桜が咲きました。春がきています!コロナウイルスに負けずに物理数学の本を勉強しましょう!

コロナウイルスで大騒ぎですが、皆さんのご健康をお祈りいたします。中国から私のラボにきていた卒業生の皆さんやそのご家族の皆さんのご無事を祈っています。私のほうは、論文の作成や論文レフリーを依頼されていたので査読作業も忙しくてブログの更新が遅れていました。昨日査読レポートのアップロードを終えたので久しぶりに外に散歩に出かけてみました。写真は道端に咲いていたきれいな水仙の花です。

今日は福岡は暖かく、なんと五月中旬並みの気温(23度ちょっと)もあったそうです。
桜はというと、気象台の開花予想はもう少し後のようですが、なんと近所の桜は咲いていました!蕾のかたいソメイヨシノが並んでいる中に一本だけ、きれいな花を数輪つけているものをみつけました。レンゲも田んぼに咲きはじめ、タンポポの花を奥さんがみつけました。写真は庭のサクランボの木の花です。一週間前にとった写真ですが、満開の花に蝶々が蜜を吸いに来ているのが写っています(クリックして拡大してご覧ください)。たくさんのかわいいメジロも蜜を吸いにてきていて、私が数メートル離れて立っていても無視して、一心にサクランボの花の中にくちばしを入れておりました。右の写真はあぜ道に咲いているアザミです。花いっぱいの春がやってきています。皆さんも花を植えたり、散歩にでかけたりすると気が晴れると思います。

卒業式がなくなった大学も多いのですが、自宅にこもることが多い今の時期にはいろいろな勉強ができると思います。ときどき紹介しているようにネットでいろんな勉強ができますので、しっかり時間をとって勉強するチャンスかもしれません。以前紹介した学習院大学の田崎晴明先生の物理数学の優れた教科書ですが、数日前には主成分分析なども加筆された改訂版を公開されました。絶対おすすめの本ですので勉強してみてはどうでしょうか。また英語ですがCambridge University Pressではコロナの感染拡大にともなっていろいろなサービスの無料公開を始めています。ここをご覧ください。教科書のhtml版の無料公開(5月末まで)を始めていたので紹介しようと思ったのですが、アクセス数がものすごくて今は公開を停めたようです。再開すると書いてありますのでちょくちょくみてもらうと良いと思います。

windows7のサポート終了:windowsをやめてlinuxへうつるチャンスです(1)

福岡では2月17日に、ちらちらと初雪を観測しました。今まで一番遅い初雪の記録2月6日を111年ぶりに更新したそうです。

さて今日はこのところいろいろトライしているウインドウズ7のサポート停止に対する対策を書いておきます。そろそろlinuxを中心にパソコン生活を始めようというわけです。
上の写真はLinux  Mintを起動した時のデスクトップです。windowsとよく似ていますね。linuxといえばターミナルでのコマンド操作というのがよく話題になりますが、windowsとそっくりのデスクトップでマウスで操作するだけで使えますので、まずはこうしたwindowsなみのグラフィカルインターフェイスで使うのがおすすめです。

私はwindows7で動くパソコンをもっているのですが、windows7のサポートが今年の1月14日で終了した(windows defenderの更新はつづいているようです)ので、それに対する対策を講じなくてはなりませんでした。九大図書館などに自宅からwindows7を使っているパソコンでアクセスするとき文献をダウンロードしようとすると、画面一杯に警告画面が表示され、windows10への切り替えを促され、文献のダウンロードはできなくなっています。セキュリティを考慮した措置ですが、まだまだ問題なく使えるwindows7なのにうっとうしいサポート切れ対策を余儀なくされるのにはほとほと、うんざりさせられます。以前windowsXPのサポート切れにともなって、XPからwindows7にアップグレードするときも研究室の多数のXPパソコンをいちいちアップグレードするのは大変でした。今回は大学で使っているwindows7のenterpriseエディションからwindows10へのソフトやデータを残したままでのバージョンアップは結構簡単にできるのですが、それも結構時間と手間がかかるわけです。また使っているパソコンによってはスペックが不足してwindows7のように快適には使えないことがわかりました。windows7でインストールしたソフトもあるし、それがwindows10で動くのかも不明です。パソコン自体はwindows7で問題なく動いているので、無駄な追加投資をしたくないと思い、windows7はネットワークから切り離して利用することとし、ネット接続するときはlinuxを使うことにしました。参考になったのは日経からでているムックの「Windows 7パソコンをLinuxで復活させる本」です。日経Linuxの最近の記事をまとめたものですが、丁度windows7のサポート停止でウインドウズを止めようと思っている方には最適の本だと思います。

要は、windows7のパソコンはネット接続をせずに利用し続け、ネット接続には外付けハードディスク(あるいはSSD, USBでもだいじょうぶです)にインストールしたlinuxを使うという方針です。近頃はほとんどの作業はブラウザでやるので、linuxでブラウザを使う、メールをやりとりするなどができればネットでの作業はことたり、ネット接続していないwindows7を起動すれば、今まで使っていたwindows7で動いていたソフトもそのまま利用できます。(linuxにはwineというソフトがあって、幸運ならwindows7で使っていたソフトもlinuxのwineで動くかもしれません。)

ubuntu などの、日本語入力システム付のlinuxのインストールディスクを使って、USBや外付けのSSDや外付けHDDにlinuxをインストールします。こうしておけば、linuxをインストールした外付けのSSD(HDDでもUSBでもいいです)をwindows7で動くパソコンにとりつけてUSB接続したSSD(HDDあるいはUSBメモリ)から起動すればLinuxが使えますし、USB接続を外して(つまりUSBケーブルを外して)起動すればあいかわらず今まで使っていたwindows7が使えます。(他のwindowsとの共存のやり方としてはデュアルブートといって、起動したらlinuxかwindows7かどちらを使うかを選んでから起動すると言う便利な方法もありますが、これはどちらか一方が壊れたときとかにトラブルがおこることが多いそうですのでやめました。またlinuxの中でwindows7の仮想マシーンを起動して利用するというのもありますが、パソコンのスペックがいるし、windows7の仮想ディスクをつくるのにproduct IDがいるとかいろいろめんどうくさいのでやめました。)というわけで以下は外付けSDDにlinuxをインストールする手順です。

いろいろあるlinuxの配布版(ディストリビューション、ディストロ)のどれを使うか?distributionにはいろいろあってどれを使うか迷うのですが以下のようなdistributionは有名です。

Ubuntu Desktop 日本語 Remix
Linux Mint これには3種類あってCinnamonというのがおすすめです。32bit版と64bit版があります。
・puppy linux日本語版
・Pop!_OS(プライバシーを重んじているlinuxでファイルは自動で全部暗号化され、この配布版を作成している会社にデータを送ることもないそうです。日本語の利用設定も簡単)
・Zorin OS(これはwindowsからの乗換え用をうたっているものです。商用版あり)

これらはwindowsからの乗換えの記事でよくとりあげられています。私は最初 puppy linuxをUSBメモリに入れて使ってみました。linux mintは世界で一番多く利用されているlinuxだそうで、壁紙もきれいなのでこれもおすすめです。私はネットで情報が多い、Ubuntu Desktop 日本語 Remixを採用しました。これも他のdistributionと同じではじめから日本語入力システムMozcがセットでついていて便利ですし、windowsでつかっていたIMEの辞書も簡単に移行できるのでおすすめです。(下はLinux Mintの画面で、windowsのスタートボタンにあたるところをマウスでクリックした様子です)
長くなりましたので、今日はこの程度にして次回からは具体的なインストールの手順を書いていこうと思います。
他のやり方としてはVirtualboxというソフトをウインドウズのパソコンにインストールして、仮想マシーンとしてlinuxを動かすこともできます。これは私が大学の授業でlinuxの導入実習で使っていた方法です。以前のブログの記事にはこのやり方とlinuxの入門書があげてありますのでご覧ください。

岡潔に大きな影響をあたえた数学の本―ポアンカレの「科学の価値」など

今日はこの写真(註1)を紹介します。

これは日本の有名な数学者 岡潔があちこちで語り、いろんなところで書き遺しているフランスの数学者エルミートの中年の肖像写真です。エルミートというのは物理学ではエルミート演算子というのでおなじみです。以下は岡潔の曙(講談社現代新書 絶版)という本からの引用ですが、同じ話は現在容易に入手できる「一葉舟」などにものっていますのでご覧ください。私がはじめてこの話を聞いたのは高校生のとき、NHKのラジオFMでやっていた岡潔さんと秋月康夫さんお二人の対談の中でした。テープレコーダーに録音して何度も聞いていたのを思い出します。

フランスの数学者アンリ ポアンカレは、微分方程式論やトポロジー、三体問題、ポアンカレ予想、カオス発見のさきがけ、など様々な偉大な業績を残し、さらにポアンカレ変換が相対性理論ででてくることからわかるように、アインシュタインがいなくても特殊相対性理論は彼が発見したであろうといわれる偉大な科学者です。多くの随筆を書いていて、岡潔はそのなかの「科学の価値」(註2)という本を読みその中の以下の言葉が深く印象に残ったと書いています。
「エルミットの語るや、如何なる抽象的概念もなお生けるが如くであった」
エルミートは、ポアンカレの先生です。「科学の価値」という本のなかで、ポアンカレはこんなことを書いています。
「其反対にフェリックス・クライン(Felix Klein) を考えると、彼は函数論の最も抽象的な問題の一つを研究した。即ち一の与えられたリーマン面に、与えられた特異性を有する所の函数が常に存在するかという問題である。さて此有名なドイツの幾何学者は如何にしたであろうか。彼はリーマン面に置換えるに電導率が一定の法則に従って変化するごと如き金属面を以てし、其二つの極を連結するに電池の両極を以てした。かくして彼は電流が之に通じなければならぬ事、其電流の面に分配され方が問題に要求せられた特異性をまさに持つ所の函数を定義する事を述べたのである。もちろん勿論クラインは之を以て彼がただ概観の見取を為したに過ぎないことをよく知って居た。其にもかかわらず彼は之を発表するに躊躇せず、又厳密なる証明でないにせよ、之によって彼は一種感情上確実と思わしめるものを発見したと信じたごと如く思われる。しかるにもし此が論理家であったならば、かような考は嫌悪排斥したであろう、否むしろ排斥するどころか かような考を起すことが無かったであろう。」(田辺元訳 「科学の価値」より引用)この後、ポアンカレはベルトランとエルミートを比較して論じているのですが、この文章に刺激をうけて岡潔や秋月康夫はクライン全集を丸善にいって買って帰ってきてその論文を読んだそうです。以下は岡潔の上記の本からの引用です。
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「エルミットの語るや、如何なる抽象的概念もなお生けるが如くであった」

この言葉も深く私の印象に残った。

これは後の話であるが、私が大学二年(京大数学科)のとき、秋月(康夫、群馬大学学長)は(同じ 科の)一年だった。そのとき丸善へクライン全集が来た。私達は三卷とも買って帰って、ポア ンカレがいった論文だけ読んだ。三十ページほどのごく短いものである。

暫く経つと丸善へエルミット全集が来た。前のはドィツ語だったからまだしもよかったが、 今度はフランス語だから私達は全く読めない。然し各卷の初めにエルミットの肖像がある。それで私達はまた三巻とも買って帰った。その第二巻の巻頭のものは中年のエルミットの読書姿態である。それを見ていると、なんだかポアンカレの言葉がわかって来るような気がする。

秋月はそれを切り抜いて、額に入れて机の上に立てた。それを見て化学二年の、哲学の西田先生の息子の外彦君まで、一人で丸善へ行ってエルミット全集三巻を買って帰って、その肖像 を切り抜いて、机の上に立てた。

頭頂葉に理想を掲げるとは、こうすることである。
======================================最初に載せた写真は、秋月さんが買って帰って切り抜いて額にいれて机の上にたてた、そのエルミート全集第2巻の写真です。岡潔の著作のあちこちで紹介されているエピソードですが、写真をご覧になった方は少ないかと思い、ブログにのせておくことにしました。

下はエルミート全集第1巻の肖像です。「若いころの目はまさしく詩人の目をしている」(一葉舟)と岡潔が書いている写真です。写真はどちらも九州大学図書館からダウンロードしました(注1参照)

註1:この最初の写真は九州大学図書館の貴重図書のページでHermiteといれて検索すると、Hermite全集(Oeuvres de Charles Hermite)がでてくる(フランス語です)、その第二巻がpdfで掲載されているのですが、その最初のpdfにのっています。あるいは画像そのものを見ることもできて、その画像をダウンロードしてもいいです。ブログに載せたのは私が解像度を落としたものですが、オリジナルの高画質版もダウンロードできますので必要な方はダウンロードしてみてください。下の写真の左下のダウンロードボタンを押すと、高解像度、低解像度を選んでダウンロードできます。
註2:ポアンカレの「科学の価値」は、田辺元訳が科学図書館にありますのでダウンロードしてお読みください。

生命科学志向の有機化学の教科書が無料で読めます!量子化学の教科書とかもあります

台風や洪水で被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げます。

さて今回は、生化学や糖鎖生物学、あるいは生命科学を学ぶ人に適当な有機化学の教科書として以下の本をみつけたので紹介しておきます。また無料で科学や歴史、英語などを学べるサイトも紹介します。
Organic Chemistry with a Biological Emphasis Volume I
Organic Chemistry with a Biological Emphasis Volume II
この二冊は、わかりやすい英語で書かれた教科書で、ミネソタ大学モリス校のサイトにおいてあって、無料で利用できるオープンソースのライセンスの教科書です。下の画像をクリックすると、化学以外を含めた様々な分野のオープンライセンスの教科書がみつかります。(画像をクリック後に開いたページの左側にあるBiological/Physical Sciencesをクリックすると生物、物質科学関係の本のリストがみられます。)

Find Open Textbooks

著者のTim Soderbergさんはもとは英語専攻で、日本で英語教師を5年ほどやっておられたそうです。その後、大学に入りなおして科学を専攻し、大学院入学資格を得た後、ユタ大学の大学院に入ってJournal of Organic ChemistryのEditor-in-Chiefを長年つとめたDale Poulter先生の指導のもとで、アーキア(古細菌)の酵素であるprenyltransferaseの研究(それぞれtRNAと膜脂質の修飾に働く2種の酵素の研究)で生化学で博士号を取得。2000年から2016年までミネソタ大学の准教授として有機化学を教えておられた方です。生化学の研究をしていた、有機化学に詳しい先生の書いた本なので生体分子をとりあげて有機化学を学ぶという方針で書かれています。これは生命科学を学ぶ人のための有機化学の教科書としておすすめできると思います。章内問題の解答や章末問題の一部の解答もダウンロードできますので勉強しやすそうです。

あと、Open Educational Resources (OER)というのをご存知ですか。無料の教科書やビデオを駆使して教育していこうという趣旨の運動のようで、無料で数学、物理、化学、生物学その他を学べるという運動です。有機化学については、以下のOERのサイトもご覧ください。
https://oerdegrees.org/courses/chemistry/
https://oerdegrees.org/courses/organic-chemistry/

いろんな無料で利用できる教材へのリンクが集まっているポータルサイトです。その中にはKahn Academyというのがあって、ビデオで有機化学を学べます(トップページ左上のCoursesをクリックすると、数学、物理、化学、生物学、歴史、ミクロ経済学、マクロ経済学、英語の文法、プログラミング(JavaScriptとか)なども学べます。たとえば前に紹介したenantiomer(鏡像異性体、エナンチオマー)について紹介しているビデオとかもあります。字幕がでるビデオですので英語の勉強にもなりますよ。

またサイエンスについては以下を参照してください。
http://oerdegrees.org/programs/science/

こんなのもあります。Libretextsというサイトで、無料で生化学、有機化学、量子化学や量子力学、統計力学、物理化学、政治学などほとんどなんでも学べます。化学へのリンクをあげておきます。
https://chem.libretexts.org/
またこちらにはSolderbergさんの教科書が1冊本のカラー版でおいてあります。章の順序立てがかわっていますが、一冊まるごとダウンロードできますのでご覧ください。

糖鎖生物学入門―7 ABO式血液型の話 その2 糖転移酵素をゲノムブラウザで調べてみよう!

(糖鎖生物学入門連載記事をまとめて読みたい方は固定ページにありますのでここをクリックしてください

さて血液型と性格に関係があるかという話です。この問題に関しては、どのような論文がでているのか、文献データベースであるPubMedで検索キーワード ABO blood type personality で検索してみました。すると今日現在で42個の論文がヒットし、関係のない論文も入っていますが、たしかにABO式血液型と性格の関係を論じた論文が公表されているのがわかります。こうした論文を自分で読んで考えられるようにすることを目標にABO式血液型の話を続けます。

今回はABO血液型を決定する遺伝子について調べてみましょう。どんな遺伝子が働いてA型やB型の血液型物質が合成されるのでしょうか。そしてその遺伝子はゲノムのどこにあって、周辺にはどんな遺伝子が並んでいるのでしょうか。まわりにある遺伝子には、もしかしたら血液型と性格の関連を示唆するものがあるかもしれませんね。早速調べてみましょう。

<糖鎖は糖転移酵素が合成する>

糖鎖は通常、単糖をグリコシド結合で連結する酵素(糖転移酵素:英語ではグリコシルトランスフェラーゼ glycosyltransferaseです)を使って合成されます。転移酵素という名前がついていますが、糖転移酵素は糖鎖合成酵素です。糖転移酵素には様々な種類があり、ヒトでは現在240種類ほどの酵素が知られています(CAZYデータベース参照。ケイジ―データベースと読みます。CAZYデータベースに関する動画はこちらをみてください。詳しくは註1参照)。

ABO式血液型物質も糖鎖ですから、糖転移酵素によって合成されます。まずO型物質を合成する糖転移酵素を使って、土台のO型物質が合成されます。そのO型物質にGalNAcをα1-3結合させる酵素をGTA、O型物質にGalをα1-3結合させる酵素をGTBと呼びます。この名称に含まれているGTは糖転移酵素glycosyltransferaseの略、AやBは血液型物質を示します。酵素タンパク質であるGTAとGTBはABO糖転移酵素遺伝子(遺伝子名はABO)がコードしています。

<ゲノムブラウザでABO遺伝子を探してみよう>
このABOという名前の遺伝子がヒトゲノム中のどこにあるのかを、ゲノムブラウザで探してみましょう。ゲノムブラウザというのは、いろいろな生物のゲノムの様子を表示してくれるソフトです。オンラインで使えるものが多く、いろいろ種類がありますが、今回は有名なゲノムブラウザであるUCSC genome browser (UCSCというのはUCがカリフォルニア大学 SCがサンタクルーズ分校の意味です)
https://genome.ucsc.edu/index.html
を使ってABO遺伝子を探しだし、この糖転移酵素遺伝子との周辺を眺めみましょう。
上のリンクをクリックして開くトップ画面の
上段部分にあるGenome Browserの部分をクリックすると以下のページが開きます。プルダウンから選ぶとアジアのサイトを使えetcというページがでて面倒なので最初は単に一回クリックしてください。すると以下のヒトゲノムブラウザのページが開きます。
右上にあるgoボタンの左にある検索窓に遺伝子の名前ABOをタイプします。するとポップアップウインドウが 開いて図のように遺伝子のちゃんとした名前が表示されますのでポップアップウインドウの中のABOの遺伝子名(alpha 1,3 GalNAc and alpha1,3 Galtransferaseなどと書いてあります)をクリックします。
すると検索窓にポップアップの内容が自動記入されますので、右側のgoボタンを押します。すると新しいウインドウでABO 遺伝子が表示されます。
検索窓の下にある帯状の図が遺伝子の存在するヒトの染色体の模式図です。赤枠で囲まれている部分にABO遺伝子があることを示しており、染色体の模式図の下には赤枠で囲んでいるあたりを拡大して表示してあります。染色体の模式図の一番左にはchr9 (q34.2)とありますね。これはABO遺伝子が染色体9番のq34.2の位置にあることを教えてくれています。これでこの遺伝子がヒトの第9染色体のバンドq34.2とよばれる部分にあることがわかりました。このようにして遺伝子名を検索窓に入れて検索すると、検索した遺伝子の存在するゲノム内での位置がわかります。

染色体の模式図の下にある拡大図ではABO遺伝子のエクソンとイントロンの構造がよくわかります。このABO遺伝子はGalあるいはGalNAcを転移する活性をもっているタンパク質をコードする遺伝子です。この遺伝子は354個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしています。354個のアミノ酸の中の、たった4個のアミノ酸の違いでABO遺伝子の産物がGTAの機能(A型物質合成酵素活性)をもつか、GTBの機能(B型物質合成酵素活性)をもつかが決まるのです。O型の人はこの糖転移酵素遺伝子(ABO)の塩基配列の中に停止コドンが入っており、酵素活性のある糖転移酵素が合成できません。このためO型物質にGalやGalNAcが結合せず、土台のO型物質のみをもつO型の血液型になります。ABO遺伝子という名前の糖転移酵素遺伝子ですが、O型物質をつくる酵素活性はもたないので注意してください。

では、この遺伝子の周辺にどんな遺伝子があるかをゲノムブラウザで眺めてみましょう。
上の図のように開いたゲノムブラウザ画面の上のほうにはzoom in (1.5x 、3x、10x、baseのボタン)とzoom outのボタン(1.5x 、3x、10x、100xのボタン)があります。zoom inのほうのボタンは表示をさらに拡大(遺伝子を大きく拡大表示したりbaseボタンを押して塩基配列を表示)、zoom outのほうは遺伝子をゲノム中でもっと小さく表示して遺伝子の周辺をみるのに使います。
遺伝子の周辺をみたいときにはzoom outのボタンを押します。1.5xを一回押してさらに10xを押すと表示を15倍に拡大というふうに何回かボタンを押してみやすい倍率まで拡大縮小をするのが普通です。

ABO遺伝子の周辺をx10ボタンで拡大表示(zoom out)した例がこれです。
図ではABOの右側にSURF6, MED22その他いろいろな遺伝子があるのがわかります。
100xボタンを一回押した画面を下に載せておきます。
それぞれの遺伝子名をクリックすると、その遺伝子の説明が開きます。100xボタンを押して表示される遺伝子にDBHというのがありますね。これはdopamine beta-hydroxylase (DBH)遺伝子でこの遺伝子がABO式血液型と性格に関連があるという研究のきっかけになったことがある遺伝子です。これが論文です。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0126983

たしかに染色体の同じバンド内にありますね。この論文はGoogle検索してみると出版以来15回ほど引用されています。Web of Science検索では5回でした。

註1:糖鎖を合成する糖転移酵素や分解酵素など糖に関する様々な酵素が網羅されているデータベースです。ヒトだけでなくバクテリアからC. elegansやショウジョウバエ、ゼブラフィッシュやカエルや植物、マウスなど、さまざまな生物別に糖関連の酵素が網羅されています。

マイケル・ファラデーの著作集がダウンロードできます―Faradayの日記(Faraday’s Diary)も全巻公開されました!

福岡は昨日から急に寒くなって朝は19度台の気温でした。まだ8月なんですが、まるで雪がふってもおかしくないような外の様子です。ニュースによると10月中旬ごろの気温だそうで、秋雨の典型のような日が続いています。雨が止んだ時をねらって散歩していると葛の花がいっぱい咲き乱れていました。

さて、今日はFaraday’s Diaryの最新情報の紹介です。
マイケル・ファラデーはイギリスの生んだ偉大な科学者です。彼についてはこのブログでもたびたびふれていますが、Faradayの著作集が公開されているのに昨日気づきましたのでお知らせします。Internet ArchiveからFaradayの実験ノート(Faraday Diary)のvol.1-vol. 5までをダウンロードすることができるのは以前お知らせして、このブログの人気記事になっています。ファラデーの実験日誌は全7巻なのですが残りはまだアップロードされていませんでした。しかし今回公開されたFaradayの著作集には、ファラデーの実験日記全巻がまとめて一冊になってアップロードされていました!ここにアクセスして、Scientific Books Collectionのページを見てください。Faradayの多くの著作―「ロウソクの科学」「力と物質」はもちろんのこと、Bence JonesによるFaradayの伝記(書簡集付き)3600ページ以上からなる書簡集Experimental Researches in Electricityその他の著作、そしてFaraday Diaryの一冊本がダウンロードできます。好きな本を選んで、表示された画面の上部にあるInfoボタンの左側の下矢印のボタンをクリックするとpdf, ePub, Kindle、Plain textなどでのダウンロードボタン(ポップアップ)が現れます。好きな形態を選んでクリックしてダウンロードしてください。この一冊本には1820年から1862年までのFaradayの実験日誌がおさめられており、今回の公開でFaradayの実験ノートは全部ダウンロードできるようになりました。なんと3272ページからなる一冊本です。pdfは200Mバイト以上あるファイルですが、全文検索可能でとても便利です。是非ダウンロードしてご覧ください。

宇宙線をみる霧箱の記事で紹介した以下のサイト(うみほしの部屋)にはファラデーの実験を実験日記を読みながら再現したという、ものすごく面白い記事がいくつも載っています。トップページの検索窓にファラデーと入れて探して読んでみてください。

写真は私が以前ここから購入したFaraday’s Diaryの背表紙の写真です。今でも紙の本は購入できるようで紙の本がほしい人にはおすすめかもしれません。全7巻セットで180 ドルほどの値段がついています。あと以前の記事にあったファラデーも登場する動画のリンクが切れていたのを訂正してありますのでそちらの記事もご覧ください。新しい英語版と日本語版の動画が埋め込んであります。日本語版のほうは画質が悪いようにみえますが皆さんはどうでしょうか?

 

単一細胞のRNA-Seq(scRNA-Seq)の入門動画とBrenner先生の新技術についての金言の紹介です。

科学の発展には新技術の開発が決定的な役割を果たします。このブログでも次世代シークエンサーの威力と題して、DNase-Seq (ディーエヌエース シークと読みます)などを紹介したことがあります。最近のNIH Videocastの番組で、新技術を紹介している優れた講演がありました。大変勉強になる講演で、スマートフォンからハイビジョンテレビ向けまでの様々な解像度で動画をダウンロードできますので、是非 通勤時間などを利用して動画をご覧ください。

これは、今年の7月24日に行われた講演です。Biowulf Seminar: Single Cell Sequencing: Powerful Applications and Practical Considerations(クリックすると動画サイトにとびます)という題で、一細胞のRNA-Seq (single cell RNA-SeqですのでscRNA-Seqと略します)のいろいろな方法と応用およびバイオインフォマティクスによる解析ツールについてやさしく紹介する優れた入門用の講演です。RNA-Seqというのは、細胞や組織の中にどんなRNAがどれほど存在しているかを、次世代シークエンサーを用いて、網羅的に同定する技術です。演者のMichael Kelly博士はsingle cell biologyの有名な実験研究者で、NIHのLinuxクラスター(9万5000個以上のprocesserと30ぺタバイト以上の容量(1ぺタバイは1000テラバイトです)をもつLinux cluster) Biowulfのユーザーでもあります。それでBiowulfセミナーで講演しているようです。内容は2012/2013年頃及したFluidigm C1 platformとSMARTer chemistryによる一個の細胞のRNA-Seqの方法、スループットが飛躍的に向上した2015年のDrop-Seq/InDropsの方法、そして2017/2018年頃から普及してよりハイスループット、低コストとなったsciRNA-Seq/SPLiT-Seq/Seq-Wellの方法などの紹介からはじまって、単一細胞レベルのRNA-Seqを鳥瞰していて、最適の入門講演と思います。 なおsci-RNA-seq (single-cell combinatorial indexing RNA sequencing)というのは、線虫C. elegansの各細胞のRNA-Seqを行った2017年の論文で使われた方法です。オープンアクセスになっていますので興味のある方は是非読んでみてください。新技術の開発がどれほど科学をすすめるかに感動します。

昔 Current Protocols in Molecular Biologyというプロトコル集を買っていました。その綴じ込みにSydney Brenner先生の言葉:
Progress in science depends on new techniques, new discoveries and new ideas, probably in that order. (科学の進歩は、新しい技術の出現、新しい発見、そして新しいアイデアの誕生によってもたらされる―おそらくこの順番で)
が載っていて感銘をうけました。

たしかに、放射性同位元素の生物学研究への応用、蛍光抗体法、モノクローナル抗体、レーザー共焦点顕微鏡、GFPなどの発明、PCR、DNAシークエンサー、遺伝子クローニングやゲノム編集技術、原子間力顕微鏡、タンパク質や糖鎖、脂質などの質量分析装置による解析技術、核磁気共鳴や電子スピン共鳴、X線結晶回折による生体分子の立体構造の解明、電子顕微鏡、クライオ電子顕微鏡、超高解像度の光学顕微鏡などなど、さまざまな新技術が生命科学の大発展を引き起こしてきています。Brenner先生が言うように、技術ができたらそれで何を研究できるかと考え、それが新発見を生み出し、新発見が新しいアイデアを生み出し、次の技術も開発される‥といった順に科学は発展しているようにみえます。

Current Protocolsの本は寄贈したので手元になく、 Brenner先生の言葉もうろ覚えではっきりしなかったので、ちょっと出典を探してみました。 Google 検索でSydney Brenner  quotesといれて探すとすぐにみつかって、多くの方がこの言葉をなるほどと思ったことがうかがえます。次にGoogle検索でこの言葉を二重引用符に囲んで”Progress in science depends on new techniques, new discoveries and new ideas, probably in that order.”を検索窓にいれて検索しました。するとなんとBrennerさん自身がこの言葉をどこ喋ったかを思い出せず、自分で探しただした、という記事がヒットしました。その記事によると、Brennerさんにこの言葉を引用したいがどこが出典かという問い合わせがあったのですが、自分でもいつどこで言った言葉か思い出せなかったそうです。そこで Alan Mackayという人のA Dictionary of Scientific Quotationsという本を探すと、この言葉がのっていて、 雑誌Natureの1980年5月5日号より、とあったそうです。さっそくNatureを見たのですが、なんとこの日には雑誌が発行されていないことがわかりました。それで結局わからずじまいだったとのことです。ところが数週間後、積み上げられた論文をいろいろみているとき、手書きの講演原稿が見つかったそうです。それはスイスのバーゼルにある Friedrich Miescher Instituteの10周年記念シンポジュウム(1980年開催)でのBrenner先生の講演の手書き原稿でした。ここでしゃべったんだというのがわかったので、このシンポジュウムについて報道していたNatureの記事を探したところ、1980年6月5日に掲載された記事が見つかって、その中にこの言葉がのっていたそうです。Biology in the 1980s, plus or minus a decadeというタイトルの記事です。ここからpdfがダウンロードできます。

先ほどの本は一か月だけ日にちを間違えていたということでした。講演会でのBrenner先生の手書き原稿にはこの文は以下のように書いてあるそうです。“ I will ask you to mark again that rather typical feature of the development of our subject; how so much progress depends on the interplay of techniques, discoveries and new ideas, probably in that order of decreasing importance.”

以下のサイトにはBrennerさんをはじめ、いろんな科学者の言葉が網羅されていて面白そうです。またそれ以外の面白い記事も多いのでおすすめです。
https://todayinsci.com/B/Brenner_Sydney/BrennerSydney-Quotations.htm
https://todayinsci.com/Quotations/QuotationsIndex.htm

お知らせ―サイトを常時SSL化しました!(5/27日追記有)常時SSL化の手順

昨日、WordPressで作っているこのサイトをSSL化しました(SSLはSecure Sockets Layerの略だそうです)。具体的にはサイトにアクセスしてもらったとき、ブラウザのサイトのurl表示のところが鍵マークになり、ブラウザとサイトのサーバー間の接続が暗号化されるようになるということです。最近のブラウザではhttpsでアクセスしないと警告表示がでたりしますので多くのサイトが常時SSL化をしています。昨日やってみましたが以外に簡単にできました。今後はアクセスするときのurlがhttp://glycostationx.orgからhttps://glycostationx.orgにかわるというわけです。

以下は覚書をかねたSSL化したときの手順です。各自ご自分のサイトに合わせて読み替えてみてください。(写真はひと月ほど前に咲いていたリンゴの花です。今年は去年より沢山花が開きました。意外かもしれませんが、九州ではリンゴも栽培されています。)

1.最初にSSL化の失敗に備えて、サイトhttp://glycostationx.orgを丸ごとバックアップしました。サイト自体をAll-in-One WP Migration というWordPressのプラグインでバックアップして保存しておきます。やり方は簡単で、このプラグインをインストールしたあと起動し、エクスポートを選びます。画面がエクスポート用画面に変わるので、エクスポート先をクリックして出てきたメニューから、ファイルを選びます(クラウドを選ぶこともできます)。するとサイト名であるglycostationx.orgをダウンロード、サイズ:何メガバイトなどと表示されるので、拡大収縮表示されている部分をクリックして、保存先をパソコンの適当な場所に指定してダウンロードしたらOKです。この作業は以下を参考にして実施しました。
https://smakoma.com/wordpress-backup-restore.html
(もちろんこのようなプラグインを使わず、ftpなどでサイトのファイルを丸ごとダウンロードすることもできます。こちらのほうがギガバイト以上あるようなサイトの場合は早くて確実だと思います。)

2. サイトのバックアップができたら、次に私の使っているレンタルサーバーで無料のSSL証明書を発行してもらってSSL化を申請して、http://glycostationx.orgをhttps;//glycostationx.orgに変えました。これはレンタルサーバーごとに手順があるのでお使いのサーバーのマニュアルなどで調べるか、Google検索などでレンタルサーバー名とSSL化などのキーワードで探してみてください。エックスサーバーでのやり方を解説している以下のページはとても参考になりました。https://nelog.jp/wordpress-ssl
私の使っているレンタルサーバーでは、SSL化を申請後、1時間もかからずにサイトにhttps://glycostationx.orgでアクセスできるようになりました。

3.次に、WordPressのダッシュボードで、設定―一般とすすみ、WordPressアドレス(URL)とサイトアドレス(URL)の項目(どちらもhttp://glycostationx.orgになっている)をhttps://glycostationx.orgへと変更して変更を保存します。

4.次に、http://glycostationx.orgをブックマークしてある方などをhttps://glycostationx.orgへと自動で誘導するように設定する作業を行います(これはサーバー側での301HTTPリダイレクトというそうです。)。これには.htaccessのファイル(ドットエッチティーアクセスファイル)を編集します。とても簡単な作業で、
サイトの”.htaccess”ファイルの先頭に以下を追加しておくだけでOKです。
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} !on
RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [R=301,L]

.htaccessファイルの編集には、自分のドメインのフォルダの下にあるpublic_htmlの中にある.htaccessファイルを編集します。レンタルサーバーが.htaccessファイルを編集する手段を提供している場合はレンタルサーバーのツールで編集するのもよいですが、安全のため、いちどftpなどで.htaccessファイルをダウンロードして、保存しておき、テキストファイルエディタで開いてみて中身をよくみてから編集するのをすすめます。

今回、サイトでの.htaccessファイルのありかを確認してftpでダウンロードし、編集してアップロードするには、WinSCPというファイル転送ソフトを使いました。
https://winscp.net/eng/docs/lang:jp
このソフトはデフォルトではドットが先頭についている隠しファイルは表示しないので、ソフトを起動して環境設定―パネルを選び、「一般」にある「隠しファイルを表示する」にチェックを入れるのを忘れないようにしてください。こうすると.htaccessファイルが表示され、ダウンロード、アップロードができるようになります。編集が終わったら、編集済みファイルをWinSCPでアップロードしてもとあった.htaccessファイルに上書きしたら完了です。http://のサイトurlでアクセスしてhttps://のサイトへ飛ぶことを確認してください。
WinSCPは九大での旧ホームページ作りにも使っていたとても便利なFTP/SFTP/SCPクライアントソフトです。他にもiPadへのWindowsからの電子ブック転送とかにも使って重宝しています。

5.次に、自分のサイト内での画像やpdfへのリンクなどにhttp://glycostationx.orgではじまるurlを使っているので、これらをすべてhttps://に変える必要があります。1.でバックアップができていることを確認した上で、サイト内のhttp://glycostationx.orgの記述(画像やpdf, サイト内の別のページへのリンクなど)をhttps://glycostationx.orgへ一括で変更します。一括変更には、WordPressのプラグインSearch Regexを使います。このプラグインでブログ内の記述でhttp://glycostationx.orgで始まるものを検索、これをhttps://glycostationx.orgに一括で変更できるので大変便利です。検索にはプラグインのタイトルどおり正規表現も使えますが、単なる文字列でも検索・置換ができます。

注意:このプラグインは更新が3年ほどなされていないため、最新のWordPress(バージョン5.2)で使うと、エラーのメールがとどきます。ブログ名のあとに「サイトで技術的な問題が発生しています」というタイトルのメールがとどいて驚いたのですが、内容は、
”エラータイプ E_ERROR が ブログサイトのwp-content/plugins/search-regex/view/results.php ファイルの 26 行目で発生しました”などというものでした。
Google検索で以下のキーワードで調べてみると、
「”search regex” wordpress 技術的な問題が発生しました」
次のような解決策のページがありました。
https://smakoma.com/search-regex-error.html
このページのとおり、WordPressのダッシュボードからプラグインを選び、プラグインエディターを開いて、該当のエラー行を削除したら完了です。この作業後はもうエラーのメールはこなくなりました。

エラーがでなくなったところで、プラグインをインストールしてあれば、ツールメニューにSearch Regexがありますので、クリックして起動します。SourceにはPost Contentをまず選びます。Limit toとOrder Byはデフォルトのままでよいです。http://glycostationx.orgを検索して、https://glycostationx.orgへと置換したいので、Search patternと書いてある検索窓にhttp://glycostationx.org、Replace patternと書いてある置換窓にhttps://glycostationx.orgといれて、Replaceボタンを押します。するとサイト内のhtml記述中のhttp://glycostationx.orgで始まる部分が全部表示され、https://glycostationx.orgで置換された表現も併せて表示されます。この段階では置換は行われていません。ちゃんと置換すべき部分が表示されているかどうか、全部確認した上でOKならReplace & Saveボタンを押せば全部置換してくれます。このボタンの操作は戻せないので確認は慎重にしてください。終わったら他にhttp://glycostationx.orgの記述がないかを、SourceをPost excerptにして再確認します。あれば確認して置換します。他のSourceについても順次作業を繰り返し、終わったら置換終了です。

6.最終確認です。ChromeとかFirefoxとかでサイトにアクセスしてちゃんと鍵マークが表示されるか試してください。トップページや固定ページごとに試してみて全部鍵マークが表示されればOKです。私の場合は、論文と研究概要の固定ページでエラーになり、鍵マークが表示されませんでした。その部分をクリックすると画像が疑わしいというようなメッセージがでました。そこで、ブラウザのChromeで問題のあるページを表示して、右クリックしメニューの中の検証をクリックします。表示されるページでConsoleをクリックすると、問題のある画像がどれか教えてくれるので修正することになります。私の場合は、画像を九大の旧サイトを参照することで表示しており、このサイトへのリンクがhttpsではなかったからエラーになったのがわかりました。訂正すると無事、全部鍵マークになりました。

7. あとはGoogle Search ConsoleやGoogle Analyticsへの登録が必要になったりするサイトもあるかもしれませんので、その場合は、各自検索して調べてみてください。

私はGoogle Search Consoleを使っていますが、その場合はプロパティの追加で、URLプレフィックスではなくて、ドメインのほうを選びます。ドメイン名を入れて続行ボタンを押すと、「DNSレコードでのドメイン所有権の確認」という画面に変わり、テキストレコードが発行されます。このテキスト(特定のドメインの同定用の文字列です)をコピーして、サイトのサーバーのDNS編集画面から、このテキストを内容とするTXT タイプの新しいDNSレコードを作成します。DNSレコードの追加が終わったら、あとはGoogle Search Consoleの「DNSレコードでのドメイン所有権の確認」画面で確認ボタンをおして所有権を確認します。確認がまだですというような画面がでたら10分ほどおいて再度確認すると確認が終わると思います。この方法を使えば、http://glycostationx.orgの時のデータもそのまま移行されるので便利です。http://glycostationx.org, https://glycostationx.org, http://www.glycostationx.org, https://www.glycostationx.orgそれぞれについてプロパティをGoogle Search Consoleで作成して所有権を確認‥‥という面倒な手順は不要です。

この方法は、「サーバー名 dns レコードでのドメイン所有権の確認」という検索キーワードで見つけました。

Sydney Brenner先生がなくなられました―検索エンジンSemantic Scholarを使ってみよう

分子生物学の開拓者であり、モデル生物C. elegans(線虫シー エレガンス)を世に送Sydeny Brenner先生が先日(4月5日)なくなりました。RIP to a scientific hero.などとtwitterでも惜しむ声が多かったようです。雑誌Natureの追悼記事はこちらにあります。写真はOIST(沖縄科学技術大学院大学)提供のものです。(RIP というのはラテン語のrequiescat in paceの頭文字をとったもので、may he rest in peace, may she rest in peace, may they rest in peaceの意味だそうです。安らかにお眠りくださいという意味ですね。)
Brenner先生は分子生物学の開拓者の一人で、電子顕微鏡のネガティブ染色法の開発者でもあります。突然変異のメカニズムの研究で大きな業績をあげ、それを使ってアミノ酸をコードしている遺伝暗号が3つの塩基の並びからなる(あるいはありそうもないが3の倍数)ことを証明したり、トランスファーRNAの存在を予言、あるいはmRNAの存在をJacobとの共著論文で証明したりしています。これだけでもノーベル賞級の発見ですね。今まで分子生物学で大いに役立ったファージのように使いやすい多細胞生物で、発生や神経の問題を調べるために理想的なモデル生物を探した結果、線虫C. elegansを導入し、プログラムされた細胞死の研究でノーベル賞を授賞されています。私も英国ケンブリッジにいたときに先生のセミナーにでたことがありますが、理論面からの実験への鋭い切り口が印象的なセミナーでした。新しい技術は新しい発見を生むという先生の言葉は特に記憶に残っています。

Brenner先生の自伝的回想のインタビュー(発生生物学者で位置情報の三色旗モデルで有名なLewis Wolpertに語っています)をまとめた、「エレガンスに魅せられて」という本も前に買ってもっていますが、今は中古本でしか入手できないようですね。

YouTubeにはBrenner先生の動画が色々ありますので、適当なのを選んでご覧になるといいと思います。上に載せている動画は2017年に四日間にわたってシンガポールで行われたBrenner先生の講義の動画です。四日分がアップロードされていますのでご覧ください。この講義はIn the Spirit of Science: Lectures by Sydney Brenner on DNA, Worms and Brains という題で、本になっているようです。私はまだ入手していませんが英語が聞き取れない人は買ってみるのも良いと思います。Kindle版は安く入手できるようです。
この動画、まだ最初のあたりしか見ていませんが、 Turingとvon Neumannの話からはじまっています。Brenner先生はSchrodingerのWhat is Life?には全く興味をもてなかったと、上の自叙伝の本で述べていますが、かわりにNeumannの自己増殖オートマトンの理論に深い興味をもたれたようです。このYouTubeの講演でいっている自己増殖オートマトンの本というのは、たぶんノイマンが1948年にHixsonシンポジュウムというシンポジュウムで、THE GENERAL AND LOGICAL THEORY OF AUTOMATAという題で講演した論文で、後に出版されたこの本Theory of Self-Reproducing Automataではないと思います。Hixson symposiumのNeumannの論文は、中央公論社からでた世界の名著66 現代の科学IIに品川嘉也先生の訳で「人工頭脳と自己増殖」という題で邦訳されています。図書館や古本で探して見られると読めると思います。詳しい注釈がついているので翻訳版はおすすめです。英語の論文はここにあります。これはSemantic Scholarという検索エンジンを使って探しました。これは、工学系、生命科学系にかかわらずとても有用な検索エンジンのように思われます。この検索エンジンはマイクロソフトの創設者の一人Paul Allenが設立したAllen Institute for Artificial Intelligenceが作成しているAIベースの検索エンジンです。コンピュータ科学や生命医科学の論文が収録されており、たとえばC. elegans, chondroitin synthaseで検索すると、私達の論文がトップにでてきます。

遺伝暗号の解読をBrenner先生やCrickたちが進めていたとき、モスクワの学会で全く無名の研究者が遺伝暗号の解読の成功を発表しました。その時、彼の発表会場はほとんど空で人がいなかったそうです。遺伝暗号の最初の解読結果が発表されたというのを友人のMatt Meselsonから聞いたCrickは、その無名のアメリカの科学者Marshall Nirenbergにもう一回、1000人以上が集まるシンポジュウムで同じ話をしてくれと依頼したそうです。シンポジュウムのプログラムにNierenbergの名前を手書きで書き加えたものが残っています。その場でNirenbergは二番目の遺伝暗号の解読の成功も発表したそうです。聴衆は電撃を受けたようなショックを感じたそうです。
これは、私がケンブリッジのMRC LMBのWhite先生のラボに入ったその日に、同時にポスドクにやってきたBob Goldsteinさんが書いているBrenner先生から聞いた話のまとめに載っている話です。自分の研究が抜きさられた(scoopedといいます)時のCrickの態度には学ぶべきところが多いです。Brenner先生の話を聞きに行ったときの別れの際にBrenner先生がGoldsteinさんに語った以下の言葉が印象的です。
As Brenner told me by way of parting advice: “Do the best experiments you can, and always tell the truth. That’s all.”

その他、Brenner先生に関する資料のリンクもGoldsteinさんの以下のページにありますのでご覧ください。

https://goldsteinlab.weebly.com/resources.html

 

私の口演動画の紹介を含むページを作っていただきました

以前、分子生物学会・生化学会の合同大会2017でランチョンセミナーをさせていただきました。その動画は以前紹介したようにYouTubeにでていますが、このたび、シュプリンガー・ネイチャーが電子ブックに関するインタビューや動画をまとめたページを作成してくださったと連絡を受けたので紹介しておきます。

「著者、利用者が語るその魅力 ― イーブック体験談」というページです。私の動画紹介だけのページはこちらです。他にもいろいろ面白い動画がありますのでご覧ください。

写真は近所の公園で一昨日撮影した桜です。桜がはらはらと散る光景も目につくようになり、そろそろ散った桜の花びらが道路をおおうようになってきました。