Metascapeというエンリッチメント解析ツールと、その他のエンリッチメント解析ツールへのリンクを紹介します。

YouTubeのおすすめに以下の動画がでてきました。TogoTVの最新の動画です。
『Metascapeを使って遺伝子リストの生物学的解釈をする』
https://youtu.be/WqkIM_i55CM?si=iByXe7xfBrsEhTX1

いろんな実験で得られた遺伝子リストについて、リスト中にどのようなグループの遺伝子が統計的に有意に濃縮されているかを知るのがエンリッチメント解析です。たとえばこちらの資料を読むとわかりやすく解説されています。

用語解説 エンリッチメント解析 林 武司
https://www.jstage.jst.go.jp/article/livestocktechnology/2019/769-Jun./2019_48/_article/-char/ja
ダウンロードリンクも下にペーストしておきます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/livestocktechnology/2019/769-Jun./2019_48/_pdf私はこのところ、エンリッチメント解析を毎日行っていて、線虫の遺伝子リストをエンリッチメント解析ツールである、WormCatWormEnrichrWormBaseのenrichment analysis tool、そしていろんな生物種の遺伝子のエンリッチメント解析に使えるDavid、そしてEnrichrなどに入れて解析しています。どれも同じような結果をだしてきますが今のところ、WormCatとWormEnrichrがよいと思っています。今回動画で紹介されているMetascapeはGO termやKEGGだけでなくタンパク質間相互作用でもエンリッチメント解析できるようで遺伝子名のコンバージョンも自動でやってくれるほか、ビジュアルなアウトプットも得られるのでとてもよさそうです。ちょっとさっきから試していますが、なかなかよい結果が得られるという感触でした。明日、いろいろ試してみようと思います。

線形代数の解説動画を紹介します。

今日は外出していて忙しかったので、一本動画を紹介するだけの記事です。

タイムトンネルというテレビ番組を昔みていました。

タイムトンネルというテレビ番組をご存知ですか?私がたしか中学生だったころ、NHKでやっていたドラマです。
タイムトラベルもののSFドラマで、アメリカのアリゾナ砂漠の地下に建設されている軍の極秘プロジェクトの産物がタイムトンネルです。
時間を越えて人間を送り込めるものの、送り込んだ人間を戻すことができない、任意の時代に送り込むことができないなどまだ未完の機械という設定です。プロジェクトが中止されるのを知った一人の科学者トニーが、装置のタイムトラベルできる機能を実証しようと自らを実験台としてタイムトラベルしてしまい、なんと氷山と衝突する直前のタイタニック号に乗り込んでしまいます。彼を助けるべくもう一人の科学者ダグがプロジェクトから送りこまれ、二人がそろって様々な時代へタイムトラベルするという話です。タイタニック号、真珠湾攻撃前日、硫黄島、リンカーン暗殺直前、古代ギリシャ、マルコポーロとの邂逅など様々な時代へのタイムトラベルが一話完結で描かれています。ネロの亡霊だの、植物人間の宇宙人、アーサー王の魔術師なども登場するのでファンタジー的なエピソードも多く、ハードSFではなかったですが、FOXのテレビドラマなので、映画からの過去のシーンの再利用がたびたびつかわれているのが面白かったです。

埋め込んだ動画は、ハレー彗星が地球に衝突する直前にタイムトラベルした二人が、多くの労働者が閉じ込められてしまった炭鉱事故にまきこまれ、どうせ地球は滅亡するのだから救助しても仕方がないという町の人々に、彗星は衝突しないことを納得させて救助させようと奮闘するエピソードです。町の天文台長が彗星が衝突すると発表しており、天文台長の計算が誤りだと彼の前で証明しようとダグが彗星の軌道計算を黒板を使って行う場面がかっこよかったです。天文台長のくれたデータで計算すると、衝突するという結果になったのですが、ダグが目前で軌道計算をする手順、洗練された計算手法に感銘を受けた台長は、ダグをすぐれた科学者として信用することになります。なにかこの計算に考慮されていないものがハレー彗星の軌道を変えるはずだとダグが主張し、その言葉を台長が信用します。タイムトンネルを通じて送られた観測機器で調べると、たしかにハレー彗星の軌道を変えるなにかが作用していることがわかる‥‥という展開でした。何がハレー彗星の軌道を変えたのかは動画をご覧ください。面白いエピソードです。

タイムトンネルというのは今では普及している言葉ですね。最近読んだ本の題名にも使われていました。
「算額タイムトンネル」、
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212991
「算額タイムトンネル2」
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000312082
この二冊は数学オリンピック本選に出場した経験のある剣道5段の著者(向井 湘吾さん)が書いた小説です。映画のタイムトンネルのような機械ではなく、神社の宝物殿にある算額が幕末の江戸とタイムトンネルとしてつながっていて、算額にメッセージを書くと相互に通信できるという設定です。算額を奉納した和算家と現代の数学の得意な女子校生が対決したりしますが、もう一つの小説の軸は幕末の上野戦争の描写です。算額タイムトンネル2では上野戦争をのりきった和算家が時間の研究のためフランスに留学し、そこでフランスの革命戦争を目撃するという話が展開されます。実際、明治初期に留学した日本の留学生が、フランスの革命戦争を目撃して記録した本も参考文献にあがっていて、戦争の悲惨さが心にしみる小説になっています。もちろんタイムトラベルや数学オリンピック、そして歴史の改変など面白いトピックスもちりばめられていて楽しめる小説でした。この本は、神戸大学の中澤港先生が以前ブログで紹介されていて、読んでみたいと思っていた本です。例によってAmazon Kindle unlimitedで読んだのですが、9月になると読めなくなってしまいました。それでうろ覚えで書いているので間違っているところがあるかもしれません。

Arxiv.orgのプレプリントサーバーで物理教育や機械学習の教科書・参考資料を探してみましょう!

Arxiv.orgはプレプリントサーバーの一つです。このサイトでtextbookと検索窓に入れて探してみると、いろいろ役立ちそうな教科書を見つけることができます。

たとえばこんな本がアップロードされています。これはプリンストン大学での講義に基づく機械学習の数学的基礎の入門書のようです。

[Submitted on 4 Sep 2024]
Introduction to Machine Learning
Laurent Younes
https://arxiv.org/abs/2409.02668

ほかにも物理における群論をMathematicaで学ぶという、群論の入門記事もあります。
Group Theory in Physics: An Introduction with Mathematica
https://arxiv.org/abs/2408.01441
この記事にのっている著者のGitHubにはMathematicaのnotebookがあるので役立ちます。
https://github.com/iisc-ug-20/Group_Theory_for_Mathematica

物理教育についての記事もあります。たとえばこんな記事です。
Quantum mechanics curriculum in the US: Quantifying the instructional time, content taught, and paradigms used
https://arxiv.org/abs/2407.15977
これは全米188の研究中心の大学で用いられている学部レベルの量子力学の教科書について分析したものです。
だいたいシュレーディンガー方程式から始まるposition-firstのコースが多い(73.7%)のですが、もっと現代的なthe Stern-Gerlachの実験の紹介から始まる「スピンから始まる」(spin-first)アプローチを採用している量子力学の教科書の採用も増えている(26.3%) そうです。
日本の教科書でも堀田昌寛先生の『入門現代の量子力学(講談社)』は、シュテルン=ゲルラッハの実験からはじまるのでSpin-firstのアプローチだと思われます。
position-firstのパラダイムで書かれている教科書としては、D. J. Griffiths, Introduction to Quantum Mechanics, 2nd ed. (Cambridge University Press, 2005)を使っているところが一番多いとのことです。
R. McIntyre, Quantum Mechanics: A Paradigms Approach (Wiley, Hoboken, NJ, 2017)や
J. S. Townsend, A Modern Approach to Quantum Mechanics (University Science Books, n.d.)などは、spin-firstアプローチで量子力学を教える先生に採用されている教科書です。

去年このブログで、世界各国で理系から文系まですべてのシラバスに載っている本を検索するサイトOpen Syllabusを紹介しました。このサイトでは、シラバスにのっておれば参考書でもリストされるので、授業で実際に使われている教科書を一発で探すことはできません。今回のような調査記事は役立ちますね。

Open Syllabusというサイトがあるのを初めて知りました。

中野京子さんの『名画の中で働く人々』という本はおすすめです。

奥さんが読んでいる中野京子さんの『名画の中で働く人々』という本を覗かせてもらいました。これは名画の中で働いている様々な職業の人を題材に、名画を解説するという珍しい切り口の本です。大工といえばイエスキリストの父 ヨセフ、女優が描かれている名画ではシャーロックホームズの話に出てくるホームズを出し抜いた女、アイリーンのモデル、警官、思想家、そして女性科学者ヒュパティアなどなど、どれもものすごく調べて書かれている文章を読むことで、絵画みる新しい観点を得られる本です。これは買って損はないよい本だと思いました。

昔、岩波新書の高階秀爾著 『名画を見る眼』、『続名画を見る眼』を読んで美術鑑賞の入門をしたのですが(最近NHKの日曜美術館でも取り上げられていた本です)、今の人は中野さんの本書を含めた一連の本で、『名画を見る眼』を越えるレベルの、よい美術入門ができるのは幸せですね。中野さんのブログはこちらです。
https://blog.goo.ne.jp/hanatumi2006
中野先生の登場しているYouTubeの動画を一つ埋め込んでおきます(他にもいろいろありますので検索してみてください)。
https://youtu.be/35LEKJ2M_I8?si=lcr7oKLY3O6sGwSy

ゴッホの跳ね橋なども見られます。

GlycoRNAの最新情報: なんとO-glycosylationも見つかったそうです。

先日は、GlycoRNAの糖鎖構造が決定されてRNAの修飾された塩基3-(3-amino-3-carboxypropyl) uridine (acp 3 U)にN型糖鎖が結合していることをあきらかにした論文がでたことを紹介しました。

GlycoRNAのN型糖鎖は3-(3-amino-3-carboxypropyl)uridine (acp 3 U)を介してRNAと共有結合しているという論文がでました!

ツイートをみていると、なんとO結合型糖鎖も見つかったようです。


まだプレプリントですが、こちらから読めます。

O-glycosylation contributes to mammalian glycoRNA biogenesis
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.08.28.610074v1

立教大学の川畑泰子先生のサイトを紹介します。

今日は立教大学の川畑泰子先生のホームページを紹介します。
https://sites.google.com/rikkyo.ac.jp/kawahatab24/introduction
この先生のサイトには様々な社会物理学、計算社会科学などの資料が公開されています。
初心者にはこちらのページなどが役立つと思います。
https://sites.google.com/rikkyo.ac.jp/kawahatab24/%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E6%A6%82%E8%AB%96%E3%82%B5%E3%83%96%E3%82%BC%E3%83%9F%E5%AE%9F%E8%B7%B5%E7%89%88

ページの冒頭部分をそのまま引用させてもらいます。リンクをクリックするとpdfが開きますので読んでみてください。
初心者に役立つ内容だと思います。

計算物理春の学校2024の動画が公開され始めました!

楽しみにしていた『計算物理 春の学校2024』の動画が公開され始めました。
YouTubeのチャンネルから視聴できます。https://www.youtube.com/@comp_phys_spring_school2023/videos
次の、計算物理春の学校2024のホームページもご覧ください。
https://compphysspringschool2024.github.io/homepage2024/index.html
今回は結構高度な内容もありますが、とりあえず次の動画から勉強してみようと思っています。密度汎関数法を機械学習で実装するというような話のようで、大変入門的講義になっていると思います。大学院レベルの入門講義になっていると思いますが、学部生も予習になるので是非視聴することをお薦めします。

計算物理 春の学校 2024 機械学習による原子・電子シミュレーションの精度向上
https://youtu.be/qKRiYcJiOv8?si=tJ8YjBtrJCkoe3MP

こちらも量子化学の動画でよさそうです。
量子計算化学入門
https://youtu.be/nLfBE-UxVdc?si=rP5anbGwLnBVpZ–

他にも『数値相対論入門』とか、『Juliaを使ったソフトウェア開発入門』 、『モンテカルロ法入門から効率的MCMCへ』、
GPUコンピューティング入門&ハンズオン
https://youtu.be/sVnuYtJEyEk?si=Rn5wxng7Zdf5H5H5

テンソルネットワーク入門
https://youtu.be/Lsp6AsXAClw?si=YXcSMLhcXaM5OJF4
など面白そうな講義が満載です。皆さんの興味のあるテーマから学んでみるのはいかがでしょうか。

近代日本の創生に大きく貢献した英国の科学者Alexander William Williamsonについての本が無料で読めます。

明治維新の前1863年に、長州藩が密かに英国に留学させた長州ファイブなる5人の長州藩士がいました。長州五傑(ちょうしゅうごけつ)と呼ばれる5名は、井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝)です。主に英国のUniversity College London (UCL) で学び、彼らを下宿させて化学を教えたのがAlexander William Williamson教授でした。UCLには長州ファイブの顕彰碑が建てられているそうで、それに倣って日本でも顕彰碑がたてられたそうです。日本の顕彰碑設置に活躍した犬塚 孝明先生の著書が発売されています。

アレキサンダー・ウィリアム・ウィリアムソン伝 = A Biography of Alexander William Williamson : ヴィクトリア朝英国の化学者と近代日本
幕末、命を賭して密航した長州ファイブと薩摩スチューデント。英国で彼らを受け入れ「世界」を知らしめた「知の巨人」の生涯を追う。(提供元: 出版情報登録センター(JPRO))

今回紹介する本は、この本をもとにした英語版です。留学生のその後についての記述が増補されています。
以下のページにあるダウンロードリンクからダウンロードできますので読んでみてください。

https://directory.doabooks.org/handle/20.500.12854/74765

英国の科学者とその夫人が日本の留学生を自宅に住まわせ、世話をして異文化交流に尽くしてくださったことがよくわかる本です。日本からの留学生で亡くなった方もいたそうですが、夫妻は自宅で彼を親身に世話して最後をみとり、一家の墓のある墓地に埋葬したとのことです。英国のすばらしい一面を学べるよい本だと思います。Williamson教授から化学を学んだ留学生の中には日本の化学の礎を築いた日本化学の桜井錠二(理化学研究所の設立に貢献した科学者の一人)もいて、彼のこともこの本に詳しく書かれています。

桜井博士についてはこちらの理化学研究所のサイトをご覧ください。https://www.riken.jp/pr/historia/sakurai/index.html

『こころを旅する数学 ――直観と好奇心がひらく秘密の世界』という本はよさそうです。

今日は一般向けの日本語で読める数学関係の本を紹介します。

『こころを旅する数学
――直観と好奇心がひらく秘密の世界』https://www.shobunsha.co.jp/?p=7513

これは、フランス語原書からの翻訳なので英語版の出版より早く日本語で読めました。
英語版のサイトはこちらです。
https://yalebooks.yale.edu/book/9780300270884/mathematica/

著者のツイートはこちらです。

 

数学が嫌いな人にも、好きな人にも是非読んでもらいたいと、Steven Strogatzも推薦しています。
英語版によせられた推薦の言葉が以下にのっています。
https://yalebooks.yale.edu/book/9780300270884/mathematica/#tab-4

フィールズ賞受賞者のTerence TaoやHugo Duminil-Copinも絶賛しています。推薦の辞の一部を上のサイトから引用しておきます。

“I was utterly charmed by Mathematica. Whether you love math or hate it (or just think you hate it), please read this book. It’s about what mathematics really is.”—Steven Strogatz, author of Infinite Powers

“I felt like David Bessis put in writing the way I learn, enjoy, and live mathematics. A must-read for mathematicians and non-mathematicians alike.”—Hugo Duminil-Copin, 2022 Fields Medal laureate

“In this revealing book, David Bessis leads us on an earnest and personal journey into how to think mathematically: a process of exploration, making mistakes, and gradually correcting and improving one’s understanding.”—Terence Tao, 2006 Fields Medal laureate

“The inside story on how mathematicians think, how they choose their problems, how they avoid getting discouraged, and why common beliefs about mathematics are wrong. Brilliant, readable, and perceptive.”—Ian Stewart, author of What’s the Use?

私も読み始めていますが、とても読みやすい翻訳です。一度読んでみてください。