以前、講習会で九大の溝口 佳寛先生による、コンピュータによる定理証明支援系 Coqのお話を聞いたことを書きました。最近、 Coq とは別の証明支援系(theorem prover)である、Leanというのが特に話題になっています。Coqはより以前から開発されているシステムですが、Leanは後発でそれなりに強力なシステムのようです。たとえば雑誌『数学セミナー』の2024年8月号(特集 「生成AIとこれからの数学」)によると、フィールズ賞受賞者のショルツェが構築したCondensed Mathematicsのある定理の証明の正しさの検証にLeanが用いられ、他の数学者に先駆けて検証に成功したとのことです。またLeanを用いてフェルマーの定理の証明を行う試みがあるというのもこの号の記事で知りました。きっと京大の望月新一先生によるABC予想の証明の検証も こうしたコンピュータによる証明支援系を使って行えるのではなかろうか、などと妄想しているところです。
コンピュータが定理を証明するというこのようなシステム=theorem proverでは対話的に人間とコンピュータが入力・出力をかわしながら証明を構築していくらしいです。こういうのはChatGPTなどが得意とする作業なので、ChatGPTとLeanを組み合わせて定理を証明していくというシステムも研究されているとのことでした。Leanについてもうすこし知りたくなりますね。
このLeanについての講習会が日本で去年あったそうで、その資料が公表されています。Leanのインストールの仕方の動画などもあるので、インストールして遊んでみるのもよいかもと思います。
【数学系のためのLean勉強会 Lean for math workshop】
https://haruhisa-enomoto.github.io/lean-math-workshop/
教材はこちらにあります。
https://github.com/yuma-mizuno/lean-math-workshop
インストール動画を埋め込んでおきます。
【定理証明支援系Leanの始め方講座(Windows編)【VOICEROID解説】】
https://youtu.be/LDfmNmzY5_8?si=_z0sOy2zFPIIHx5g