ケンブリッジのオーロラと、量子コンピュータのやさしい解説動画について。

昨日は北海道や能登半島でオーロラがみられたようです。昔 私達が暮らしていた英国ケンブリッジ(Cambridge)でもきれいなオーロラがみられたというツイートをみつけました。

また暮らしてみたい街です。
さて、さっきYouTubeをみたら、「物理学者とティータイム」の新しい動画がアップロードされていました。LEOさんと夏生さんによる動画で、フランスのレストランの話からはじまって、ファラデーの大発見、そして量子コンピュータの話へと続きます。面白そうなので明日観たいと思っています。
https://www.youtube.com/live/TZRlfLePZ5U?si=Vb_y2WA29cD8DzHf

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第8回)自伝や伝記の紹介。

今日は北海道でオーロラが観測されましたね。ライブの動画でみました。太陽活動が活発です。
さて、先日の最終回の後、いくつか面白い本をみつけたので追加しておきます。すべて本日 5/11の参照日です。
80) バーネット 著 ほか『変わりゆくパターン : バーネット自伝』,東京図書,1978.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12223111 (参照 2024-05-11)
免疫学者でノーベル賞受賞者のバーネットの自伝です。
81) 小平邦彦 著『ボクは算数しか出来なかった : 小平邦彦・私の履歴書』,日経サイエンス社,1987.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12226884
数学分野のノーベル賞といわれるフィールズ賞受賞者の小平邦彦さんの自伝です。
82) 同じくフィールズ賞受賞者の広中平祐さんの発想法についての本です。
広中平祐 著『「可変思考」で創造しよう : 頭にカツを入れる超発想法』,光文社,1987.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12675364
83) 波動力学の創始者シュレーディンガーの自伝も読めます。
シュレーディンガー [著] ほか『わが世界観 : 自伝』,共立出版,1987.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12262622
84) 近代物理化学の開拓者の一人、ノーベル賞受賞者のオストワルドの伝記(全三巻)の第一巻の翻訳も読めます。
都築洋次郎 訳『オストワルド自伝』,東京図書,1979.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12224395
85) 物理学のくりこみ理論の研究で4人目でノーベル賞を逸したフリーマン・ダイソンの自伝が読めます。朝永振一郎の論文のあたえた衝撃についても触れられています。
F.ダイソン 著 ほか『宇宙をかき乱すべきか : ダイソン自伝』,ダイヤモンド社,1982.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12284384
86) 科学哲学で有名なポパーの自伝も読めます。
K.ポパー 著 ほか『果てしなき探求-知的自伝』,岩波書店,1978.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12213565
87) 読みやすい数学者の伝記もあります。
小堀憲 著『大数学者』,新潮社,1968. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12608863
88) マヨラナ・ニュートリノで有名な物理学者の失踪を扱った本も面白そうです。
レオナルド・シャーシャ 著 ほか『マヨラナの失踪 : 消えた若き天才物理学者の謎』,出帆社,1976. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12579162
89) 西尾成子 編『アインシュタイン研究』,中央公論社,1977.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592498 
90) α崩壊の量子トンネル効果による説明、遺伝暗号の解読やビッグバン理論などで有名なガモフ、ガモフ全集のガモフの65歳の誕生祝に企画されたエッセイ集ですが、誕生日より前に彼が死去したため追悼エッセイ集になったいわくつきの本の翻訳もあります。
フレデリック・ライネス 編 ほか『ジョージ・ガモフ : その業績と思い出』,共立出版社,1976. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12609431

いかにして問題を解くか―斬新な問題の解き方の本がでています。

今日は面白い数学の本を紹介します。

『掟破りの数学
―手強い問題の解き方教えます―』(共立出版)

著者 Sanjoy Mahajan 著・ 柳谷 晃 監訳・ 穴田 浩一 訳・ 柳谷 晃 訳
https://www.kyoritsu-pub.co.jp/book/b10003601.html

問題の解き方については、ポリアの本が有名で、企業戦士にもHow to Solve Itの訳本は広く読まれています。この本は、ポリアの問題の解き方の対極の本で、問題の解答を見積もって実用的に解く (証明やきっちりとした計算なしで問題を解く方法を教える)というポリシーで書かれています。イプシロン・デルタなどはでてこない問題の解き方の本で、とても面白い本なので是非読まれることをおすすめします。
実は英語版原書は無料でダウンロードして読むことができます。Street-Fighting MathematicsというMITのOpen Course Wareにある講義のテキストです。
https://ocw.mit.edu/courses/18-098-street-fighting-mathematics-january-iap-2008/
こちらのページ
https://ocw.mit.edu/courses/18-098-street-fighting-mathematics-january-iap-2008/pages/readings/
から各章ごとに読むことができます。一冊まるごとダウンロードするリンクはDropboxにつながるのですが、リンクが」きれているようでダウンロードできません。このページの右下にあるDownload Courseのボタンをクリックしてzipファイルをダウンロードし、解凍してできたフォルダからstatic_resourcesというフォルダを探してください。その中にあるe2bbace1ae225030091624bd8150e0e3_sf_math.pdfが、この講義のテキストです。
この講義で参考文献として紹介されているポリアの本は、日本語版が国立国会図書館デジタルコレクションで読めます。

Pólya, George. Mathematics and Plausible Reasoning. 2 vols. Princeton, NJ: Princeton University Press, 1990. ISBN: 9780691025094 (v. 1) and 9780691025100 (v. 2).

ポリア 著 ほか『数学における発見はいかになされるか』第1 (帰納と類比),丸善,1959. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1373774
ポリア 著 ほか『数学における発見はいかになされるか』第2 (発見的推論-そのパターン),丸善,1959. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2421634

AlphaFold3が登場しましたね!創薬にもすぐ応用できる革命的進歩のようです。

タンパク質の立体構造予測に革命をもたらしたAlphaFold2のバージョンアップ版、AlphaFold3が公開されました。

AlphaFoldサーバーのよくある質問のコーナーによると(https://golgi.sandbox.google.com/faq
蛋白質だけでなく、DNAやRNA(およびそれらのメチル化やformyl化その他の修飾を受けたものもOKです)、様々なリガンド(ATP, ADP, AMP, GTP, GDP, FAD, NADP, NADPH, NDP, heme, heme C, myristic acid, oleic acid, palmitic acid, citric acid, chlorophylls A and B, bacteriochlorophylls A and B)、イオン、様々な翻訳後修飾(リン酸化やアセチル化、メチル化、マロニル化、グリカン付加その他)を複数含む構造さえも予測できるそうです。複合体の立体構造予測性能も格段にアップした模様です。

Gigazineのこちらの記事が日本語で読みやすいと思います。
『Google DeepMindがすべての生命分子の構造と相互作用をきわめて正確に予測できるAIモデル「AlphaFold 3」を発表』https://gigazine.net/news/20240509-google-deepmind-alphafold-3/

Natureに昨日公開されたアクセプトされた論文原稿はこちらのリンクから読めます。
https://www.nature.com/articles/s41586-024-07487-w

Google Deep Mindのブログがわかりやすく紹介してくれています。テイラーメイドの創薬も可能になると思われる、革命的な進歩だと思われます。https://blog.google/technology/ai/google-deepmind-isomorphic-alphafold-3-ai-model/#alphafold-server

無料で使えるAlphaFold3 serverのデモの動画も用意されています。サーバーを使うには、所属機関名とGoogle アカウントが必要です。
AlphaFold Server Demo – Google DeepMind

私もちょっとログインしてみましたが使い方は簡単そうでした。上の動画などをみてから使ってみようと思います。

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第7回最終回)―日本のSF小説やロシアの歴史小説、そして微分方程式の面白い解説本を紹介します。

国立国会図書館デジタルコレクションでオンラインで読める本の紹介の最終回です。今後も、適宜面白そうな本に気づいたら紹介していくことにします。

今日は分野に限らず、面白そうな本を紹介します。
まず日本のSF小説です。システムダイナミクスの研究者の小玉陽一さんがペンネームで書かれたSF小説だったと思います。
私は最初の二冊を読んだことがあります。新鮮な切り口のよい作品でした。
72) クライン・ユーベルシュタイン 著『緑の石』,ダイヤモンド社,1977.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12498917
73) クライン・ユーベルシュタイン 著『青い紐』,ダイヤモンド社,1978.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12498987
74) クライン・ユーベルシュタイン 著『白い影 : SF』,日刊工業新聞社,1979.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12499086

有名な『知的生産の技術』という本(岩波新書、残念ながらコレクションに入っていませんが、詳細検索でタイトル検索窓に、「知的生産」といれて検索すると、関連書籍が多数ヒットします)に登場するレオナルド・ダビンチの手帳、梅棹 忠夫さんがレオナルドの手帳について初めて」知ったという、ダビンチの一生を描いた小説『神々の復活』は前に紹介しました。
今回のデジタルコレクションの収録作品にこの小説の新訳版が入っているかもと期待したのですが、ありませんでした。しかし古い岩波文庫版(全4冊)はあるので読むことができます。
74) メレジュコーフスキイ 作 ほか『神々の復活 : レオナルド・ダ・ヴィンチ』一,岩波書店,昭和30 7刷. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1692629
この作品は、三部作の第2作で、第一作と第三作は個人送信サービスで読むことができます。

75) ドミートリイ・セルゲーエヴィチ・メレシコーフスキイ 著 ほか『背教者ユリアヌス : 神々の死』,河出書房新社,1986.9.
国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12576130
76) ドミートリイ・セルゲーエヴィチ・メレシコーフキスイ 著 ほか『ピョートル大帝 : 反キリスト』上,河出書房新社,1987.4..
国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12576134
77) ドミートリイ・セルゲーエヴィチ・メレシコーフキスイ 著 ほか『ピョートル大帝 : 反キリスト』下,河出書房新社,1987.4..
国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12576133

微分方程式の応用や超関数の入門など多彩な話題を扱っている面白い本が読めるのを知りました。これは数学セミナーで連載されていたときに読んだ覚えがあります。フェルメールの偽作者のエピソードや感染症の流行の解析、核戦争などの軍事解析その他とても面白い本ですので是非読まれることをお薦めします。

78) 佐藤総夫 著『自然の数理と社会の数理 : 微分方程式で解析する』1,日本評論社,1984.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12622856
79) 佐藤総夫 著『自然の数理と社会の数理 : 微分方程式で解析する』2,日本評論社,1987.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12622858

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第6回)モノーや岡潔の著作、The Elements of Style 2nd edの日本語訳、英文法事典など。

今日は国立国会図書館のデジタルコレクションの紹介は数冊にします。

67) ジャック・モノー 著 ほか『偶然と必然 : 現代生物学の思想的な問いかけ』,みすず書房,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12602998
The Elements of Styleは、英語論文を書こうとする人の必読文献として推薦されることが多い短い本です。インターネット検索で、この本をダウンロードするのを九大時代の講義で検索の練習課題にしていたこともあります。この本の害悪を説く英語学者もいますが、1972年版の第二版のThe Elements of Styleの日本語訳(原著者からの助言を得ながらの翻訳版)は読んでおいても損はないと思います。

68) ウィリアム・ストランク, Jr. 原著 ほか『英語文章読本』,荒竹出版,1979.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12581397

デジタルコレクションの詳細検索で、タイトルに事典を含むものを検索していたら次の英文法の本がヒットしました。参考書になりそうです。
69) 安井稔 編『例解現代英文法事典』,大修館書店,1987.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12580872

岡潔の著作も数点追加されています。
70) 岡潔 著『神々の花園』,講談社,1969. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12408618
71) 岡潔 著『心といのち』,大和出版,1984.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12411403

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第5回)渡辺慧・柴谷篤弘・堀淳一の教科書やエッセイも読めます。

国立国会図書館デジタルコレクションの5月初日のアップグレードで、昔の本を探すときには古本を探すよりも、まず第一に個人送信資料で読めるかどうかをチェックすべきという時代になりました。無料で多くの本が参照できるのは本当にありがたいことです。たとえば以前紹介した(文末に英語版について書いた記事を再録しました)渡辺慧さんの『知識と推測』上下二冊は、今Amazonで中古本を買うとすると合計24494円しますが、デジタルコレクションでは以下のアドレスで無料で読むことができます。
54) 渡辺慧 著 ほか『知識と推測 : 科学的認識論』上,東京図書,1987.9.. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12628984
55) 渡辺慧 著 ほか『知識と推測 : 科学的認識論』下,東京図書,1987.9.. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12628985

渡辺慧先生は、世界的に有名な日本の物理学者でハワイ大学教授でしたがド・ブロイのところに留学しておられたこともあります。Wikipediaのリンクをあげておきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A1%E8%BE%BA%E6%85%A7

渡辺先生の本もいろいろ読めますが、先日紹介した『時間と人間』のほか、以下の本がわかりやすいと思います。
56) 渡辺慧 著『時間の歴史 : 物理学を貫くもの』,東京図書,1987.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12621964
57) 渡辺慧 著『生命と自由』,岩波書店,1980.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604371

昨日は最後に今西進化論と正統派進化論の本を紹介しました。次の本は岡田節人先生がとても喜んで読んでおられた本です。獲得形質の遺伝を証明したという実験で有名なカンメラーという科学者のお話です。アーサー・ケストラーの有名な本の一つです。
58) アーサー・ケストラー 著 ほか『サンバガエルの謎 : 獲得形質は遺伝するか』,サイマル出版会,1984.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12224136

柴谷篤弘さんの本で紹介していなかったもので読みやすそうなものを紹介しておきます。他にも『反科学論』をはじめとするいろんな本が読めるので探してみてください。
59) 柴谷篤弘, 藤岡喜愛 著『分子から精神へ : 紋様形成と酔能』,朝日出版社,1980.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604762
60) 柴谷篤弘 著『発生現象の細胞社会学 : 紋様形式の理論』,講談社,1979.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604931
これ(60)は1979年当時までの理論生物学のよくまとまった教科書です。

最後に、読みやすい科学関連の読み物と物理数学と確率論の教科書を紹介します。
61)  G.ステント 著 ほか『<真理>と悟り : 科学の形而上学と東洋哲学』,朝日出版社,1981.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12590154
62) 砂川重信 著『新物理学対話 : 現代物理学入門』,河出書房新社,1970. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12609060
63) 白上謙一 著『生物学と方法 : 発生細胞学とはなにか』,河出書房新社,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604905
64) 堀淳一 著『物理数学』第1,共立出版,1969. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12621968
65) 堀淳一 著『物理数学』第2,共立出版,1969. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12621967
堀先生は地図の愛好家で有名で数々の地図についての本もデジタルコレクションに入っています。この物理数学の本は、線形代数的扱いを基本に搖動散逸定理や量子力学に使われる物理数学を解説したもので、堀先生のランジュバン方程式の本の理解にも役立つと思われます。
確率論の教科書としては、超有名なフェラーの本も読めるようになっています。
66) W.フェラー 著 ほか『確率論とその応用』[第1] 上,紀伊国屋書店,1960. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1378045


以下は以前の固定ページの毎日更新記事からの再録です。
2022/7/8
今日はInternet Archiveから本を一冊を紹介します。 Internet Archiveにアカウントをもっている人は簡単に一時間貸出で読むことができます(アカウントは無料で取得できます)。ただ貸出は普通の図書館と同じで、一冊の本を複数の人が同時に借りることはできません。ですから、貸出できないこともあると思います。そういう時は時間をおいてから貸出するとよいでしょう。 以下は私の貸し出しの例を紹介します。手元に有名な物理学者だった渡辺慧先生の「知識と推測―科学的認識論―(村上陽一郎、丹治信春 訳で全4巻)」の第一巻があります。残りの本を買おうか買うまいかと迷っているうちに、もう古書でしか入手できなくなっていました。私の持っている本は、四分冊で一冊1500円でしたが、古書は上下二巻の新装版で一冊11000円、合計22000円の値段がついています。渡辺先生はハワイ大学教授だったのでこの翻訳本の原書は 英語で出版されています。Knowing and guessing; a quantitative study of inference and informationという本です。Internet Archiveで検索してみるとBooks to Borrowになっていて、ネットで借りることができるのがわかりました。 https://archive.org/details/knowingguessingq0000wata/page/n9/mode/2up
上は貸出して本を開いたところです。全画面表示でみています。これなら無料で読めるので、内容を知らずにやみくもに日本語訳の古本を注文する前に一度読んでみることができます。さっそく借りて残りの部分をみてみましたが、結構難しい本だとわかりました。目次はこんな感じです。

この本は情報理論と推測、量子論理などをあつかっています。翻訳本は大学図書館などにあるかもしれませんので、英語の本をみて読みたいかたは、借りてみるとよいでしょう。明日はもう少しやさしい本を紹介します。

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第4回)―物理関係や生命科学に使えそうな数学、進化論関係の本も読めます。

国立国会図書館デジタルコレクションの個人送信資料で無料でよめる本の紹介―第4回です。

文学の本はいろいろあるかなと検索していると、なんとプルーストの有名な本(長い文学作品としてギネスに登録されているはずです)が全集版で読めるのを知りました。
プルーストの『失われた時を求めて』が全集の第一巻から第10巻までを占めるボリュームで翻訳されています。無料で読めるのでiPadなどで寝ながら読めますね。
42) 『プルースト全集』10,筑摩書房,1989.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12578454 (参照 2024-05-05)

昨日の物理の本の続きを以下に並べます。

43) ワイル 著 ほか『空間・時間・物質』,東海大学出版会,1973. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592485
44) 物理学史研究刊行会 編『放射能』,東海大学出版会,1970. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12594399
45) アルベルト・アインシュタイン 著 ほか『自伝ノート』,東京図書,1978.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12284771
46) ヘルマン・ヴァイル 著 ほか『シンメトリー』,紀伊国屋書店,1970. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12676142

私が大学院に入る前に、岡田節人先生は発生生物学の形態形成を説明できるという、カタストロフィー理論の研究会(英国開催)に京大数学教室の山口昌哉先生たちとともに参加されていたようです。カタストロフィー理論の解説書は個人送信資料でも多数読めますが(カタストロフィーという検索語で探してみてください)、なかでも理論の提唱者でありフィールズ賞受賞者であるルネ・トムの本が今や無料で読めるようになっているのを知りました。
46) R.トム 著 ほか『構造安定性と形態形成』,岩波書店,1980.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604316
岡田先生はイスラエルに行くときには、テルアビブ空港乱射事件を京大出身者がひきおこしたので謝りにいくとおっしゃっていましたが、その乱射で殺害された方には有名な科学者カチャルスキーも含まれていました。有名な彼の教科書もデジタルコレクションで読めます。
47) A.カチャルスキー, ピーター・F.カラン [著] ほか『生物物理学における非平衡の熱力学』,みすず書房,1975. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592368
生物物理的な観点から生命をみるという本で以下のものもおすすめです。
48) H.ハーケン 著 ほか『協同現象の数理 : 物理、生物、化学的系における自律形成』,東海大学出版会,1980.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12628816
49) M.アイゲン, R.ヴィンクラー 著 ほか『自然と遊戯 : 偶然を支配する自然法則』,東京化学同人,1981.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12589563

今でははやらないのですが京大の今西錦司さんの生物についての本や、今西進化論の本もデジタルコレクションにあります。

50) 『今西錦司全集』第1巻,講談社,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12407787
この全集第一巻には有名な『生物の世界』が収録されています。Kindleとかで有料で読まなくても無料でよめるのはありがたいです。デジタルコレクションの詳細検索で、著者名を今西錦司で検索すると多数の今西の進化についての本もヒットします。また柴谷篤弘さんも今西進化論について書いておられます。
51) 柴谷篤弘 著『今西進化論批判試論』,朝日出版社,1981.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604211
52) 今西錦司, 柴谷篤弘 対談 ほか『進化論も進化する : 今西進化論と分子生物学』,リブロポート,1984.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604300
正統派の進化論で世界的に有名な木村の本を最後にあげておかなくてはなりません。
53) 木村資生 著 ほか『分子進化の中立説』,紀伊国屋書店,1986.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12605187

夜が遅くなったので続きは明日書きます。

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第3回)―物理関係の本もいろいろ読めます。

国立国会図書館デジタルコレクションの個人送信資料で無料でよめる本の紹介―第3回です。
今日は物理関係の本で、私がこれは面白いと思ったものを紹介します。

まずは量子力学の入門書をいくつかとりあげます。
27) 伊藤大介 著『量子力学の考え方』,河出書房新社,1971. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592589
これはやさしい量子力学の入門書です。しっかり数式を使って説明されていてものすごくわかりやすい解説書です。おすすめの本でなぜこの本が今も売っていないのかと不思議に思っていましたが、個人送信資料で読めるようになってよかったです。次の本もよい本だと思います。
28) P.T.マシューズ 著『初等量子力学』,培風館,1976. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592624
行列力学の教科書もあります。
29) H.S.グリーン 著 ほか『ハイゼンベルク形式による量子力学』,講談社,1980.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/125926
次の本は本格的なロシアの量子力学の教科書です。
30) A.S.ダビドフ 著 ほか『量子力学』1,新科学出版社,1978.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592646
これは全3巻で全部デジタルコレクションで読めます。

量子力学の歴史の本もいっぱいあります。
31) K.プルチブラム 著 ほか『波動力学形成史 : シュレーディンガーの書簡と小伝』,みすず書房,1982.3.
国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592662

32) M.ヤンマー 著 ほか『量子力学史』1,東京図書,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592611 全2巻
33) 天野清 著『量子力学史』,中央公論社,1973. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592606
34) 武谷三男 著『量子力学の形成と論理』1 (原子模型の形成),勁草書房,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592596
35) 武谷三男, 長崎正幸 著『量子力学の形成と論理』2 (量子力学への道),勁草書房,1991.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592597
36) 武谷三男, 長崎正幸 著『量子力学の形成と論理』3 (量子力学の成立とその論理),勁草書房,1993.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592598

物理の啓蒙書と教科書のよい副読本もいろいろあります。たとえば次の3冊をご覧ください。
37) L.インフェルト 著 ほか『アインシュタインの世界 : 物理学の革命』,講談社,1975. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1259249
38) 江沢洋 著『物理学の視点 : 力学・確率・量子』,培風館,1983.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12609370
39) 江沢洋 著『物理学の視点』続,培風館,1991.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12609378

量子化学の標準的教科書で昔よく使われた本も読めます。上下二巻ものの教科書です。
40) 米沢貞次郎 [ほか]共著『量子化学入門』上,化学同人,1983.4. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12697686

最後に、これは物理の本ではありませんが、以前紹介した本が読めるようになっていたのでリストにいれておきます。
41) 槌田竜太郎 著 ほか『化学者槌田龍太郎の意見』,化学同人,1975. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12698987

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第2回)―科学読み物がいろいろ読めます。

国立国会図書館デジタルコレクションの個人送信資料で無料でよめる本の紹介―第2回です。
今日は科学読み物で、私がこれは面白いと思ったものを紹介します。まずは私の大学院の指導教官だった岡田先生の気楽に読める本 2冊です。
岡田先生のお父さんは有名な芭蕉一門の研究者で伊丹市長もつとめていた方ですが、鳥マニアでどうしても欲しい鳥が神戸港に着いた船にのせられていて、その鳥を買うために抱き合わせ販売でゾウを買って飼育していたという話もでてきます。岡田先生の留学先のボスだったワディントンやエバートさんのボスとしての違いなどもとても参考になると思いますので是非、二冊ともお読みください。(番号は昨日からの通し番号です。)
9)岡田節人, 田原総一朗 著『細胞に刻まれた未来社会』,朝日出版社,1985.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12602948
10)岡田節人 著『生命科学の現場から』,新潮社,1983.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12603162
岡田先生の本には、ノーベル賞をとったフランスの生物学者ジャコブが竹市雅俊先生の細胞接着分子の研究の競争者として登場します。そのジャコブの有名な本も読めます。

11)フランソワ・ジャコブ 著 ほか『生命の論理』,みすず書房,1977.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12604965

次の2冊は丸山工作さんの本です。12)は生化学の創始者の読みやすい伝記です。セントジェルジやワールブルク、クレブスなど生化学の創始者たちについて知るにはよい本です。13)はクレブスサイクルで有名なクレブスが、ワールブルクについて書いたという得難い本の翻訳です。ワールブルク効果で有名な生化学者ですが他にもすごい業績をあげた人です。

12)丸山工作 著『生命現象を探る : 生化学の創始者たち』,中央公論社,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12603521
13)H.クレブス 著 ほか『オットー・ワールブルク : 生化学の開拓者』,岩波書店,1982.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12603274

物理の本にうつって、アインシュタインが来日した時の講演について知ることができるのは次の本です。
14)石原純 著『アインシュタイン講演録』,東京図書,1978.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12592509
次の山内恭彦 先生の本はとてもすらすらよめる面白い本です。物理を専門としない人にもすらすらよめます。
15)山内恭彦 著『現代科学論 : ある物理屋の見た世界』,筑摩書房,1970. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12590068
湯川先生のエッセイや文章は以下の自選集で堪能できます。古本で買おうかと迷っていたのですがオンラインで読めるようになっていて驚きました。
16)『湯川秀樹自選集』1 (学問と人生),朝日新聞社,1971. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12407619
朝永先生について知りたいときは以下の二冊がおすすめです。
17)松井巻之助 編『回想の朝永振一郎』,みすず書房,1980.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12194005
18)伊藤大介 編著『追想朝永振一郎』,中央公論社,1981.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12225593
物理学に関する本では以下のものが面白いです。
19)E.P.ウィグナー 著 ほか『自然法則と不変性』,ダイヤモンド社,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12609298
自然科学において数学がおかしなほど有効であることについて という有名なエッセイも入ってます!

映画オッペンハイマーをみて原爆、水爆開発について興味を持った人には、水爆の開発者ウラムの本はいかがでしょうか。
20)ウラム 著 ほか『数学のスーパースターたち : ウラムの自伝的回想』,東京図書,1979.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12221623

渡辺慧さんと奥様の共著も面白そうです。

21)渡辺慧, 渡辺ドロテア 著『時間と人間』,中央公論社,1979.11. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12226193

数学のエッセイや啓蒙書はいろいろあるので後日取り上げようと思いますが、今日は次の2冊を紹介しておきます。若くして亡くなられた京大の小針先生の本です。
22)小針晛宏 著 ほか『数学の七つの迷信』,東京図書,1986.6. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12608719
23)小針晛宏 著『対話・現代数学入門 : すべての人に数学を』,講談社,1970. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12607345

検索してみつけたのですが、有名なクーンの本も読めます。
24)トーマス・クーン [著] ほか『科学革命の構造』,みすず書房,1971. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12590209
パラダイムという言葉がこの本で有名になったのですが、上の渡辺慧さんや藤永茂先生はこの本を厳しく批判しておられます。クーンよりはるかに業績のある科学者であるぽらにーや、有名な哲学者バシュラールによる次の2冊を読んでみたあとで、クーンの本を眺めるのがよいと思われます。

25)マイケル・ポラニー 著 ほか『暗黙知の次元 : 言語から非言語へ』,紀伊国屋書店,1980.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12286629
26)G.バシュラール 著 ほか『新しい科学的精神』,中央公論社,1976.12. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12590104
バシュラールの著作は他にもたくさんありますが、ほとんどの本が国立国会図書館デジタルコレクションで読めるようになりました。
明日は、科学の入門書や専門書をとりあげる予定です。