国立国会図書館デジタルライブラリの詳細検索のやり方を紹介します。

いつも国立国会図書館のデジタルライブラリにはお世話になっています。利用登録をすませた方向けに簡単に詳細検索の例をお見せしたいと思います。
まず次の写真にある、トップページhttps://dl.ndl.go.jp/から詳細検索をクリックします。


開いた詳細検索画面の「タイトル」の部分に、本の表題あるいはシリーズ名を入れて検索ボタンを押します。
シリーズ名は、岩波文庫とか自然選書とかを入れて試してみてください。

自然選書の場合、上の写真のように47件ヒットしました。いろんな自然選書(中央公論社発行)のタイトルがでてきますのでやってみてください。
下の写真は、出版者に中央公論社と入れた場合です。これで検索ボタンを押してみてください。

すると、下の写真のようにヒットした資料一覧が表示されます。
右上のプルダウンで「出版日:新しい順」にしています。他の条件でも表示できますので試してみてください。
次に、デジタル化資料とある部分の下にある「図書」にチェックをいれてみましょう。ヒットした図書だけが表示されます。

こうすると、ヒットした図書だけが、下の写真のように表示されました。

ヒットした図書は5000件以上あるので、左のデジタル化資料とある部分の下の方にたどってみてください。
NDC分類とある下の、総記とか哲学とかあるチェックボックスで、表示させたい分野にチェックを入れて
自分の見たい分野の本だけを表示するようにします。下の写真では4番の自然科学にチェックをいれようとしているところです。

結果は下の写真のようになります。

自然科学分野の本だけが表示されるようになりました。
このような要領で、いろいろ条件を変えて検索すると、とても役立つ本や、思いがけない本に出合えることもあるので試してみてください。

CERNの物理学者による一般向け動画と、ダークエネルギーは要らないという新理論の開拓者の一般向け動画がでています。

今日は物理の一般向け動画二本を紹介します。

英国Royal Instituteのこの動画はCERNのハドロンコライダーの物理学者 (CMS physicist) Kathryn Coldhamによるわかりやすい動画です。
CMSというのはThe Compact Muon Solenoid (CMS) experimentという実験グループだそうで、ヒグス粒子の発見に大きな役割を果たしたそうです。
動画のタイトルは『Particle physics and the CMS experiment at CERN – with Kathryn Coldham』
https://youtu.be/VcsXn63RbX0?si=0ej3zk8Erl4fhFmC

もう一つは以前紹介したことがあるMassive gravity理論の科学者Claudia de Rhamさんによる一般向けの最新動画です。
彼女については末尾に以前の記事を貼り付けていますのでご覧ください。

ダークエネルギーなどいらなくなる新理論の話ですが、一般の人にもよくわかる講演です。
The Dark Energy Delusion | Claudia de Rham Public Lecture
https://youtu.be/NSgSpwlgUn8?si=os5rR3n3_LdG2C3s

 

重力の新理論 (massive gravity理論)の一般向け解説動画が公開されました。著者による本も出版されています。

動画からpdfを作成するPython コードが公開されていました!

動画をpdfにする方法を探してみました。オンライン変換サービスやAIを利用したツールはプライバシーの問題があるので使いたくないと思います。Google検索するとPythonで授業のmp4型式の動画をpdfにするやり方が書いてあるサイトを知りました。

『プレゼン形式の動画からスライドのpdfを自動作成する+OCRをつける 』というタイトルの大阪大学医学部Python会のサイトにある記事です。
オンライン授業の動画からpdfをつくるというPythonプログラムでOCRもできるとのことです。
https://oumpy.github.io/blog/2021/03/movie2pdf.html
これはものすごく役立つPythonコードではないでしょうか。まだ使ってみていませんが、試してみようと思います。動画をpdfにして読むというのは動画を見るより時間が節約できて見直すのも簡単なので使えそうです。講義からスライドpdfをつくるだけではなく、いろんな使い方ができそうですね!

松岡正剛さんがなくなったんですね。

松岡正剛さんが亡くなったというニュースをみました。NHKで放送していた「世界遺産~1万年の叙事詩」は、松岡さんと華恵さんが案内役をつとめる番組で歴史の切り口がユニークで家族で楽しんで見せてもらいました。録画で結構なんども見返しましたが、番組で華恵さんが訪れておられた文化遺産にあふれていたシリアが、今は戦争で破壊されてしまっているのを知りながら昔の映像を見るのは本当に残念です。

松岡さんが編集された『情報の歴史21』は、このブログでも何度もとりあげていますが日本の江戸時代に世界では何がおこっていたかとか、簡単に調べることができるので楽しい電子ブックです。買って損はない本だと思います。

熱力学の第二法則が誕生してから今年で200年。カルノー・サイクルについて学びましょう。

歴史年表 「情報の歴史21」(pdf版)を買いました。

また松岡さんのブログ「千夜千冊」https://1000ya.isis.ne.jp/
は膨大な冊数の本についての記事があるのでよくみていました。闘病されていることもブログで時々ふれておられました。ご冥福をお祈り申し上げます。

追悼で動画を無料公開しているサイトもありました。
https://newspicks.com/movie-series/87?movieId=3414

創薬のための機械学習入門の動画を紹介します。

創薬のための機械学習入門

創薬に機械学習が活用されています。日本語でのよい入門講義としては、
京都大学大学院医学研究科 鎌田 真由美 准教授による次の講義の動画がおすすめです。
計算生命科学の基礎10 | 創薬のための機械学習 ①
https://youtu.be/JVmoPS_qa_Y?si=H-UNLguOaI_e7KtS

私も聴講した講義ですが、とてもわかりやすくておすすめの動画です。去年の講義が三つに分割されてYouTubeで公開されています。②と③もリンクがYouTubeの動画サイトにのっているので、さがして見てください。

この動画を見た後、本格的に創薬のための機械学習を学ぶにはつぎの英語の講義動画シリーズをおすすめします。
今年行われたML for Drug Discovery Summer Schoolという創薬のための機会学習夏の学校の動画です。
再生リストはこちら。
https://youtube.com/playlist?list=PLoVkjhDgBOt3NyXcTGg_fi-H8qBzNnKgk&si=PirP29CSuwuU3KYF
こちらからはダウンロードもできるようです。
https://youchu.be/playlist?list=PLoVkjhDgBOt3NyXcTGg_fi-H8qBzNnKgk&si=vsmYeaV-1PfY42kE

上に紹介した鎌田先生の動画を見た後なら、この夏の学校の次の動画が理解できると思います。
Day 1 – Intro to ML in Drug Discovery: Principles & Applications | Bharath Ramsundar
https://youtu.be/j-oLfEm7xD8?si=jWB8X5rVbi0u4dRZ

その他、タンパク質の立体構造の講義もあったり参考書も紹介されているなど、生命科学分野での機械学習の現在がよくわかる講義シリーズです。
創薬と機械学習に興味のある学生さんにも新学期前にみるとよさそうな動画です。

また主催しているValenceラボのポータルが面白いと思います。
https://portal.valencelabs.com/
リンクには無料ソフトとかもありました。
https://portal.valencelabs.com/datamol

統計的機械学習(松井 孝太先生)の特別講義のスライドが公開されています!

今日は一日ChatGPTにExcelデータファイルの整形をやってもらう作業をしていました。日本語でプロンプトを書いていたのですが、できたファイルをダウンロードしてみるとうまくできていない→ここがまちがっているからやりなおして→また同じ間違い→プロンプトを書き直して再実行→まだだめ→プロンプトを箇条書きにして論理的にAIが理解しやすいように書き換えて実行→やっと整形成功

というような作業でした。プロンプトの書き方の勉強になった一日でした。

今日はそんなわけでツイートの引用をしておきます。名古屋大学医学部の松井 孝太(まつい こうた)先生のツイートです。

 

先生が阪大で『統計的機械学習』というタイトルで特別講義をされるそうで、そのスライドが(大作です)公開されているというお知らせです。先生は転移学習などの本も何冊か書いておられる専門家でスライドは参考になりそうです。下の先生のホームページhttps://sites.google.com/site/matsuikotaswebpage/homeのLecturesのページからスライドがダウンロードできます。

https://sites.google.com/site/matsuikotaswebpage/lectures/%E7%B5%B1%E8%A8%88%E7%9A%84%E6%A9%9F%E6%A2%B0%E5%AD%A6%E7%BF%92

Carl Saganの1977年のクリスマスレクチャーのリマスター版動画がRoyal Institutionから公開されました。

Carl Saganのテレビ番組『コスモス』は1980年頃に日本語版がテレビ放映されて皆を夢中にさせました。知識の宝庫だったアレキサンドリアの図書館がキリスト教徒に襲われて放火され人類の知的財産が灰燼に帰したという話を初めて知ったのもこの番組を通じてでした。セーガンは科学啓蒙でも大きな業績を上げた宇宙科学者、宇宙生物学の開拓者です。

数日前YouTubeで彼の1977年の英国王立研究所でのクリスマスレクチャーが、デジタルリマスター版で公開されました。1977年から現在までの科学の発展を考えると、歴史的興味を掻き立てられる講演です。全6回の講義の4回分が無料公開されており、最後の二回はメンバー限定でメンバーにならないとみることができません。メンバー料金は高いので私はメンバーにはなりません。昔は講演の後の質疑応答も無料で公開されていたのですが、今はこれもメンバー限定になっています。どこも財政難なのかもしれません‥‥。

The earth as a planet – Carl Sagan’s 1977 Christmas Lectures 1/6
https://youtu.be/aAxvxIOwnWM?si=c5vKkyIhNgHVQBVE

プレイリストはこちらです。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLbnrZHfNEDZygWxt60aCWSgDcoazRdTY7
セーガンはSF小説『コンタクト』も書いています。この小説での宇宙旅行の方法については後にノーベル物理学賞を受賞することになる物理学者キップ・ソーンが監修しているのでも有名です。円周率πがエンディングで重要な役割を果たしています。
セーガンの本で、国立国会図書館の個人送信資料で読める本をいくつか以下にあげておきます。核の冬を提唱したのも彼ですが、その核の冬についての本も読むことができます。

カール・セーガン [ほか]著 ほか『核の冬 : 第三次世界大戦後の世界』,光文社,1985.7. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/11926387 (参照 2024-08-18)

カール・セイガン 編 ほか『異星人との知的交信』,河出書房新社,1976. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12621140 (参照 2024-08-18)
この本には、ダイソンやクリックなども寄稿しており面白そうです。

カール・セーガン 構成『コスモス/宇宙』第1巻,旺文社,1981.. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12621291 (参照 2024-08-18)

カール・セーガン 構成『コスモス/宇宙』第2巻,旺文社,1981.. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12621293 (参照 2024-08-18)

カール・セーガン 構成『コスモス/宇宙』第3巻,旺文社,1981.. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12621296 (参照 2024-08-18)

カール・セーガン 構成『コスモス/宇宙』第4巻,旺文社,1981.. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12621298 (参照 2024-08-18)

核の冬については、岩波新書のこちらも参考になります。
M.ロワン=ロビンソン 著 ほか『核の冬』,岩波書店,1985.9. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/9585598 (参照 2024-08-18)

終戦記念日とお盆が過ぎて思うことなど。

『宮沢賢治手帳 : 復原版』[本編],生活文化社,1967. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2515053 (参照 2024-08-17)

去年、宮沢賢治について書きました。

宮澤賢治没後90年になるそうです。

オリンピックが終わりましたが、ウクライナやガザの戦争は続き、ますます拡大する様子です。終戦記念日の前後にはNHKなどで特攻だの原爆だの、インパール作戦だのの番組が毎年恒例のように流されます。しかしどうしてあの戦争がおこったのか、マスコミや政府、そして民間がどのようにして悲惨な戦争を遂行してしまったのかについて、そのメカニズムに迫るような番組はみたことがありません。悲惨な戦争についてその過去の経験をいくら平和を愛する国民につたえても、「戦争を実行するような」人には全く響かないのではないでしょうか。世界中がイスラエルやロシア、ウクライナなどに平和を説いても、聴く耳をもたない政治家ばかりのようです。どうしたら彼らを平和を愛するように変えられるのでしょうか?

今はインターネットがあって、SNSが普及しているのですが、戦争の当事者双方の意見を聞くのではなく、西側なら西側だけの意見の発信を許し、もう一方側の発信は検閲してしまうという傾向があるのは残念なことです。日本の戦時中の言論統制、朝ドラでよくでてくる国防婦人会のような戦争協力、特攻隊に志願する者は「一歩前へ」という同調圧力、そうしたものが今も世界中に跋扈している様子がSNSをみているとよくわかります。この状態をしっかりフォローして記録、そして研究していけば、いかにして戦争がおこり、続き、終わらずに拡大していくのかというメカニズムがわかるのではないでしょうか。そうした現在進行形の戦争の研究が、今後の戦争を阻止する手段や現在進行中の戦争の停戦のための手段を見出すために必要だと思います。

終戦記念日が終わり、お盆の行事を済ませたあとなので、宮沢賢治の次の言葉がうかんできて、ちょっと戦争について書きました。
国立国会図書館のこちらの賢治の手帳のページから、自筆の雨ニモマケズの原稿が読めます。

https://dl.ndl.go.jp/pid/2515053/1/33

『東に病気の子供あれば 行って看病してやり
西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を背負い
南に死にそうな人あれば 行って怖がらなくても良いと言い
北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろと言い
日照りのときは涙を流し
寒さの夏はオロオロ歩き
皆にデクノボーと呼ばれ
誉められもせず苦にもされず
そういう者に
私はなりたい』(以下のサイトからの引用です)
https://www.yamanaka.ics.keio.ac.jp/wp-content/uploads/2015/08/amenimo.pdf

戦争の当事者双方に平和を説くことができる国であってほしいものです。

京都の五山の送り火のライブ中継を見ました。

今日は京都の五山の送り火の日でしたね。私たちは自宅でYouTubeのライブ中継をみていました。私たちは京都出身なので子供のころから五山の送り火は毎年みていました。小学校の時は大文字山のふもとの小学校(沢田研二が通っていた小学校です!)に通っていたので、友達の町内の人たちが朝早くから大文字山に登って準備をしていたのを覚えています。願い事が書かれた護摩木を山の上まで運んでいく作業もあるとのことでした。大文字焼きの夜は年によっては大文字からの煙が町一面に広がっていたこともありました。ライブ中継をみていると、昔 父や母と大文字焼きをみたことを思い出します。同窓生で亡くなった方もだいぶいるのでいろいろ思い出しながらみておりました。https://www.youtube.com/live/QdwUKsIKka0?si=l8rgl41EtEkJZfqL

写真は今朝撮影した自宅の朝顔とイチジクです。ここ二日ほど夕立が続いたのでやっとアサガオの花も見ごろになってきました。

量子化学の密度汎関数法についての記事や動画、MateriApps(物質科学シミュレーションのポータルサイト)の紹介です。

先日、第68回物性若手夏の学校のテキストが公開されのを紹介しました。私のおすすめの記事の一つが次の記事です。

2次元と3次元をつなぐ 計算物質科学入門

小野 頌太
p. 1-24
発行日: 2024年
公開日: 2024/08/05
DOI https://doi.org/10.57393/natsugaku.2.0_1
です。

最初の部分で密度汎関数法(Density Functional Theory)の簡潔明解な解説があります。一部を以下に引用します。

1964 年と 1965 年に、ホーエンベルグ、コーン、シャムらによって量子系の基底状態を取り扱うための密度汎関数理論(Density Functional Thoery, DFT )が考案された [2, 3] 。量子力学の問題を、3N 個の変数を持つ波動関数 Ψ(r 1 , · · · , r N ) に関するシュレーディンガー方程式に帰着させるのではなく、3 個の変数を持つ電子密度 ρ(r) に関するコーン・シャム方程式に帰着させる理論である。現実物質に対して数値的にコーン・シャム方程式を解くための手法が研究され、原子・分子・結晶・薄膜・表面など様々な系の物性予測に適用さ
れ、現代のマテリアルデザイン研究における基礎を成している *1
今日では様々な特徴を持つ第一原理計算プログラムが開発されており、その多くが有償または無償で利用できる。例えば、物質科学シミュレーションのポータルサイト MateriApps を利用することで、興味ある物性を計算できるアプリを検索することができる( https://ma.issp.u-tokyo.ac.jp/ 。また DFT については、教科 [4, 5, 6, 7] などに詳細な説明がある。レビュー論文 [8, 9] は最近の応用展開を把握するのに役立つ。

この引用部分だけでも密度汎関数法についての概要がわかりますね。さらに後半で紹介されているMateriApps(物質科学シミュレーションのポータルサイト)はとてもよいサイトで、いろんなソフトウエアの情報満載ですので是非一度訪れてみてください。

裳華房から公開されている以下の動画も密度汎関数法について知るにはよさそうです。次の再生リストに
【量子化学】DFT (密度汎関数理論) の基礎① ② ③の動画へのリンクがあります。
https://youtube.com/playlist?list=PL8Lf1iTG2LKWYi1D7j6oLKF0Fkp0JZ8x8&si=xQHYk08AXVuSAABV
このブログでは、②の動画を埋め込んでおきます。