バクテリアや古細菌の表面はどうなっているのだろう?という疑問に明快に答える動画があります!

アーキア(archea 古細菌)やバクテリアの表面にはS-layer(Surface-layer)と呼ばれる表面構造があります。これがどんなものかというのが目で見てわかる動画が英国ケンブリッジのMRC分子生物学研究所(MRC LMB)から公開されました。MRC LMBのTanmay Bharat 教授(Cambridge大学)による短い動画ですが目で見てS-layerのことが あっという間に理解できるのでおすすめです。糖鎖もS-layerにあるのがよくわかります。
Introduction to microbial surface layers (S-layers)
https://youtu.be/fgSf6THdPn0?

教授の2023年のフレミング賞受賞講演もご覧ください。バイオフイルムやS-layerについて学ぶのに最適の講演です。
Dr Tanmay Bharat – Structural Studies of Prokaryotic Cell Surfaces
https://youtu.be/zOPlh-mLeEk?

無料で使える、VPNサービスのいろいろ。

インターネットのセキュリティを考える時、VPN (virtual private network)を使いたいときがあります。無料で使えるものとしてはSoftEther VPNという筑波大学が提供しているサービスがおすすめです。自分でサーバーを構築する必要がありますが、たとえばこちらのQiitaの記事を参考にすると簡単に利用できるようになります。

【図解】SoftEther VPNを使ってLinux上でVPNサーバの環境構築をする
https://qiita.com/ryutarom128/items/4bbf97ad7ff12572eb43
書いてあるとおりにやれば、簡単にLinux上でVPNサーバーが稼働するようになるので、あとはクライアントソフトでそのサーバーにアクセスして、VPNを使えるようになるという手順です。

筑波大学のこちらのサイトに詳しい説明がありますので、参考にするとよいでしょう。

https://ja.softether.org/
他の無料のVPNサービス(末尾にまとめました)は1日500-700MBの制限があったり、サーバーの数が3つだったりと何かと不便です。まずSoftEther VPNを使ってみて本格的に勉強しながら、これらを試してみて最終的にはSoftEther VPNに移行するのがよいかもしれません。

TunnelBearとか、HotSpot Sheild 、iTop VPN、ProtonVPNなどの無料プランについてはネット検索して調べてみてください。

自宅のWi-Fiルーターを手軽に診断、am I infected?というサービスを使ってみました!

自宅のWi-Fiルーターの脆弱性を利用して攻撃の踏台にされるなどの事例が報告されています。自分の家のWi-Fiルーターは大丈夫かなと思っていたので、INTERNET Watchの記事で紹介されていたam I infected?というサイトのサービスで診断してもらいました。診断サイトはこちらです。

https://amii.ynu.codes/

横浜国立大学の提供しているサービスで、メールアドレスを画面で入力して、自宅か勤務先かなどのネットワーク環境をプルダウンから選び、このサイトを知ったきっかけもプルダウンメニューから選びます。後はキャプチャを入力した後、感染診断のボタンをおすだけです。5分ほどで結果を見ることが出来るアドレス入りのメールが届くので、感染診断を依頼した時と同じブラウザでアクセスすると結果がわかります。以下のような項目について診断結果が帰ってきます。

マルウェア感染の可能性
メーカーのサポートが終了した機器
管理者のパスワードが未設定の機器
既知の脆弱性を抱えた機器
ファームウェアが古い機器
初期ID・パスワードが公知の機器
認証なしにアクセス可能な機器
初期IDが公知の機器
初期のWi-Fiパスワードが脆弱な機器
古い通信プログラム(Telnet)が動作する機器

手軽に診断できるのでとても良いサービスだと思います。皆さんも試してみるとよいでしょう。

INTERNET Watchの紹介記事はこちらです。
『自宅のWi-Fiルーターを手軽に診断、「am I infected?」の使い方と結果の見方』
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/2062038.html

診断するのはルーターのみでPCのウイルスチェックをしてくれているわけではないので注意してください。詳しくはこちらをご覧ください。
https://amii.ynu.codes/about
マルウエア感染の可能性のチェックは、診断を依頼しているルーターから不審な通信が届いていないかを直近24時間以内のサイバー攻撃観測システムの観測結果からチェックするようです。直近24時間のデータでの感染診断ですので、しばらく時間をおいて何度かチェックするのがおすすめだそうです。以下はサイトからの引用です。
マルウェアに感染した機器は、他の機器に感染を広げるため、無差別に通信を試みて脆弱な機器を探します。サイバー攻撃観測システム*2はそのようなマルウェアの活動を常時観測しています。am I infected?では、ユーザーから検査依頼をいただく(①)と、直近24 時間以内の観測結果を基にして、ユーザーのホームルーターから不審な通信が届いていないかどうか確認します(②)。不審な通信が確認された場合は、マルウェアに感染している可能性があると診断します(③)。』 注については上の/aboutのurlサイトをご覧ください。

NHK BSでタルコフスキー監督の映画『ソラリス』が放映されます(11月19日水曜日午後1時から) これは必見です!

映画『ソラリス』についてはこのブログでも何度も取り上げました。このカンヌ映画祭審査員特別グランプリを受賞したこの名画がNHK BSで 11月19日(水)午後1:00〜に放送されます。テレビでこの映画が放送されるのは珍しいので是非、録画しましょう!
https://www.nhk.jp/g/ts/K8649395M1/blog/bl/p5D796g6OV/bp/prvv25oMJr/
ソラリスについての過去記事へのリンクも一つ載せておきます。

タルコフスキー監督や黒澤明監督の名画をみてみましょう!

英語字幕版はYouTubeで観ることができます。https://youtu.be/Z8ZhQPaw4rE?

原作は国立国会図書館デジタルコレクションで読むことができるので映画を見てから読むと面白いと思います。原作者レムは、タルコフスキーの映画が気に入らなかったそうです。私は映画は原作のエッセンスを完璧にとらえていると思いますが‥‥。
(以下の413)などの数字はこのブログで紹介しているデジタルコレクションで読める本の通し番号です。)

413) スタニスワフ・レム 著 ほか『ソラリスの陽のもとに』,早川書房,1977.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12576337 (参照 2025-11-14)

ソラリスにまつわる論考が載っている本もあります。これもとても面白いと思います。
414) 小阪修平 編『思考のレクチュール』4 (記号の死),作品社,1986.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12221638 (参照 2025-11-14)

柳瀬陽介先生の院生・研究者むけの英語添削GPT、量子生物学の学校の動画など。

今日はツイート風に、2つ記事を並べます。

最初は柳瀬陽介先生の英語学習についてのツイートの紹介です。


Ver. 4.7aのGPTは公開されているのですが、4.7aのPromptは公開されていないようです。公開を期待します。

次は、量子生物学の学校というのが始まったようでその第一回の動画です。このブログでよく紹介しているQuantum Biology InstituteのClariceさんと、Paul Davies教授との対談動画です。Paul Charles William Davies教授はいろんな啓蒙書が日本語に翻訳されている方ですね。宇宙論の専門家だったと思いますが、最近は癌の研究もしているとWikipediaに書いてありました。
Where science meets mystery: exploring quantum biology | Paul Davies and Clarice Aiello
https://youtu.be/XKm_IQmOUX0?

 

老化を抑える薬を開発している企業のリーダーによる老化の一般向け解説動画がおすすめです!

YouTubeが、英国 The Royal institutionの老化についての講演会をおすすめしてきました。これは、老化をコントロールする薬を作っている企業の研究者による動画です。いろんな生物での寿命の差の話(リスは長寿記録で25歳、チンパンジーの長寿記録は77歳、ヒトは122歳、そしてホッキョククジラは200歳だそうです)のイントロに続いて、宇宙飛行の寿命への影響(相対性理論の話ではなくて、宇宙に滞在することが如何に有害かという話です)、寿命がどのように決まっているのか、寿命の決定にかかわるネクローシス(壊死)の役割についての仮説などが語られます。彼女の企業はネクローシスを防ぐことで長寿にする薬を開発していて臨床試験の段階にはいっているようです。わかりやすい講演ですし、字幕を表示してみると理解しやすいと思います。もちろんChrome の機能拡張、Language Reactorの使用もおすすめです。

秋も深まってきました‥。転写因子の結合を機械学習をつかって設計・制御する手法の入門動画が面白そうです。

今朝は今秋一番の冷え込みでした。今年は猛暑で種から育てた空色アサガオが10月半ばまでは全く咲きませんでした。今は毎日30輪ほどの花が咲くようになっています。今朝はものすごく寒かったので咲いたアサガオがみな赤色で、色水 遊びに使えそうでした。「全然空色ではないやん」、と驚きの声が思わずでてしまいました。しかしなんと午前中 気温があがってくると、写真のような見事な空色に変化しました。生物ってすごいですね。どんな仕組みでこんな色の変化が起こるのでしょうね。

自宅の庭には赤や白の菊が咲きはじめ、キンモクセイはそろそろ花の終わりです。

今日の動画紹介は一昨日紹介したMPG primerを提供しているBroad Instituteの最新動画です。こちらはMIAシリーズで、Models, Inference and Algorithmsというシリーズです。

これは転写因子の結合を深層学習で制御するという研究の入門動画のようです。転写因子に興味のある、特にバイオインフォマティクスの学生や、転写因子についてはおおよそ理解しているが機械学習でどのようなことができるかに興味のある方には絶好の入門動画のようです。さっき存在を知ったのでまだみていないのですがこれは見てみたい動画です! MIAのシリーズはたくさん動画があるようで過去の動画一覧は以下のリンクからたどれます。
https://youtube.com/playlist?list=PLlMMtlgw6qNjROoMNTBQjAcdx53kV50cS&

日本の火星衛星探査計画への応援メッセージを送りましょう!ブルーバックスチャンネルの量子力学講義もおすすめです。

JAXAのこちらのツイートも注目です。とうとう来年、火星の衛星フォボスへのサンプルリターン計画が実施されるんですね。応援メッセージを送るリンクはこちら。
https://goodluck-mmx.jp/

先日の記事で紹介したブルーバックスチャンネルでの野村先生の量子力学講義の第二回が公開されました。

【野村泰紀】ゼロからの量子力学/なぜモノは机をすり抜けないのか?/「とびとび力学」としての量子論/「並行世界は存在する」といえるワケ/量子コンピュータ…物理学者・野村泰紀#2【BLUE BACKS+】
https://youtu.be/b56ns2IIcW4?

 

MPG Primer講義シリーズの最新動画二本を紹介します!

MITの集団遺伝学の医学への応用についての講義シリーズMPG Primerの最新の動画2本を紹介します。
MPG Primer
Medical and Population Genetics Primer)については、末尾の過去記事リンクを参考にしてください。

MPG: Somatic Mutations and Human Health (2025)
https://youtu.be/O0ce4VaFCNQ?

この動画は、体細胞突然変異がヒトの健康にどのような影響を及ぼすか(体の異常、病気をいかにひきおこすか)についての講義です。アルツハイマー病などに神経細胞での体細胞突然変異が蓄積することや、造血幹細胞での体細胞突然変異なども解説されているのでとても興味深い内容の講義です。

2本目の動画はこちらです。

MPG Primer: Gene-environment interactions: a genome-wide perspective (2025)
https://youtu.be/ukiXqNjIVXQ?

こちらは、遺伝統計学の立場から遺伝子と環境の相互作用の解析を行う手法を概観する講義です。こういう解析は はじめて知ったので、まだ全体は理解できていません。興味のある方は是非、動画をざっと飛ばして見てください。新しい視点が得られるかもしれません。

MPGの講義シリーズについては以前の過去記事も参照してみてください。

遺伝学の基礎が学べるMPG Primerの入門動画が公開されたので紹介します!

医学への集団遺伝学の応用についての入門講義シリーズがMITから公開中です!これはおすすめです。

James D. Watsonが97歳で亡くなりました。

DNAの二重らせん構造をあきらかにして遺伝病の研究の発展にも貢献していたWatsonがなくなったそうです。彼は私の大学院生のときに京都大学理学部生物物理学教室にもやってきて、本にサインをもらっていた人も多かったのを覚えています。よい教科書Molecular Biology of the Geneを書いて、私たちの世代は彼の本で分子生物学の入門をしたものです。日本語版と英語版を両方読んで、分子生物学の用語を覚えたのを思い出します。私がCold Spring Harbor 研究所を共同研究のために訪問した時には所長をされていました。彼はロザリンド・フランクリンの業績の剽窃疑惑や、黒人問題につての発言などでもニュースをたびたびにぎわしていた人でもあります。その辺のところは、次の英国の新聞社ガーディアンの次の記事に詳しいので読まれることをお薦めします。New York Timesの記事を最初に読もうとしたのですが、登録しろとかいう画面がポップアップしてきて読めないようになっているので引用をガーディアンに変更しました。
https://www.theguardian.com/us-news/2025/nov/07/james-watson-scientist-dna-death

下に埋め込んだ動画では、人種Raceというものについての現代の標準的見解とワトソンの見解がならんで表明されていてとても興味深いと思います。この動画が多分、上のGuardianの記事の中で触れられているドキュメンタリーだと思います。
Decoding Watson (2019) | Full Documentary | American Masters
https://youtu.be/BMfz506M-AY?