.org/
このサイトでは、多くのモデル生物(線虫、シロイヌナズナ、ゼブラフィッシュ、マウス、出芽酵母)に関する文献、アルツハイマー病に関する文献、コロナウイルスに関する文献の文献検索ができます。今日はこのサイトの簡単な使い方を紹介します。
まずトップページ。サイトの中の、よく使う検索ページをブックマークしておくとよいでしょう。
今回はページの左上にある、線虫C. elegansの論文検索サイトで 線虫の論文を探してみます。

赤い字で表示されているTake me thereの部分をクリック。
こんなページが開きます。一番下にある検索窓SEARCH CORPUSの部分に検索語を入れて検索します。

今日、Metascapeでエンリッチメント解析していた時に現れた遺伝子に、skr-4というのがありました。この遺伝子は一体何かわからなかったので、これについて調べることにします。Search Corpusの部分にskr-4といれて上の画像のようになった状態でエンターを押します。すると線虫の検索をしますがよいですか?というポップアップ警告がでるので、よければStart Searchボタンを押して検索を始めます。

あっというまに検索が終わり、24の文献がヒットしたと表示されます。
PubMed IDと論文のタイトル、文献名、掲載年月日、文献のタイトル、スコアなどが表示されます。

Ubiquitin-related processes and innate immunity in C. elegansというタイトルの論文を詳しく見てみましょう。タイトル欄の右向き矢じりをクリックすると詳しい表示が出ます。著者名、雑誌名やDOI、PubMed IDやWormBaseの文献IDなどが表示されています。Click for Abstractを押すと、アブストラクトが全文表示されます。

ヒットしたskr-4という遺伝子名を含む論文中の文が、前後の文をあわせて表示されます。この遺伝子に関する記述が論文をダウンロードして開くことなく、すばやく確認できます。skr-4というのはSentence 2によると、surveillance immunityにかかわっている遺伝子で、細胞内に侵入した病原体に対する応答に働く遺伝子のようです。関連する遺伝子として、cul-6, skr-3, skr-5などがあったりするのがわかります。F-boxタンパクとかcullinとも関係があるのもわかりました。必要なら文献のDOIやPubMed IDその他を利用して論文を読んでみることも簡単にできます。

このようにTextpressoを使うと、手軽に、そして一挙に、入力した検索語関連の情報が得られるので大変便利です。もちろんコーパス検索しているので、英語の書き方の例文探しにも役立ちます。是非、今日から使ってみてください。これを使うと使わないで能率がものすごく違うのを実感できると思います。

面倒なことはやWeb検索はLLMにやらせよう!‥‥という動画二本を紹介します。

今日は動画二本を紹介します。

最初は『面倒なことはLLMにやらせよう Guest:からあげ “Beginning LLM Level.9″』
https://youtu.be/Ng1XJRX1ac0?si=DlUPnUEe8E6wxuVr

これは『面倒なことはChatGPTにやらせよう』という本(私も読みました)の著者による最新版のLLMの動向の紹介と使い方の動画です。
最近のLLMっていっぱいあって、ついていけないという感じをもっていましたが、この動画で整理してくださっているので参考になりました。またExcelファイルをアップロードしていろいろ作業をしてもらうというような例(私もよくやってもらっています)も紹介されているので初等的な利用ですがまだやったことがない人にも優しく、さらに高度な利用を目指す人にも役立つ講演だと思いました。

あとChatGPTに検索モードが入ったというので話題になっていますね。このブログでおなじみの中村祐太さんが動画でさっそく紹介しています。
『【新機能】Google検索はいらない!?ChatGPT Search 登場!圧倒的に便利!!』
https://youtu.be/Gjb87d9MBzQ?si=6txuiFX70tsuVoC_

2024年のノーベル物理学賞の一般向け解説動画の紹介と、無料で使える画像素材集の追加です。

今日は今年のノーベル物理学賞の日本語による解説講演を紹介します。あと最後に先日の生命科学用画像素材のサイトの追加のリンクを載せているので参照してみてください。

「なぜ AI×物理学?」 AI × 物理学 2024年ノーベル物理学賞の内容を中心として 1/3 橋本幸士(京大) 導入講義
https://youtu.be/fZeSHXGU3w4?si=e8n0ypKiz8Qb3Cd1

これは一般向けのやさしい講演で、あとに専門的な講演がつづきます。
科研費の学習物理の領域からのアウトリーチ活動です。
次のページにも同じ動画が掲載されていますし、もっと別の(以前紹介したこともある動画を含めて)一般向け動画ものっていますのでご覧ください。
https://mlphys.scphys.kyoto-u.ac.jp/outreach/#sec_youtube

あと無料の生命科学系をおもな対象とした素材サイトの紹介の追加です。

SciDraw  https://scidraw.io/
BioIcons https://bioicons.com/
どちらもきれいな図がダウンロードできます。NIH BioArtと同じ図もあるみたいです。次のツイートで知りました。Adobeのイラストレーターの代替ソフトInkscapeも紹介されていますね。

 

高校物理のわかりやすい講義動画(東北大学・大関真之先生)が公開されました!

今日はちょっと忙しいので簡単な高校物理の講義動画を紹介します。高校物理の学び直しは今、田口先生の本もベストセラーになっていて、ブームになっているのではないでしょうか。『学び直し高校物理 挫折者のための超入門』(田口善弘 著)講談社現代新書
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000386077

そんな方々にもおすすめなのがこの東北大学の大関真之先生のわかりやすい講義動画です。大関先生の講義は とにかくわかりやすいのでどれもお勧めです。
受験生必見!みんなと物理】第1回: 物の動きを考えよう【Education Open Style】
https://www.youtube.com/live/pBqaF5zP88w?si=SLLkluLFWRXSttEe

第二回目も今日配信されました。こちらの予告ツイートをごらんください。


【受験生必見!みんなと物理】第2回: 運動エネルギーと仕事【Education Open Style】
https://www.youtube.com/live/47ShgE_XjeA?si=cziFwUeswpkUJ7TU

生命科学系の無料画像素材のサイトの紹介です。

スライドをつくったりするときに、無料の画像素材があると役立ちます。有名なTogoTVにはTogo picture galleryがあって無料の生命科学系の画像素材がそろっていて役立ちます。
Togo picture gallery
https://togotv.dbcls.jp/en/pics.html
実験器具とか各種生物、細胞構造のイラストなどいっぱいあるのでこれでスライドや教科書などをつくるのにも便利です。
下の画像は、このサイトからダウンロードした線虫と小胞体のイラストです。

今日、ツイートで知ったのですがNIHもこうした生命科学系の無料の素材を公開しています。
Bioartというサイトです。https://bioart.niaid.nih.gov/
こちらもいろな画像がそろっていてTogo picture galleryと合わせて利用すると、教材をつくったり、スライドをつくるのに大活躍しそうです。是非一度サイトを訪れてみてください。たとえばこんな神経ネットワークのイラストもあります。

あとこの姉妹サイトには三次元の図を表示したりダウンロードできるNIH 3Dがあります。
https://3d.nih.gov/3Dプリンターでプリントできるファイルもダウンロードできて、三次元模型を3Dプリントすることもできるようです。NIH3Dでは、もうすぐAlphaFold2のデータベースの立体構造簡単に載せることができるようになるようで楽しみです。3Dプリンターでプリントできるファイルもダウンロードできて、三次元模型を3Dプリントすることもできるようです。NIH3Dでは、AlphaFold2のデータベースの立体構造もほどなく提供されるようで楽しみです。

 

量子科学技術の入門講義と最新情報満載のシンポジュウム動画が公開されました!

10月20日の日曜日に第38回 自然科学研究機構シンポジウム 「 量子はめぐる – 量子科学技術で創造する未来 – 」がライブでYouTube配信されていたのですが、残念ながら見逃しました。福岡市科学館のパブリックビューイング会場でも見られたそうです。内容については次のリンクをご覧ください。
https://www.nins.jp/event/cat75/nins_sympo/38.html

このシンポジュウムの全講演動画が5日ほど前に公開されたので紹介しておきます。
こちらの再生リストに全動画が掲載されています。
https://youtube.com/playlist?list=PLlElftzatsjj3einFAMCRvmeFrxkFHnOf&si=fFD1aAYqlYbn6heu

この再生リストのシンポジュウムの紹介を一部引用します。
『 本シンポジウムでは、まずはじめに「よくわからない量子の世界」について学びなおします。ここで量子の世界を正しく理解した上で、量子を応用した革新的な研究や、量子コンピュータをはじめとした技術開発の最前線を皆さまに紹介します。最先端科学技術は、研究者らの努力と気の遠くなるような学びの上に成り立っているので、講演の中には、一度聴いただけでは理解できないような難しい話もあるかもしれません。その時は今一度このアーカイブ動画を見直してみてください。』
まず最初の二本の動画を見るのがおすすめです。最初の話題提供は、量子コンピュータの社会への浸透について歴史をたどりながらの紹介で興味をかきたててくれます。

第38回自然科学研究機構シンポジウム「話題提供」
中田 敦(なかだ あつし)氏
株式会社日経BP 日経クロステック 副編集長
https://youtu.be/2cGEU7wrZNg?si=2QLqL1KYNNu_UjY0

次の「マテリアルサイエンスにおける量子力学」の動画が量子力学と量子化学、量子コンピュータへの秀逸な入門講義になっています。これはわかりやすい動画です。
自然科学研究機構 分子科学研究所 教授の山本 浩史(やまもと ひろし)先生による講義です。
「マテリアルサイエンスにおける量子力学」
https://youtu.be/4QvYvQi2yg0?si=PAcny5OydkqubdPC

量子力学の歴史からはじまって、粒子性と波動性の解説、波の回折や干渉の説明も詳しくてよくわかります。トンネル効果の説明やEPRパラドックス、量子計算や量子コンピュータなど、現代の量子力学の応用を理解することができる最高の講義ではないでしょうか。是非ご覧ください。