量子力学を勉強するとき、いわゆる啓蒙書にかいてあるようなことばかりにひっかかってその先にすすめない人も多いと思います。量子力学の基礎というのは、実はとても専門的な分野で、勉強しても実務にはたいして役立たないようなものだと聞いたことがあります。それで実際の分子の計算とかをやってみて量子力学に慣れるほうが量子力学の入門者には良いと思います。このブログでもいろいろ量子力学や量子化学の入門書や入門コースを紹介していますので、検索窓に量子化学や量子力学といれて記事を検索してみてください。たとえば Mathematicaを使って量子力学を学ぶ本を以前紹介しました。https://glycostationx.org/2022/09/04/mathematica%e3%82%92%e4%bd%bf%e3%81%a3%e3%81%9f%e9%87%8f%e5%ad%90%e5%8a%9b%e5%ad%a6%e3%81%ae%e5%ad%a6%e7%bf%92%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/
また、2022/1/3の記事ではわかりやすい量子化学の解説書も紹介しています。
2022/1/3
今日は、わかりやすい量子化学計算の解説ページを紹介しておきます。元旦に紹介した「ノーコードではじめる機械学習」の著者である久我涼子さんのホームページで、pythonによるアプリケーション開発などの記事もあってきわめて参考になります。このブログの記事から生まれた本は
ゼロからわかる!! 独習 量子化学計算: 理論からはじめない新しい量子化学計算の本
というKindle本で、これは解りやすい本です(紙の本はありません)。またこちらのページには、tsujimotterさんこと辻順平さんによる、簡単な分子軌道法の入門解説記事があります。
量子力学による実際の電子状態計算をやってみるのに良い本は、「動かして理解する第一原理電子状態計算 DFTパッケージによるチュートリアル(森北出版)」という本です。
https://www.morikita.co.jp/books/mid/017031
これは良くできた本で、無料の密度汎関数法(DFT)のパッケージであるQuantum Espressoを利用して実際に計算できるように書かれています。Linux入門者でもこのパッケージが使えるように丁寧にかかれているのでLinux入門をかねて、第一原理電子状態計算を学べるおすすめの本です。この本で是非実際に計算してみて、量子力学に入門するとよいと思います。この本のタイトルにある、密度汎関数法については以下の動画に解説があります。
密度汎関数理論に基づく第一原理計算ざっくり入門(固体材料編)
https://youtu.be/9w9FXijKVv0
またWindowsでQuantum Espressoをつかってみたいという方には、学生なら無料で使えるGUIソフト(学生以外は高い値段で手がでませんが…)を使った入門動画が公開されているので参考にしてください。
https://youtu.be/g97-iX_e4Uw
英語ですがQuantum Espressoの入門動画もあります。
https://youtu.be/K2eAHGxCsEg
もうQuantum Espresso入門をすませた人むけには、今年の11月に開催されたQuantum Espressoのアドバンストコースのチュートリアルがあります。スライドと動画などはこちらから。
https://sites.google.com/view/hubbard-koopmans/program
また今回のコースの動画がまとまっているのはこちら。
https://piped.mha.fi/playlist?list=PL19kfLn4sO_-ox_Oylwi4IEb5qUp0dXfJ
この講習会の勉強用には、Quantum Mobileというvirtual machineが用意されています。
https://sites.google.com/view/hubbard-koopmans/quantum-mobile
これを使ってWindows, Mac, Linuxそれぞれ好きなOSを使ってVirtualBoxの仮想マシーン上で講習会のチュートリアル課題をやってみることができるそうです。こちらも参照してください。
https://github.com/materialscloud-org/hubbard-koopmans-2022