Arxiv.orgはプレプリントサーバーの一つです。このサイトでtextbookと検索窓に入れて探してみると、いろいろ役立ちそうな教科書を見つけることができます。
たとえばこんな本がアップロードされています。これはプリンストン大学での講義に基づく機械学習の数学的基礎の入門書のようです。
[Submitted on 4 Sep 2024]
Introduction to Machine Learning
Laurent Younes
https://arxiv.org/abs/2409.02668
ほかにも物理における群論をMathematicaで学ぶという、群論の入門記事もあります。
Group Theory in Physics: An Introduction with Mathematica
https://arxiv.org/abs/2408.01441
この記事にのっている著者のGitHubにはMathematicaのnotebookがあるので役立ちます。
https://github.com/iisc-ug-20/Group_Theory_for_Mathematica
物理教育についての記事もあります。たとえばこんな記事です。
Quantum mechanics curriculum in the US: Quantifying the instructional time, content taught, and paradigms used
https://arxiv.org/abs/2407.15977
これは全米188の研究中心の大学で用いられている学部レベルの量子力学の教科書について分析したものです。
だいたいシュレーディンガー方程式から始まるposition-firstのコースが多い(73.7%)のですが、もっと現代的なthe Stern-Gerlachの実験の紹介から始まる「スピンから始まる」(spin-first)アプローチを採用している量子力学の教科書の採用も増えている(26.3%) そうです。
日本の教科書でも堀田昌寛先生の『入門現代の量子力学(講談社)』は、シュテルン=ゲルラッハの実験からはじまるのでSpin-firstのアプローチだと思われます。
position-firstのパラダイムで書かれている教科書としては、D. J. Griffiths, Introduction to Quantum Mechanics, 2nd ed. (Cambridge University Press, 2005)を使っているところが一番多いとのことです。
R. McIntyre, Quantum Mechanics: A Paradigms Approach (Wiley, Hoboken, NJ, 2017)や
J. S. Townsend, A Modern Approach to Quantum Mechanics (University Science Books, n.d.)などは、spin-firstアプローチで量子力学を教える先生に採用されている教科書です。
去年このブログで、世界各国で理系から文系まですべてのシラバスに載っている本を検索するサイトOpen Syllabusを紹介しました。このサイトでは、シラバスにのっておれば参考書でもリストされるので、授業で実際に使われている教科書を一発で探すことはできません。今回のような調査記事は役立ちますね。