「インシリコ創薬の基礎と応用」という講義をききました。

夕方は恒例の計算生命科学の基礎10の講義を聴講しました。Zoomで講義を聞いている最中、外は雷。霰が激しく降っていました。
今日の講義は「インシリコ創薬の基礎と応用」という題で、講師は広川 貴次先生(筑波大学 医学医療系 教授)でした。広川先生の講義はこの分野を学んでみようという意欲をかきたてる名講義でした。毎年講義されているとのことで、昨年の講義はこちらで公開されています。
https://www.r-ccs.riken.jp/about/careers/e-learning/intro-com-life-sci-2022/life-science9-7/
昨年の講義との主な違いについて以下にメモしておきます。YouTubeで公開されている去年の講義と同じスライドが多かったので、興味のある方は動画をご覧ください。

ざっと昨年の講義を拝見しましたが、今年は昨年の講義に加えて基礎的な部分では化合物生成AIの話とその理解に必要な線形表記の解説が加わっていてSMILES、WLN、ROSDAL、SLN(SYBYL)、InChIなどが代表的な線形表記法だというのがわかりました。化合物生成AIは化合物を線形表記法でAIが扱えるように1次元表記することでコンピュータによる分子設計が可能になるわけです。講義ではSMILESを代表的な線形表記法としてとりあげてそのわかりやすい解説がありました。
またAlphaFold2がStructure-Based Drug Design (SBDD)にどのくらい使えるのかというお話もあって参考になりました。
以下の論文があるとのことでしたが、その引用文献を検索するとさらに最新の情報も得られるとのことでした。
Scardino V, Di Filippo JI, Cavasotto CN. How good are AlphaFold models for docking-based vi
screening? iScience. 2022 Dec 30;26(1):105920.
こちらから読めます。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9852548/
またドッキング法については(参考)グローバルドッキングの最新事情:拡散モデル理論に基づくドッキング法
というタイトルのスライドで、以下の文献の簡単な紹介がありました。
DiffDock: Diffusion Steps, Twists, and Turns for Molecular Docking
Gabriele Corso, Hannes Stärk, Bowen Jing, Regina Barzilay & Tommi Jaakkola
CSAIL, Massachusetts Institute of Technology
arXiv:2210.01776v1 [q-bio.BM] 4 Oct 2022
これもこちらから読めます。https://arxiv.org/abs/2210.01776

脱線ですが、SMILESで思い出しました。中学校の英語の時間に、先生が英語で一番長い単語はなにか知っていますか?と皆にきいたあと、教えてくれた正解がsmilesでした。s とs の間が一マイルもある単語です。