メンデルの古典的論文にでてくる7つの形質を支配する遺伝子すべての同定が完了したそうです!

メンデルの7つの形質を支配する遺伝子すべてが同定されました!

Mendelが遺伝学を拓いたとされる有名な論文を読んだことがありますか?このブログでも何度も紹介していますが、日本語や英語版で読むことができます。

「植物の雑種に関する実験」(1866年) 日本語訳は国立国会図書館デジタルコレクションで読めます。
https://dl.ndl.go.jp/pid/12406051/1/262
英語への翻訳はこちらで読めます。
https://academic.oup.com/genetics/article/204/2/407/6072056
この論文は理論生物学の論文ともいえる素晴らしいものですが、メンデルがこの論文であつかっていた7つの形質の遺伝子がいったいどんなものなのかが、ついに全部わかったという論文がでました。7つのうち4つの形質を支配する遺伝子が同定済みだったのですが、残りの3つの同定は難航していました。今回Nature のArticle年て発表された論文では、エンドウマメのゲノム配列の完全解読をおこなっていた中国の深センにある研究所の著者たちの長年の研究をもとに、英国のNorwichノリッジにあるJohn Innes Centreの研究者(こちらには世界中から集められたエンドウマメの品種のコレクションがあり、このコレクションで同定したSNPsとGWASを駆使した共同研究を行ったそうです)と共同で残り3つの遺伝子がすべて同定されたそうです。またそれ以外のエンドウマメの様々な形質を支配している遺伝子の研究の基礎を築いたという意味でも画期的な研究になっています。7つの表現型というのは、豆の丸としわ・さやの色・花の色・茎の長さ・さやの形その他ですが実際にどんな遺伝子かはオープンアクセスの論文ですのでダウンロードしてご覧ください。
https://www.nature.com/articles/s41586-025-08891-6
遺伝子については
Extended Data Fig. 1: Schematic illustration of the genetic loci for each of Mendel’s seven traits plotted along the seven chromosomes (linkage groups)という図がわかりやすいのでお勧めです。遺伝子は全部異なる染色体上にのっています。

また本文にあるメンデルが解析した実際の表現型の写真ものっているのでとても参考になります。
Fig. 2 :Genetic architecture and genomic diversity of the genes underlying the seven pairs of contrasting traits that Mendel studied in detail.

遺伝学でメンデルの法則の話を習いますが、実際の表現型の写真をみたことがない人が多いのではないでしょうか。この論文はそんな人にもおすすめです。
Natureの紹介記事はペイウオールで全部は読めないので(論文自体はオープンアクセスなので読めます)、雑誌Scienceの紹介記事がおすすめです。Google検索で以下のdoiをいれていみてください。
doi: 10.1126/science.zz3djnc