あけましておめでとうございます!2021年迎春

新年あけましておめでとうございます。昨年は新型コロナウイルスに社会がひっかきまわされた一年でしたが、今年はもとの平穏な社会がもどってくることを願っています。元旦の今日は、新型コロナウイルスについて詳しく解説したパンフレットと、トランプ大統領などの治療に使われた新型コロナウイルスに対する抗体医薬品について紹介します。

このブログでもコロナウイルスについては何回か触れましたが、ここに「新型コロナウイルス感染症COVID-19 診療の手引き 第4.1版」という医療関係者向けの厚生労働省発行の手引きがあるのをみつけました。どうやってPCRをやるのかとか、潜伏期間はどれくらいとか、症状や、マスクや消毒の効果などなど、各自の知識に応じて興味深く読むことができる内容です。読むと新型コロナウイルス感染症の全貌がわかるのでダウンロードして手元に置いておくのをおすすめします。

Google検索していたら、以前の記事で紹介したVir Biotechnology社の抗体医薬品は第3相の世界規模の試験に入ったのがわかりました。またニュースによると(英語のリンクです。日本語の記事は以下を参照してください)同じ記事で紹介していたvaccinal effect (おおざっぱにいえば抗体を投与した後、まるでワクチンをうたれたような防御効果がでる現象です)がインフルエンザウイルスに対する抗体に関して確認されたという論文を、同社が雑誌Natureに載せているそうです。このNatureの論文についてはここに日本語による紹介の記事をみつけましたのでリンクしておきます。またこちらにもわかりやすい日本語での紹介があります。この論文ではウイルスや癌細胞を殺す抗体(ウイルスや癌細胞にある特異的なタンパク質や糖鎖に対する抗体で治療用に使う抗体です)の根元の部分のアミノ酸配列に3箇所のアミノ酸配列変異、いわゆるGAALIE突然変異を導入するという手法を使っています。GAALIE突然変異というのは、G236A/A330L/I332Eの変異から “GAALIE”と名付けられた変異のことす。抗体の研究で有名なKabatさんのデータベースでの抗体のアミノ酸配列の番号づけ(EU index in Kabat )で、Fc領域にある236番目のアミノ酸グリシン(G)をアラニン(A)、330番目のアラニン(A)をロイシン(L)、332番目のイソロイシン(I)をグルタミン酸(E)に変化させた抗体を作成することです。

この三箇所の変異を導入した抗体を人工的に作って投与したらインフルエンザウイルスに対する強いvaccinal effectが観察されたそうです。

このGAALIE突然変異によるvaccinal effectはもともと癌の治療薬として使われた抗体の研究で見つかりました。現在利用されている多くの腫瘍マーカーは糖鎖です。膵臓癌や胃癌、大腸癌などの診断に広く活用されている腫瘍マーカーとしてCA19-9(シーエーナインティーンナイン)というのがあります。これは4つの糖が結合した糖鎖でシアリルルイスa (Sialyl Lewis A (sLeA))と呼ばれる糖鎖(シアル酸がついた糖鎖でシアリルルイスエーと読みます)のことです。この糖鎖の発現がこれらの癌で高まることから、この糖鎖は極めて有用な腫瘍マーカーとして、現在臨床検査で活用されています。

この糖鎖と結合する抗体を投与することで癌細胞を殺す治療法が研究されていました。この治療用のシアリルLewis aに対する抗体の根元部分(Fc部分)にGAALIE突然変異を入れた抗体を作って投与すると、vaccinal effectがみられることが発見されて論文になっています。ここにロックフェラー大学の特許へのリンクがあります)。最初に紹介したNatureの論文では、インフルエンザウイルスに対する抗体で、このアミノ酸配列の三か所での改変を行うと、インフルエンザウイルスに対する高い免疫効果がみられたそうです。同様の改変はもちろんSARS-CoV2の治療抗体でも既に実施されています。

このように新型コロナウイルスに対する治療用抗体薬品の開発もすごい勢いで進んでいますので、COVID-19に感染しても抗体で治療することが容易になる日も近いと思われます。ワクチンの開発もすすんでいますし、今回 phase IIIに進んだというのを紹介したFc部分を改変したヒト型モノクローナル抗体も巨力な治療効果が期待されるので、ちょっと明るい希望が見えてきた元旦だと思います。みなさんもどうぞゆっくり休んで英気を養って、コロナにまけないように今年もがんばっていきましょう。

お正月ですので、写真は床の間の掛軸とハイビスカスの花にしました。般若心経の掛軸を飾っています。

はやぶさ2 サンプルリターン成功おめでとうございます!

本日12/6日早朝、はやぶさ2のサンプル容器の地球帰還ミッションが成功しましたね。おめでとうございます。JAXAの帽子をかぶった子供たちも、大人も真夜中のパブリックビューイングで大感激でした。(下の動画は、今朝の早朝の生中継の録画です。是非ゆっくりご覧になるのをおすすめします。)

初代のはやぶさの時は、NHKの生中継は無かったのですが、今回はアニメの放送の冒頭にニュースで生中継しましたね。でも本家のJAXAの生中継はやはり格が違いました。上の生中継の動画では、サンプル容器の火球がオリオン座のリゲルをかすめ、尾をひいて流れてやがてケンタウルス座のαとβ星の間に消えていくまでの間の様子を、星座名をあげながら詳しく解説してくださったので動画が本当によくわかりました。またどうやってカプセルを見つけるかとかの解説もわかりやすかったですし、国際宇宙ステーションから撮影されたはやぶさ2の本体の動画とかも見せてくださいました。また はやぶさ2本体から切り離されたカプセルが実際離れていく様子を京都大学岡山天文台のせいめい望遠鏡がとらえた写真や動画の解説もこの生中継であったので、はじめてあのごちゃごちゃした写真の見方がわかりました。前の小惑星でのサンプル採取のときも動画でみましたが、JAXAの広報は秀逸ですね。小学生のお子さんでもおうちの人にちょっと解説してもらいながら見れば、内容はほぼ完全に理解できるのではないでしょうか。はやぶさ2をおっかけていた子供たちの将来が楽しみです。今の大学の学生さんもそうですが、子供たちもものすごく優秀です。この優秀な人材が本当に活躍できる社会を作っていくのが私達大人の責任だと思います。

やぶさ2本体のほうは、次の小惑星を目指して航行中とのことで宇宙から見た地球の映像などもこれからみられると期待しています。

下のリンクにあるJAXAのサイトに火球の写真や動画が掲載されているのでご覧ください。動画の2や3にαケンタウリ(地球に一番近い恒星約4.3光年の距離)とβケンタウリの間をとおっていくカプセルが写っています。
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/en/topics/20201206_fireball/

左の写真はJAXAのこのリンクにある今回のカプセルの火球の写真、右の写真は我が家に咲いている水仙の花です。こちらは虫が花に飛行して最接近中の一瞬をとらえています。

ヒトの細胞の世界:世界で一番詳しい解説図が公開されています

世界一詳しいヒトの細胞の図解が2018年に公開されています。細胞を構成している分子についての知識は飛躍的に増えていて、X線結晶構造解析、核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance: NMRと略します)、クライオ電顕などを使って、細胞内での生体分子の様子がずいぶんわかってきました。その成果の集大成の図といえるでしょう。

こんな図です。きれいですね。秘密の花園みたいにきれいです。図には二つの細胞が描かれています。図の右上隅の細胞は、カドヘリンを介して画面のほとんどを占めている細胞と接着しています(この記事の下から二番目の図にカドヘリンのある場所がしめしてあるのでご覧ください)。画面左上からカドヘリンによる接着部位に向かって広がっているのは細胞膜とその膜上および膜外(細胞外基質)にあるいろいろな分子です。画面左下の黄色いバスケットのように見える部分(核膜孔)の周りの膜は、核膜などでその下は核の内部です。青い紐はDNAでいろんな転写因子も描かれています。

Cellular landscape cross-section through a eukaryotic cell, by Evan Ingersoll & Gael McGill – Digizyme’s Molecular Maya custom software, Autodesk Maya, and Foundry Modo used to import, model, rig, populate, and render all structural datasets
こちらには同じ図ですが、図のあちこちをクリックすると分子の名前だとか分子の詳しい説明などがみられる図(クリックしてサイトを開いてみてください)が掲載されています。ページを開くと上の図が大きく表示されていますが、下に6枚、上の図の部分図が表示されています。絵で描かれている分子の部分をクリックすると、分子の名前が英語で表示され、ダブルクリックすると分子の情報を英語で詳細に書いてあるページが開きます。以下の図はこのサイトの使い方の一例です。
図の中の細胞と細胞の接着部位にある分子をクリックしてみましょう。

マウスカーソルが指に変わって、n-cadherinという分子名が表示されます。これはN-cadherinです。

下の図に示すように、各図の左上にSelect a pathwayと書かれているプルダウンメニューがあります。プルダウンして、Cell Structureを選んでみましょう。以下のような細胞の構造に関わっている分子とその分子名が一斉に表示されます。これでチューブリンだのアクチンだのがどこにあるかが一目瞭然ですね。それぞれの分子をクリックすると分子の解説ページが開きます(何故かN-cadherinの場合は開きませんでした)。

この図で灰色っぽい白に表示されているのは、細胞膜です。上の細胞と下の細胞が結合している部分にN-カドヘリンがびっしり膜から生えているように見えるのがわかると思います。この接着部位は、接着結合(adherens junctions)あるいはその一例である 細胞をぐるっと取り囲む接着帯(adhesion beltあるいはzonula adherensとも言う)と呼ばれています。図の細胞膜の表面(図の左上のすみのほう)には、プロテオグリカンの一種であるperlecanが描かれています。図をひらいてみていろいろクリックしてみて細胞がどんな分子で構成されていて、それぞれの分子がどこにあるかなどをみてみてください。
このMcGillさんたちが作った図では分子の密度は実際のものより薄まっていると書かれています。実際はもっと細胞内は分子が込み合っているようです。

日本最古の城址のある町を紹介します。

テレビのニュースで今日は福岡市の近郊にある宇美町(うみまち)町制施行100周年の記念日だと報じていました。記念式典など多くの行事は新型コロナウイルス感染防止のため中止や延期になったそうですが、秋の青空に各小中学校からバルーンリリースで放たれたバルーンが浮かんでいたようです。宇美町といってもあまりご存知ないかもしれませんが、
「日本最古の城址があるのは宇美町です!」

https://www.town.umi.lg.jp/soshiki/12/oonojou.html

四王寺山にある大野城址は1350年前の築城で、中国の万里の長城のように高さ約7mの壁でかこまれた(なんと周囲全長8km)日本最古の城址です。大野城市にあると思っている人が多いですが、ほんの一部が大野城市にかさなっているだけでほぼすべて(80%以上)は宇美町にあります。発掘であきらかになった壁は土→粘土→砂を10cm単位でたたき しめることを繰り返して作られており、コンクリート並みの強度をもつ丈夫な壁で、容易にはくずれない強固な壁です。この壁の中には、米が貯蔵されている倉庫などがあったようで、今でも焼米ヶ原(尾花礎石群)の建物周辺からは1350年前のお米を拾うことがでるそうです。マップは以下にあり、pdfもダウンロードできます。

http://www.town.umi.lg.jp/site/kankousab-site/kanko157.html

この頂上にある毘沙門堂では正月3日に四王寺毘沙門詣りという行事(宇美無形文化財)でにぎわいます。これは毘沙門堂にお金が皿にいっぱいおいてあり、参拝者はそこから好きなだけお賽銭を借りて帰ります。翌年借りた額の倍額のお賽銭をかえすというもので、このお参りをすると一年間お金に不自由しないとされているそうです。

宇美は宇美八幡宮(神功皇后が応神天皇を生んだところが宇美神宮と日本書紀、古事記に書いてある)で有名です。安産の神様とされていて、妊娠した方のお参り 産後のお礼参りも盛んです。宇美八幡宮には樹齢推定2000年のクスノキがあります(湯蓋の森)。天然記念物と書いた柱がたっていますが、その周りにおかれている石は実は化石の珪化木です!。宇美は昔 炭鉱があったところで、沢山 珪化木がでてきて、それを木のまわりに置いたらしいです。昔は宇美神宮の前には池があり、ちょうど大宰府とおなじような橋がかかっていたと絵図にのこっています。また今の宇美歴史資料館や相撲場あたりも昔は池で、これは放生池という生き物をいつくしむために飼育していた池らしいです。宇美神宮の入り口に鳥居が二つありますが、一番前の鳥居は昭和42年に今の下宇美橋にあった鳥居を、道路の交通量が増えて事故が多くおこったので移設して今の鳥居にしたそうです。宇美八幡では玉せせりとか、流鏑馬もわりに最近まで行われていたようで(昭和40年代まで)、地名に馬場区というのはこの流鏑馬からとられた名前だそうです。宇美八幡宮につたわる宇美町縁起という古文書によるとこのあたりは昔 蚊田の邑(かたの里)と呼ばれていたらしく、香椎宮にいた神功皇后がここを産所に定めたと書かれています。聖母宮(しょうもぐう)にある秘仏(神功皇后像ともいわれている)は25年に一回公開されている秘仏(2018年に公開されましたので、次の公開はずいぶん先ですね)で、室町時代の作とされ朝鮮からわたってきた女神信仰の仏像らしいです。聖母宮は宇美神宮で一番古い建物(300年前建造。だから他の建物はもっと新しい、一時宇美神宮はすたれていたんですね)。軒下にはキリン(想像上の生物の麒麟)、ゾウ、鳳凰、波に乗るウサギ(因幡の白うさぎ?)、翼のある魚などが書かれているのでご覧ください。

宇美は邪馬台国とも関係がある町です。邪馬台国への道のりは、魏志倭人伝によると、

始めて海を1000余里渡ると、対馬国に至る(対馬)
また南に瀚海と呼ばれる海を1000余里渡ると一大国に至る。(壱岐のこと)
また海を1000余里渡ると、末廬国に至る。(松浦のこと。唐津。)
東南に陸行し、500里で伊都国に到着する。(九大のある伊都です。)
東南に100里進むと奴国(なこく)に至る。(これは博多。福岡市)
東へ100里行くと、不彌国(ふみこく)に至る。(これが宇美の可能性があります。)

ここから先は書いてあるとおりに進むと台湾にいったりして邪馬台国の位置は不明となっています。宇美を不彌国(ふみこく)にあてる説は、宇美町にある光正寺古墳が糟屋郡最大の前方後円墳であり発掘で築年代が邪馬台国の時代であることがわかったことから、卑弥呼の時代の最大有力者(不彌国の王?)の墓と考えられているそうです。この発掘成果によって不彌国が宇美だとする説は、がぜん有力な説となっているのです。宇美から南にいけば大宰府にいくわけで、そこが邪馬台国の入り口あるいは邪馬台国そのものと考えるのも自然ではないでしょうか。

写真は我が家に実ったリンゴです。今年は真っ赤に熟しました。とても甘くておいしかったです。秋も深まってきました。

オンラインシンポジュウム 糖の起源と進化~宇宙 & 深海~は明日zoom開催です。今日8/20中に参加登録してください

毎日酷暑が続いていますが皆さんお元気ですか。庭の百合も山百合もあちこちで満開です。さて明日21日は、比較グライコーム研究会のzoomシンポジュウムがある日です。

今8月20日木曜日中の参加申し込み受付ですので、ここから是非申し込んでご参加ください。プログラムと申込みリンクはこちらにあります。

九大伊都キャンパスのイトリーイトがなくなってしまいました。(10/01からリニューアルオープンしています!)

Itori-Itoはめでたくリニューアルオープンしたそうです(10月1日)。ですので以下の記事は昔の話となります。よかったです。(2021年1月3日追記)
https://kikin.kyushu-u.ac.jp/news/view.php?cId=1317&mode=1
===以下は古くなった記事です===
卒業生の皆さんにおなじみだった九大伊都キャンパスのイタリア料理店ITRI ITOが倒産したそうです。消費税増税で売り上げが落ちていた上に、新型コロナウイルスの影響(伊都キャンパスでの学生の感染や大学への立ち入り制限、緊急事態宣言などで休業になったことなど)で経営難となり、ひと月ほど前に倒産したとのことです。新型コロナウイルス関連の倒産ニュースをみていて気づきました。

イトリーイトは、学外からのお客さんのおもてなしや、研究室でのお祝いごとなどでよく利用した素敵な伊都の食材を活かしたイタリアンのレストランでした。伊都キャンパスは周りに何にもないキャンパスですので、イタリアンレストランはなくてはならないお店でした。皆さんの思い出のお店がこんな形で消えるとは、残念なことです。日本中で本当に多くのお店や会社が影響をうけているのが身に染みてわかるニュースです。どうぞ一日も早く再出発をしてくださいますよう祈っております。

新型コロナウイルスの蔓延は止まらないようですが、季節は着実に変わっています。写真は丘のふもとの雑草の中にきれいに咲いていた百合の花と、自宅で咲いた朝顔の花です。散歩していると いたるところで白いユリや朝顔がきれいに咲いています。