実験ノートについて (3) (2009/10/10)

ノーベル賞のわくわくする発表も終わりに近づいてきました。イギリスのケンブリッジにあるMRC LMBからまた一人、(出身者というのなら二人)の受賞者が化学賞(リボソームの構造に関する業績)に選ばれています。ざっと数えて15個ほどのノーベル賞メダルがこの研究所からでています。

さて先日紹介したポータルサイトをみていたらノーベル賞を2つもらった科学者Linus Paulingさんの実験ノートがオレゴン州立大学の図書館のサイトに公開されているのに気づきました。以前紹介したBrennerFaradayの実験ノートとあわせてのぞいてみてください。そしてどんなことをノートに書かなくてはいけないかを考えてみて下さい。(最近ではコンピュータが発達してきたのでパソコンで電子ノートブックというのが使われるようにもなってきています。ノートにどのようなことを書くべきかをしっかり考えてこうしたノートを使うことが大切です。)

この大学の図書館にはLinus Pauling onlineというサイトができていて、彼の実験ノートの写真や鎌状(鎌形)赤血球貧血症の研究、化学結合論の研究、DNAの構造の研究などの紹介などの他に、長時間の講演会の動画も公開されています。DNAの構造解明でノーベル賞を受賞したCrickPaulingを回顧する講演などもありますし、講演のスクリプトがついていますので英語の勉強にも使えます。是非ご覧下さい。

Paulingは化学結合論の権威で量子化学を創始した科学者の一人です。DNAの構造を研究していたWatsonがPaulingさんの本「化学結合論 The Nature of the Chemical Bond…」が必要になって探し回っていた場面が有名な「二重らせん」という本の中にあったと思います(11章後半)。今話題のノーベル化学賞と平和賞を、後者は核兵器根絶運動の功績で受賞しています。47年も前のノーベル平和賞ですが、まだ核兵器はいっぱいあります。Paulingのノート(画面一番下のSelected Highlightsを見ると面白いです)には奥さんのコメントなどもはいっていてほほえましいものもあります。画像を拡大して上の方をご覧下さい。