プログラミング言語Rが製薬業界でも大活躍だそうです。確率・統計の教科書や講義資料も紹介します。

Rは統計解析やバイオインフォマティクスなど様々な分野で活躍しているプログラミング言語です。最近ではChatGPTもRのコードを書いてくれるようになったので、私が今やっているデータ解析でも毎日の解析に無くてはならない道具になっています。次のツイートでは製薬業界でもRが活躍しているという内容の講演会スライドが紹介されています。


この講演動画はこちらです。
『日科技連オンライン講演会 『製薬業界で加速する「R」の活用 ~その将来性と得意分野~』』
https://youtu.be/rvvywFkDD2c?

松浦健太郎先生のツイートをみると、確率・統計の英語版オンライン教科書が紹介されていました。


このオンライン版教科書への直リンクも載せておきます。教科書はやさしい内容ですが、数学的な定理もしっかり解説されており、ものすごくよさそうな教科書です。他の教科書の紹介もはいっているのでそれも参考になります。是非一度立ち読みしてみてください。
https://dlsun.github.io/skis/

日本語の講義資料としては早稲田大学の村田昇先生の以下のサイトにあるものが良いとの評判です。
https://noboru-murata.github.io/lectures/

便利なツールが公開されました!化学名などからSMILESを自動取得してくれるツールの登場です!

コンピュータで生体分子や化学物質を扱うとき、SMILES表記が活用されます。
以前の記事でもSMILESの解説があるサイトを紹介していたので検索してみてください。このサイトもわかりやすいです。

「SMILES記法 〜化学構造をテキストへ変換〜」
https://boritaso-blog.com/smiles/

化学構造式とちがって、SMILES記法は人間には理解しにくい(コンピュータ処理向けです)ので、SMILES記法に化合物の構造を翻訳するのは大変です。今回のPythonツールは、化合物の名称などからSMILESを自動生成して、ちゃんと生成できたかもチェックしてくれるツールです。
こちらのツイートで知りました。


論文はこちらです。
Müller, S. How to crack a SMILES: automatic crosschecked chemical structure resolution across multiple services using MoleculeResolver. J Cheminform 17, 117 (2025). https://doi.org/10.1186/s13321-025-01064-7

Pythonでの使い方はこちらにあります。
https://github.com/MoleculeResolver/molecule-resolver

ChatGPTなどLLMに教えてもらいながら使ってみるとよいと思います。
便利な時代になりました!

弱い磁場が生命に影響するかを検討した論文のまとめの論文があるのを知りました。

前に磁場が生物に与える影響について書きました。関連研究で、弱い磁場が生物に影響を与えるかに関連する論文を調べ上げた論文というのがあるのを知りました。

 

原論文はこちらです。
Citation: Binhi VN, Prato FS (2017) Biological effects of the hypomagnetic field: An analytical review of experiments and theories.
PLoS ONE 12(6): e0179340. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0179340

PlosOneなのでメディアの反響などもわかるようになっていて面白いです。
https://plos.altmetric.com/details/21391302/news

地磁気より弱い磁場が果たして生命に影響するかという話の議論の参考になりそうですね。

スピントロニクスや量子生物学に関係のある面白そうな総説をみつけました。

Windows11のPCをシャットダウンしてもCPUファンが止まらない問題の解決法

PCをシャットダウンしてもCPUファンが止まらないときの対処法を備忘録としてまとめておきます(ASUS PRIME H570-PLUS / Windows 11の自宅PCでの実体験)。
同様の問題に出会った方への参考になれば幸いです。


体験談】:PC内蔵のCMOS電池が消耗してBIOS設定がおかしくなっているようだったので、ボタン電池を交換しました。交換後、BIOS再設定して起動したらWindows 11が無事立ち上がったのですがシャットダウン後、なんとCPUファンが回りっぱなしということに気づきました。ネット検索したりPC製造元のサポートに電話して改善策を聞いたのですがどれも効果がありません。シャットダウン後に電源ボタンを長押しするとファンが止まるというネット記事を見たので試すと、たしかに電源ボタンの長押ししてファンが止まります。仕方ないので一月ほど、この方法でシャットダウン後ファンを止めて使っていました。

ところが昨日、このPC (Windows11 ProのSSD利用)の起動が前と比べてずいぶん遅くなっているのに気づきました。起動時間を短くする方法をネット検索すると、Windows11の互換性チェックをするという項目があったので実行するとなんとこのPCにはTPMがありません、Windows11非互換ですというような表示がでたのでびっくりしました。PCのマザーボードはTPM2.0対応で、Windows10から11へのアップグレードは問題なくできて互換性チェックもとおっていたので、これは電池交換後のBIOS設定がおかしいようだと思い、BIOS設定をいじってTPM2.0が認識されるように変更すると 見事 起動時間は短縮し、互換性チェックもとおり、さらにCPUファンが止まらない問題も解消したので、その経緯を備忘録としてまとめておきます。ChatGPT5による説明も後半につけておきます。

症状
• Windows 11 Pro をSSDから起動しているデスクトップPC。
• シャットダウン後もCPUファンが回り続ける。普通に電源を押すだけでは再起動できない。電源ボタンを長押しすれば止まる。
• ファンが止まったら、その後は電源ボタンを押すと起動できる。、
• また、Windows起動時間が遅くなり、「TPMがない」と互換性チェックで出るようになった。
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【ファンが止まらない問題の切り分けの流れ】
1. Windows側の設定を確認
• 「高速スタートアップ」を無効化 → 効果なし。
• BIOSの「Fast Boot」をオフ → 効果なし。
2. Linux(Ubuntu)のLive DVDで確認
• Ubuntuでもシャットダウン後にファンが回り続ける。
• つまり OS依存ではなくハードやBIOSの問題。
3. BIOS設定の確認
• 「ErP Ready」の設定を探す → Advanced → APM Configuration 内に隠れていた。
• 変更しても改善せず。
【TPMの確認の流れ】
• Windows 11 の互換性チェックで「TPMなし」と表示される。
• BIOSを見ると Firmware TPM(Intel PTT) は有効になっていた。
• 試しにプルダウンメニューにあった「別のTPM」設定に変更して保存 → 再起動してもTPMなしのままだった。
• 効果がなかったので、もとの「Firmware TPM」に戻した。戻す時にbitlocker関連の警告などがでたがOKにして戻した。
👉 この操作で TPM 2.0が正しく認識されるようになり、
• 起動時間が短縮
• シャットダウン後にファンも止まるようになった!
ということで、不具合が完全に解消した!
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【なぜこうなったのか?】
• 原因は CMOS電池切れによるBIOS設定の不整合。
• 電池を交換したとき、一部の設定(TPMや電源管理)が「見た目は有効」でも内部的に無効化されていた。
• 設定を一度切り替えて保存し直すことで、内部フラグが正常化したと考えられる。
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【再発防止のポイント】
1. CMOS電池は3〜5年で交換推奨(CR2032)。
2. 設定が飛んだときは、
・日付と時刻
・ Boot Priority
・Firmware TPM (Intel PTT)
・ErP Ready (S4+S5)
を確認・保存。
3. TPMが認識されないときは「一度Disabledにして→再度Enabledに戻す」で復旧できることがある。
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【まとめ】
• ファンが止まらない → WindowsではなくBIOS設定/TPM不整合が原因だった。
• CMOS電池交換後は設定の再確認が必須。
• TPMが認識されないと電源管理にも影響が出ることがある。
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【CMOS電池とBIOS設定の関係(ChatGPT5によるまとめ)】

• マザーボード上の CMOS RAM は、BIOSの各種設定(起動順序、日付時刻、TPM有効化フラグなど)を保持しています。
• このCMOS RAMは スタンバイ電力(CR2032電池+PSUの5VSB) で保持されます。
• 電池電圧が低下すると:
1. 設定保持ができずに初期化(工場出荷設定に戻る)
2. 設定の一部だけが飛ぶ/壊れる(不整合状態になる)
3. 見た目は「Enabled」でも内部フラグが不正 → 今回のTPMが無効扱いになるような現象
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実際によくある現象
• 日付・時刻が毎回リセットされる
• 起動ドライブの順序が変わる
• ファン制御や電源管理(ACPI関連)が不安定になる
• TPM/Intel PTT の設定が効いていない(今回のように「有効」と表示されているのにOSからは「TPMなし」と判定される)
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なぜ「異常」な状態になるのか?
• CMOS RAMは一括で消えるわけではなく、低電圧でじわじわ壊れるため
• 「完全リセット」ではなく「部分的に壊れた設定が残っている」状態になる
• そのため、BIOS画面では「Enabled」と表示されても、OS側には反映されないといった矛盾が起きます
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今回のケース
• 長期間、低電圧状態で稼働 → TPM関連のフラグが不整合に
• 結果として
  WindowsからTPMが見えない
 シャットダウンのACPI処理が正しく終了せず、ファンが止まらない
• 電池交換+「設定を切り替えて再保存」することで、正しい値がCMOSに書き込まれ復旧
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まとめ
• 電池の起電力が低下した状態で使い続けると、BIOSやTPMの設定が壊れることはあります。
• これは「設定が初期化される」のとは違い、部分的に壊れた不整合状態になるので厄介です。
• 予防のためには、電池が3年以上経過したら早めに交換するのが安全です。
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「CMOS電池の電圧低下時に起こりやすい典型的な症状リスト」**を表形式でまとめます。

分類 典型的な症状 詳細・影響
時刻・日付 起動するたびに時計がリセットされる BIOSが保持できず、1970年や2000年などに戻ることがある
ブート関連 起動ドライブの順序が変わる 「Boot Priority」が初期化され、起動できなくなる/別ドライブから起動しようとする
TPM / セキュリティ TPMが無効扱いになる/OSから「TPMがない」と表示される 実際は有効表示でも内部フラグが壊れている場合がある(今回のケース)
電源管理(ACPI) シャットダウン後にファンが止まらない/スリープ復帰が異常 電源制御のフラグが壊れて、S5(完全シャットダウン)に入れない
CPU/メモリ設定 オーバークロック設定やXMPがリセットされる メモリが標準クロックに戻る/電圧設定が初期値に戻る
周辺機能 LANやUSBの省電力/Wake機能が効かない ErP ReadyやWake-on-LANなどの設定が飛ぶ
ファン制御 ファンの回転数設定が初期化 ファンが常時フル回転する/静音モードが無効になる
表示上の矛盾 BIOSでは「Enabled」と表示されているが実際には機能していない 内部レジスタと表示が不一致 → TPMや電源管理でよく起きる

 

原子から宇宙まで、豊富な画像と映像で紹介するBBCドキュメンタリーが必見です。

顕微鏡下の世界から原子まで見てよくわかるBBCの番組の動画がYouTubeのおすすめにでてきました。
みとれてしまいました。
量子生物学ブームをまきおこした本の著者で現代のCarl Saganとも呼ばれるJim Al-Khaliliが案内する、BBCのドキュメンタリーです。3年ほど前に公開されたもののようで、この動画は小さい世界についてふれており、X線回折による結晶構造の解明の原理や、原子をみる方法などもわかりやすく紹介されています。

Secrets of Size: Atoms to Supergalaxies – Going Small
https://youtu.be/akyw9U666so?

スクリプトも表示できるし、英語もやさしいのでおすすめです。日本語字幕もついています。
次の動画は上の動画の続き、第二部で、こちらは大きな世界、宇宙について紹介しています。3年前のドキュメンタリーで最新の宇宙望遠鏡の成果ははいっていませんが、わかりやすくておすすめです。

Secrets of Size: Atoms to Supergalaxies – Going Big – BBC Science Documentary
https://youtu.be/miDIJOxXiI8?

Quantamagazineの気候変動特集号がよさそうです。

異常気象が問題になっていますが、今月のQuantamagazineは地球環境についての特集だそうです。
こちらのリンクから全記事が読めます。最初の表示が極めてうっとおしいですが、右のスライダを下に引っ張っていくと、全記事へのリンクがあるので読んでみてください。気候変動などの基礎について学べます。二酸化炭素や窒素の量子力学が気候変動にどう影響するかとかの記事もあって楽しめます。

https://www.quantamagazine.org/how-we-came-to-know-earth-20250915/

以下のツイートで知りました。

渡辺 悠樹先生の解析力学入門の講義にZoomで参加しました!

今日はZoomでこちらの講義に参加しました。

渡辺 悠樹先生の解析力学の教科書を読むためのイントロにも最適の講義だったと思います。この本の解説動画はYouTubeにあるので参考になります。
この教科書のサポートページは充実しており、著者への質問もすることができて完璧な教科書になっていると思います。おすすめです。
https://sites.google.com/view/watanabegroup/AMbook

以前のこの教科書や先生の動画について触れている投稿へのリンクをはっておきます。

高校物理から解析力学までを扱う日本語の動画の公開が始まっています。

Appleがタンパク質構造予測に参戦―SimpleFoldが公開されました。Macでなくても動きます。

SimpleFoldというタンパク質の立体構造予測プログラムがオープンソースで公開されていました。よくみるとAppleの研究所からのプレプリントなんですね。AlfaFoldより簡潔なアルゴリズムで予測するということで以下のGitHubからダウンロードして試せます。どれくらい簡潔化というのは一番下に埋め込んだツイートの図をご覧ください。
MacBookで動きますというのがキャッチフレーズみたいですが、Pythonベースのシステムですので、もちろんLinuxでも動くはずです。
SimpleFold: Folding Proteins is Simpler than You Think
https://github.com/apple/ml-simplefold

This github repository accompanies the research paper,
“SimpleFold: Folding Proteins is Simpler than You Think (Arxiv 2025).
Yuyang Wang, Jiarui Lu, Navdeep Jaitly, Joshua M. Susskind, Miguel Angel Bautista
arXiv:2509.18480 [cs.LG]
(or arXiv:2509.18480v1 [cs.LG] for this version)”
https://doi.org/10.48550/arXiv.2509.18480

AIの生命科学・医学への応用とその未来の展望を語る動画が公開されています。

英国のThe Royal InstitutionのYouTubeチャンネルにAIの生命科学・医学への応用とその未来の展望を語る動画がアップされていたので紹介します。今年の7月7日の講演の動画だそうです。

Decoding the secrets of life with AI – with Mikhail Burtsev
https://youtu.be/l28WCnZXNNg?

AIを生命科学、医学に応用するための一つの手段は、通常言語の本や論文ではなく、遺伝子配列をつかってAIをトレーニングすることだといわれています。ロシア出身のMikhail Burtsevはオープンソースの対話できるAI フレームワークである DeepPavlovの開発リーダーでした。DeepPavlovについてはhttps://deeppavlov.ai/や、https://github.com/deeppavlov/DeepPavlovをご覧ください。
彼は現在 英国のLondon Institute for Mathematical SciencesのLandau AI Fellowだそうです。今のAIよりもはるかに優れた知性をもつAIを作ろうとしており、そうしたAIを動かすための数学の専門家だそうです。今回の動画では、遺伝子配列を入力として医学、生命科学に役立つAIが何ができるか、また現在のAIがどのように生命科学の研究、医学の研究に役立つのかについてやさしく紹介しています。AIの生命科学・医学への応用の現在とありうる未来についての動画で大変参考になる動画ですので是非ご覧ください。

研究する時のデータをどう管理するかを学べる日本語教材を九州大学が公開しました!

九州大学データ駆動イノベーション推進本部研究データ管理支援部門と九州大学附属図書館図書館DX支援室が、「研究データ管理のための自己学習教材」を公開したと発表したそうです。こちらの紹介記事をご覧ください。https://current.ndl.go.jp/car/258613
今回公開された自己学習教材への直リンクはこちらです。
『研究データ管理のための自己学習教材(九州大学 研究データ管理支援)』
https://rds.dx.kyushu-u.ac.jp/self-guided-workshop

研究で得られるデータの扱い方、パソコンに保存してある研究データの系統的な命名法などとても参考になる情報満載の教材です。イリノイ大学の作成した教材を日本語化して、日本の実情にあうように改訂したものだそうです。イリノイ大学の教材はこちらです。https://researchdataservice.illinois.edu/self-guided-workshop/

なお参考になる関連動画もあるのでご覧ください。プレイリストへのリンクを載せておきます。

『はじめての研究データ管理:研究室の日常から』
https://youtube.com/playlist?list=PL1UGL1S8MxrFmYjutFeg4p0z0JesSDLp0&
プレイリスト中の「動画を一つサンプルとして埋め込んでおきます。どれも短い動画なので是非視聴してみてください。

『はじめての研究データ管理 : 研究室の日常から : Episode1 データの組織化・文書化』
https://youtu.be/uavBIzUD458?

以前の関連記事へのリンクも埋め込んでおきますので参考にどうぞ。

研究で得られるデータの収集、解析、公開などについての最新の手法を学べるサイトを九州大学が公開しています。ぜひご覧ください。