新型コロナウイルス感染の量子生物学

プレプリントサーバーをみていたら、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質がレセプターに結合する際に、電子の量子トンネル効果によるトンネリングが重要な役割を果たしている可能性があることを議論している論文をみつけました。匂いの認識に非弾性量子トンネル効果が働いているという有名な説から思いついた研究のようです。

Bad vibrations: Quantum tunnelling in the context of SARS-CoV-2 infectionというタイトルの論文で、こちらにプレプリントがあります。https://arxiv.org/abs/2111.10259

この論文は、Scientific Reportに去年10 月にアクセプトされて掲載されていました。
https://www.nature.com/articles/s41598-022-21321-1
興味深い論文ですね。この論文で議論している嗅覚に量子生物学的効果(量子トンネリング)が主要な役割を果たしているという説についは、おなじくプレプリントサーバーに掲載されている以下の論文をご覧ください。

Quantum Biology: Can we explain olfaction using quantum phenomenon?

賛否両論を扱っている総説です。https://arxiv.org/abs/1911.02529
もっとやさしい匂いの量子生物学についての解説は、「量子力学で生命の謎を解く」の第5章をご覧ください。https://www.sbcr.jp/product/4797384369/
原書を読んでのセミナーの動画はこちらです。https://youtu.be/JliKgsH8y_