生命科学志向の有機化学の教科書が無料で読めます!量子化学の教科書とかもあります

台風や洪水で被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げます。

さて今回は、生化学や糖鎖生物学、あるいは生命科学を学ぶ人に適当な有機化学の教科書として以下の本をみつけたので紹介しておきます。また無料で科学や歴史、英語などを学べるサイトも紹介します。
Organic Chemistry with a Biological Emphasis Volume I
Organic Chemistry with a Biological Emphasis Volume II
この二冊は、わかりやすい英語で書かれた教科書で、ミネソタ大学モリス校のサイトにおいてあって、無料で利用できるオープンソースのライセンスの教科書です。下の画像をクリックすると、化学以外を含めた様々な分野のオープンライセンスの教科書がみつかります。(画像をクリック後に開いたページの左側にあるBiological/Physical Sciencesをクリックすると生物、物質科学関係の本のリストがみられます。)

Find Open Textbooks

著者のTim Soderbergさんはもとは英語専攻で、日本で英語教師を5年ほどやっておられたそうです。その後、大学に入りなおして科学を専攻し、大学院入学資格を得た後、ユタ大学の大学院に入ってJournal of Organic ChemistryのEditor-in-Chiefを長年つとめたDale Poulter先生の指導のもとで、アーキア(古細菌)の酵素であるprenyltransferaseの研究(それぞれtRNAと膜脂質の修飾に働く2種の酵素の研究)で生化学で博士号を取得。2000年から2016年までミネソタ大学の准教授として有機化学を教えておられた方です。生化学の研究をしていた、有機化学に詳しい先生の書いた本なので生体分子をとりあげて有機化学を学ぶという方針で書かれています。これは生命科学を学ぶ人のための有機化学の教科書としておすすめできると思います。章内問題の解答や章末問題の一部の解答もダウンロードできますので勉強しやすそうです。

あと、Open Educational Resources (OER)というのをご存知ですか。無料の教科書やビデオを駆使して教育していこうという趣旨の運動のようで、無料で数学、物理、化学、生物学その他を学べるという運動です。有機化学については、以下のOERのサイトもご覧ください。
https://oerdegrees.org/courses/chemistry/
https://oerdegrees.org/courses/organic-chemistry/

いろんな無料で利用できる教材へのリンクが集まっているポータルサイトです。その中にはKahn Academyというのがあって、ビデオで有機化学を学べます(トップページ左上のCoursesをクリックすると、数学、物理、化学、生物学、歴史、ミクロ経済学、マクロ経済学、英語の文法、プログラミング(JavaScriptとか)なども学べます。たとえば前に紹介したenantiomer(鏡像異性体、エナンチオマー)について紹介しているビデオとかもあります。字幕がでるビデオですので英語の勉強にもなりますよ。

またサイエンスについては以下を参照してください。
http://oerdegrees.org/programs/science/

こんなのもあります。Libretextsというサイトで、無料で生化学、有機化学、量子化学や量子力学、統計力学、物理化学、政治学などほとんどなんでも学べます。化学へのリンクをあげておきます。
https://chem.libretexts.org/
またこちらにはSolderbergさんの教科書が1冊本のカラー版でおいてあります。章の順序立てがかわっていますが、一冊まるごとダウンロードできますのでご覧ください。

糖鎖生物学入門―7 ABO式血液型の話 その2 糖転移酵素をゲノムブラウザで調べてみよう!

(糖鎖生物学入門連載記事をまとめて読みたい方は固定ページにありますのでここをクリックしてください

さて血液型と性格に関係があるかという話です。この問題に関しては、どのような論文がでているのか、文献データベースであるPubMedで検索キーワード ABO blood type personality で検索してみました。すると今日現在で42個の論文がヒットし、関係のない論文も入っていますが、たしかにABO式血液型と性格の関係を論じた論文が公表されているのがわかります。こうした論文を自分で読んで考えられるようにすることを目標にABO式血液型の話を続けます。

今回はABO血液型を決定する遺伝子について調べてみましょう。どんな遺伝子が働いてA型やB型の血液型物質が合成されるのでしょうか。そしてその遺伝子はゲノムのどこにあって、周辺にはどんな遺伝子が並んでいるのでしょうか。まわりにある遺伝子には、もしかしたら血液型と性格の関連を示唆するものがあるかもしれませんね。早速調べてみましょう。

<糖鎖は糖転移酵素が合成する>

糖鎖は通常、単糖をグリコシド結合で連結する酵素(糖転移酵素:英語ではグリコシルトランスフェラーゼ glycosyltransferaseです)を使って合成されます。転移酵素という名前がついていますが、糖転移酵素は糖鎖合成酵素です。糖転移酵素には様々な種類があり、ヒトでは現在240種類ほどの酵素が知られています(CAZYデータベース参照。ケイジ―データベースと読みます。CAZYデータベースに関する動画はこちらをみてください。詳しくは註1参照)。

ABO式血液型物質も糖鎖ですから、糖転移酵素によって合成されます。まずO型物質を合成する糖転移酵素を使って、土台のO型物質が合成されます。そのO型物質にGalNAcをα1-3結合させる酵素をGTA、O型物質にGalをα1-3結合させる酵素をGTBと呼びます。この名称に含まれているGTは糖転移酵素glycosyltransferaseの略、AやBは血液型物質を示します。酵素タンパク質であるGTAとGTBはABO糖転移酵素遺伝子(遺伝子名はABO)がコードしています。

<ゲノムブラウザでABO遺伝子を探してみよう>
このABOという名前の遺伝子がヒトゲノム中のどこにあるのかを、ゲノムブラウザで探してみましょう。ゲノムブラウザというのは、いろいろな生物のゲノムの様子を表示してくれるソフトです。オンラインで使えるものが多く、いろいろ種類がありますが、今回は有名なゲノムブラウザであるUCSC genome browser (UCSCというのはUCがカリフォルニア大学 SCがサンタクルーズ分校の意味です)
https://genome.ucsc.edu/index.html
を使ってABO遺伝子を探しだし、この糖転移酵素遺伝子との周辺を眺めみましょう。
上のリンクをクリックして開くトップ画面の
上段部分にあるGenome Browserの部分をクリックすると以下のページが開きます。プルダウンから選ぶとアジアのサイトを使えetcというページがでて面倒なので最初は単に一回クリックしてください。すると以下のヒトゲノムブラウザのページが開きます。
右上にあるgoボタンの左にある検索窓に遺伝子の名前ABOをタイプします。するとポップアップウインドウが 開いて図のように遺伝子のちゃんとした名前が表示されますのでポップアップウインドウの中のABOの遺伝子名(alpha 1,3 GalNAc and alpha1,3 Galtransferaseなどと書いてあります)をクリックします。
すると検索窓にポップアップの内容が自動記入されますので、右側のgoボタンを押します。すると新しいウインドウでABO 遺伝子が表示されます。
検索窓の下にある帯状の図が遺伝子の存在するヒトの染色体の模式図です。赤枠で囲まれている部分にABO遺伝子があることを示しており、染色体の模式図の下には赤枠で囲んでいるあたりを拡大して表示してあります。染色体の模式図の一番左にはchr9 (q34.2)とありますね。これはABO遺伝子が染色体9番のq34.2の位置にあることを教えてくれています。これでこの遺伝子がヒトの第9染色体のバンドq34.2とよばれる部分にあることがわかりました。このようにして遺伝子名を検索窓に入れて検索すると、検索した遺伝子の存在するゲノム内での位置がわかります。

染色体の模式図の下にある拡大図ではABO遺伝子のエクソンとイントロンの構造がよくわかります。このABO遺伝子はGalあるいはGalNAcを転移する活性をもっているタンパク質をコードする遺伝子です。この遺伝子は354個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしています。354個のアミノ酸の中の、たった4個のアミノ酸の違いでABO遺伝子の産物がGTAの機能(A型物質合成酵素活性)をもつか、GTBの機能(B型物質合成酵素活性)をもつかが決まるのです。O型の人はこの糖転移酵素遺伝子(ABO)の塩基配列の中に停止コドンが入っており、酵素活性のある糖転移酵素が合成できません。このためO型物質にGalやGalNAcが結合せず、土台のO型物質のみをもつO型の血液型になります。ABO遺伝子という名前の糖転移酵素遺伝子ですが、O型物質をつくる酵素活性はもたないので注意してください。

では、この遺伝子の周辺にどんな遺伝子があるかをゲノムブラウザで眺めてみましょう。
上の図のように開いたゲノムブラウザ画面の上のほうにはzoom in (1.5x 、3x、10x、baseのボタン)とzoom outのボタン(1.5x 、3x、10x、100xのボタン)があります。zoom inのほうのボタンは表示をさらに拡大(遺伝子を大きく拡大表示したりbaseボタンを押して塩基配列を表示)、zoom outのほうは遺伝子をゲノム中でもっと小さく表示して遺伝子の周辺をみるのに使います。
遺伝子の周辺をみたいときにはzoom outのボタンを押します。1.5xを一回押してさらに10xを押すと表示を15倍に拡大というふうに何回かボタンを押してみやすい倍率まで拡大縮小をするのが普通です。

ABO遺伝子の周辺をx10ボタンで拡大表示(zoom out)した例がこれです。
図ではABOの右側にSURF6, MED22その他いろいろな遺伝子があるのがわかります。
100xボタンを一回押した画面を下に載せておきます。
それぞれの遺伝子名をクリックすると、その遺伝子の説明が開きます。100xボタンを押して表示される遺伝子にDBHというのがありますね。これはdopamine beta-hydroxylase (DBH)遺伝子でこの遺伝子がABO式血液型と性格に関連があるという研究のきっかけになったことがある遺伝子です。これが論文です。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0126983

たしかに染色体の同じバンド内にありますね。この論文はGoogle検索してみると出版以来15回ほど引用されています。Web of Science検索では5回でした。

註1:糖鎖を合成する糖転移酵素や分解酵素など糖に関する様々な酵素が網羅されているデータベースです。ヒトだけでなくバクテリアからC. elegansやショウジョウバエ、ゼブラフィッシュやカエルや植物、マウスなど、さまざまな生物別に糖関連の酵素が網羅されています。

マイケル・ファラデーの著作集がダウンロードできます―Faradayの日記(Faraday’s Diary)も全巻公開されました!

福岡は昨日から急に寒くなって朝は19度台の気温でした。まだ8月なんですが、まるで雪がふってもおかしくないような外の様子です。ニュースによると10月中旬ごろの気温だそうで、秋雨の典型のような日が続いています。雨が止んだ時をねらって散歩していると葛の花がいっぱい咲き乱れていました。

さて、今日はFaraday’s Diaryの最新情報の紹介です。
マイケル・ファラデーはイギリスの生んだ偉大な科学者です。彼についてはこのブログでもたびたびふれていますが、Faradayの著作集が公開されているのに昨日気づきましたのでお知らせします。Internet ArchiveからFaradayの実験ノート(Faraday Diary)のvol.1-vol. 5までをダウンロードすることができるのは以前お知らせして、このブログの人気記事になっています。ファラデーの実験日誌は全7巻なのですが残りはまだアップロードされていませんでした。しかし今回公開されたFaradayの著作集には、ファラデーの実験日記全巻がまとめて一冊になってアップロードされていました!ここにアクセスして、Scientific Books Collectionのページを見てください。Faradayの多くの著作―「ロウソクの科学」「力と物質」はもちろんのこと、Bence JonesによるFaradayの伝記(書簡集付き)3600ページ以上からなる書簡集Experimental Researches in Electricityその他の著作、そしてFaraday Diaryの一冊本がダウンロードできます。好きな本を選んで、表示された画面の上部にあるInfoボタンの左側の下矢印のボタンをクリックするとpdf, ePub, Kindle、Plain textなどでのダウンロードボタン(ポップアップ)が現れます。好きな形態を選んでクリックしてダウンロードしてください。この一冊本には1820年から1862年までのFaradayの実験日誌がおさめられており、今回の公開でFaradayの実験ノートは全部ダウンロードできるようになりました。なんと3272ページからなる一冊本です。pdfは200Mバイト以上あるファイルですが、全文検索可能でとても便利です。是非ダウンロードしてご覧ください。

宇宙線をみる霧箱の記事で紹介した以下のサイト(うみほしの部屋)にはファラデーの実験を実験日記を読みながら再現したという、ものすごく面白い記事がいくつも載っています。トップページの検索窓にファラデーと入れて探して読んでみてください。

写真は私が以前ここから購入したFaraday’s Diaryの背表紙の写真です。今でも紙の本は購入できるようで紙の本がほしい人にはおすすめかもしれません。全7巻セットで180 ドルほどの値段がついています。あと以前の記事にあったファラデーも登場する動画のリンクが切れていたのを訂正してありますのでそちらの記事もご覧ください。新しい英語版と日本語版の動画が埋め込んであります。日本語版のほうは画質が悪いようにみえますが皆さんはどうでしょうか?

 

単一細胞のRNA-Seq(scRNA-Seq)の入門動画とBrenner先生の新技術についての金言の紹介です。

科学の発展には新技術の開発が決定的な役割を果たします。このブログでも次世代シークエンサーの威力と題して、DNase-Seq (ディーエヌエース シークと読みます)などを紹介したことがあります。最近のNIH Videocastの番組で、新技術を紹介している優れた講演がありました。大変勉強になる講演で、スマートフォンからハイビジョンテレビ向けまでの様々な解像度で動画をダウンロードできますので、是非 通勤時間などを利用して動画をご覧ください。

これは、今年の7月24日に行われた講演です。Biowulf Seminar: Single Cell Sequencing: Powerful Applications and Practical Considerations(クリックすると動画サイトにとびます)という題で、一細胞のRNA-Seq (single cell RNA-SeqですのでscRNA-Seqと略します)のいろいろな方法と応用およびバイオインフォマティクスによる解析ツールについてやさしく紹介する優れた入門用の講演です。RNA-Seqというのは、細胞や組織の中にどんなRNAがどれほど存在しているかを、次世代シークエンサーを用いて、網羅的に同定する技術です。演者のMichael Kelly博士はsingle cell biologyの有名な実験研究者で、NIHのLinuxクラスター(9万5000個以上のprocesserと30ぺタバイト以上の容量(1ぺタバイは1000テラバイトです)をもつLinux cluster) Biowulfのユーザーでもあります。それでBiowulfセミナーで講演しているようです。内容は2012/2013年頃及したFluidigm C1 platformとSMARTer chemistryによる一個の細胞のRNA-Seqの方法、スループットが飛躍的に向上した2015年のDrop-Seq/InDropsの方法、そして2017/2018年頃から普及してよりハイスループット、低コストとなったsciRNA-Seq/SPLiT-Seq/Seq-Wellの方法などの紹介からはじまって、単一細胞レベルのRNA-Seqを鳥瞰していて、最適の入門講演と思います。 なおsci-RNA-seq (single-cell combinatorial indexing RNA sequencing)というのは、線虫C. elegansの各細胞のRNA-Seqを行った2017年の論文で使われた方法です。オープンアクセスになっていますので興味のある方は是非読んでみてください。新技術の開発がどれほど科学をすすめるかに感動します。

昔 Current Protocols in Molecular Biologyというプロトコル集を買っていました。その綴じ込みにSydney Brenner先生の言葉:
Progress in science depends on new techniques, new discoveries and new ideas, probably in that order. (科学の進歩は、新しい技術の出現、新しい発見、そして新しいアイデアの誕生によってもたらされる―おそらくこの順番で)
が載っていて感銘をうけました。

たしかに、放射性同位元素の生物学研究への応用、蛍光抗体法、モノクローナル抗体、レーザー共焦点顕微鏡、GFPなどの発明、PCR、DNAシークエンサー、遺伝子クローニングやゲノム編集技術、原子間力顕微鏡、タンパク質や糖鎖、脂質などの質量分析装置による解析技術、核磁気共鳴や電子スピン共鳴、X線結晶回折による生体分子の立体構造の解明、電子顕微鏡、クライオ電子顕微鏡、超高解像度の光学顕微鏡などなど、さまざまな新技術が生命科学の大発展を引き起こしてきています。Brenner先生が言うように、技術ができたらそれで何を研究できるかと考え、それが新発見を生み出し、新発見が新しいアイデアを生み出し、次の技術も開発される‥といった順に科学は発展しているようにみえます。

Current Protocolsの本は寄贈したので手元になく、 Brenner先生の言葉もうろ覚えではっきりしなかったので、ちょっと出典を探してみました。 Google 検索でSydney Brenner  quotesといれて探すとすぐにみつかって、多くの方がこの言葉をなるほどと思ったことがうかがえます。次にGoogle検索でこの言葉を二重引用符に囲んで”Progress in science depends on new techniques, new discoveries and new ideas, probably in that order.”を検索窓にいれて検索しました。するとなんとBrennerさん自身がこの言葉をどこ喋ったかを思い出せず、自分で探しただした、という記事がヒットしました。その記事によると、Brennerさんにこの言葉を引用したいがどこが出典かという問い合わせがあったのですが、自分でもいつどこで言った言葉か思い出せなかったそうです。そこで Alan Mackayという人のA Dictionary of Scientific Quotationsという本を探すと、この言葉がのっていて、 雑誌Natureの1980年5月5日号より、とあったそうです。さっそくNatureを見たのですが、なんとこの日には雑誌が発行されていないことがわかりました。それで結局わからずじまいだったとのことです。ところが数週間後、積み上げられた論文をいろいろみているとき、手書きの講演原稿が見つかったそうです。それはスイスのバーゼルにある Friedrich Miescher Instituteの10周年記念シンポジュウム(1980年開催)でのBrenner先生の講演の手書き原稿でした。ここでしゃべったんだというのがわかったので、このシンポジュウムについて報道していたNatureの記事を探したところ、1980年6月5日に掲載された記事が見つかって、その中にこの言葉がのっていたそうです。Biology in the 1980s, plus or minus a decadeというタイトルの記事です。ここからpdfがダウンロードできます。

先ほどの本は一か月だけ日にちを間違えていたということでした。講演会でのBrenner先生の手書き原稿にはこの文は以下のように書いてあるそうです。“ I will ask you to mark again that rather typical feature of the development of our subject; how so much progress depends on the interplay of techniques, discoveries and new ideas, probably in that order of decreasing importance.”

以下のサイトにはBrennerさんをはじめ、いろんな科学者の言葉が網羅されていて面白そうです。またそれ以外の面白い記事も多いのでおすすめです。
https://todayinsci.com/B/Brenner_Sydney/BrennerSydney-Quotations.htm
https://todayinsci.com/Quotations/QuotationsIndex.htm

お知らせ―サイトを常時SSL化しました!(5/27日追記有)常時SSL化の手順

昨日、WordPressで作っているこのサイトをSSL化しました(SSLはSecure Sockets Layerの略だそうです)。具体的にはサイトにアクセスしてもらったとき、ブラウザのサイトのurl表示のところが鍵マークになり、ブラウザとサイトのサーバー間の接続が暗号化されるようになるということです。最近のブラウザではhttpsでアクセスしないと警告表示がでたりしますので多くのサイトが常時SSL化をしています。昨日やってみましたが以外に簡単にできました。今後はアクセスするときのurlがhttp://glycostationx.orgからhttps://glycostationx.orgにかわるというわけです。

以下は覚書をかねたSSL化したときの手順です。各自ご自分のサイトに合わせて読み替えてみてください。(写真はひと月ほど前に咲いていたリンゴの花です。今年は去年より沢山花が開きました。意外かもしれませんが、九州ではリンゴも栽培されています。)

1.最初にSSL化の失敗に備えて、サイトhttp://glycostationx.orgを丸ごとバックアップしました。サイト自体をAll-in-One WP Migration というWordPressのプラグインでバックアップして保存しておきます。やり方は簡単で、このプラグインをインストールしたあと起動し、エクスポートを選びます。画面がエクスポート用画面に変わるので、エクスポート先をクリックして出てきたメニューから、ファイルを選びます(クラウドを選ぶこともできます)。するとサイト名であるglycostationx.orgをダウンロード、サイズ:何メガバイトなどと表示されるので、拡大収縮表示されている部分をクリックして、保存先をパソコンの適当な場所に指定してダウンロードしたらOKです。この作業は以下を参考にして実施しました。
https://smakoma.com/wordpress-backup-restore.html
(もちろんこのようなプラグインを使わず、ftpなどでサイトのファイルを丸ごとダウンロードすることもできます。こちらのほうがギガバイト以上あるようなサイトの場合は早くて確実だと思います。)

2. サイトのバックアップができたら、次に私の使っているレンタルサーバーで無料のSSL証明書を発行してもらってSSL化を申請して、http://glycostationx.orgをhttps;//glycostationx.orgに変えました。これはレンタルサーバーごとに手順があるのでお使いのサーバーのマニュアルなどで調べるか、Google検索などでレンタルサーバー名とSSL化などのキーワードで探してみてください。エックスサーバーでのやり方を解説している以下のページはとても参考になりました。https://nelog.jp/wordpress-ssl
私の使っているレンタルサーバーでは、SSL化を申請後、1時間もかからずにサイトにhttps://glycostationx.orgでアクセスできるようになりました。

3.次に、WordPressのダッシュボードで、設定―一般とすすみ、WordPressアドレス(URL)とサイトアドレス(URL)の項目(どちらもhttp://glycostationx.orgになっている)をhttps://glycostationx.orgへと変更して変更を保存します。

4.次に、http://glycostationx.orgをブックマークしてある方などをhttps://glycostationx.orgへと自動で誘導するように設定する作業を行います(これはサーバー側での301HTTPリダイレクトというそうです。)。これには.htaccessのファイル(ドットエッチティーアクセスファイル)を編集します。とても簡単な作業で、
サイトの”.htaccess”ファイルの先頭に以下を追加しておくだけでOKです。
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} !on
RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [R=301,L]

.htaccessファイルの編集には、自分のドメインのフォルダの下にあるpublic_htmlの中にある.htaccessファイルを編集します。レンタルサーバーが.htaccessファイルを編集する手段を提供している場合はレンタルサーバーのツールで編集するのもよいですが、安全のため、いちどftpなどで.htaccessファイルをダウンロードして、保存しておき、テキストファイルエディタで開いてみて中身をよくみてから編集するのをすすめます。

今回、サイトでの.htaccessファイルのありかを確認してftpでダウンロードし、編集してアップロードするには、WinSCPというファイル転送ソフトを使いました。
https://winscp.net/eng/docs/lang:jp
このソフトはデフォルトではドットが先頭についている隠しファイルは表示しないので、ソフトを起動して環境設定―パネルを選び、「一般」にある「隠しファイルを表示する」にチェックを入れるのを忘れないようにしてください。こうすると.htaccessファイルが表示され、ダウンロード、アップロードができるようになります。編集が終わったら、編集済みファイルをWinSCPでアップロードしてもとあった.htaccessファイルに上書きしたら完了です。http://のサイトurlでアクセスしてhttps://のサイトへ飛ぶことを確認してください。
WinSCPは九大での旧ホームページ作りにも使っていたとても便利なFTP/SFTP/SCPクライアントソフトです。他にもiPadへのWindowsからの電子ブック転送とかにも使って重宝しています。

5.次に、自分のサイト内での画像やpdfへのリンクなどにhttp://glycostationx.orgではじまるurlを使っているので、これらをすべてhttps://に変える必要があります。1.でバックアップができていることを確認した上で、サイト内のhttp://glycostationx.orgの記述(画像やpdf, サイト内の別のページへのリンクなど)をhttps://glycostationx.orgへ一括で変更します。一括変更には、WordPressのプラグインSearch Regexを使います。このプラグインでブログ内の記述でhttp://glycostationx.orgで始まるものを検索、これをhttps://glycostationx.orgに一括で変更できるので大変便利です。検索にはプラグインのタイトルどおり正規表現も使えますが、単なる文字列でも検索・置換ができます。

注意:このプラグインは更新が3年ほどなされていないため、最新のWordPress(バージョン5.2)で使うと、エラーのメールがとどきます。ブログ名のあとに「サイトで技術的な問題が発生しています」というタイトルのメールがとどいて驚いたのですが、内容は、
”エラータイプ E_ERROR が ブログサイトのwp-content/plugins/search-regex/view/results.php ファイルの 26 行目で発生しました”などというものでした。
Google検索で以下のキーワードで調べてみると、
「”search regex” wordpress 技術的な問題が発生しました」
次のような解決策のページがありました。
https://smakoma.com/search-regex-error.html
このページのとおり、WordPressのダッシュボードからプラグインを選び、プラグインエディターを開いて、該当のエラー行を削除したら完了です。この作業後はもうエラーのメールはこなくなりました。

エラーがでなくなったところで、プラグインをインストールしてあれば、ツールメニューにSearch Regexがありますので、クリックして起動します。SourceにはPost Contentをまず選びます。Limit toとOrder Byはデフォルトのままでよいです。http://glycostationx.orgを検索して、https://glycostationx.orgへと置換したいので、Search patternと書いてある検索窓にhttp://glycostationx.org、Replace patternと書いてある置換窓にhttps://glycostationx.orgといれて、Replaceボタンを押します。するとサイト内のhtml記述中のhttp://glycostationx.orgで始まる部分が全部表示され、https://glycostationx.orgで置換された表現も併せて表示されます。この段階では置換は行われていません。ちゃんと置換すべき部分が表示されているかどうか、全部確認した上でOKならReplace & Saveボタンを押せば全部置換してくれます。このボタンの操作は戻せないので確認は慎重にしてください。終わったら他にhttp://glycostationx.orgの記述がないかを、SourceをPost excerptにして再確認します。あれば確認して置換します。他のSourceについても順次作業を繰り返し、終わったら置換終了です。

6.最終確認です。ChromeとかFirefoxとかでサイトにアクセスしてちゃんと鍵マークが表示されるか試してください。トップページや固定ページごとに試してみて全部鍵マークが表示されればOKです。私の場合は、論文と研究概要の固定ページでエラーになり、鍵マークが表示されませんでした。その部分をクリックすると画像が疑わしいというようなメッセージがでました。そこで、ブラウザのChromeで問題のあるページを表示して、右クリックしメニューの中の検証をクリックします。表示されるページでConsoleをクリックすると、問題のある画像がどれか教えてくれるので修正することになります。私の場合は、画像を九大の旧サイトを参照することで表示しており、このサイトへのリンクがhttpsではなかったからエラーになったのがわかりました。訂正すると無事、全部鍵マークになりました。

7. あとはGoogle Search ConsoleやGoogle Analyticsへの登録が必要になったりするサイトもあるかもしれませんので、その場合は、各自検索して調べてみてください。

私はGoogle Search Consoleを使っていますが、その場合はプロパティの追加で、URLプレフィックスではなくて、ドメインのほうを選びます。ドメイン名を入れて続行ボタンを押すと、「DNSレコードでのドメイン所有権の確認」という画面に変わり、テキストレコードが発行されます。このテキスト(特定のドメインの同定用の文字列です)をコピーして、サイトのサーバーのDNS編集画面から、このテキストを内容とするTXT タイプの新しいDNSレコードを作成します。DNSレコードの追加が終わったら、あとはGoogle Search Consoleの「DNSレコードでのドメイン所有権の確認」画面で確認ボタンをおして所有権を確認します。確認がまだですというような画面がでたら10分ほどおいて再度確認すると確認が終わると思います。この方法を使えば、http://glycostationx.orgの時のデータもそのまま移行されるので便利です。http://glycostationx.org, https://glycostationx.org, http://www.glycostationx.org, https://www.glycostationx.orgそれぞれについてプロパティをGoogle Search Consoleで作成して所有権を確認‥‥という面倒な手順は不要です。

この方法は、「サーバー名 dns レコードでのドメイン所有権の確認」という検索キーワードで見つけました。

Sydney Brenner先生がなくなられました―検索エンジンSemantic Scholarを使ってみよう

分子生物学の開拓者であり、モデル生物C. elegans(線虫シー エレガンス)を世に送Sydeny Brenner先生が先日(4月5日)なくなりました。RIP to a scientific hero.などとtwitterでも惜しむ声が多かったようです。雑誌Natureの追悼記事はこちらにあります。写真はOIST(沖縄科学技術大学院大学)提供のものです。(RIP というのはラテン語のrequiescat in paceの頭文字をとったもので、may he rest in peace, may she rest in peace, may they rest in peaceの意味だそうです。安らかにお眠りくださいという意味ですね。)
Brenner先生は分子生物学の開拓者の一人で、電子顕微鏡のネガティブ染色法の開発者でもあります。突然変異のメカニズムの研究で大きな業績をあげ、それを使ってアミノ酸をコードしている遺伝暗号が3つの塩基の並びからなる(あるいはありそうもないが3の倍数)ことを証明したり、トランスファーRNAの存在を予言、あるいはmRNAの存在をJacobとの共著論文で証明したりしています。これだけでもノーベル賞級の発見ですね。今まで分子生物学で大いに役立ったファージのように使いやすい多細胞生物で、発生や神経の問題を調べるために理想的なモデル生物を探した結果、線虫C. elegansを導入し、プログラムされた細胞死の研究でノーベル賞を授賞されています。私も英国ケンブリッジにいたときに先生のセミナーにでたことがありますが、理論面からの実験への鋭い切り口が印象的なセミナーでした。新しい技術は新しい発見を生むという先生の言葉は特に記憶に残っています。

Brenner先生の自伝的回想のインタビュー(発生生物学者で位置情報の三色旗モデルで有名なLewis Wolpertに語っています)をまとめた、「エレガンスに魅せられて」という本も前に買ってもっていますが、今は中古本でしか入手できないようですね。

YouTubeにはBrenner先生の動画が色々ありますので、適当なのを選んでご覧になるといいと思います。上に載せている動画は2017年に四日間にわたってシンガポールで行われたBrenner先生の講義の動画です。四日分がアップロードされていますのでご覧ください。この講義はIn the Spirit of Science: Lectures by Sydney Brenner on DNA, Worms and Brains という題で、本になっているようです。私はまだ入手していませんが英語が聞き取れない人は買ってみるのも良いと思います。Kindle版は安く入手できるようです。
この動画、まだ最初のあたりしか見ていませんが、 Turingとvon Neumannの話からはじまっています。Brenner先生はSchrodingerのWhat is Life?には全く興味をもてなかったと、上の自叙伝の本で述べていますが、かわりにNeumannの自己増殖オートマトンの理論に深い興味をもたれたようです。このYouTubeの講演でいっている自己増殖オートマトンの本というのは、たぶんノイマンが1948年にHixsonシンポジュウムというシンポジュウムで、THE GENERAL AND LOGICAL THEORY OF AUTOMATAという題で講演した論文で、後に出版されたこの本Theory of Self-Reproducing Automataではないと思います。Hixson symposiumのNeumannの論文は、中央公論社からでた世界の名著66 現代の科学IIに品川嘉也先生の訳で「人工頭脳と自己増殖」という題で邦訳されています。図書館や古本で探して見られると読めると思います。詳しい注釈がついているので翻訳版はおすすめです。英語の論文はここにあります。これはSemantic Scholarという検索エンジンを使って探しました。これは、工学系、生命科学系にかかわらずとても有用な検索エンジンのように思われます。この検索エンジンはマイクロソフトの創設者の一人Paul Allenが設立したAllen Institute for Artificial Intelligenceが作成しているAIベースの検索エンジンです。コンピュータ科学や生命医科学の論文が収録されており、たとえばC. elegans, chondroitin synthaseで検索すると、私達の論文がトップにでてきます。

遺伝暗号の解読をBrenner先生やCrickたちが進めていたとき、モスクワの学会で全く無名の研究者が遺伝暗号の解読の成功を発表しました。その時、彼の発表会場はほとんど空で人がいなかったそうです。遺伝暗号の最初の解読結果が発表されたというのを友人のMatt Meselsonから聞いたCrickは、その無名のアメリカの科学者Marshall Nirenbergにもう一回、1000人以上が集まるシンポジュウムで同じ話をしてくれと依頼したそうです。シンポジュウムのプログラムにNierenbergの名前を手書きで書き加えたものが残っています。その場でNirenbergは二番目の遺伝暗号の解読の成功も発表したそうです。聴衆は電撃を受けたようなショックを感じたそうです。
これは、私がケンブリッジのMRC LMBのWhite先生のラボに入ったその日に、同時にポスドクにやってきたBob Goldsteinさんが書いているBrenner先生から聞いた話のまとめに載っている話です。自分の研究が抜きさられた(scoopedといいます)時のCrickの態度には学ぶべきところが多いです。Brenner先生の話を聞きに行ったときの別れの際にBrenner先生がGoldsteinさんに語った以下の言葉が印象的です。
As Brenner told me by way of parting advice: “Do the best experiments you can, and always tell the truth. That’s all.”

その他、Brenner先生に関する資料のリンクもGoldsteinさんの以下のページにありますのでご覧ください。

https://goldsteinlab.weebly.com/resources.html

 

私の口演動画の紹介を含むページを作っていただきました

以前、分子生物学会・生化学会の合同大会2017でランチョンセミナーをさせていただきました。その動画は以前紹介したようにYouTubeにでていますが、このたび、シュプリンガー・ネイチャーが電子ブックに関するインタビューや動画をまとめたページを作成してくださったと連絡を受けたので紹介しておきます。

「著者、利用者が語るその魅力 ― イーブック体験談」というページです。私の動画紹介だけのページはこちらです。他にもいろいろ面白い動画がありますのでご覧ください。

写真は近所の公園で一昨日撮影した桜です。桜がはらはらと散る光景も目につくようになり、そろそろ散った桜の花びらが道路をおおうようになってきました。

糖鎖生物学入門―2

糖鎖生物学入門―2

新元号が令和に決まりましたね。漢和辞典でという字を調べてみると、令日は「よき日」の意味ですし、令人は「よき人、美しい人」の意味、令嬢とか令徳など、の次に来る字が「よきものであり、うやまう」という用例が多いようです。平和や なごみがよきものになりますようにという意味になる、よい元号だと思いました。
今これを九大医学部図書館で書いていますが、九大医学部の桜も満開です。写真は今日の医学部キャンパスで撮影した満開の桜と、

3月26日に撮影した医学部キャンパスの桜です。

さて、糖鎖生物学入門の二回目です。九州大学で同名の講義をした時の資料をもとに全く新しく書いていきます。

糖鎖の構成要素(単糖):
糖鎖sugar chainというのは、単糖とよばれる糖がつながってできる鎖(枝分れするものも多い)です。糖鎖というのは例えばこんなものです。

この図には9種類の糖鎖があげてあります。色のついた丸や四角が単糖monosaccharideを表しており、単糖が様々につながって糖鎖ができるのです。枝分れしたりしていますので、糖鎖はとても多彩な分子構造をとることができそうですね。

単糖というのは、グルコース(ブドウ糖です)とかガラクトースとか、フコースとかN-アセチルグルコサミン(エヌアセチルグルコサミン)とかいう糖で、色々な種類があります。糖鎖について学び始めるときに最初に学ぶべき単糖の名前を下の図にのせておきます。こんな単糖があって、糖鎖をつくっているのだというのをみるのに最適な、入門者むけの単糖だけを選んであります(註1参照)。
この図にのっている単糖の名前や、記号を全部覚える必要はありません。その都度、参照することにしたらいいです。図にある単糖の中でN-アセチルグルコサミンGlcNAc(N-アセチルグルコサミンです。糖鎖生物の研究者は普通、グルックナックと読みます)とか、マンノースMan、グルコースGlc、ガラクトースGalなどの名前はサプリメントの広告とか、日常生活でよく耳にするのではないでしょうか?図には15個の単糖が並んでいますが、たいていの糖鎖はこの図の中の数種類だけを使ってつくられています。単糖の具体的な構造は以下で紹介します。

さて単糖の表記には図にみられるような、カラフルな記号表記が良く用いられています。昔はもっとごちゃごちゃした表記しかなかったのですが、パッと見て糖鎖の構造や類似性がみやすいカラフルな表記が普及しつつあります。Symbol Nomenclature for Glycans (SNFG)と呼ばれる記号表記で、以下のページにまとめられているので参照に便利です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/glycans/snfg.html

リンクをクリックしてもらって図をご覧になればわかりますが、ものすごい数の単糖がならんでいます。これを全部覚える必要はありません。この図には様々な糖鎖を記述できるようにと、ヒトなどではあまり見かけない単糖も入っているからごちゃごちゃしているのです。そこで次の表には私の独断と偏見で選んだ、入門者に必要な単糖のみを残して後は消したものをあげてあります。(バクテリアにみられる糖とか、希少糖などめずらしい糖―いろんな生理機能も知られて重要性が叫ばれています―を除外しています。)上の図よりちょっと増えて20個ありますが必要に応じて参照していただければと思います。リンク付のpdfファイルもここにありますので参考にしてください。

Glc  Man  Gal 
グルコース マンノース ガラクトース
GlcNAc  ManNAc  GalNAc 
N-アセチルグルコサミン N-アセチルマンノサミン N-アセチルガラクトサミン
GlcN  ManN  GalN 
グルコサミン マンノサミン ガラクトサミン
GlcA  ManA  GalA  IdoA 
グルクロン酸 マンヌロン酸 ガラクツロン酸 イズロン酸
  Xyl  Fuc 
キシロース フコース
Kdn  Neu5Ac  Neu5Gc  Neu  Sia
ケーディーネヌ N-アセチルノイラミン酸 N-グリコリルノイラミン酸 ノイラミン酸 シアル酸(左の単糖から合成される単糖の分子ファミリー名)

青字の単糖にはリンクがはってありますので、クリックすると単糖の構造式や立体構造が表示されるページにとびます。
こうしたカラフルなSNFG表記の記号は、糖鎖科学の標準的教科書Essentials of Glycobiology 3rd editionでも使われています。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK310274/ 書籍版は有料ですが最新版が無料で上のリンクで公開されています。この本の図を全部パワーポイント形式にまとめたスライドも前の記事に書いたように無料で公開されていいます。糖鎖生物学の入門者には、この教科書の通読は必要ありません。せっかくネットにアップロードされていて、本の中身の検索もオンラインで自由にできます(このリンクのSearch this bookボタンを使います)ので、糖鎖学習のハンドブックとして是非活用してください。第二版の日本語訳も出ています。

単糖の構造を立体表示してみよう:PubChemによる表示
PubChemというのをご存知ですか?PubChemはNIHが公開しているオープンデータベースです(だれでも研究データをアップロードできて、だれもが利用できるというのがオープンの意味です)。PubChemを使うと様々な化学物質の情報、生理機能、特許、文献、構造式、立体構造そのほかが無料で調べられ利用できます。糖鎖を構成している単糖の構造を立体表示するにも最適のサイトですので、使ってみましょう。

SNFGのページを開いて以下のリンクから単糖のリストのパワーポイントファイルをダウンロードすると、

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/glycans/docs/SymbolNomenclatureForGlycans_SNFG_Slides_UpdateJun2017.pptx

全部の単糖が入ったファイルがみられます。上で物凄い数の単糖のリストといったものです。各単糖にはPubChemへのリンクが張られており、スライド表示にして単糖の名前をクリックするとPubCemへのリンクがブラウザで開いて、化学式や立体構造がPubChemで表示されるのでとても便利です。いろいろPubChemで単糖を表示して遊んでみるのが入門にはよい経験になります。グルコースやガラクトースを立体表示してくるくる回して分子模型を手にとってみているように学べます。

注1:図は糖鎖構造を書くソフトGlycoEditorの入力画面をスクリーンショットしたものです。無料の糖鎖構造作図ソフトですので自分で使えそうな人は、ちょっと使ってみるのをお勧めします。詳しい使い方は次回以降に説明します。

 

京都大学の動画サイトの紹介です―福岡では桜が本日開花しました

今朝 散歩しているとき、桜の花が開花しているのを見つけて写真にとりました。福岡市近郊での写真ですが、福岡市でも桜が開花したそうです。つくしもずいぶん大きくなっていて、近所の奥さんから どっさりいただいて先週おいしくいただきました。春のはじまりです。

今日は京都大学の動画サイトを紹介します。
京都大学OCW (Open Course Ware) というサイトです。理学部や医学部、医学研究科など京都大学の様々な講義、講演のビデオやシラバスが集められて公開されています。

上のリンクからいろいろ探してごらんになるといいですが、たとえば
聴講コース 臨床研究者のための生物統計学 (AMED生物統計家育成支援事業
聴講コース 臨床研究者のための生物統計学)という医学研究科のコースには、ここをコピペしただけですが以下のような講義のビデオがならんでいます。
宇宙怪人しまりす医療統計を学ぶ」(岩波科学ライブラリーに二冊あります)の著者の佐藤先生や挿絵を描いておられるという奥様の講義もみられますので是非ご覧ください。

第1回 2017年5月25日 なぜランダム化が必要なのか?
(日本語字幕あり)
田中 司朗 特定教授 Video
第2回 2017年7月20日 リスクの指標と治療効果の指標
(日本語字幕あり)
田中 司朗 特定教授 Video
第3回 2017年10月19日 仮説検定とP値の誤解
(日本語字幕あり)
佐藤 俊哉 教授 Video
第4回 2017年12月21日 生存時間解析の基礎
(日本語字幕あり)
米本 直裕 助教 Video
第5回 2018年2月1日 メタアナリシス
(日本語字幕あり)
田中 司朗 特定教授 Video
第6回 2018年5月17日 統計家の行動基準
この臨床試験できますか?

(日本語字幕あり)
佐藤 恵子 特任准教授 Video
第7回 2018年7月12日 データマネジメントとは
(日本語字幕あり)
多田 春江 特定准教授 Video
第8回 2018年10月25日 ランダム化ができないとき
(日本語字幕あり)
佐藤 俊哉 教授 Video
第9回 2018年12月20日 交絡とその調整
(日本語字幕あり)
佐藤 俊哉 教授 Video
第10回 2019年2月21日 回帰モデルと傾向スコア 佐藤 俊哉 教授 Video

そのほか、理学部をみると、細胞内情報発信学という講義が掲載されおり森 和俊 先生(理学研究科教授)の講義がみられます。3年生向けの講義ですが、面白そうです。

その他いろいろ探して各人の興味にあった講義を聴講してみてください。

画面、動画、テキストなどデータをクリップするソフトの紹介―その2 OBS studioの使い方

デスクトップでの操作の記録や、ビデオデータの記録方法―OBS studioの使い方

(2019/2/05に追記した部分は青字で表示してあります。参考にしてください。)
勉強や研究をしているとデータベースの使い方を説明する時にマウスカーソルの動きやクリックの様子などをビデオで記録して見せたいときがよくあります。また講演会などでストリーミング放送されているものなどを記録しておきたいこともあると思います。こんな時にはいろいろ有料のスクリーンレコーダーというジャンルのソフトウエアがあるのですが、インストールするときに使用許諾がいろいろ書いてあって、このソフト、信用できるのか?裏で妙なことをしていないのか?などと不透明な部分もあって、使用に不安を覚えます。前に名前だけ紹介しましたが、OBS studio というオープンソースの無料のソフト(Windows, Mac, Linux対応版があります)を使えば無料で使えて、わりに手軽に作業ができます。OBSはOpen Broadcaster Softwareの略です。
OBS Studio – Free and open source software for live streaming and screen recordingと題して、Githubにソースコードも公開されています
ゲームの画面を録画してYouTubeなどにアップロードするために良く使われているソフトですが、十分高解像度で画面の動きなどを逐一記録できるソフトです。ゲームをやる人のための日本語の解説は多いのですが、あまりデスクトップやウインドウの録画についての日本語の解説がないみたいですので、簡単に紹介したいと思います

OBS Studioのソフトのインストール:
https://obsproject.com/ja/download
からLinux, Mac, Windows版をダウンロードしてインストールします。私はwindows10 なのでWindows版の解説となりますが、他のOSでも大差ないはずです。

ページのウインドウズ、マック、リナックスのロゴをクリックすると右下にダウンロードインストーラが表示されるのでクリックしてダウンロードします。インストールするときにゲームの記録画面の配信モードにするか、単に録画だけにするかと聞いてきますので録画だけにするのがいいと思います。また管理者モードで実行するように設定できると思うので、そのように設定します。言語には日本語を選ぶといいでしょう。メニューなどすべて日本語になります。

ウインドウを録画してみよう:
インストールして起動すると下のギャラリーの一行目、一番左の図のような画面になります。(ギャラリーは、一番上の行の左から右へと図をみて、次は下の行にうつって左から右へとみてください。)中央の黒い枠の部分に表示されている中身が録画されます。この枠内にブラウザの画面とかデスクトップとかを表示し、録画したい部分をaltキーを押しながら枠の周りの囲み線をドラッグして選択します。選択がおわったら、shiftキーを押しながらドラッグして枠内にぴったりはいるようにしたら録画準備完了です。これから以下に詳しく説明します。(追記:2019/11/12― ウインドウの表示が「合わせ鏡のようになってしまった場合」もあるかもしれません。対策としてはwindows7では個人設定のテーマをAeroのものに変えてください。classicでは合わせ鏡のような表示になってしまってうまく録画できません。windows10ではそういうことはないようです。)

ウインドウ画面の録画をやってみましょう。まずFirefoxなどのブラウザの画面からキャプチャしてみましょう。Firefoxなどを先に起動してキャプチャしたい画面を表示しておいてください。

つぎにOBS studioを起動します。ウインドウキャプチャによる録画にはシーン、ソース、ミキサー、シーントランジション、コントロールとある下のほうの画面から、ソースの部分でプラスの記号をクリックします(ギャラリーの一行目左の図)。

するとウインドウキャプチャ、ゲームキャプチャなどがならぶプルダウンメニューがでますので(ギャラリー一行目真ん中の図)、ウインドウキャプチャを選んでみてください(一行目左から真ん中そして右の図)。ウインドウキャプチャのプロパティという画面がでて(二行目左の図)、カーソルをキャプチャするかどうかなどを設定できます。OKを押してとじてください(二行目真ん中の図)。Firefoxなどが起動していると、黒い画面の中にFirefoxのウインドウが表示されると思います。

黒い背景画面にうまく録画したい場面が全部がはいっていないと思います(二行目右の図)。黒い背景画面いっぱいの部分が録画されるので、録画する画面(クリックすると四隅と上下左右の各辺の中央に赤い丸印のある部分がハイライトされますのでその画面)を黒い画面いっぱいにあわせましょう。Firefoxの表示画面を選択する方法を例に紹介します。

表示されているFirefoxの画面をクリックして、画面の四隅と、左右、上下の辺の中央にある赤い丸を押します(二行目右から三行目左の図)。この赤丸の辺で囲まれた領域が現在録画されるようになっている範囲です。これを広げて全部が入るようにします。

Altボタンをおしながら赤丸がついている画面の赤丸をドラッグすると、記録したい画面を調節することができて、録画範囲を上下左右に広くしたり、狭くしたりして変更することができます。記録したい画面が決定できたら、altキーを離し、今度はshiftキーを押しながらドラッグして、選択した録画範囲の画面を後ろの黒い画面の隅に移動します(三行目左と真ん中の図)。大きすぎて黒い画面からはみだしていたら、右隅の赤丸を選択して、shiftキーを押しながらドラッグしてやると小さくできます。右隅の赤丸をクリックして、 shiftキーを押しながらドラッグして、一番大きな黒枠のなか(この部分が録画されます)にぴったり録画したい画面があてはまるように調節します(三行目右の図)。

あとは録画条件を次に説明するように設定し、録画ボタンをおすと録画開始です。録画開始と終了をたとえばウインドウズキーぷらすF12とかにきめることも設定でできますので、ボタンをおさずにキーコンビネーションで録画することも可能です。

OBS studioの録画条件の設定
配信をしないので以下では配信の設定は行いません。必要なら設定してみてください。
では録画条件の設定法を解説します。

一番簡単な録画条件の設定法を紹介します(2019年2月5日追記)
ファイル、編集、表示などと並んでいる項目メニューから、ツールを選びます。プルダウンメニューが開き、一番上に自動校正ウイザードというのがありますのでこれを選んでください。
デフォルトでは「配信のために最適化し、録画は二次的なものにする」にチェックがはいっています。チェックを外して「録画のために最適化し、配信はしない」にチェックを入れてください。次へをクリックすると、映像設定メニューがでてきて、基本(キャンバス)解像度―現在の値を使用というプルダウンメニュー、そしてFPS―60または30のいずれか、可能なら60を優先というメニューがでます、これらは変えてもいいですが普通はこのままで、次へを押します。するとテストがはじまって、プログラムがあなたのパソコンに最適の設定を選んでくれます。録画エンコードとか、品質などが選ばれて表示されますので設定を適用のボタンを押して終了です。この自動校正ウイザードを使えば、一番録画失敗の少ない設定になるのでおすすめです。自分でいろいろ設定したい人は以下もご覧ください。録画したムービーをどこに保存するかや、録画フォーマットなどは以下を読んで設定してください。(2019年2月5日追記終了)

手動での録画条件の設定方法;
ファイル、編集、表示…などと並んでいるメニューから、
ファイル→設定→出力とすすんで、出力モードをプルダウンで「詳細」にします。
左から配信、録画、音声、リプレイバッファーというタブがありますので、録画を選びます。
種別は標準
録画ファイルのパスは、できた録画ファイルをいれるフォルダの場所を決める部分です。右の参照ボタンなどを使って、自分の好きなフォルダを選んで設定します。
録画フォーマットは プルダウンからいろいろ選べますが、私が試行錯誤した結果は、ts やmkvがおすすめです。(ほかに動画の形式としてはflv,mp4, mov,m3u8が選べます。flvがデフォルトになっています。) 動画の形式ではmp4やmkvなども試しましたが、私のパソコンでは、録画してできたファイルを再生すると うまく録画できておらず、音声は進むのに画面が止まったままの部分があちこちにできてしまうこともありました。私のパソコンで試した時は、ts形式を選ぶとCPUへの負担が少なくなるのでエラーが回避できました。mp4などでエラーがでるときは試してください。たしかOBS Studioはマルチプロセッサーを利用していないはずです。できあがったtsファイルやmkvファイル、flvファイル、mp4ファイル、movファイルなどは前に紹介した動画プレイヤーのMPC-BE x64で再生可能です。

以下は私の使っている録画の部分の設定です。


録画フォーマットはts、
エンコーダは私はQuickSync H.264を選んでいます。プルダウンメニューで表示される
(ストリームエンコーダを使用)(QuickSync H.264), x264などから素材に応じて選択します。利用できるハードウエアエンコーダがパソコンにないときはストリームエンコーダとx264しか表示されません。
出力をリスケールするにはチェックはいれていません。
カスタムマルチプレクサ―の設定もなし。

ターゲットの使用法は、qualityをプルダウンから選択。(balanced,speedも選べますのでうまく録画できないときは試してみてください。自動設定では私のパソコンではbalancedが選ばれていました―2019/2/05追記)
プロファイルはbaselineにしています。他にhigh, mainも選べます。
キーフレーム間隔は3、
非同期深度は4、
レート制御はCBR、
ビットレートは2500としています。

次は映像です。設定画面の左側、一般、配信、出力、音声、映像、ホットキー、詳細設定というアイコンの中にある、映像アイコンをクリックしてください。
基本(キャンバス)解像度は、1366×768などご自分のパソコンのモニタの解像度に設定します。この数値はカーソルをあわせてクリックした後適当な値に変更できます。
出力(スケーリング)解像度は、基本解像度と同じでもいいですが、CPUが追い付かずに録画に不具合がでるときは、小さめに設定するといいと思います。1280×720とか、ご自分のモニタの解像度の選択枝から選ぶのがいいでしょう。(910×512が自動設定ウイザードでは設定されていました―2019/2/05追記)
縮小フィルタはバイキュービック、ランチョス、バイリニアから選びます。ランチョスが解像度がよくて、バイリニアが一番悪いのでランチョスから試してみてください。

FPS共通値は毎秒のフレーム数ですので、プルダウンから選ぶか直接入力して30とか29.97とかでいいでしょう。


あとは録画のホットキーを設定しましょう。
映像アイコンの下にある、ホットキーアイコンをクリック、開く画面で、録画開始と録画終了のキーをきめます。私はWindowsキー+F12にしています。

以上で録画の設定が終わりです。他の設定はデフォルトのままにしておいていいでしょう。右上のx印をおしてウインドウを閉じる時に「保存していない変更があります。変更を保存しますか」ときいてくるので「はい」をクリックして終わりです。

Firefoxなどでムービーを再生しておき、録画したい部分を設定して、メニューの録画開始、あるいは設定したホットキーをおしたら録画が始まり、もう一回同じキーをおすと録画終了します。カーソル操作を記録したいときは、ソースのウインドウキャプチャを右クリックし、プロパティでカーソルをキャプチャにチェックをいれます。

参考:
この条件でも録画に失敗することがあります。そこで他の録画条件設定についても簡単に触れておきます:エンコーダをソフトウエアエンコーダである、x264に設定した場合(これでもだめならストリームエンコーダにするとうまくいく時もあるかもしれません)下のほうにレート制御、ビットレートなどの選択画面がでてきます。
CPU使用のプレセットは、デフォルトがveryfastですが、CPU使用率を下げるにはsuperfastやultrafastを選ぶといいようで、私は一番CPU使用率の低いultrafastを使っています。

動画のことは素人ですので、もっとうまい設定があるかもしれません。いろいろ試してみてもっとうまくいく方法があれば教えてください。