クマムシが量子もつれ?!という動画が必見です。

LEOさんと夏生さんの『物理学者とティータイム』の本日配信されたライブ動画が面白かったです。
クマムシが量子もつれ?!
https://www.youtube.com/live/jGHWBPl-lYc?si=ngN4TT_HUNqTn4tQ

紹介文を引用しておきます。
『ネットニュースでクマムシが話題になりました。
なんと極低温でクマムシが量子もつれした?!
この論文について簡単に解説します。』

プレプリントサーバーに2021年からあった内容がアクセプトされて論文として2022年に公開されたらしく、それが今頃ナゾロジーというサイトでの報道されて、SNSで話題になっているのだそうです。(私は今日まで知りませんでした)

この論文がどのように怪しいのかを詳しく解説している動画で、公開された論文でも怪しいものがあるというのがよくわかってとても役に立つ内容だと思いました。プレプリントサーバーがどんなものなのかとかも、一般の人によくわかるように説明してくれています。要は、クマムシでなくてもクマムシの中のゴミかなにか、もっと小さいものが量子効果を示しているだけではないかという批判でした。詳しくは動画をどうぞ。

論文として発表された仕事でも無批判にうけいれてはいけません。私は大学院に入ったばかりの時、米国科学アカデミーの論文誌PNASの論文を、セミナーで紹介したことがありました。その時はじめて、米国科学アカデミーの会員ならほぼフリーパスで、怪しい論文を掲載できるのだということを教えてもらいました。私が選んだ論文は、そうした怪しい論文だったのです。プレプリントはだれでも投稿できてほぼ100%掲載されますが、査読を通った論文でアクセプトされたといっても怪しいものがあるわけです。

クマムシの論文はこちらでオープンアクセスなので誰でもダウンロードできます。

Entanglement in a qubit-qubit-tardigrade system:https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1367-2630/aca81f

ワールブルク・エフェクトを哺乳類細胞で起こらなくすることに成功したというプレプリントがでました。

癌細胞や幹細胞では酸素が存在しても呼吸系よりも解糖系の作用が亢進していることが知られており盛んに乳酸が産生されています。この現象は、これを詳しく研究したドイツの偉大な生化学者ワールブルクWarburgにちなんでワールブルク効果と呼ばれています。Warburgは晩年、癌の治療にこの好気的解糖の阻害が効果があるはずだという仮説をたてて、癌の治療法を開発しようとしていたことも有名です。
このWarburg effectを哺乳類の細胞でなくしてしまうことに成功したというプレプリントが発表されました。その結果は、増殖がとまることなく呼吸系を用いて細胞増殖が普通におこるという結果だったそうです。プレプリントと、この研究を行ったPIによる一連のツイートをご覧ください。


プレプリントはこちらです。

Multiplex genome editing eliminates the Warburg Effect without impacting growth rate in mammalian cells
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.08.02.606284v1

ワールブルクの簡単な伝記は丸山工作先生の書かれた『生命現象を探る―生化学の創始者たち』(自然選書)で読めます。
国立国会図書館の個人送信資料へのリンクをはっておきます。
https://dl.ndl.go.jp/pid/12603521/1/98
ワールブルク効果についてはこの辺りに書かれています。
https://dl.ndl.go.jp/pid/12603521/1/119

生成AIに関する動画2本を紹介します。

台風は福岡からどんどん離れていっています。衛星ひまわりの画像では台風の雲がはっきりみえなくなって、台風が消滅したのにまだ気象庁が台風があるといいはっているなどというSNSの意見もあったようです。先日紹介したhttps://earth.nullschool.net/jp/
で風の動きを見ると夕方にはまだはっきりとした渦がみられました。しかし夜の11時前にみると渦もなにやらあやしくなくなりそうに見えていました。

さて今日は生成AIに関する動画を2本埋め込んで紹介します。最初は日本語の動画です。

「AIはどうして急に賢くなったでのか、これからどうなるのか」黒橋 禎夫(国立情報学研究所 所長) 2024年度 軽井沢土曜懇話会 第1回
https://youtu.be/6YnGNpbVq7g?si=BQlZojhTl4xhDDDu

もう一つは、生成AIの父とよばれているドイツ人科学者Jürgen Schmidhuber, the father of generative AI のインタビュー動画です。日本語字幕もあるので理解しやすいと思います。

 

動画のタイトルは、Neural and Non-Neural AI, Reasoning, Transformers, and LSTMsというものです。
LSTMというのはLong Short-Term Memory (LSTM) の略でJürgen Schmidhuberさんはこの研究で著名なのだそうです。

https://youchu.be/watch?v=DP454c1K_vQ

夕方には台風はおさまりました‥。動画をpdf化する方法について追加情報です。

ものすごい台風というふれこみの台風10号、風が午前中から午後4時過ぎまではものすごくて雨がたたきつけるように降っていました。このまま半日も雨が続くと河川があふれるかもと思わせる豪雨で、ちょっと換気のために窓をあけると雨の吹込みがすごかったです。しかし夕方には風がおさまり、結局急激に勢力を落として普通の低気圧の通過という感じになってしまいました。今は990 hPaの台風になったようで、心配をしてくださった方が多かったようですが被害はゼロでした。

先日、動画からpdfに変換するpythonコードを紹介しました。Zoomで行われるイベントの画面などをOB Studio(ビデオ録画と生放送用の無料でオープンソースのソフトウェアhttps://obsproject.com/ja)で動画として録画しておいて、pdf化してあとで素早く復習するとかの用途には絶好のコードだと思います。

動画からpdfを作成するPython コードが公開されていました!

この記事を書いた後調べてみると他にもQiitaでこんな記事をみつけました。

【Python】動画から特徴量マッチングでPDF資料を自動生成するWebアプリを作ってみた
https://qiita.com/adumaru0828/items/3043d6a668cc7d4ae0e0
記事の最初の部分を引用しておきます。
『授業動画だけ配布されてPDF資料が配布されなかった経験、Zoomのウェビナー等で「資料が欲しい」と言いにくかった経験はありませんか?

この記事では、

  1. 動画から一定間隔でフレームを切り出す
  2. AKAZE(特徴量マッチング手法の1つ)で、類似スライドを削除する
  3. 選ばれたスライド画像を結合してPDFにする

という3ステップで問題を解決したいと思います。』

という記事です。これも役立つのではないでしょうか。これらのコードを参考に、自分用に改変したアプリをつくることもできそうですね。最近の生成AIがよい相談相手になってくれると思います。

台風が近づいています‥‥。

今朝から福岡は風が強くて台風が近づいているのを実感しました。台風に備えて午前中は日よけの天幕などを外したり巻き上げたり、風で飛びそうなものに土嚢の重しをのせたりしていました。以前紹介したのですが、こちらのサイトでは台風の風を動画でみることができます。
https://earth.nullschool.net/jp/
詳しい見方は、以前のこの記事を読んでみてください。

今 台風が福岡に接近中です

こんな感じの画面で台風の風の渦巻きが動いているのをみることができます。

風は強かったですが、夕方には日がさして青空がでてきました。山の方をみるとなんと綺麗な虹がかかっていたので写真をとりました。
写真ではカットしていますが、外側にもう一本虹がかかっている二重の虹でした。


台風が福岡に最接近するのは明後日とのことですが、今台風が近くにいる地域の方々に深刻な被害がないことをお祈りしています。

漸近解析についての講義動画が公開されています。

漸近解析についての講義動画が公開されているのを知りました。


 Steven Strogatzさんの講義動画です。私には初耳の単語だったのでネットで調べてみました。微分方程式の解の挙動を計算機で長時間追っていくと誤差がでてきて手に負えなくなることがよくあります。そういうときに漸近解析を使うと長時間(無限時間を含む)後の解のふるまいを的確に予測できるのだそうです。その他、量子力学とか流体力学などでもよく使われる手法とのことです。江沢洋さんの「漸近解析入門」という岩波書店から出ている本を図書館などで読まれると、漸近解析が物理学や工学でも大いに役立つことがわかると思います。

講義の第一回の動画を埋め込んでおきます。

Terence Tao教授が2024年国際数学オリンピックで講演した動画が公開されています!

Terence Tao カリフォルニア大学教授は数学オリンピックで最年少の金メダル記録を得たのち大学で数学を専攻しフィールズ賞を受賞した数学者です。以前オックスフォード大学での講演を紹介しました。

AIが科学や数学に今後どのように貢献するかというテーマの、フィールズ賞受賞者の講演を紹介します。

今日は彼が、国際数学オリンピック2024で講演した動画を紹介します。

Terence Tao at IMO 2024: AI and Mathematics
https://youtu.be/e049IoFBnLA?si=jbbV-02CTquT-B-z

数学オリンピック2024の参加者向けの講演なのでOxford大学での講演よりわかりやすいと思います。日本語字幕がついているのでそちらで見るとよいでしょう。なおこの動画を掲載しているサイトの主催者は国際数学オリンピックで金メダルを獲得できるみんなが無料で使えるAIを開発した者に、多額の賞金を出すということです。https://aimoprize.com/

GlycoRNAのN型糖鎖は3-(3-amino-3-carboxypropyl)uridine (acp 3 U)を介してRNAと共有結合しているという論文がでました!

RNAが糖鎖修飾をうけているというGlycoRNAについてはこのブログでも何度もとりあげています。最近ではglycoRNAがアーティファクトである可能性をにおわすプレプリントがでたことを紹介しました。

glycoRNAはアーティファクトなのでしょうか!

さきほどツイートをみているとGlycoRNAの発見者のRyan A. Flynnさんによるツイートで、N型糖鎖がRNAのどの部分に結合しているかを明らかにした論文が有名学術誌のCellに掲載されたのを知りました。

 

ペイウオールの中の論文なのでまだ中身を読んでいませんが、RNAの塩基で修飾されているウリジンである3-(3-amino-3-carboxypropyl)uridine (acp 3 U)にN型糖鎖が結合していることを明らかにした論文のようです。

この論文の元になったプレプリントはこちらから読めます。
The modified RNA base acp3U is an attachment site for N-glycans in glycoRNA
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.11.06.565735v3

tRNAがacp3U修飾をうけて細胞表面の sialoglycoRNAsになるという仮説の図がでていました。面白い展開ですね。

国立国会図書館デジタルライブラリの詳細検索のやり方を紹介します。

いつも国立国会図書館のデジタルライブラリにはお世話になっています。利用登録をすませた方向けに簡単に詳細検索の例をお見せしたいと思います。
まず次の写真にある、トップページhttps://dl.ndl.go.jp/から詳細検索をクリックします。


開いた詳細検索画面の「タイトル」の部分に、本の表題あるいはシリーズ名を入れて検索ボタンを押します。
シリーズ名は、岩波文庫とか自然選書とかを入れて試してみてください。

自然選書の場合、上の写真のように47件ヒットしました。いろんな自然選書(中央公論社発行)のタイトルがでてきますのでやってみてください。
下の写真は、出版者に中央公論社と入れた場合です。これで検索ボタンを押してみてください。

すると、下の写真のようにヒットした資料一覧が表示されます。
右上のプルダウンで「出版日:新しい順」にしています。他の条件でも表示できますので試してみてください。
次に、デジタル化資料とある部分の下にある「図書」にチェックをいれてみましょう。ヒットした図書だけが表示されます。

こうすると、ヒットした図書だけが、下の写真のように表示されました。

ヒットした図書は5000件以上あるので、左のデジタル化資料とある部分の下の方にたどってみてください。
NDC分類とある下の、総記とか哲学とかあるチェックボックスで、表示させたい分野にチェックを入れて
自分の見たい分野の本だけを表示するようにします。下の写真では4番の自然科学にチェックをいれようとしているところです。

結果は下の写真のようになります。

自然科学分野の本だけが表示されるようになりました。
このような要領で、いろいろ条件を変えて検索すると、とても役立つ本や、思いがけない本に出合えることもあるので試してみてください。

CERNの物理学者による一般向け動画と、ダークエネルギーは要らないという新理論の開拓者の一般向け動画がでています。

今日は物理の一般向け動画二本を紹介します。

英国Royal Instituteのこの動画はCERNのハドロンコライダーの物理学者 (CMS physicist) Kathryn Coldhamによるわかりやすい動画です。
CMSというのはThe Compact Muon Solenoid (CMS) experimentという実験グループだそうで、ヒグス粒子の発見に大きな役割を果たしたそうです。
動画のタイトルは『Particle physics and the CMS experiment at CERN – with Kathryn Coldham』
https://youtu.be/VcsXn63RbX0?si=0ej3zk8Erl4fhFmC

もう一つは以前紹介したことがあるMassive gravity理論の科学者Claudia de Rhamさんによる一般向けの最新動画です。
彼女については末尾に以前の記事を貼り付けていますのでご覧ください。

ダークエネルギーなどいらなくなる新理論の話ですが、一般の人にもよくわかる講演です。
The Dark Energy Delusion | Claudia de Rham Public Lecture
https://youtu.be/NSgSpwlgUn8?si=os5rR3n3_LdG2C3s

 

重力の新理論 (massive gravity理論)の一般向け解説動画が公開されました。著者による本も出版されています。