個人送信資料の紹介―Turingのお母さんが書いたチューリング伝、長岡半太郎伝、物理学入門書、子供向け科学の名著など

今日は国立国会図書館の個人送信試料で無料で読める本を紹介します。

チューリングはコンピュータ科学のパイオニアで、生物の形態形成の理論も作り上げた天才です。第二次世界大戦中のドイツ軍の暗号解読にも大きく貢献したのも有名です。このブログでも何度もとりあげています。今日、国立国会図書館のサイトを見ていたとき、チューリングのお母さんが書かれたチューリング伝が読めることに気づきました。

電算機の予言者 アラン・チューリング伝 (サラ・チューリング著、渡辺茂・丹波冨士男 共訳)講談社
https://dl.ndl.go.jp/pid/12286546

お母さんの書かれた伝記ですので、愛情にあふれた筆致に感動します。Turingのお母さんからみた成長の様子、ちょっとしたエピソードなどがこころに響きます。お母さんは彼の死が自殺ではなかったと思っておられることもよくわかります。

あと、仮説実験授業で有名な板倉聖宣さんの本がいろいろ読めます。出版当時 高額でとても買えなかった本 長岡半太郎伝も無料で読めるようになっていました。長岡半太郎は原子模型の提唱で世界的に有名な科学者です。この本には、元素変換で金を作ったという彼の報告についても詳しく書かれています!
「長岡半太郎伝」(板倉聖宣, 木村東作, 八木江里 著)朝日新聞社1973
https://dl.ndl.go.jp/pid/12194633

もう少し一般読者向けの短い長岡半太郎の伝記はこちらです。上の詳細な伝記に基づいて書かれたより読みやすい伝記です。まずこれを読んでから、上の本を読むとよいそうです。
「長岡半太郎 (朝日評伝選 ; 10)」(板倉聖宣 著)朝日新聞社 1976
https://dl.ndl.go.jp/pid/12194643

板倉聖宣さんの他の本もいろいろ読めます。次の本は以前の記事で紹介した本で、ルクレティウスの本の子供向けの抄訳が含まれてます。
少年少女科学名著全集 4 (板倉聖宣 等編)国土社 昭和40
https://dl.ndl.go.jp/pid/1655694

この少年少女科学名著全集には他にも湯川秀樹や寺田寅彦の随筆選や、ローソクの科学、ファーブル昆虫記の抄訳、微生物を追う人々、ガリレオの星界の報告の抄訳など様々な名著が集められており、小中学生から読み始められるように企画されているよいシリーズだと思います。

同じようなシリーズに、発明発見物語全集 (板倉聖宣 等編)国土社というのもあります。第9巻は生命科学を扱っているのでちょっと内容を見てみました。すると中に、なんとルイセンコ、ミチューリンの項目があるのに驚きました。ソビエトの生命科学をめちゃめちゃにした擬似科学です。日本でもこの説をもてはやしたグループもあったのは忘れてはならない事実だと思います。こういう古い本をみると、科学の発展について深く考えるきっかけになるものですね。

他に板倉聖宣さんの本では、有名な物理学者 江沢洋先生との共著
「物理学入門 : 科学教育の現代化」(板倉聖宣, 江沢洋 著)国土社 1964
https://dl.ndl.go.jp/pid/1380181

「現代物理学の基礎」(玉木英彦, 板倉聖宣 共著)東京大学出版会1960
https://dl.ndl.go.jp/pid/1378375
があります。