ビタミンCは癌治療に役立つのか?NIHでの最新の講演では答えは「Yes」だそうです!

ビタミンCが癌治療に役立つことがわかってきたというNIHの動画がでています。

ビタミンCが癌治療に役立つというのは、Pauling(あのノーベル賞を二度受賞したポーリングです)とCameronの論文や本で提唱された説ですが、メイヨークリニック(Mayo Clinic)の試験で無効とされて以来、眉唾とする風潮が一般でした。NIH VideoCastで昨日公開されたDr. Mark Levineによる講演では、ビタミンCの静脈内投与で血中のビタミンC濃度はmMレベルのなることがわかり、膵臓がんなどで無増悪生存期間 ( むぞうあくせいぞんきかん progression-free survival PFS =癌が進行しない状態で生存する期間)や全生存期間が2倍に伸びることが明らかにされています。メイヨークリニックの無効という結果と、ポーリング・キャメロンの有効という結果の違いは、前者がビタミンCを経口投与しているだけなのに対して、後者は経口投与と静脈内投与を併用していることによると考えています。また、ビタミンCの作用機作は、血管内から血管外組織液に移行するビタミンCが過酸化水素を発生させて、このる過酸化水素が癌細胞を主に攻撃することによるという仮説を支持する結果がでているそうです。正常細胞は過酸化水素をすぐに無毒化できるが癌細胞は無毒化能力が低いので選択的に殺されるというメカニズムで効くと考えています。経口摂取では血中濃度はマイクロモラー(μM)程度の濃度にしかならず、200mg以上のビタミンCを食べても濃度は頭打ちになるだけだそうです。演者のおすすめのビタミンCの摂取量は日に200mgでフルーツや野菜から摂取するのがおすすめということです。日本のビタミンCの一日の摂取量は100mgが推奨されているというスライドもでていました)。

ポーリングとキャメロンの本には、静脈内投与と経口投与を併用したという実例が述べられていて国立国会図書館デジタルコレクションで読めるので是非ご覧ください。
L.ポーリング, E.キャメロン 共著 ほか『がんとビタミンC』,共立出版,1981.2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12645133 (参照 2026-01-30)

演者によると、ビタミンCの臨床試験は製薬会社がお金をだそうとしない(安価なビタミンCが癌治療に役立つことを明らかにしても儲からないので臨床試験の費用にみあわない)のが壁になっているそうです。演者のこれまでの研究も、大富豪の寄付によるところが大きかったという話もでていました。詳しくは末尾の要約をご覧ください。例によってこの動画はダウンロード可能ですし、スクリプトもダウンロードできます。私はスクリプトをGemini3proにアップロードして要約してもらいました。(たぶん動画のurlを与えるだけでスクリプトを与えなくても要約できると思いますが、今日はスクリプトアップロードを試してみました!)

Clinical Center: Adventure At C: Ascorbic Acid (Vitamin C) In Health and Disease
Dr. Mark Levine, Section Chief
Molecular and Clinical Nutrition Section Digestive Disease Branch
National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases
https://videocast.nih.gov/embed.asp?live=57204


動画の要約をGeminiにしてもらったものを貼り付けておきます。


ご提示いただいたファイル(NIH Clinical Center Grand Roundsの講義録、演者:Dr. Mark Levine)に基づき、アスコルビン酸(ビタミンC)の薬物動態、作用機序、および癌治療への応用に関する研究内容を研究者向けに要約します。
講義要約:Adventurous Vitamin C in Disease

1. ビタミンCの生理学と薬物動態(Pharmacokinetics)の再評価

厳密な濃度制御(Tight Control): 健康なヒトにおいて、ビタミンC濃度は吸収(バイオアベイラビリティ)、組織移行、腎排泄の閾値によって厳密に制御されている 。

経口摂取の限界: 経口摂取では、用量を増やしても吸収率が低下し、輸送体が飽和するため、血漿中濃度はマイクロモル(μM)レベル(約70-80 μM)で頭打ちとなる 。推奨摂取量は約200mg/日(野菜・果物5皿分相当)で飽和レベルに達する 。

静脈内投与(IV)の特性: 静脈内投与は腸管吸収の制御を回避できるため、経口投与の約100倍にあたるミリモル(mM)レベルの薬理学的濃度(Pharmacologic concentrations)を達成できる 。

過去の論争の解明: Pauling/Cameronの研究(有効)とMayo Clinicの研究(無効)の矛盾は、前者がIVと経口を併用したのに対し、後者が経口のみであったことに起因すると説明できる 。

2. 癌治療における作用機序:プロドラッグとしての機能

過酸化水素(H2​O2​)の生成: 薬理学的濃度の血中アスコルビン酸は、細胞外液(ECF)へ拡散し、そこでアスコルビルラジカル酸化を経て過酸化水素を生成する「プロドラッグ」として機能する 。

選択的毒性: 血中では赤血球中のカタラーゼ等によりH2​O2​は消去されるが、細胞外液では蓄積する 。正常細胞はH2​O2​を解毒できるが、多くの癌細胞はこれに脆弱であり、ダメージを受けることがin vitroおよびin vivo(ラットモデル)で示された 。

3. 臨床試験の結果(Clinical Trials)

膵臓癌(Pancreatic Cancer):

Phase 1: IVアスコルビン酸+ゲムシタビンの併用により、9例中8例で腫瘍縮小効果が認められた 。

Randomized Phase 2 (Iowa大): 標準治療+IVアスコルビン酸群は、標準治療単独群と比較して、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が約2倍に延長した 。

その他の癌: 卵巣癌での化学療法との相乗効果や、膠芽腫(Glioblastoma)における約5ヶ月の生存期間延長などが報告されている 。

否定的な結果の解釈: 去勢抵抗性前立腺癌などの試験で効果が見られなかった事例については、被験者が多重治療後であったことや、投与頻度の不足が要因として考察された 。

4. 糖尿病と測定技術の進歩

糖尿病における枯渇: 糖尿病患者は血漿中ビタミンC濃度が低く、補充を行っても健常者のレベルまで回復しない 。これは腎排泄(Leak)だけでは説明がつかず、上皮細胞の機能不全等が関与している可能性がある 。

新規測定法: 還元型(Ascorbic acid)と酸化型(Dehydroascorbic acid)を分別定量できる高感度LC/MSアッセイを確立した 。健常者において酸化型は10%未満と非常に低いことが明らかになった 。

将来の展望(Future Directions)

演者のDr. Levineは、講演の締めくくりとして以下の展望を述べています。

Phase 3試験の実施: 特に膵臓癌において、薬理学的アスコルビン酸投与の有効性を検証する第3相臨床試験へと進むべき段階にあると強調している 。

資金調達と連携: 臨床試験(特に安価な薬剤を用いた試験)の資金調達は困難であるが、NCI(米国国立癌研究所)とNIDDK(米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所)の連携や、民間資金の活用など、新たな枠組みを模索する必要がある 。

利用(Utilization)の研究: 確立した測定技術を用い、健常者を対象とした枯渇・再補充試験を行うことで、酸化型アスコルビン酸(Dehydroascorbic acid)の体内動態や利用機序を解明したいとしている 。

他栄養素への応用: 安定同位体を用いた厳密な代謝研究の手法は、ビタミンCに限らず全てのビタミン研究に応用可能であり、栄養科学の新たなスタンダードになり得ると述べている 。