熊襲とか熊本、くまモンとか、「くま」がつくいろんな有名なものが九州にあるのですが、なぜか九州には熊はいません。
熊を殺して漢方薬の材料をあつめたのだろうとか、熊の被害にたえかねて皆殺しにしたのだろうとかいろんな説を思いつきますが、本当のところはどうなのでしょうか?その疑問に答える番組が夕方NHK福岡放送局のロクいち!福岡という番組の、バリサーチというコーナーで放送されました (この番組は、NHKプラスで見逃し配信しています)。九州の大分県で1987年にツキノワグマが捕獲されましたが、DNA鑑定を含む調査からその熊は人間が九州にもちこんだものであることが確実だそうです。2012年、環境省は九州のくまの絶滅宣言をだしています。福岡に熊がいたという記録は、1700年代の文書に昔熊がいたという山があると書かれているくらいで、存在しないのだそうです。江戸時代からの九州での熊の捕獲記録も1868年から1940年の間にわずか46頭しかないそうです。九州には熊はいないというのは確実なようです。
バリサーチによると、熊が生息して繁殖するにはひろい広葉樹林が必要なのだそうです。しかし九州の山では、たたら製鉄がさかんだったこともあって広葉樹林の木材が薪として切り倒され、江戸時代にはほとんどの山が禿山だったとのこと。禿山ではクマの餌がないので冬眠もちゃんとできず、絶滅したのだろうといっていました。さらにその禿山には緑の回復のために針葉樹を植えたので、九州の山は広葉樹林が本州や北海道、四国などとくらべてきわめて少ないのだそうです。このような理由で、かろうじて生息していた熊は餌をとる場所がなくなってしまい九州から熊が消えたのだろうという話でした。本州と九州は関門海峡で隔てられていますが本州の熊が泳いで九州に定着することはないのでしょうか?番組によると、関門海峡の一番狭いところで650メートルの海で隔てられているだけなで、この距離は熊は余裕で渡れる距離なのだそうです。いかんせん関門海峡は流れが激しいので、熊が泳いで渡るのは結構困難だろうということでした。海を渡って熊が九州に定着するのはこの番組を見ている方が生きている間にはありえないということでした。ということで、九州の山には熊はいないので安心して山を楽しんでください。イノシシはいますので気をつけて‥。