MITの公開している講義動画や無料教科書・講義資料をみてみましょう。

米国の有名大学であるMITは多くの講義をオンラインで公開しています。YouTubeならこちらでみることができます。
https://www.youtube.com/user/MIT

MITのOpen Course Wareのサイトについては何度も紹介しています(末尾のリンクを参照)が、サイトには講義資料やテキストでダウンロードできるものもいっぱいありますので是非、本家の方も探してみてください。リンクはこちらです。https://ocw.mit.edu/
サイトにいって、検索窓にlinear algebra (線型代数)といれて検索してみましょう。すると有名なStrang教授の授業が公開されているサイトなどが一覧ででてきます。こんな感じです。
https://ocw.mit.edu/courses/18-06sc-linear-algebra-fall-2011/
教材やビデオへのリンクもあります。
2021年のStrang教授の線形代数の教科書ZoomNotes for Linear Algebraもダウンロードできます。
https://ocw.mit.edu/courses/18-06-linear-algebra-spring-2010/4d876a9159e32543eb0d73b4d4382f4c_MIT18_06S10ZoomNotes.pdf
線型代数に限らず、生化学の講義
https://ocw.mit.edu/courses/7-05-general-biochemistry-spring-2020/video_galleries/video-lectures/
とか分子生物学の講義もありますし、機械学習やPythonの入門講義や場の量子論の講義、以前紹介したことがある量子論の発展史の講義などいろいろあるので是非探してみてください。英語で講義をする人、英語の講義をきいて専門用語を発音と一緒に覚えようとする人にも役立つサイトですね。

さがしてみると、なんと大学院生のためのテクニカルライティングの講義資料もダウンロードできます。
https://ocw.mit.edu/courses/21w-794-graduate-technical-writing-workshop-january-iap-2019/pages/lecture-notes/
MITのOpen CourseWareを紹介した以前の記事にも載せましたが、Strang教授の微積分入門書Calculus online textbookもダウンロードできますよ。
https://ocw.mit.edu/courses/res-18-001-calculus-fall-2023/pages/textbook/
以前の記事はこちらです。併せて参考にしてください。

MITのOpen CoursewareでMathematics for Computer Scienceという教科書をダウンロードしたり、有名なStrang先生の微積分入門講義が学べます!

望月新一教授のブログ記事が1月4日に追加されています。量子力学の新しい教科書(英語版)が今年でるようです。

一昨日紹介したABC予想の解決で有名な京都大学の望月新一教授のブログ記事が1月2日に続いて4日にも更新されました。
高度な偽装を狙う「技術」と、究極的な真実の解明を目指す「科学・純粋数学」
というタイトルの記事で、AIをはじめとした技術(文字の発明もとりあげられています)の齎す(もたらす)成果と、純粋科学としての数学との対比、純粋数学の研究の人類にとっての重要性を力説されています。記事は上のリンクから読めますが、私の今の要約では尽くせない内容ですので是非各自で読まれることをお薦めします。
https://plaza.rakuten.co.jp/shinichi0329/diary/202501040000/

話は変わりますが、量子力学の新しい教科書がSpringerから今年出版されるようで著者(ジョージタウン大学物理学教室のJames Freericks教授)が宣伝の動画シリーズをアップロードされています。堀田先生の本と同じような、量子ネイティブのための新しい教科書になるようで興味のある方はご覧になるとよいでしょう。
Quantum Mechanics Done Rightというタイトルの本だそうです。動画のプレイリストはこちらです。どれも10分以下の動画です。
https://youtube.com/playlist?list=PLxyBMSdBhYxP1QiBmfRXcDorphxjQT_ye&si=pEVyNfADNlAwDZF2

最新の回の動画を埋め込んでおきます。
Chapter 3: The quantum mechanics of light (Quantum Mechanics Done Right video 7)
https://youtu.be/DrJCTz6sOJo?si=cFJado4QMcey5lzq

線虫C. elegansの神経回路網からAIを考える動画が面白そうです。

今ではショウジョウバエのコネクトームも解明されましたが、線虫C. elegansはそのすべての神経細胞の神経回路の接続(コネクトーム)が解明された最初の多細胞生物です。コネクトームという単語に含まれているオームというのは、数学のΣ記号にあたる接尾辞で、プロテオームproteomeといえばすべてのタンパク質の集合、ゲノムgenomeといえばすべてのgeneの集合という意味になります。つまりコネクトームconnectomeといえばすべての神経細胞間のコネクションの集合という意味になるわけです。線虫のコネクトームが解明された時、先見の明のある企業のNECは、基礎研究所に線虫研究の部門をつくって研究をすすめていました。現在活躍されている優秀な線虫研究者にはこの研究所出身のかたもおられます。九大で開催された線虫講習会には、NECの佐野亨さんが講師でこられており、Linuxの使い方からはじまって線虫ゲノムデータベースであるACEDBの使い方などを教えてくださいました。私がはじめてLinuxというものを知ったのも、この佐野さんの講義です。
近頃、線虫のコネクトームは、AI研究にどのように役立つのだろうか、と思っていたのですが、ちょうどよい動画を見つけました。

YouTubeの動画で、線虫のコネクトームのAIとの関連を、制御工学とニューラルネットワークの立場から考えている動画です。PubMedで演者を検索すると、神経ネットワーク解析やバイオインフォマティクスの専門家の方でしっかりした論文もだしておられる若手の研究者の方のようです。

AI時代に線虫のコネクトームがどう生かされるのか、ちょっと興味をひかれる動画で時間ができたら見てみたい動画です。

望月新一教授のブログの更新と、台湾の糖鎖生物学講演会の動画を紹介します。

私の専門の糖鎖生物学の動画で台湾からYouTubeにアップロードされているものがわかりやすくて良いと思うので紹介します。
https://www.youtube.com/@glyco26tw33/videos
以下の三本の動画があります。どれも海外の有名な研究者による講演です。これは2023年に台湾で開催された国際複合糖質シンポジュウムGlyco26の際に行われた講義動画で糖鎖生物学の入門には最適と思います。
Advanced Course I – Glycan Binding Proteins
https://youtu.be/A7n7Qqn8sbo?si=Hb7OjN-f7-UoH2pv
二時間で糖鎖と結合するタンパク質のエッセンスが学べます。
Advanced Course II – Protein O-glycosylation
https://youtu.be/OcW2BgqhnZg?si=VKd7Zi9qBxAB8sqi
N型糖鎖は有名ですが、O型糖鎖について知っていますか?O型糖鎖のエッセンスを学びましょう。
Advanced Course III – Glycomics and Glycoproteomics of Biological Systems
https://youtu.be/6kJucUzETTA?si=oXcZeyg8YCqa_HUt
二日目のこの講義では、糖鎖研究の技術について学べます。質量分析や糖鎖の可視化など面白い話が満載です。
https://youtu.be/6kJucUzETTA?si=9uEUBB0aIIfFojFi

三番目の動画の最初の後援者Anne Dellさんは、私が糖鎖生物学をはじめたころ、私のB型血液型物質は細胞接着に働いているという内容のポスターに、 Ten Feiziさんと一緒にいつもきて質問して下さっていたイギリスのImperial College Londonの教授です。今でもABO式血液型の論文(たとえばこんな論文。https://doi.org/10.1016/j.jri.2023.104083)を発表されています。懐かしいなぁと思って動画にみいりました。

話は変わりますが、ABC予想を解決した京都大学の望月新一先生のブログが新年を迎えたので更新されました。
https://plaza.rakuten.co.jp/shinichi0329/diary/202501020000/
ジャーナリストが望月先生から直接取材して完成した学問的な記事が、今年公開されるそうです。楽しみですね。

Cambridge大学で公開されている物理学の講義資料が秀逸です。

Cambridge大学の以下のサイトには、物理学の様々な分野についての講義資料が公開されています。これはケンブリッジ大学の理論物理の教授David Tong先生のサイトです。彼はTong教授は、場の量子論、一般相対性理論、宇宙論、固体物理学などさまざまな分野で研究している先生です。この講義資料サイトは有名なサイトだそうですが私は今日はじめて知りました。サイトのurlです。
David Tong: Lectures on Theoretical Physics
http://www.damtp.cam.ac.uk/user/tong/teaching.html

どんな科目の資料があるかをリストしておきます。講義資料には、参考書も挙げられていてそれぞれの本についての詳しい紹介もあるので参考になります。古典力学、電磁気学(ベクトル解析を含む)、量子力学、固体物理学、流体力学、数理生物学、統計物理学、重力と宇宙論、場の量子論、素粒子物理、超対称性と ひも理論などの充実した講義資料があるので是非眺めてみてください。

Classical Mechanics Electromagnetism
Dynamics and Relativity Vector Calculus
Classical Dynamics Electromagnetism
Quantum Mechanics Condensed Matter
Quantum Mechanics Solid State Physics
Topics in Quantum Mechanics Quantum Hall Effect
Fluid Mechanics Something Different
Fluid Mechanics Mathematical Biology
Kinetic Theory
Statistical Physics Gravitation and Cosmology
Statistical Physics General Relativity
Statistical Field Theory Cosmology
Quantum Field Theory Particle Physics
Quantum Field Theory Particle Physics
Gauge Theory Standard Model
Solitons
Supersymmetry and String Theory
Supersymmetric Quantum Mechanics
Supersymmetric Field Theory
String Theory

Tong教授は場の量子論の研究でも有名な先生で、このブログでも2022/3/22の記事で英国王立研究所での一般むけ講演の動画を紹介したことがあります。

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうござます。本年が皆様にとってよいお年となりますように!
福岡は大晦日の夜、空を見上げるとオリオン座が輝いて星々がとてもきれいでした。元旦の朝も快晴で、初日の出を皆でそれぞれ撮影して楽しみました。あたたかな穏やかな晴れた元旦は久しぶりです。
福岡は海と空の玄関(港と空港)が街中にあるので奥さんが元旦は空港に飛行機を撮影にでかけました。

飛行機の写真と、これも奥さんが今日撮った我が家によく飛んでくるジョウビタキ(オス)の写真をのせておきます。ジョウビタキは暖かい日には庭の雨水貯めの容器にはいって水浴びをしていて、見つかっても逃げないで「あれ、やばい見つかった」とこっちを見ているとても人懐っこい鳥です。庭を歩いていると目の前を飛び去ったり、庭仕事をしていると数メートル離れたところにとまってこちらをじっと見たりしています。彼や彼女たちも渡りに量子スピンを使っているのかもしれません。コマドリとによく似ていますから!

それから今年のお正月はKindle本の半額セールとか電子書籍のセールをいろんな出版社がやっています。たとえば裳華房の物理入門書の以下の本はKindle版は書籍版の半額になっています。1月9日までのようです。

物理学レクチャーコース 熱力学 岸根 順一郎 著 ¥1870
物理学レクチャーコース 物理数学 橋爪 洋一郎 著 ¥1815
物理学レクチャーコース 電磁気学入門 加藤 岳生 著 ¥1320

本年もブログ閲覧していただきましてありがとうございました。

今日は福岡はことのほか暖かで、日中はストーブを消しても20度近く気温がありました。おだやかなよい大晦日でした。
このブログも2009年の開設以来、来年で16年目になります。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

今日は今年飛躍的な進歩をとげたAIについての、京大でのワークショップの動画を紹介しておきます。
AIと物理と哲学についてのワークショップで、英語ですが面白そうな内容です。

Discussion workshop “AI x physics x philosophy” 京都大学2024年開催
ポスターはこちらです: https://mlphys.scphys.kyoto-u.ac.jp/events/20241202.pdf

プレイリストはこちらから見ることができます。
https://youtube.com/playlist?list=PLJQ2QP56wJtH38PC8dPw-67t4Nw1QiXzM&si=Ia3Dwq1bAzw1XkZJ
4つの動画が公開されていますが、京大の大塚淳先生による最後の動画を埋め込んでおきます。
質疑応答もあって参考になりそうな動画です。

https://youtu.be/WIP6GDrhs_s?si=2TuQJL3NOB4eD-Ku

来年も皆様にとって素晴らしい一年となりますように。

無料公開されている英語の教科書の日本語版が読めるサイトを紹介します。

今日は、海外で無料で公開されている教科書を翻訳して下さっている方のサイトを紹介します。https://medium.com/@BetterLateThanNever
OpenStaxという以前紹介したサイトで公開されている英語の教科書その他、教育用に公開されている教科書の日本語翻訳版が読めます。
たとえばこんな本(もっといろいろありますので是非、上のホームページで確認してみてください)が翻訳されています。

・社会学入門 第3版
・8万時間:良いことをする、充実したキャリアを見つけよう
・心理学 第2版
・化学 第2版
・生物学 第2版
・Aレベルの倫理学

OpenStaxのサイトはこちらです。https://openstax.org/
ものすごい数の人文・自然関係の教科書が公開されていますね。
以前紹介したOpenStaxで無料ダウンロードできる有名な有機化学の教科書についての記事もリンクしておきます。

100万人以上の学生が使った教科書 「マクマリー有機化学」の最新版(2023年9月発行の第10版)がなんと完全無料公開されました!

年末年始のおすすめ本―『在野と独学の近代』(中公新書)

今こんな本を読んでいます。

「在野と独学の近代   ダーウィン、マルクスから南方熊楠、牧野富太郎まで」志村真幸 著
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2024/09/102821.html
著者は、南方熊楠の研究で有名な慶応義塾大学准教授の先生です。タイトルには四人ほどの名前があがっていますが、取り上げられている学者はもっと多くて、日本の民俗学の創始者 柳田国男、念写や透視など超能力の研究で有名な福来友吉、牧野富太郎のNHKドラマ「らんまん」で描かれたイチョウの精子を発見した画工 平瀬作五郎、江戸学の祖とよばれる三田村鳶魚(えんぎょ)などについても詳細に活写されています。熊楠が留学した当時の大英博物館図書室の様子、当時の雑誌Natureとはどんな雑誌で熊楠のNatureにのった論文とよばれるものは、今のNatureの論文とどうちがうかなどもとてもよくわかりました。また英国のアマチュア学者の学問への貢献の度合いの大きかったこと、どちらかといえば学問を推進していたのはアマチュアだったということなどもこの本で初めて知りました。有名なOxford English Dictionary (OED)がどのようにアマチュアの総力を結集してできあがっていったかなど興味深い事実が満載で、本当によく調べてあるよい本だと思います。この本に書かれている、学問がどのように進歩していったかの歴史事実から、今後の学問を発展させるためのヒントが豊富に得られると思います。とてもよみやすく、エピソード満載であきさせない著者の筆致で、ぐんぐん読みすすめられる本でした。NHKの朝ドラ 「らんまん」を楽しんだ方に是非読んでもらいたい本です。科学や学問がどのようにすすむかについて、より深い理解と洞察が得られると思います。そして今後の日本の学問の進歩について考えて政策を立案していく官僚や政治家、研究者にも是非読んでほしい本だと思いました。年末年始の読書に一押しの本です。

仁科芳雄の業績やスピン流についての仁科記念講演会動画が超おすすめです!

仁科芳雄は、日本の物理学の開拓者で仁科記念賞は世界的に権威のある賞として知られています。仁科先生の伝記がみすず書房からでていますが、本屋で手に取って面白そうだと思いましたが、上下2冊合計で1万2540円という高額本(『励起』上下、みすず書房2023)で購入できていません。
https://www.msz.co.jp/book/detail/09618/
https://www.msz.co.jp/book/detail/09619/
ところが今日、この本の著者の京都大学文学系研究科の伊藤憲二先生の講演動画をみつけました。今年の12月5日(仁科先生のお誕生日12月6日の前日)に2024年度 (第70回) 定例仁科記念講演会「仁科芳雄と素粒子物理学の百年」で講演された動画です。これは面白そうですので是非見てみようと思っています。
https://www.youtube.com/live/k5xfyogWOuQ?si=OIFR_oR3I1EUqWgC

こちらのページには仁科記念講演会の動画やスライドへのリンクがありますので是非、ご覧ください。
https://www.nishina-mf.or.jp/project/lecture/

仁科記念賞を受賞した先生も講演されているので大変魅力的な講演会です。
私のみつけたおすすめ動画は、2024年の上にあげた講演会と、2022年の講演会の動画です。特に2022年の講演会動画は、今話題のスピン、スキルミオン、スピントロニクス、スピン流などの基礎がよくわかる講演です。講演者のお二人とも仁科記念賞の受賞者というのも豪華です。私はスピンで発電するなどのトピックスを含む齊藤先生の動画からご覧になるのがよいと思います。
https://youtu.be/HgazW6GIeDQ?si=V58hsN1kAuQzSlWO

【全体テーマ】スピン流の理 (ことわり) と使い途

1. 永長直人 スピンはめぐる─固体の中で─
(東京大学大学院工学系研究科教授・理化学研究所創発物性科学研究センター副センター長・2005年度仁科記念賞)

2.齊藤英治 スピン流と角運動量の物理
(東京大学大学院工学系研究科教授・2022年度仁科記念賞)

今日は福岡は午前中、みぞれとあられが降りました。本格的な冬の到来です。