ヒトの細胞の世界:世界で一番詳しい解説図が公開されています

世界一詳しいヒトの細胞の図解が2018年に公開されています。細胞を構成している分子についての知識は飛躍的に増えていて、X線結晶構造解析、核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance: NMRと略します)、クライオ電顕などを使って、細胞内での生体分子の様子がずいぶんわかってきました。その成果の集大成の図といえるでしょう。

こんな図です。きれいですね。秘密の花園みたいにきれいです。図には二つの細胞が描かれています。図の右上隅の細胞は、カドヘリンを介して画面のほとんどを占めている細胞と接着しています(この記事の下から二番目の図にカドヘリンのある場所がしめしてあるのでご覧ください)。画面左上からカドヘリンによる接着部位に向かって広がっているのは細胞膜とその膜上および膜外(細胞外基質)にあるいろいろな分子です。画面左下の黄色いバスケットのように見える部分(核膜孔)の周りの膜は、核膜などでその下は核の内部です。青い紐はDNAでいろんな転写因子も描かれています。

Cellular landscape cross-section through a eukaryotic cell, by Evan Ingersoll & Gael McGill – Digizyme’s Molecular Maya custom software, Autodesk Maya, and Foundry Modo used to import, model, rig, populate, and render all structural datasets
こちらには同じ図ですが、図のあちこちをクリックすると分子の名前だとか分子の詳しい説明などがみられる図(クリックしてサイトを開いてみてください)が掲載されています。ページを開くと上の図が大きく表示されていますが、下に6枚、上の図の部分図が表示されています。絵で描かれている分子の部分をクリックすると、分子の名前が英語で表示され、ダブルクリックすると分子の情報を英語で詳細に書いてあるページが開きます。以下の図はこのサイトの使い方の一例です。
図の中の細胞と細胞の接着部位にある分子をクリックしてみましょう。

マウスカーソルが指に変わって、n-cadherinという分子名が表示されます。これはN-cadherinです。

下の図に示すように、各図の左上にSelect a pathwayと書かれているプルダウンメニューがあります。プルダウンして、Cell Structureを選んでみましょう。以下のような細胞の構造に関わっている分子とその分子名が一斉に表示されます。これでチューブリンだのアクチンだのがどこにあるかが一目瞭然ですね。それぞれの分子をクリックすると分子の解説ページが開きます(何故かN-cadherinの場合は開きませんでした)。

この図で灰色っぽい白に表示されているのは、細胞膜です。上の細胞と下の細胞が結合している部分にN-カドヘリンがびっしり膜から生えているように見えるのがわかると思います。この接着部位は、接着結合(adherens junctions)あるいはその一例である 細胞をぐるっと取り囲む接着帯(adhesion beltあるいはzonula adherensとも言う)と呼ばれています。図の細胞膜の表面(図の左上のすみのほう)には、プロテオグリカンの一種であるperlecanが描かれています。図をひらいてみていろいろクリックしてみて細胞がどんな分子で構成されていて、それぞれの分子がどこにあるかなどをみてみてください。
このMcGillさんたちが作った図では分子の密度は実際のものより薄まっていると書かれています。実際はもっと細胞内は分子が込み合っているようです。

Firefoxの不具合をリフレッシュ機能で解消する

昨日はFirefox の古いesr版を最新版へとアップグレードする方法とScrapBookやSageのアドオンの代替品を紹介しました。スムーズにアップグレードできる場合とできない場合がありましたが、後者の場合はFirefoxのバージョンを上げたり、下げたりいろいろいじっていたのがうまくいかない原因だろうと思います。
後者の場合ですが、無事にScrapBookとSageの代替品のインストールも終わって、どちらもうまく使えるようになったので一安心して、再起動すると、なんとツールバーのScrapBookとSageのアイコンが透明になって、マウスをあてると、そこにアイコンは存在するのですが押してもうまく動きません。そして設定したscrapbook.rdfの場所や、Sage feedsの場所の設定も消えてしまっていて初期設定に戻っていました。いろいろGoogle検索したのですが解決法はみつからず、結局Firefoxのリフレッシュを試したところ、うまくいって不具合を解消できたのでやり方をメモしておきます。

リフレッシュのやり方はここにあります。
https://support.mozilla.org/ja/kb/refresh-firefox-reset-add-ons-and-settings

リフレッシュすると、アドオン(拡張機能)やその設定などは消えてなくなりますが、ログインパスワードを含むログイン情報、ブックマークなどは保存したままFirefoxの不具合が解消されるそうです。不具合のあるFirefoxで、上のリンクにアクセスして、ページ内のリフレッシュボタンを押すなどするとリフレッシュが始まります。リフレッシュ中に今までのprofileフォルダはOld Firefox Dataという名前のフォルダとしてデスクトップに保存されるので、デスクトップフォルダの空容量がprofileフォルダを保存するのに十分かどうかを、リフレッシュの実行前に必ず確認しておいてから実行してください。このOld Firefox Data フォルダには前のprofileがそのまま残っていますので、リフレッシュで不具合が出た場合は、このprofileから復旧できます。

リフレッシュが終わるのに時間がかかる人が多いかもしれませんが、じっとまちましょう。しばらくするとリフレッシュが終わります。私の場合、復元とかいうボタンがでたので押しました。終わると私のブックマークタブとかもきれいになくなっていて失敗かと思ったのですが、右上の三本線ボタンを押して、ヘルプ、トラブルシューティング情報、profileで確認すると全く新しいprofileフォルダができているのがわかりました。その中にはたしかにブックマーク情報もはいっているようでした。これを確認した後再起動すると、(記録をとっていなかったので二回目の再起動後かもしれません)めでたく前のブックマークやログイン情報その他が復活しており、ログイン情報も残っているのがわかりました。リフレッシュの仕様によって、すべての拡張機能(機能拡張、アドオン)はなくなっているので、さっそくSage-likeScrapBeeLie Science Dictionary Tool WebExtensionなどのアドオンをインストールしました。最後のアドオンは、Life Science Dictionaryのアドオンで、マウスカーソルを英語にあてると訳や例文がポップアップするものです。pdfをブラウザで表示すればpdfを読む時にもポップアップ辞書として使えます。私は文献の整理にZoteroを使っていますので、Zoteroのページにいって、Zotero Connectorというアドオンをインストールしました(firefoxの機能拡張ページにzoteroといれても見つかりませんでした)。このアドオンはZoteroを起動しておいた状態でツールバーのZotero connectorアイコンをクリックすると文献情報やpdfを一発でZoteroにダウンロードするものです。ZoteroはEndNoteなどのように文献整理、論文の文献欄の作成などができるソフトです。いろいろな無料文献ソフトの中では個人情報の扱いが一番ちゃんとしているようなのでここ数年はこれを使っています。

写真は散歩の途中でみつけた からすうり です。梅の木にからまっています。後ろに見えるのは柿です。秋も深まってきていますが、ここ数日、福岡は20度を越えていて、暑いです。

Firefox 52.9.0esr版からFirefox Quantum最新版へのアップグレードおよびScrapBookとSageアドオンの代替品の紹介です

Firefox esrのFirefox Quantum最新版へのアップグレードのやり方およびScrapBookとSageというアドオン(拡張機能、機能拡張)の代替品の紹介をします。

プログラム本体とアドオンの扱いにわけて説明します。まずアップグレードの失敗に備えてprofileフォルダのバックアップをとっておきましょう。profileフォルダの中には、ログインパスワードやブックマーク、機能拡張(アドオン)の情報などなど、重要な情報が集められているので、更新に失敗してもバックアップしておいたprofileフォルダを使って失敗前のFirefoxに戻すことができますので是非ともバックアップをとっておいてから以下の作業をやってください。

profileフォルダの探し方は下の図のとおりです。

Firefoxの右上のバーの中にある、三本線が積み重なったマークをクリックして開くメニューから、矢印で示してある「ヘルプ」をクリックして、「ヘルプ」メニューにある「トラブルシューティング情報」をクリック、「トラブルシューティング情報」メニュー中の「プロファイルフォルダー」の項目にある「フォルダーを開く」のメニューからprofileフォルダの位置がわかります。このprofileフォルダ全体を万一のために別の場所にバックアップしておいてください。
この際、profileフォルダのバックアップ先は、決してFirefoxのインストール先のフォルダにはしないことが大事です。Firefoxをインストールするときに上書きされるようなフォルダはバックアップ先には不適です。不具合が生じた時の以前のFireifoxへの戻し方の概略は、アップグレードに失敗したFirefoxをアンインストールし、インストーラーを使ってもとのFirefoxを再インストールし、インストール後にできたprofileフォルダを、バックアップしてあったprofileフォルダに中身を入れ替えるだけです。

ではいよいよアップグレードにとりかかりましょう。

アドオンの取り扱い。
まずFirefoxのQuantum(Firefox 57以降版)にアップグレードする前にQuantumでは使えなくなるアドオン(機能拡張)を調べて、代替アドオンをGoogle検索などを使って探してインストールする準備をしておきましょう。代替アドオンの名前などをメモしておけばOKです。

私の場合は、Firefoxのアドオンで、昔から使ってたScrapBookとSageの代替アドオンを探しました(どちらもFirefox Quantumでは使えません)。

1)ScrapBookは元のデータを含めてScrapBeeというアドオンで代替利用できます。
https://addons.mozilla.org/ja/firefox/user/13434730/

ScrapBeeというアドオンは、ScrapBookのデータを読み込めますので、Firefoxをアップグレードする前に、Scrapbookの元データの場所を確認しておいてください。普通 元データはFirefoxのprofileフォルダの中のScrapBookフォルダにありますので、profileフォルダ全体ををバックアップしておくとバックアップから復元できます。FirefoxのProfilesフォルダの下に、固有の文字列のあとに”.default”とかいてあるprofileフォルダ(たとえばabcdef7x.defaultというようなフォルダ名になっています)があります。これを開くとFirefoxのいろんなデータフォルダがあって、その中にScrapBookという名前のフォルダでデータが保存されているのがわかります。このフォルダを開くとそこにscrapbook.rdfファイルがありますのでこのありかをScrapbeeのoptionで設定すると、ScrapBookで蓄積したデータを最新版のFirefoxで利用することができます。もちろん新たなweb pageの保存もできます。

Scrapbeeのインストールと使い方についての日本語による解説記事は以下をご覧ください。
http://rainbowvortex.blog.fc2.com/blog-entry-121.html

Scrapbeeに元のScrapBookのデータのありかを教える必要がありますが、上の記事にあるように、Scrapbeeのoptionメニューでscrapbook.rdfファイルのありかを記述してそれを保存すればよいだけです(ScrapBookデータフォルダはFirefoxのprofileフォルダの下にあり、ScrapBookフォルダの直下にこのrdfファイルがあります)。ScrapBook フォルダを開いてscrapbook.rdfというファイルの場所を絶対パス表示で表示してそれをコピーしてScrapbeeのオプション設定に記入します。記入後設定をsaveすると、うまくいけば、昔のScrapBookで保存した記事のリストが一覧表示されます。うまく読み込めない場合は、ScrapBookフォルダの場所をFirefoxのprofileの下の位置から、デスクトップなどFirefoxと関係ない場所へ移してやってみてください。読み込めるはずです。

2)RSSリーダーのSageはSage-likeというアドオンをインストールして代わりにしています。
https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/sage-like/
このアドオンをQuantumにインストールしてから、まだフィードファイルフォルダを設定していないので、オプションの設定メニューを使って、以前Sageで設定していたRSSフィードのデータを一括取り込みします。下図のようにオプションメニューを開きます。

Feeds Bookmark folderというのの設定項目が一番上にあります。select feeds folderというプルダウンメニュー(左図の矢印)をひらくと、Bookmarkの他にSage feedsという項目がいくつかあります。このアドオンにはじめからついてきているfeedsもありますが、たぶん下のほうにあるSage feedsをクリックすると、いままで使っていたSageアドオンのfeedsのリストが見つかると思います(右図矢印)。それを選べば、以前と同様にSageで設定したfeedが使えるようになります。

Firefox のQuantum最新版へのアップグレード

先ずアップグレード前の注意点です。
Firefoxをアップグレードする前に、今使っているFirefoxのprofileフォルダをバックアップしておくのを強く勧めます。プロファイルフォルダの場所の見つけ方は上に説明したとおりです。以前の記事にもありますので参照してください。このprofileフォルダにはパスワードやログイン情報の他、多くのアドオンのデータも保存されています。上に書いてあるScrapBookというアドオンのデータもこのフォルダの中にあります。このprofileフォルダさえあればFirefoxが異常になった時でも再インストールなどして前の状態を復活できますので、Firefoxをいじるまえに是非バックアップしておいてください。

Firefoxの古いバージョン52.9.0 esr版がインストールしてあるパソコンがあったので、Firefoxを起動し、メニューの「ヘルプ」→「Firefoxについて」を選んでFirefox 60.9.0esrへアップグレードします。これはアドオン以外は問題なくアップグレードできるでしょう。(どのアドオンが使えなくなったかがわかるのでそれをみて必要な代替アドオンを探してください。)このFirefox esr 60.9.0がインストールしてあるパソコンを最新のFirefox esr 78.4.1にアップグレードしてみました。

一台目のパソコンでは、Firefoxを起動しておき、「ヘルプ」→「Firefoxについて」を選択して更新のチェックを行い(左図)、更新版としてesr 68.12.0が表示されるので更新ボタンをクリックしてアップグレードしました。その後、もう一回同様にヘルプで更新を確認すると、さらに更新があることがわかったので、クリックしてFirefoxを再起動してesr版の最新版である78.4.1へアップグレードできました。以前使っていたプロファイルもそのまま引き継がれて、なんら問題なくアップグレードできました。

ところが別のパソコンでは、アップグレードに失敗しました。そのPCにはFirefox esr 60.9.0がインストールしてあったのですが、ヘルプをクリックして更新を確認したところ、前と同様にesr版の68.12.0へのアップグレードがあると表示されました。クリックしてFirefoxを再起動して更新をインストールしたところ、起動するときにprofilesがないという英語のメッセージ profiles missingがでて昔のプロファイルを読み込めませんでした。Google検索してみると、profileの扱いがFirefoxの67から変更されたことによるらしく、アドレスバーにabout:profilesといれて表示されるいくつかのプロファイルリストに以前使っていたprofileがあればそれを選択するとよさそうでした。mozillaのサイトの説明は不親切で、それをどうやるのかがわからず困りました。

結局はスムーズにアップグレードできたのですが、うまくいった理由はよくわかりません。やったことは、上に述べたようにアドレスバーにabout:profilesとうちこんでエンターを押して表示される、プロファイルリストのページを表示した状態で、「ヘルプ」→「Firefoxについて」を選び、更新の確認を行い、68.12.0が表示されるので更新ボタンをクリックして、Firefoxを再起動しました。すると何の問題もなく以前のプロファイルを保ったまま68.12.0にアップグレードできました。この状態ですぐにヘルプから更新の有無をチェックすると、更新があると表示されたので、更新ボタンをおしてFirefoxを再起動しました。すると何の問題もなく元のプロファイルのままで無事、esr版の78.4.1にりました。しかし再起動するとまたprofileがないとかいってきて、Firfox自体が起動しません。そこでウインドウキー+Rをおして、ファイル名を指定して実行のメニューを呼び出し、firefox -Pとタイプしてfirerfoxを起動しました。するとプロファイルメニューの一覧がでるのでこれから古いプロファイルメニューを選び、いつもこれで起動のチェックをいれて起動します。これで無事昔のブックマーク、パスワード、ログイン情報などが残っているfirefoxが起動しました。これでよさそうだったのですが、まだトラブルは続きました。その症状と解決法は明日書くことにします。

ほとんどの方はprofile missingなどの表示もなく私の一台目のパソコンと同様に最新版にアップグレードできるのだと思いますが、もしできない方がおられましたらこの記事を参考にしてみてください。

日本最古の城址のある町を紹介します。

テレビのニュースで今日は福岡市の近郊にある宇美町(うみまち)町制施行100周年の記念日だと報じていました。記念式典など多くの行事は新型コロナウイルス感染防止のため中止や延期になったそうですが、秋の青空に各小中学校からバルーンリリースで放たれたバルーンが浮かんでいたようです。宇美町といってもあまりご存知ないかもしれませんが、
「日本最古の城址があるのは宇美町です!」

https://www.town.umi.lg.jp/soshiki/12/oonojou.html

四王寺山にある大野城址は1350年前の築城で、中国の万里の長城のように高さ約7mの壁でかこまれた(なんと周囲全長8km)日本最古の城址です。大野城市にあると思っている人が多いですが、ほんの一部が大野城市にかさなっているだけでほぼすべて(80%以上)は宇美町にあります。発掘であきらかになった壁は土→粘土→砂を10cm単位でたたき しめることを繰り返して作られており、コンクリート並みの強度をもつ丈夫な壁で、容易にはくずれない強固な壁です。この壁の中には、米が貯蔵されている倉庫などがあったようで、今でも焼米ヶ原(尾花礎石群)の建物周辺からは1350年前のお米を拾うことがでるそうです。マップは以下にあり、pdfもダウンロードできます。

http://www.town.umi.lg.jp/site/kankousab-site/kanko157.html

この頂上にある毘沙門堂では正月3日に四王寺毘沙門詣りという行事(宇美無形文化財)でにぎわいます。これは毘沙門堂にお金が皿にいっぱいおいてあり、参拝者はそこから好きなだけお賽銭を借りて帰ります。翌年借りた額の倍額のお賽銭をかえすというもので、このお参りをすると一年間お金に不自由しないとされているそうです。

宇美は宇美八幡宮(神功皇后が応神天皇を生んだところが宇美神宮と日本書紀、古事記に書いてある)で有名です。安産の神様とされていて、妊娠した方のお参り 産後のお礼参りも盛んです。宇美八幡宮には樹齢推定2000年のクスノキがあります(湯蓋の森)。天然記念物と書いた柱がたっていますが、その周りにおかれている石は実は化石の珪化木です!。宇美は昔 炭鉱があったところで、沢山 珪化木がでてきて、それを木のまわりに置いたらしいです。昔は宇美神宮の前には池があり、ちょうど大宰府とおなじような橋がかかっていたと絵図にのこっています。また今の宇美歴史資料館や相撲場あたりも昔は池で、これは放生池という生き物をいつくしむために飼育していた池らしいです。宇美神宮の入り口に鳥居が二つありますが、一番前の鳥居は昭和42年に今の下宇美橋にあった鳥居を、道路の交通量が増えて事故が多くおこったので移設して今の鳥居にしたそうです。宇美八幡では玉せせりとか、流鏑馬もわりに最近まで行われていたようで(昭和40年代まで)、地名に馬場区というのはこの流鏑馬からとられた名前だそうです。宇美八幡宮につたわる宇美町縁起という古文書によるとこのあたりは昔 蚊田の邑(かたの里)と呼ばれていたらしく、香椎宮にいた神功皇后がここを産所に定めたと書かれています。聖母宮(しょうもぐう)にある秘仏(神功皇后像ともいわれている)は25年に一回公開されている秘仏(2018年に公開されましたので、次の公開はずいぶん先ですね)で、室町時代の作とされ朝鮮からわたってきた女神信仰の仏像らしいです。聖母宮は宇美神宮で一番古い建物(300年前建造。だから他の建物はもっと新しい、一時宇美神宮はすたれていたんですね)。軒下にはキリン(想像上の生物の麒麟)、ゾウ、鳳凰、波に乗るウサギ(因幡の白うさぎ?)、翼のある魚などが書かれているのでご覧ください。

宇美は邪馬台国とも関係がある町です。邪馬台国への道のりは、魏志倭人伝によると、

始めて海を1000余里渡ると、対馬国に至る(対馬)
また南に瀚海と呼ばれる海を1000余里渡ると一大国に至る。(壱岐のこと)
また海を1000余里渡ると、末廬国に至る。(松浦のこと。唐津。)
東南に陸行し、500里で伊都国に到着する。(九大のある伊都です。)
東南に100里進むと奴国(なこく)に至る。(これは博多。福岡市)
東へ100里行くと、不彌国(ふみこく)に至る。(これが宇美の可能性があります。)

ここから先は書いてあるとおりに進むと台湾にいったりして邪馬台国の位置は不明となっています。宇美を不彌国(ふみこく)にあてる説は、宇美町にある光正寺古墳が糟屋郡最大の前方後円墳であり発掘で築年代が邪馬台国の時代であることがわかったことから、卑弥呼の時代の最大有力者(不彌国の王?)の墓と考えられているそうです。この発掘成果によって不彌国が宇美だとする説は、がぜん有力な説となっているのです。宇美から南にいけば大宰府にいくわけで、そこが邪馬台国の入り口あるいは邪馬台国そのものと考えるのも自然ではないでしょうか。

写真は我が家に実ったリンゴです。今年は真っ赤に熟しました。とても甘くておいしかったです。秋も深まってきました。

夏のおすすめ本2020―その2 夏目漱石の「明暗」の完結編など

今日は肩のこらない小説などを紹介したいと思います。夏目漱石の本は青空文庫で簡単にダウンロードして読めるのでおすすめですが、未完に終わった最後の小説「明暗」を完結させた小説があります。「続明暗」というタイトルで、私は去年、漱石の「明暗」に続いて読みましたが、とてもうまく完結させてあってうまいハッピーエンドになっていました。

漱石が胃潰瘍で亡くならなかったら、このような完結の仕方になったかもしれないという終わり方でした。この「続明暗」は有名な小説家水村美苗さんの作品で、芸術選奨文部大臣新人賞を受賞しています。去年NHKでやっていた夏目漱石をあつかった100分de名著の番組の中にも、この本が飾ってありました。とても面白い本ですので、是非読まれるのをおすすめします。

水村さんは、小説家でその他にも多くの賞を授賞されています(野間文芸新人賞や読売文学賞)。12才の時から米国で過ごされた方でイエール大学卒業。プリンストン大学で日本文学を教えておられたこともあり、「日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で」という精緻な論説も書かれています。この本は大変評判になり小林秀雄賞を受賞した他、
The Fall of Language in the Age of Englishという題でコロンビア大学出版会から英訳が刊行されています。今は文庫化されているのでこちらも是非お読みください。英語で論文を書くことについて深く考えさせられる本でもあります。松岡正剛さんの千夜千冊にも紹介されています。

以前このブログで紹介したABC予想を解決された望月新一先生のブログでも、日本語と外国語という観点の記事で、水村さんについて触れられておりました。この望月先生のブログの記事は、米軍基地問題や北朝鮮問題、数学の意義についての考察のほか、論文の書き方や英語についての考察が詰まっていて、とても示唆に富む内容ですのでご覧ください。望月先生は古代ギリシャ語、ラテン語、サンスクリットなどを学ばれたそうですが、私達の苦手な定冠詞(英語のthe)や不定冠詞(英語のaとan)についていえば、古代ギリシャ語には不定冠詞はなく、ラテン語や現代ロシア語には定冠詞も不定冠詞もないのだそうです。

夏のおすすめ本2020―その1 Rに関するおすすめ本2冊

毎日猛暑がつづきますが皆さんお元気の事と思います。今日から数回にわたって、面白そうな本、役に立つ本などを紹介していきたいと思います。第一回目はR(アール)の本です。今や統計解析にソフトの定番のプログラミング言語Rは無料で使える素晴らしいソフトですが、統計解析だけではなくゲノム解析にも活躍しているソフトです。昔はグラフィカルインターフェースがなかったのですが、今ではRのパッケージのR commanderや日本の神田善伸先生(自治医科大学)が開発されたEZR(イージーアールと読みます。これも大評判になってRのパッケージになりました)がありますので、グラフィカルインターフェースでRを使うことができて、初心者にもやさしいソフトとなりました R commanderはRをインストールしたあと、パッケージとして追加インストールして使います。EZRはR commanderの追加プラグインになっています。インストールするとどちらも日本語で使えます。EZRを中心に使いたい場合は開発者の神田先生のサイトからダウンロードして使うのもおすすめです)。また、RStudioというRの統合開発環境ソフトを使えば、Rをもっと便利にスムーズに利用することができるようになったので、Rはますます便利で使いやすくなっています。インストール法については以前の記事二つがありますので、ここここを参照してください。

今日紹介するのは、EZRの使い方を、その開発者の神田先生が解説した本です。先生のホームページにも簡単な使い方などが載っていますのでそちらも参照してみてください。

EZRでやさしく学ぶ統計学 改訂3版〜EBMの実践から臨床研究まで〜神田善伸 著(2020年10月発行)

これ一冊あれば、生物系医学系の普通の統計解析はすべて日本語のプルダウンメニューを使ってできます。私も論文のデータ解析にはこの本を主に参照しています。大変役立つ本ですので、是非一冊購入して統計解析の勉強や研究に活用してください。私は第一版を購入して使っていますが、すでに第3版がでているほどに売れている本のようです。これがちょっと難しそうという方むけに、神田先生はもうすこしやさしい初心者向けマニュアルも書かれています。全く初心者の方にはこれがおすすめです。 マンガの部分もあったりしますが、統計解析の基本をひととおり学べますし、EZRの開発秘話とかものっています(立ち読みで読めます)。

サラっとできる! フリー統計ソフトEZR(Easy R)でカンタン統計解析
という本です。立ち読みしてみて、まずこちらを買うのもありかもしれません。医療や生命科学関係の事柄を急いで学びたいという人には同じ著者の

初心者でもすぐにできるフリー統計ソフトEZR(Easy R)で誰でも簡単統計解析

がいいかもしれません。まず神田先生の簡単な入門書で学び、実験データの解析には最初の本(第3版)を使うというので、Rを使った生命科学の統計データ解析には十分だと思います。他にいろいろ本を買う必要はないでしょう。(以上2020/11/19追記)

Rはバイオインフォマティクスや次世代シークエンサーのデータ解析、ゲノム解析にも大活躍しているソフトです。最近英語の本ですが、こんな本が公開されています。
Computational Genomics with Rという本です。
紙の本や電子ブックはこの秋にでるようですが、Rをつかって出力されたhtml版が上のリンクから無料で読めます。バイオインフォマティクスの専門家による本ですので、役立ちそうです。
著者は日本にもいたことがある人で、Rのバイオインフォマティクス解析用のBioconductorの多くのパッケージを開発している方たちです。著者紹介によると、この本のほとんどを書いた方は、Dr. Altuna Akalin wrote most of the book and edited the rest. Altuna is a bioinformatics scientist and the head of Bioinformatics and Omics Data Science Platform at the Berlin Institute of Medical Systems Biology, Max Delbrück Center in Berlin.(以下略)ということで、ドイツのベルリンにあるバイオインフォマティクスとオミックスデータセンターのヘッドだそうです。まだ私も読んでいないのですが、勉強してみたい本ですので紹介しておきます。

写真は、散歩の途中で撮影した山百合と葛の花です。山百合の間によくみると葛の花が咲いているのがわかります。

オンラインシンポジュウム 糖の起源と進化~宇宙 & 深海~は明日zoom開催です。今日8/20中に参加登録してください

毎日酷暑が続いていますが皆さんお元気ですか。庭の百合も山百合もあちこちで満開です。さて明日21日は、比較グライコーム研究会のzoomシンポジュウムがある日です。

今8月20日木曜日中の参加申し込み受付ですので、ここから是非申し込んでご参加ください。プログラムと申込みリンクはこちらにあります。

九大伊都キャンパスのイトリーイトがなくなってしまいました。

卒業生の皆さんにおなじみだった九大伊都キャンパスのイタリア料理店ITRI ITOが倒産したそうです。消費税増税で売り上げが落ちていた上に、新型コロナウイルスの影響(伊都キャンパスでの学生の感染や大学への立ち入り制限、緊急事態宣言などで休業になったことなど)で経営難となり、ひと月ほど前に倒産したとのことです。新型コロナウイルス関連の倒産ニュースをみていて気づきました。

イトリーイトは、学外からのお客さんのおもてなしや、研究室でのお祝いごとなどでよく利用した素敵な伊都の食材を活かしたイタリアンのレストランでした。伊都キャンパスは周りに何にもないキャンパスですので、イタリアンレストランはなくてはならないお店でした。皆さんの思い出のお店がこんな形で消えるとは、残念なことです。日本中で本当に多くのお店や会社が影響をうけているのが身に染みてわかるニュースです。どうぞ一日も早く再出発をしてくださいますよう祈っております。

新型コロナウイルスの蔓延は止まらないようですが、季節は着実に変わっています。写真は丘のふもとの雑草の中にきれいに咲いていた百合の花と、自宅で咲いた朝顔の花です。散歩していると いたるところで白いユリや朝顔がきれいに咲いています。

オープンアクセスの電子ブックをダウンロードしてみよう―Pythonや制御理論や統計学の教科書、力学の教科書やFelix Kleinについての本などなど

以前の記事に書きましたが、分子生物学会のランチョンセミナーでオープンアクセスの電子ブック(無料で読める電子ブック)を探せるサイトDOAB(Directory of Open Access Book)を紹介しました。リンク集にもリンクをのせてあります。今日、ちょっとのぞいてみるといろいろオープンアクセスの本が新しく公開されていました。検索窓にPythonと入れて検索してみると、Pythonに関連した本がずらずらとでてきます。本のLicenseの下にある
Abstract | Keywords | Free access | Buy the book |の部分のFree accessのリンクをクリックすると本がダウンロードできます。いろいろな本がありますがPythonを学ぶにはIntroduction to Scientific Programming with Python
Authors: Dr. Joakim Sundnes in Simula SpringerBriefs on Computing。Springer Nature (2020) とか
Programming for Computations – Python
Authors: Linge, Svein — Langtangen, Hans Petter
Book Series: Texts in Computational Science and Engineering, Springer Nature (2020) などは面白そうです。
また神経科学へのPythonの応用を紹介している本で
Python in Neuroscience
Authors: Eilif Muller — James A. Bednar — Markus Diesmann — Marc-Oliver Gewaltig
Book Series: Frontiers Research (2015)Publisher: Frontiers Media SA
も神経科学に興味がある人には面白いのではないでしょうか。

検索窓にソフトウエアのMathematicaをいれて検索すると、こんどは制御理論の教科書がでてきました。Mathematicaを使って制御理論を学ぶ教科書のようです。
Control Theory Tutorial: Basic Concepts Illustrated by Software Examples
Author: Steven A. Frank Book Series: SpringerBriefs in Applied Sciences and Technology, Springer Nature (2018)

ほかにもいろいろ面白そうなオープンアクセスの本があります。Browseボタンを押して色んな本をタイトル、分野、そして出版社別にながめることもできます。Publisherで検索すると、各出版社から何冊くらいオープンアクセス本がでているかがわかります。とても多くのオープンアクセス本をだしているSpringer Nature社の面白そうなタイトル(2019-2020年発行)を以下にならべておきますので、検索してみてください(直リンクははってないので、上のサイトでタイトルで検索するなどしてみてください)。科学だけではなくて哲学、社会学の本とかもあります。たとえば王陽明の紹介本とかもありました。

Make Life Visible
Prof. Yoshiaki Toyama, Ph.D. Atsushi Miyawaki… (2020) 生物科学の可視化の技術の本のようです。

Statistical Population Genomics
Julien Y. Dutheil in Methods in Molecular Biology (2020)

Gene Drives at Tipping Points
Precautionary Technology Assessment and Governance of New Approaches to Genetically Modify Animal and Plant Populations
Prof. Dr. Arnim von Gleich… (2020) ジーンドライブについての本

Data Journeys in the Sciences
Dr. Sabina Leonelli, Dr. Niccolo Tempini (2020)

The Amazing Journey of Reason
from DNA to Artificial Intelligence
Mario Alemi in SpringerBriefs in Computer Science (2020)

Introduction to Scientific Programming with Python
Dr. Joakim Sundnes in Simula SpringerBriefs on Computing (2020) これは最初に紹介した本です。

The Pangenome
Diversity, Dynamics and Evolution of Genomes
Dr. Herve Tettelin, Duccio Medini (2020)

Bioimage Data Analysis Workflows
Dr. Kota Miura, Dr. Nata?a Sladoje in Learning Materials in Biosciences (2020)

Good Research Practice in Non-Clinical Pharmacology and Biomedicine
Editors :Anton BespalovMartin C. MichelThomas Steckler 薬学や医学での研究の再現性、正しいサンプリング、実験デザインなどを教えてくれる本です。

The Everyday Life of an Algorithm
Authors: Daniel Neyland アルゴリズムのやさしい紹介の本。

Principles of Mechanics
Fundamental University Physics
Salma Alrasheed in Advances in Science, Technology & Innovation (2019) 物理の力学の本

The Ethics of Vaccination
Dr. Alberto Giubilini in Palgrave Studies in Ethics and Public Policy (2019) ワクチン接種の必要性を議論している本

Understanding Statistics and Experimental Design
How to Not Lie with Statistics
Prof. Dr. Michael H. Herzog… in Learning Materials in Biosciences (2019) 統計学と実験計画法の教科書

The Legacy of Felix Klein 数学者フェリックス・クラインについての本
Prof. Dr. Hans-Georg Weigand… in ICME-13 Monographs (2019)

The Brownian Motion
A Rigorous but Gentle Introduction for Economists
Authors;Andreas Loffler, Lutz Kruschwitz 経済学者のためのブラウン運動の理論の教科書。

写真は5月ごろに撮影したバラの花をホテルにしているアマガエルです。昼間はこのバラの花の部屋の中でじっと休憩していますが、夜になると外にでかけて大きな声で鳴きます。今も外はカエルの声がにぎやかです。

私達の新しい論文が公開されました―どんなGPIアンカー型タンパク質が配偶子幹細胞の発生に関与しているかを明らかにしました

私のラボの二人の修士の学生さんの修士論文をもとにできあがった論文が、6月24日に雑誌 Journal of Biochemistryにアクセプトされて、本日公開されました。
Rikitake, Matsuda et al. (2020)
です。
Analysis of GPI-anchored proteins involved in germline stem cell proliferation in the Caenorhabditis elegans germline stem cell niche
「線虫C. elegansの配偶子幹細胞ニッチでの配偶子幹細胞の増殖に関与しているGPIアンカー型タンパク質の解析」
という題です。図書館などでこの雑誌の電子ジャーナル版が見られる方は是非ご覧ください。
Analysis of GPI-anchored proteins involved in germline stem cell proliferation in the Caenorhabditis elegans germline stem cell niche
The Journal of Biochemistry,https://doi.org/10.1093/jb/mvaa075

私達はヒトと共通な糖鎖関連遺伝子を、モデル生物である線虫C. elegans(シーエレガンス)で網羅的に機能阻害してその隠された機能を明らかにしてきました。GPIアンカー型タンパク質(下の模式図と註1参照)を合成する遺伝子について調べたところ、GPIアンカー型タンパク質GPI-APの合成が阻害されている場合には、配偶子がつくれないこと、すなわちGPIアンカー型タンパク質の合成は子孫を作る時に必須であることを明らかにしました(Murata et al. MBoC 2012)
これはGPIアンカーが生命の連鎖に不可欠な分子であるという初めての発見で、学会で大変ほめていただきました。

今回の研究では、GPIアンカー型タンパク質のプロテオーム解析の結果をもとに、RNAi (RNA 干渉法)で網羅的に機能阻害を行い、配偶子幹細胞が正常に発生するために必要なGPIアンカー型タンパク質を3種類同定しました。GPIアンカー型タンパク質の合成阻害で配偶子幹細胞の数が激減するという今回の結果は、おそらくヒトにおいても同様なGPIアンカー型タンパク質の働きが存在しており、不妊の原因の一つにGPIアンカー型タンパク質合成に関わる遺伝子やGPIアンカー型タンパク質をコードしている遺伝子の異常が潜んでいることを強く示唆しています。今回の研究成果が今後、ヒトの不妊研究に役立つ可能性があり、また幹細胞ニッチの形成一般にGPIアンカー型タンパク質がかかわっている可能性が示唆されるとても興味深い成果だと考えています。

註1; 上の図で模式図を示していますが、GPIアンカー型タンパク質というのは、細胞膜表面(細胞の外界と面しているほうの膜)に存在しており、フォスファチジルイノシトール(PI)という脂質に糖(図にあるグルコサミンGlcNやマンノースMan)が結合し、さらにエタノールアミンリン酸EtNPのアミノ基を介して特定のタンパク質のカルボキシル基とアミド結合している分子です。ヒトのアルツハイマー病をひきおこすプリオンタンパク質には、GPIアンカー型タンパク質として存在しているタイプがあることがわかっています。その他200を超える種類のGPIアンカー型タンパク質(酵素や受容体、接着分子、補体制御因子、その他)が存在すると推定されており、膜上で信号伝達に働くなど様々な役割が知られています。

雨が毎日続きますが、皆様のところは被害がないでしょうか。北海道まで豪雨が到達したようですが、皆様のご無事をお祈り申し上げます。写真は最近撮影した、近所で巣立ったモズの若鳥と実をつけたクリの木の写真です。金蘭の花もねむの木の花も終わって今はアジサイがきれいです。ヒグラシも鳴き始めて季節は着実にすすんでいます。