あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

あけましておめでとございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
これを書いている途中で大きな地震と津波の報道がとびこんできました。被災したり今現在避難している皆様にお見舞い申し上げます。
余震が続きますがお体に気をつけてお過ごしください。私たちも玄海沖地震や熊本地震など余震が長く続く経験があります。余震で全然寝られないという学生さんもいましたし、揺れてないのに揺れている気がするという学生さんもいました。ゆれるたびに夜中に子供を抱きかかえてドアを確保していた人もたくさんいました。元旦そうそうの地震だったので、帰省して皆さんで久しぶりにゆっくりしていた方も多いと思います。被害がすくないことと、これから最小の被害で今回の地震と津波をのりきれることをお祈りしております。

昨日の大晦日の話を書こうとしていたのですが、やめて一つYouTubeの動画を紹介しておきます。
よびのりさんの昨日アップロードされた動画です。108冊というのは除夜の鐘の数からきているのでしょうか‥‥‥??
おすすめの教科書を108冊紹介します【理系大学生必見】予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」
https://youtu.be/PnjhP_lAOK4?si=NxkmYchCiahV1QPX

物理出身のよびのりさんが生物学の教科書としてはどんなのを紹介されているのかなと思ってみて生物学の教科書の部分をまず見ました。
なるほど、物理の人が読める教科書の紹介でした。その動画の部分でよびのりさんが生物物理専攻だったのを知りました。
https://www.youtube.com/watch?v=PnjhP_lAOK4&t=3231s

望月さんが編集した本とか熟読されたそうで、なるほどと感心しました。ただ一つだけ物理の人に気を付けてほしいことがあります。私のように生物学出身のものからみると物理の人は一般に、生物学の学説や技術・手法を無批判にうのみにしやすい弱点があると思います。
Xでのツイートなどを見ていると、ものすごく偉い物理学の先生でも、生物学となると生物学についての解説をうのみにしてしまうする傾向があると思います。私から見ると、自分が理解できて納得できたら、その生物学についての学説や技術の説明は正しいと思い込んでしまうという恐ろしい弱点です。物理の人は、ちゃんとしたデータが与えられて論理的に理解できるように組み立てられた生物学のプレゼンをされると、生物学的に???と思われてつっこみどころがいろいろある学説でも、自分が知らなかったことが、こんなによく理解できたのに感動して、うのみにするという弱点をお持ちです。第一原理から論理的にくみたてられる物理学の理論を議論するのと違い、生命現象はゆらぎや、ネットワークが組み合わされていることに留意してほしいのです。「生きもののしたたかさ」 というのは私の先生だった岡田節人先生の京大退官時の最終講義(先生は京大を退官して岡崎の基礎生物学研究所の所長、機構長、日本発生生物学会会長、国際発生生物学会会長を務められました)のタイトルですが(註参照)、生命のもつ重要な側面を言い表しているよいタイトルです。あるインプットを生命システムに与えると、いままで眠っていたシステムが呼び起されることもあるでしょう。またインプットに応じて生物が示す応答が、環境やエピジェネティックなシステムによって個体ごとにそして個体の状態ごとに異なることもよくあることです。こうした生命の応答の搖動や可塑性、ゆらぎ、したたかさというような応答を頭に入れたうえで、生物物理の研究をしていかなくてはならないと、私は思っています。具体的な話はまた日を改めて書こうと思います。今年も皆様にとって素晴らしい年となりますように!!

註;1985年3月23日実施された岡田先生の退官記念講義で、内容は岩波書店の雑誌 科学 (55巻、第8号、9号)所収