ABC予想を解決した京大の望月先生の宇宙際タイヒミューラー理論の最近の評判について

このブログでも何度もとりあげている京都大学数理解析研究所教授の望月新一教授のABC予想の解決についての論文の話です。外国の著名な研究者が間違いを見つけたというコメントを出したのを契機に日本でも怪しいという論調がでてきていました。望月先生は論文を書いて反論されているのですが、それに対する応答はなく、ただあやしいという噂だけが広まっているようです。(望月先生のブログのこちらの記事など:https://plaza.rakuten.co.jp/shinichi0329/

最近、世界でも望月先生の理論を理解できる人が少ないわけや、疑わしいという話を広めがちな非専門家に対するコメントが発表されました。科学の社会の中での発展の生の姿を知るのに絶好のコメントなので、まだ読んでいない方はご覧ください。本当の科学の発展がどんなふうにおこっているのかが、リアルタイムで見られるのはすばらしいことで、これから科学を進めていこうと思う若い人にもとても役立つと思います。

 

こちらが直リンクです。
https://note.com/reiya_tachihara/n/n7fabafac5fc5?sub_rt=share_b
筆者は京都大学数理解析研究所の博士課程二年の大学院生の方です。望月理論は勉強中とのことですが、大学院博士課程二年(D2)というと研究の最先端をになう数学の専門家です。専門家の意見はとても貴重だと思います。

こちらのXのツイートでは、望月先生の理論の動向を知ることができる貴重な情報が掲載されているので興味のある方にはおすすめします。望月先生の日本語による解説論文や動画などのリンクも紹介されています。
https://nitter.poast.org/math_jin

AlphaFold3を勉強してみたという動画を紹介します。

タンパク質の立体構造を予測するAlphaFold 3については以前ふれました。以前紹介したように、その論文が雑誌Natureに掲載されましたが、
Abramson, J., Adler, J., Dunger, J. et al. Accurate structure prediction of biomolecular interactions with AlphaFold 3. Nature 630, 493–500 (2024).
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07487-w
予測の手法の詳細が公開されず、追試できないためそのような非公開のアルゴリズムを使った論文を科学界はうけいれるべきでないという議論も沸騰していました。
今日はこのAlphaFold3の論文を二か月ほど勉強したというYouTuberの物理学者の動画を紹介します。
Deep dive into the AlphaFold 3 algorithm
https://youtu.be/Or3iq4_9-wA?si=tWxlu1mcrl6-NVS7

あるいはもう少し短い動画二本からみるとよいと書いてありました。
How AlphaFold solves protein folding(これはAlphaFold2の論文の解説です)
https://youtu.be/3gSy_yN9YBo?si=6gmd5dxOVQ2aAwYi

What’s changed in AlphaFold 3?
https://youtu.be/CYncNBMPLLk?si=y7X4a-RlOIyD-F2_

彼女は量子コンピュータの専門家でケンブリッジ大学でクリフォードサーキットに関する論文などを書いている人です。タンパク質の立体構造を高精度で予測するのに成功したAIの科学への応用の成功例に興味をもって勉強してみたとのことです。

以前紹介した日本語の解説記事とあわせて勉強するとわかりやすいと思います。

AlphaFold3の日本語解説記事や、PubMed SearcherというPubMedの網羅的検索用GPTの作り方の記事が公開されています!

AlphaFold3が登場しましたね!創薬にもすぐ応用できる革命的進歩のようです。

『学術変革領域研究(A)極限宇宙の物理法則を創る』の市民講演会の動画を紹介します。

とても面白そうな一般市民向けの物理講演会動画がありました。
これは科研費の一つ、『学術変革領域研究(A)極限宇宙の物理法則を創る』 
http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~extremeuniverse/
のアウトリーチ活動の動画のようです。この領域のYouTubeのチャンネルにはもう少し専門性の高い、場の量子論の解説動画などもありますので、興味がある方は次のリンクをご覧になるとよいと思います。
https://www.youtube.com/@extremeuniverse4346/playlists

動画を以下に埋め込んでおきます。やさしく解説されているよい動画だと思います。

第二回「極限宇宙」市民講演会2「量子情報 -量子の奇妙から情報へ、情報から物理へ-」
https://youtu.be/3siqENC7V_I?si=jsauM5v-Ou4qP6uo

物理学者が生命をどのようにとらえているか:その一例となるホーキングの共同研究者のEllis 教授の最新動画がでていました。

今日は紺野大地さんの『研究者のための生成AI活用セミナー』というのをZoomで聴講していました。
ChatGPTやGoogleのNotebookML  https://notebooklm.google/
の使い方など最新の情報が学べてよいセミナーでした。

さて今日は、以前紹介したホーキング博士の共同研究者だったGeorge Ellis名誉教授の新しい動画をみかけたので紹介します。

物理学者が生命をどのようにとらえて研究しているかについて、参考になりそうな動画をみつけました。

新しい動画のタイトルです。
A universe of possibility
How reality emerges from chance
13th May 2024

The fundamental structure of the cosmos is not atoms, particles, or even thoughts or mind; the fundamental structure of the universe is possibility. Join one of the world’s leading cosmologists and Hawking collaborator, George Ellis, as he argues possibilities underlie our whole physical and mental existence.
ということで、確率空間のアイデアで宇宙や生命をとらえるという講演のようです。

George Ellis is a distinguished professor at the University of Cape Town in South Africa. He co-authored ‘The Large Scale Structure of Space-Time’ with physicist Stephen Hawking, and is considered one of the world’s leading theorists in cosmology.
こちらで全編がみられるのでご覧ください。https://iai.tv/video/a-universe-of-possibility?utm_source=YouTube&utm_medium=description

YouTubeには短縮版の動画がアップロードされています。

国立国会図書館デジタルコレクションで読める本の紹介(第15回)

今日は国立国会図書館デジタルコレクションでよめる芸術・文学系の本を紹介します。
156)『ヘミングウェイ全集』第1巻,三笠書房,1973. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12585603 (参照 2024-06-22)
有名な「蝶々と戦車」などが収録されている第一巻です。武器よさらばは第4巻に収録されています。https://dl.ndl.go.jp/pid/12585612/1/4
157)宮沢俊一 訳『反世界の島』,プログレス出版所,1973. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12575882 (参照 2024-06-22)これはソビエトのSFです。現代ソビエトSFシリーズでタイトル検索するとたくさんの本がヒットします。私のおすすめはこの第3巻にふくまれている「雪の玉」です。
158)『ホイジンガ選集』6,河出書房新社,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12143719 (参照 2024-06-22)
一昨日紹介した物理学者の立川裕二先生が東大生に進める本の記事で推薦されていた本に、このホイジンガの「中世の秋」があります。私は未読ですが時間があれば読んでみたいと思います。世界の名著版も読めます。
159)『世界の名著』第55,中央公論社,1967. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2935163 (参照 2024-06-22)こちらは、巻頭にホイジンガについての解説が詳しくのっています。
160)Evan Esar 編 ほか『英語ユーモア辞典』,研究社出版,1976. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12579752 (参照 2024-06-22) 英語の原著を対訳にして改訂して日本人向けにした本。ユーモアとウイットに富む文が単語のアルファベット順にならんでいます。
161)『熊谷守一画集』,日本経済新聞社,1974. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12765256 (参照 2024-06-22)有名な画家、熊谷守一の作品がカラーで鑑賞できます。
162)『東山魁夷全集』1 (風景巡礼 1),講談社,1979.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12709412 (参照 2024-06-22)
東山魁夷の全集が全部オンラインで読めるようになっています。タイトル検索してみてください。
163)二見史郎 [ほか]訳『ファン・ゴッホ書簡全集』第1巻,みすず書房,1984.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12426619 (参照 2024-06-22) ゴッホの書簡全集も全巻読むことができます。以前紹介した原田マハさんの「たゆたえども沈まず」を読んだ人におすすめの書簡集です。

生成AIを使うときのプロンプトの作り方に関する論文が役立ちそうです。

生成AIのトップラボの研究者(OpenAIを含む)によるこんな論文 (プレプリント)がでています。

The Prompt Report: A Systematic Survey of Prompting Techniques
https://arxiv.org/abs/2406.06608
プロンプトエンジニアリングでよく使われる専門語の解説や、テキストだけのプロンプトの作り方、プロンプトにテキスト以外に、画像や音声、動画などを含める場合があることなどもちゃんと説明してくれています。プロンプトの例もいろいろのっているので、生成AIを使うとき、どんなプロンプトを使うとよいのかの指針となると思います。この論文のサイトはこちら。https://trigaten.github.io/Prompt_Survey_Site/
論文で使われているコードが載っているのはこちらです。再現可能性に配慮してある論文ですね。
https://github.com/trigaten/Prompt_Systematic_Review

動画ではこんなのがありましたので紹介しておきます。英語ですが字幕をだしてご覧になると役立つと思います。OpenAIのチャンネルにある動画です。
A Survey of Techniques for Maximizing LLM Performance
生成AIのパフォーマンスを最大限引き出すためのテクニックについての動画です。プロンプトエンジニアリング、RAG、ファインチューニングについて解説してくれています。
https://youtu.be/ahnGLM-RC1Y?si=elJNkld6Q2_GaBQd

東京大学の立川裕二先生(カブリ数物連携宇宙研究機構教授)のサイトや動画を紹介します。

今日は東京大学の物理学者、立川裕二先生のサイトを紹介します。先生の動画は以前 弦理論についての動画を紹介したことがあります。
弦理論って何だろう という動画がでています‥‥

立川先生は最近、日本評論社からでている雑誌「数学セミナー」の4月号から、「場の量子論の数学をめぐって」という連載を執筆されています。私など場の量子論などまったく勉強したことのないものでも、場の量子論の数学の全体像がわかるように書かれている勉強の道しるべになるような連載です。毎回楽しみに読ませてもらっています。

次の先生のサイトのトップページをご覧ください。
https://member.ipmu.jp/yuji.tachikawa/
講義資料や無料で読める本、日本語による解説記事その他の盛りだくさんの内容がつめこまれています。ご覧になるとどなたにも参考になる資料があると思います。
以前紹介した動画へのリンクも載っています。
「弦理論って何だろう」 動画のスライドもダウンロードできます。
https://member.ipmu.jp/yuji.tachikawa/transp/intro2015-copyrightissues-cleared.pdf
https://youtu.be/lFL7YY3R0Lo?si=s-Cmza-BA2X5xrCS
この動画のダウンロードリンク付きページはこちらです。
https://youchu.be/watch?v=lFL7YY3R0Lo&si=l3wDApG4zwPYeeDD

こちらからは講演の動画やpdfをみることができます。
https://member.ipmu.jp/yuji.tachikawa/transp-videos.html

こんな動画もあって、とても面白かったです。
理論物理から新しい数学をとりだすということ
https://youtu.be/XngWavWK91g?si=-xM34bDH4RbdnX5n

最後は、「弦理論って何だろう」の動画中で紹介されている外村彰先生の電子の波動性を確認できる実験の動画です。ノーベル賞をとられるはずの業績でしたが早くになくなられたのが悔やまれる先生です。
One electron double slit experiment by Akira Tonomura
https://youtu.be/jvO0P5-SMxk?si=OLI_MpVyd36Jg9W9
外村彰先生の紹介動画のリンクも貼っておきます。

https://youtu.be/lp1xgTCLNe0?si=sEOwhRv8m1VF50eG
https://youtu.be/fPF7X8m0SFY?si=XjNKVijTsxJ3mAR6

NIH videocastで最近公開された機械学習入門の動画、統計解析の動画(メタアナリシスとロジスティック回帰分析)の紹介です。

今日はNIH videocastの機械学習、統計関係の動画を紹介します。
まず、機械学習の動画です。
Machine Learning
https://videocast.nih.gov/watch=54741

Friday, June 14, 2024, 12:00:00 PM
内容紹介:Machine learning is a useful tool for discovery and pattern recognition. In this lecture, I will introduce basic concepts of supervised and unsupervised learning, describe some common learning methods, and provide illustrative examples.
Author: Ken Cheung, PhD

次は、生命科学でよく用いられるメタアナリシスの入門動画です。
Meta Analysis    メタアナリシス
内容紹介: Meta-analysis a subset of systematic reviews; is a method for systematically combining pertinent qualitative and quantitative study data from several selected studies to develop a single conclusion that has greater statistical power. The objective of our presentation is to provide a brief overview of meta-analysis methodology. At the end of the brief presentation the participants will have a general understanding of the four basic steps required for a good meta-analysis.
Author: Henry Roberts, PhD

https://videocast.nih.gov/watch=54739

次は同じく統計解析のロジスティック回帰分析の入門動画です。
Logistic Regression Analysis
内容紹介:In this lecture, I will present how to perform logistic regression analysis and Receiver Operating Characteristic (ROC) curve analysis including the model evaluation and results interpretation.
Author: Tianxia Wu, PhD
https://videocast.nih.gov/watch=54737

国立国会図書館のデジタルサーチを試してみましょう!

今日は国立国会図書館のデジタルサーチの使い方の紹介です。

こちらに全文検索のやりかたが詳しく書いてあるので参考にしてください。
全文検索を活用するには https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/plan/post_987
ただ、ここに書いてある説明は詳しいのですがわかりにくいです。手っ取り早く全文検索をつかってみるには、まずこちらを試してみてください。
国立国会図書館サーチ https://ndlsearch.ndl.go.jp/
検索窓(検索キーワードを入力と書いてある部分)の下に、「国立国会図書館、全国の図書館、インターネットで閲覧できるものに絞る」の三つのチェックボックスがあるので、希望に応じてチェックします。とりあえずは、国立国会図書館と、インターネットで閲覧できるものに絞るの二つをチェックして試してみましょう。

キーワードにはノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎先生の名前、朝永振一郎といれてみます。検索すると、
伊藤大介 編著『追想朝永振一郎』,中央公論社,1981.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12225593 (参照 2024-06-18)
松井巻之助 編『回想の朝永振一郎』,みすず書房,1980.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12194005 (参照 2024-06-18)
朝永振一郎 著『科学と科学者』,みすず書房,1968. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1383069 (参照 2024-06-18)
などオンラインで閲覧できる多数の本がヒットします。

科学に限らず、文学でも歴史でも、どんな分野の本でもキーワード検索できるので、いろいろ試して遊んでみてください。
遊んで使い方を覚えるのが一番手っ取り早く上達する道です。

NIH videocastの動画二本をおすすめします。

九州北部も梅雨入りしたそうです。夕方から雨がしっかり降りだしました。庭のきれいに咲いていたポピーも雨に濡れています。
さて今夜は、NIHのvideocastの最新の動画でおすすめのものを二本紹介します。
まず最初はこちらです。
Single Cell and Spatial Seminar: “Single Cell and Spatial Technologies: Applications to Disease”
https://videocast.nih.gov/watch=54900
演者についてのNIHの紹介を引用します。
Dr. Jasmine Plummer is a faculty member and the Director of St. Jude Children’s Research Hospital Center for Spatial OMICs. Research interests include single cell systems biology, spatial genomics and proteomics, disease pathogenesis from cells of origin, and genomics technology development.

In this seminar, Dr. Plummer will highlight the advancements in single cell and spatial technologies and their applications to better understand health and disease.

彼女の提唱しているSpatial OMICs のアプローチを含めて、一細胞レベルでの解析技術について全貌がわかる解説があるので是非ご覧ください。
もちろん、スクリプトや動画の高解像度でのダウンロードもできますので利用してじっくり勉強することができるのでお試しください。

もう一本はこちらです。
Membrane fusion and budding: transformations, biomechanics and functions
https://videocast.nih.gov/watch=54904
Ling-Gang Wu, M.D., Ph.D.はNIHでラボを主催している有名な研究者です。exocytosisやendocytosisなど膜のダイナミックな変化を神経細胞を中心に研究している人です。ミリ秒スケールの膜のダイナミックな変化を最新の顕微鏡技術による可視化で研究しています。彼の話は大変面白く聴いて役立つ内容だと思います。是非ご覧ください。