2022/08

2022/8/31 2022/2/13に以下の記事を書きました。医学書院の医学界新聞のサイトはいろいろ生命科学研究者や学生に参考になる記事があるので是非、ちょくちょく見てください。今日は医学界新聞(医学書院発行)を紹介します。医学に興味のある理系の研究者におすすめのサイトです。いろんな連載や記事があって参考になります。連載では、「臨床研究・疫学研究のための因果推論レクチャー」や「今日から使える医療統計講座」、その他学会発表のやり方や英語論文の書き方などいろいろありますので探してみてください。連載中のものはこちら。連載終了のものはこちらにリンクがあります。さっき教えてもらったのですが、この医学界新聞に昨年、サイバー攻撃についての記事が昨年出ていました。ランサムウエアをパソコンに入れるために犯人が送りつけてきたメールの実例と、その攻撃に対する対策が書かれている記事です。届いたのは受け取った先生が最近公表して評判になった論文についてのメールで、医学部の学生である私の先生の書かれた論文に対する意見を、個人情報が入っている内容なのでzipファイルで暗号化して添付ファイルにつけています。添付ファイルを開いてみていただいて先生の御意見をいただけたらありがたいですというような慇懃丁寧なメールです。これは私も添付ファイルを開いてしまいそうな文面です。標的型攻撃メールというのだそうです。宛先の業務内容や人物を詳しく研究してそれにあわせた内容をつくりあげて、標的型攻撃メールを作成して送ってくるというのは、ランサムウエアの犯人たちが常用する手段だそうです。どんなものかは以下のリンク先の記事で皆さんご確認ください。対策も書かれているので勉強になります。https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2021/3411_02
2022/8/30 九州大学が3次元立体モデルで生物標本を表示するデータベースを公開しました。昆虫や魚、植物などの標本を三次元立体モデルで表示して観察することができます。

世界に先駆けてリアルな「3Dデジタル生物標本」を1400点以上公開」という九州大学のサイトにのっているニュース記事をご覧ください。 https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/802/ 実際の立体モデルをみるのはこちらのページからどうぞ。 https://sketchfab.com/ffishAsia-and-floraZia/models

「公開された3DモデルのほとんどはCC BY 4.0ライセンスの下、誰でも自由にダウンロード・利用できます。」とのことです。埋め込み用のコがページから取得できるので、自分のweb pageにモデルを埋め込むこともできます。 実際に一つ3Dモデルを埋め込んでみましょう。コオニユリという花を表示したのが次の写真です。下のほうに青い字でDownload 3D modelという表示があります。その隣の隣に</>Embedというボタンがあります。これをクリックしてembed用のコードをコピーして、自分のweb pageにはりつければ終わりです。 こんな感じになります。full screenをクリックすると全画面表示で立体モデルを観察できますのでお試しください。

Credit表記は animal類は ffish.asia | plant類は floraZia.comでお願いしますということです。 論文はこちらを見てください。https://riojournal.com/article/86985/ 論文にのっているYouTubeビデオを一つ挿入しておきます。くさいちごの立体標本です。

立体図鑑の登場ですね。子供から大人まで楽しめるサイトです。是非活用してください。

2022/8/29 ホームのほうに私の中学生のときクラスメートが発掘した円筒埴輪に関する思い出話を書きました。国立国会図書館の個人送信資料で読めるおすすめの京都名所案内書も紹介していますのでご覧ください。以下はリンクのみ掲載しておきます。京都の本屋の駸々堂という出版社が昭和京都名所図会という全7巻からなる本をだしていたのですが、その本の第6巻 洛南の巻に坂上田村麻呂の墓のことが書かれていました。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9576300 このシリーズは京都の有名な史跡や神社、寺などを網羅しており、京都観光の前に予習で読んでみると、お寺や神社、その他史跡の知識が満載されていますので、観光が一段と楽しくなると思います。キーワード「昭和京都名所図会」で個人送信資料を検索してみてください。あと「京都の自然」(ナカニシヤ出版)という本もおすすめです。昔の本ですので山登りの情報は事前に再調査する必要があると思いますが、地質や植生などについての記述は参考になると思います。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9575661 京大の正門前にあった本屋さんの本です。 下の動画は九州国立博物館の円筒埴輪についての動画です。参考までに。
2022/8/28 去年の年末には近所にある前方後円墳 光正寺古墳に登りました。今朝は天気がとてもよかったので、急遽 春日市にある日拝塚古墳(ひはいづかこふん)に連れていってもらいました。下のギャラリーの写真をクリックすると大きな写真がみられます。写真とリンクのみ以下には記載しておきますので、詳しくはホームのほうでご覧いただければと思います。

文化遺産オンラインにはこの古墳のことも掲載されています。 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/202886 春日市は魏志倭人伝の伝える奴国があったところとされています。いろんな遺跡がありますのでこちらに来られた時は訪れてみてください。春日市の遺跡については以下のpdfがわかりやすいです。 https://www.city.kasuga.fukuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/250/naruhodokasuga.pdf 以下のブログの記事も大変参考になります。 https://koikoi2011.blog.fc2.com/blog-entry-499.html https://koikoi2011.blog.fc2.com/blog-entry-857.html

2022/8/27 ホームのほうの記事に武道と五輪書、そして地水風火空の五輪の意味について書きました。以下にはリンクのみ集めておきます 生命知としての場の論理」(中公新書1333)という本です。 生命を捉えなおす 生きている状態とは何か」がベストセラーになったのでお読みになった方もいるかもしれません。清水先生の本のおかげで、生命科学の研究の役に立つかもと思って、いろんな武道の伝書を読むようになりました。清水先生の「生命を捉えなおす」と言う本はビジネスパーソンに感動を与えて、先生はいろんな企業や政府の会にも呼ばれてお話をされていたようです。企業戦士に影響を与えたといえば、宮本武蔵も世界的ですね。宮本武蔵についてはその著書 五輪書(ごりんのしょ)が、Book of Five Ringsというタイトルで英訳されて世界中のビジネスパーソンに読まれているそうです。日本語で五輪書の原文と現代語訳が読めるのは国立国会図書館の近代デジタルライブラリーにある、この本(宮本武蔵五輪書詳解 1943年刊)が手軽です。また最近使えるようになった国立国会図書館の個人送信資料の中にも五輪書が入っています。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1265872 また、同じ個人送信資料にある日本武道全集の第一巻にも五輪書がよみやすい形で含まれています。これには柳生新陰流、タイ捨流、心形刀流、二天一流などの解説と伝書がいろいろはいっていますので時代劇ファンの方にも興味がもてる本だと思います。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2466845 またNHKの100分de名シリーズでも五輪書をとりあげていました。
2022/8/26 以前、京都大学のPython演習本を紹介したことがあります。この本(こちらからダウンロード可能です)の欠点は解答がないことだという指摘をもらいました。大学生の授業用教材を公開しているだけなので解答を提供していないのは理解できるのですが、Python初心者はちょっとしたところでうまくプログラムが動かず、模範解答がないので、結局有料コースを探してそちらで学ぶということになるようです。東京大学のこちらの教材はその点、解答つきなので京大版よりずっとよいかもしれません。 https://sites.google.com/view/ut-python/html版やpdf版、jupyter版などダウンロードして勉強できます。Google Colaboratoryを使うのでGoogleアカウントをつくって利用すると便利です。もちろんanacondaなどでColabを使わずに勉強してもいいと思います。
2022/8/25 ホームのほうに、ラッセル・アインシュタイン宣言について書きました。以下に日本語訳のリンクがありますのでお読みください。ラッセルアインシュタイン宣言は、核兵器廃絶をねがって湯川さんはじめアインシュタインやバートランドラッセル、マックスボルンなどなど著名な科学者が名を連ねた宣言です。核戦争が話題になるこの頃ですが、読み返してみるべき文書だと思い翻訳ののっているサイトを以下に紹介しておきます。https://www.pugwashjapan.jp/russell-einstein-manifesto写真はニュースでやっていたJames Webb Space Telescopeが撮影した木星の写真の一枚です。きれいに木星の環も写っています。 こちらのサイトに写真へのリンクがあります。https://webb.nasa.gov/ 高解像度版もダウンロードできますのでサイトでオリジナル版もご覧ください。https://www.flickr.com/photos/nasawebbtelescope/albums/72177720301006030 2010年宇宙の旅というクラークのSFを思い出しました。
2022/8/24 Qiitaの英語版の様なサイトであるdev.toをみていたら、英語でPythonを学ぶ無料コースを特集した記事がでていました。 Top 10 Free Online Python Coursesというタイトルで、10のpython無料コースが紹介されています。こちらからどうぞ。 https://dev.to/todaydealsorg/top-10-free-online-python-courses-48ne 記事にはUdemyの無料チュートリアルというのも幾つか紹介されています(英語の記事なので英語版の動画です)。Udemyに無料チュートリアルという無料コースがあるのは知りませんでした。Udemy以外のものも紹介されているのでよかったらみてみるといいでしょう。字幕もだせるので、英語の勉強にもいいと思います。例えばこんな動画があります。 https://www.udemy.com/course/python-free-intro/ 英語の勉強といえば、Udemyの無料チュートリアルの英語版の動画は面白いと思います。native speakerでない方の英語講義もありますので、サンプルビデオで聞き取りやすい動画を選ぶといいと思います。YouTubeとはまた一味違った動画があります。 https://www.udemy.com/ja/topic/math/free/ あたりで検索するといろいろ数学の動画がヒットします。 物理ならこちら。 https://www.udemy.com/ja/topic/physics/free/ pythonとかR言語とかの無料チュートリアルも以下から探せます。 https://www.udemy.com/ja/topic/python/free/ https://www.udemy.com/ja/topic/r-programming-language/free/ freeの前にいろいろ単語をいれると無料チュートリアルが探せます。 Rstudio Cloudというのもあるんですね。こちらは日本語の無料チュートリアルです。 https://www.udemy.com/course/lets_start_rstudio-cloud/ 今、ちょうと今、Udemyはセール(8月31日まで)をやっているようです。有料コースも安い価格で購入できるようです。
2022/8/23 先日写真を紹介したアサガオの根元にあるジュズサンゴの花が咲きました。今日は個人送信資料(国立国会図書館)で読める文学の本を紹介します。 ドイツのシュトルムの作品集はいかがでしょうか。「みずうみ」は有名ですね。中学校卒業のとき、先生が卒業祝いに下さった本です。「茶の本」と「みずうみ」があって、私はこちらを選びました。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1698176 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1697923 茶の本はこちら。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3022027 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1668475  他にも、検索してみると、サマセットモーム全集とか、モームの「人間の絆」とかも読めることがわかります。中学校のときはクラスメートが探偵小説を次々と読んでいたのを思い出しました。アガサクリスティやクリスチーで検索すると、ABC殺人事件https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1670948とかオリエント急行殺人事件https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1671273などいろいろヒットします。もちろんクイーンだのシャーロックホームズなどもあります。今NHKのBSでポアロを放送していますが、原作と比べるのも面白いかもしれません。https://www.nhk.jp/p/poirot/ts/1K56ZK71Q9/
2022/8/22 進化の本を先日紹介しましたが、無事本日「進化と人間行動第2版」のほうも到着しました。著者のお一人、大槻久先生は九大生物学科のご出身と知りました。なかなかよさそうな本です。今日は進化の動画で面白そうなものが公開されたので紹介しておきます。閉鎖とのことで話題の京都大学OCW(オープンコースウエア)にて、昨年11月に京都大学の第17回MACSコロキウムで行われた以下の二つの講演が動画公開されています。 https://ocw.kyoto-u.ac.jp/course/1101/ 早水先生の講演は進化系統樹についての話で、倉谷先生のほうは進化と発生のパターンについての講演です。要旨を読むとどちらも面白そうです。それぞれ1時間程度の動画です。 第17回 MACSコロキウム 進化の系統樹と系統ネットワークに関する組合せ論 早水 桃子(早稲田大学・専任講師―当時 : 現在は准教授) https://youtu.be/mBHRueanQoY

進化と発生のパターンについて 倉谷 滋(理化学研究所・主任研究員) https://youtu.be/1d_m39AzbfQ

 

2022/8/21 昨日注文した進化政治学の本が今日とどきました。長谷川先生達の書かれた本も今日注文して、明日届くそうで楽しみです。今日は統計解析で使うプログラミング言語の標準であるR言語をつかって疫学研究をするための手引きの紹介をしておきます。詳しくはホームをご覧ください。こちらにはリンクを載せておきます。疫学の研究向けのEpi R Handbookという本がオンラインで読めますので、疫学に興味のある方はご覧ください。 詳しくはhttps://www.epirhandbook.com/en/ の中にあるダウンロードページを見てください。https://epirhandbook.com/en/download-handbook-and-data.html 日本語版も9月中旬公開予定だそうで楽しみですね。 また関連情報がこちらApplied EpiTMのページにまとまっています。 https://www.appliedepi.org/ 登録が必要ですがオンラインチュートリアルもあるそうです。 https://appliedepi.org/tutorial/
2022/8/20 本を二冊紹介します。進化論の観点から考察することで人間の行動、戦争の起こる原因などが解き明かせるかもという学問(進化政治学)に関する本です。詳しくはホームをご覧ください。 進化政治学と平和 科学と理性に基づいた繁栄:伊藤 隆太 著 芙蓉書房出版 https://www.amazon.co.jp/dp/4829508329こちらに詳細な書評がでています。https://shorebird.hatenablog.com/entry/2022/06/11/115732 関連した本として、長谷川真理子先生他による今年出版されたこの教科書も面白そうなので紹介しておきます。 進化と人間行動 第2版:長谷川 寿一,長谷川 眞理子,大槻 久 著 東京大学出版会 https://www.amazon.co.jp/dp/4130622307
2022/8/19 先日のDNAの突然変異メカニズムの量子力学的モデリングの論文の著者 Jim Al-Khaliliさんの新しい動画です。Oxford philosophy of physics seminarsというオックスフォード大学のセミナーシリーズでの講演です。この方は、テレビなどで科学解説番組にいろいろ出演されているようです。YouTubeで名前で検索するとBBCほかいろんな番組の動画がみられます。

Life on the Edgeはこの前紹介した彼の有名な本の原著のタイトルです。このオックスフォード大学提供のセミナーシリーズ https://www.youtube.com/c/OxfordPhilosophyofPhysics/videosは面白そうです。 ざっとタイトルを見てみたのですが、みてみたい動画が色々ありました。 https://youtu.be/OmaSAG4J6nw

上の動画のタイトルは、Title: Why We Shouldn’t Believe in Hilbert Spaces Anymore, and the Case for Platonic Quantum Theory というものです。ハーバード大学の先生の講演です。動画の最初のほうは生物をやっている私などにもわかりやすい導入でした。ヒルベルト空間を使った量子力学の定式化はだめだというお話です。提唱したフォンノイマンも1935年に自分ではヒルベルト空間による定式化を絶対的には信じていないといっているという話もありました。かわりになるのは、Gelfand–Naimark–Segal construction (GNS構成法)というC*代数というものを用いる理論だそうです。ハーバード大学のこちらの動画シリーズは物理の人には面白いかもしれません。https://www.youtube.com/channel/UCPRe-yID_EaQwvCZM7hU9Hw/videos この先生の以下の動画は、物理と哲学の話でより一般向けでわかりやすいかもしれません。同じ画像ですがこちらのほうがより最近の講演です。

 

2022/8/18 THE ROYAL INSTITUTIONの講演動画の紹介です。 Physics experiments that changed the world – with Suzie Sheehyという動画です。 20世紀のはじめ、21世紀はこんなのになるのではというカードがでていたそうです。 https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:France_in_XXI_Century_(fiction) 上のリンクのような未来予測のカードがフランスででていたそうですが、この時代には、物理学にもう画期的進歩はなかろうという意見も結構有力視されていたそうです。しかし20世紀への変わり目から、次々と新しい実験的発見がありました。この講演は 1900年あたりのレントゲンによるX線の発見の紹介からはじまります。ラザフォードの実験と彼のグループにいた忘れ去られた優秀な女性研究者Harriet Brooksの話、テスラの1200万ボルトの高電圧発生装置が物理学の発展に及ぼした決定的役割、原子爆弾の開発と、核分裂を発見したLise Meitnerのマンハッタン計画への参加拒絶の話 (彼女はこういって参加を断ったそうです。I will have nothing to do with a bomb!)、広島・長崎への原爆投下で物理学者が物理学の社会とのかかわりに目覚めた話、ウイルソンの霧箱や粒子加速装置の開発からハドロンコライダーまでの話など興味深い話が、デモ実験と併せて展開されています。Sheehyさんは最近The matter of everything twelve experiments that changed our worldという本を書かれたそうで、この講演はその本の内容紹介にもなっています。https://www.amazon.co.jp/Matter-Everything-Twelve-Experiments-Changed/dp/1526618966 https://youtu.be/aXg3edeUrtc
2022/8/17 DNAの突然変異の過程に量子現象が関与しているのではないかという議論はずいぶん昔からありました。最近、Nature系列の雑誌Communications Physicsに面白い論文がでていました。オープンアクセスですので誰でも自由に読むことができますのでご覧ください。 An open quantum systems approach to proton tunnelling in DNA というタイトルで Jim Al-Khaliliのグループ(Department of Physics, University of Surrey, Guildford, GU2 7XH, UK)からの論文です。 この人は昨今の量子生物学ブームに火をつけた方です。このブログでも以前の記事でとりあげています。「量子力学で生命の謎を解く」(SB Creative社発行)という本はベストセラーになりました。Slocombe, L., Sacchi, M. & Al-Khalili, J. An open quantum systems approach to proton tunnelling in DNA. Commun Phys 5, 109 (2022). https://doi.org/10.1038/s42005-022-00881-8 論文はこちらからダウンロードできます。 https://www.nature.com/articles/s42005-022-00881-8#Abs1 DNAの塩基G(グアニン)とC(シトシン)は水素結合でDNAの二重らせんの中で結合しています。一方の鎖のGはもう一方の鎖のCと三本の水素結合で結合するというわけです。(塩基のアデニンAは塩基のチミンTと二本の水素結合で結合します)。この論文ではこれら核酸塩基の間に働いている水素結合を担う水素原子(プロトン)が量子トンネル効果で移動して核酸塩基が互変異性体(tautomer)へ変化する現象を量子力学でモデル化して研究しています。例えばG–C ↔ G*–C* → G*–T(註:アスタリスクはGやCの互変異性体を示します)となって、本来Cであるべきところがプロトン移動による互変異性体の形成の結果、Tに変わってしまうという突然変異がおきるわけです。論文ではこうした突然変異が起こる確率を計算しています。プロトンの量子トンネル効果によって互変異性体ができて平衡に達する時間や確率を量子力学と統計力学を用いて計算しています。絶対温度300ケルビン(だいたい摂氏27度の室温です)での計算結果は、互変異性体による突然変異のおきる確率が従来の古典モデルで予想した値の10000倍になることを示しているそうです。今まで量子現象は突然変異にはほとんど寄与指定いないと考えられていたのですが、どうやら突然変異には量子効果が極めえ重大な役割をはたしているようです。今回の論文のように、量子力学を常温での生命現象に応用する試みがこれからどんどん増えていくと思われます。面白い時代になってきました。以前のブログの記事はこちらです。 https://glycostationx.org/2018/10/02/%e7%a7%8b%e3%81%ae%e3%81%8a%e3%81%99%e3%81%99%e3%82%81%e6%9c%ac%e3%81%9d%e3%81%ae%ef%bc%91%e2%80%95%e9%87%8f%e5%ad%90%e7%94%9f%e7%89%a9%e5%ad%a6%ef%bc%88%ef%bc%91%ef%bc%89/
2022/8/16 AlphaFold2を自分のパソコンにインストールする方法についてはこちらのQiitaの記事が参考になりそうです。 https://qiita.com/suginaga/items/b487293c1b54d51714c9 またGoogleのColabFoldをクラウドではなく、自分のパソコンで使えるようにしたシステムLocalColabFoldの利用法もQiitaに記事がでています。 https://qiita.com/Ag_smith/items/fca48002fbdcb15145c0 これはGPUが本家の無料版では安物しかつかえない、使用時間の制限があって使い物にならないなどの場合の対策として利用されているシステムです。 LocalColabFoldのインストールの仕方はこちらにあります。 https://github.com/YoshitakaMo/localcolabfold/blob/main/README_ja.md これらの記事は、ColabFoldの論文(オープンアクセスでダウンロードできます) https://www.nature.com/articles/s41592-022-01488-1 の著者でもある東大の森脇先生の書かれた記事です。 森脇先生のこちらのページもMD simulationとかpymolとかいろいろ面白そうな記事があって参考になります。 https://github.com/YoshitakaMo
2022/8/15 お盆なので不思議な話の続きです。ずいぶん前に亡くなった父の体験談です。父が小さかったころ 夜 鉱山から帰る途中 山道を歩いていました。あたりは夜で真っ暗。家路を急いでいると前にある山の斜面の上のほうから、灯(あかり)がゆっくり降りてきたのが見えたそうです。一瞬、提灯を持った人がいるのかなと思ったのですが、山の斜面を提灯をもって人が下りるはずもなく、浮かんでいるその灯はリズミカルに上下しながら、ゆっくり斜面をおりてくるので、ちょっと怖くなって眺めていたそうです。大きさは、ちょうど今でいうサッカーボールほどで、空中に浮かびながら斜面をおりてきて、父に近づいてきて、目の前までくると、パッと消えてしまったそうです。色は提灯の灯のような色だったとのことです。結構長時間観察できたそうで、あれは本当に不思議な体験だった、あれが何だったのかは未だにわからないけれどなどと、時々思い出しては話していました。私は球電ではないのかなと父に話していました。(球電Ball Lightningについては以下のリンクにある英語版Wikipediaが詳しいです) https://en.wikipedia.org/wiki/Ball_lightning 中谷宇吉郎さんが書かれた岩波新書の「雷」という本には球電のことが詳しく書いてあってそれを読んでいたのでそう思ったのでした。別に雷が鳴っていたわけではなかったそうですが、球電であったとしても そうでなかったとしても、とても珍しい現象にでくわしたのは間違いありません。中谷宇吉郎の本は「雪」とか「雷」とかいう本が個人送信資料で読めます。「雷」については今私の持っている本とくらべると、個人送信資料に収録されている本が戦前のものなので、写真図版がついていないようで残念です。青空文庫では「雪」は読めますが、「雷」は作業中とのことです。下の写真は昨日収穫した我が家のブドウと赤唐辛子です。どちらも無農薬で育てましたが、今年はカメムシやコガネムシの食害がほとんどなくて、先月の収穫分とあわせて写真の倍以上の量のブドウ (デラウエア)が収穫できました。
2022/8/14 Mathematicaは便利なソフトウエアです。以前紹介したMathematicaのYouTubeチャネルhttps://www.youtube.com/c/wolframjapanに新しい動画が入っていますので紹介します。これなどはMathematicaの入門後に、ソフトを使いこなすのには必須の動画ではないでしょうか。 https://youtu.be/b2i96d0rJJA

&, /@, @@, #って? (Function, Apply, Mapの概要)というタイトルの動画です。MathematicaのWolfram 言語で書かれたコードによくでてくる記号を解説してくださっています。演者の丸山先生はWolframの方ですが、微分方程式の入門セミナーを去年されました。丸山先生については去年の記事をご覧ください。 https://glycostationx.org/2021/09/27/mathematica%e3%81%ae%e7%b4%b9%e4%bb%8b%e3%81%a7%e3%81%99%ef%bc%81/ 同様の微分方程式の丸山先生によるセミナーが以下から登録できますので登録されるとよいでしょう。「微分方程式を解こう!—教科書の課題から流体計算まで2022」というタイトルです。 https://www.bigmarker.com/series/solving-difference-equation-JP-2022/series_details

2022/8/13 今年6月16日の記事で、国立国会図書館デジタルコレクションで世界の名著シリーズが読めることを紹介しました。 世界の名著 現代科学Ⅱ https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2988842 これにはポアンカレの「科学と仮説」やワトソンとクリックのDNAの二重らせん構造の発見のNature論文、ノイマンの「人工頭脳と自己増殖」の論文、マッカローの「なぜ心は頭にあるか」という論文、そしてセントジェルジの「医学の将来」という論文などがのっています。この本に収録されているノイマンの論文の翻訳をされた品川嘉也先生によると、本当はノイマンの「電子計算機と頭脳」を収録しようと思っていたのだが、版権の関係で果たせなかったということです。デジタルコレクションの個人送信資料にはこの本の翻訳書が入っています。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2504659 また英語版では2000年発行のものがInternetArchiveで貸出できます(写真には裏表紙に書いてある推薦文などが写っています。Ulamの推薦文もありますね)。 https://archive.org/details/computerbrain0000vonn/mode/2up ホームの記事にはノイマンの論文を推奨しておられたBrenner先生についての過去記事を付けておきますのでご覧ください。
2022/8/12 生化学で糖やアミノ酸などを扱う時、enantiomerというのがよくでてきます。 enantiomer : 鏡像異性体, 鏡像体, 対掌体, エナンチオマー という訳がLife Science Dictionaryのサイトにでています。こんな例があります。 (R)-1-bromo-1-chloroethane と (S)-1-bromo-1-chloroethaneと書かれている化合物の違いはなんでしょうか。これらの化合物は、正四面体の中心に位置する炭素原子Cに、臭素原子Br・塩素原子Cl・メチル基CH3・水素Hが結合している分子です。鏡像異性体が二つあってそれぞれR型、S型と呼ばれます。このRとSを使った立体構造の記述法では、(R) はラテン語のrectus;  right, correct or properという意味の単語、(S) はラテン語のsinister; left or improperという意味の単語に由来しています。どのようにRとSを決めるかについては、以下のサイトのゲームが面白いです。 https://rschemistry.com/ カリフォルニア大学ロサンゼルス分校UCLAのGarg Labの作ったフリーのゲームです。https://garg.chem.ucla.edu/のeducationの部分をクリックすると他のゲームもありますので遊んでみるといいでしょう。説明をじっくり読んでから(英語が苦手な人は日本語の適当な説明を読んでから(たとえばこちらhttps://www.t.soka.ac.jp/chem/yuki/text/OC1ch7.pdf)やってみると絶対配置を記述するRS表示が使いこなせるようになると思います。
2022/8/11 YouTubeのRoyal Institutionのチャンネルに、Nick Laneの新しい動画がアップロードされました。https://youtu.be/vBiIDwBOqQA How the Krebs cycle powers life and death – with Nick Lane What process animates cells and gives life to lifeless matter? What brings our own lives to an end? The Krebs cycle is the answer – and it could turn our picture of life on Earth upside down. Watch the Q&A here: https://youtu.be/UqsqJM8g604

Nick Laneはとても優秀な生命科学の解説者だと思います。彼の本や動画にはいつも感銘をうけます。今回は彼が5月に行った講演の動画です(NIHでの生命の起源の動画はこの記事の末尾をご覧ください)。新しい本を出版したそうで、新しい本を書いた著者はちょくちょく、このRoyal Institutionの講演を依頼されるようです。Nick’s book ‘Transformer: The Deep Chemistry of Life and Death’ is out now: https://geni.us/X1cOOL8 今回の動画はKrebsサイクルを中心に生命とは何かを考えるという内容です。Krebsサイクルが生命の中心に存在して、生きているという状態を特徴づける代謝経路であるとともに死とも関係していることをわかりやすく、また斬新な観点から解説しています。癌のワールブルック効果の話や生命の起源の話もありますので是非ご覧さい。眼細胞は解糖系を活性化させているというWarburg効果は一度は批判にさらされましたが、今では様々な実験から確認されて、広く受け入れられている事実です。癌とKrebsサイクル、どんな関係があるかは動画で確認してみてください。Royal Institutionのチャンネル登録はこちらです。Subscribe for regular science videos: http://bit.ly/RiSubscRibe KrebsサイクルやNick Laneの他の動画についてはホームの本日の記事をご覧ください。

2022/8/10 今日は著作権についての論文の紹介です。 早稲田大学の上野達弘教授は著作権についての教科書や弁理士の知識のブラッシュアップや政府委員などもつとめられている著作権の専門家です。 http://www.f.waseda.jp/uenot/profile.html Twitterで先生の以下の論文が話題になっていました。 アーティクル:情報解析と著作権——「機械学習パラダイス」としての日本 人工知能 36 ( 6 ) 745 – 749 2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsai/36/6/36_745/_article/-char/ja/ 論文はこのようにはじまります。以下に引用します。 「情報解析と著作権──「機械学習パラダイス」としての日本 1.は じ め に とかくドメスティックになりがちな(日本の)法学分野において,できるだけ国際的な発信を心掛けている筆者にとって,近時最大の持ちネタが,「情報解析のための権利制限」という著作権法上の規定である.これは,日本法の中では珍しく外国に自慢できるものだからである.簡単にいうと,この規定によって,機械学習など情報解析を目的とするのであれば,著作権等のあるコンテンツを自由に利用できるのである.したがって,この規定は人工知能の研究開発にとっても極めて有用な規定のはずである.諸外国にも同様の規定を設ける動きはあるが,日本法ほど広範で強力な規定は見られない.日本は,世界に例を見ない “ 機械学習パラダイス” なのである。」極端な例としてはたとえば、AIにディズニーの映画やアニメのDVDなどを見せて学習させて、ディズニー風の新しいアニメを作って販売することは、たとえディズニー社が反対しても、法律違反にならないということだそうです。これはすごいことですね。日本では有料論文を学習させてAIを作って売ったり、無料公開したりしても著作権に触れないということになるのでしょうか。もしそうなら日本人の英文での執筆に計り知れない貢献をすることになりますね。著作権というものに興味がなかった方も、この日本語論文を読んで興味がもてたら、上野先生の他の本や論文を勉強してみたらいかがでしょうか。先生のホームページも紹介しておきます。http://www.f.waseda.jp/uenot/ httpsで見たい方は以下の早稲田大学のデータベースをどうぞ。 https://w-rdb.waseda.jp/html/100000865_ja.html
2022/8/9 Windowsの場合、WinShotというソフトがスクリーンショットをとるのに便利です。WinShotはhttp://www.woodybells.com/winshot.htmlに作者による解説があり、ダウンロードは窓の杜などから可能です。https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/winshot/ Windows10でも作動します(ヘルプは表示されないです)。このソフトではホットキーの登録もできmす。たとえば、環境設定のホットキーメニューで、PrtScrキーを「jpeg保存・矩形(くけい)範囲指定」のホットキーに指定します。WinShotを起動しておいて、PrtScrキーを押すと、矩形指定用の十字の形のカーソルがあらわれ、この十字のカーソルを動かして、選択したい範囲を設定できます。これで自分の好きな範囲の画面をPrtScrキーを一回押すだけで、指定してあるフォルダに連番でjpegで保存できます。これを利用して、PCで電子ブックのページを表示しておき、電子ブックのページをめくりながら、PrtScrキー一発で同じ範囲を次々と指定したフォルダに連番でjpeg保存することも出来ます。あるいは、定期実行キャプチャモードを使えば、指定した秒数ごとに指定範囲をキャプチャすることもできます。これも、矢印キーでページをめくりながら、キーを押さずに次々とキャプチャすることができて便利です。WinShotは極めて丁寧に作りこんであるソフトで、いろいろ工夫すると便利に画面キャプチャができるので、一度使ってみることをお勧めします。
2022/8/8 とても面白い教育的な動画をあつめているサイトとして、京都大学のOCWを紹介してきました。残念なニュースです。京都大学オープンコースウェア(OCW)の閉鎖についてというニュースが飛び込んできました。https://ocw.kyoto-u.ac.jp/news/6/ 「京都大学高等教育研究開発推進センターは2022年9月末に廃止されることになりました。京都大学オープンコースウェア(OCW)も、残念ながら9月中旬以降にサイトを閉鎖することになりました。2005年以来、京都大学OCWをご利用いただき誠にありがとうございました。」とあります。 このOCW閉鎖のニュースのページに書いてある参考になりそうな部分を引用します。「OCWの講義ビデオは10月以降すべて削除されてしまうのですか」 本学のOCWの動画についてはYouTubeチャンネルを利用して運用してきました。10月以降、動画が直ちにアクセスできなくなることはありませんが、OCWの運用組織がなくなることから安定的な運用が困難となりました。「動画以外のコンテンツのバックアップを保存したい」 ウェブページに掲載されているテキスト情報については、お使いのブラウザで「保存」「別名で保存」することで保存できます。各ページからリンクされているPDFファイル等はリンク先を右クリックなどでデータを保存して下さい。動画のYouTubeからのバックアップ方法が書かれていたそうですが、YouTubeの規約違反になるとのことで削除されたようです。後日、対処方法がアップされるようですので楽しみに待ちましょう。こうしたOpen Course Wareは外国にもいっぱい公開されています。 今日、量子力学の教科書を探していたらMITから今年刊行された Mastering Quantum Mechanics Essentials, Theory, and Applications という本の著者 Barton Zwiebach教授は、MITで量子科学の学部生用講義を長年担当されてきた学部教育に意欲的な先生で、かつ有名な弦理論の物理学者だそうです。この先生の講義が講義ビデオ、講義資料ともにダウンロードできる形でMITのオープンコースウエアとして公開されています。新刊の教科書のホームページhttps://mitpress.mit.edu/books/mastering-quantum-mechanicsにリンクがのっています。ページ左下のReader Resourcesには正誤表の下にOpenCourseWare Quantum Physics I, II, IIIのページへのリンクがあります。OpenCourseWare Quantum Physics I https://ocw.mit.edu/courses/physics/8-04-quantum-physics-i-spring-2016/ をクリックすると、Quantum Physics I のサイトが開き、ビデオレクチャーズをクリックすると、https://ocw.mit.edu/courses/8-04-quantum-physics-i-spring-2016/pages/video-lectures/が開き、Part I Basic conceptsから講義が始まります。 https://ocw.mit.edu/courses/8-04-quantum-physics-i-spring-2016/pages/video-lectures/part-1/ 最初の講義は、Quantum mechanics as a framework. Defining linearityというものでビデオやスクリプト、講義資料などをダウンロードできます。ビデオのダウンロードは、再生中にダウンロードボタンをクリックして出てくるポップアップから、ダウンロードをマウスで選ぶ(マウスの右クリック)と自分のパソコンにダウンロードできます。字幕も表示できていたれりつくせりです。 このPart 1 のLecture 2で、すでに量子的もつれなども紹介されていて、量子力学ネイティブな時代の講義のようです。教科書もKindle版では1万円程度ですので、講義をきいてよさそうだったら買うとよいでしょう。
2022/8/7 科学者の随筆といえば私達の年代は寺田寅彦を思い浮かべます。今でも広く読まれていますが、今日は個人送信資料から、科学随筆全集を紹介します。科学随筆全集続もあります。 こちらから検索するといろんな日本の科学者(数学者、物理学者、医学者、生命科学研究者、化学者などなど)の随筆が読めます。 木下是雄、秋月康夫、吉田耕作その他いろんな方の随筆があります。夏休みの読書にいいかもしれません。あと、さっき気づいたのですが、AlphaFold2より優れた立体構造予測力を持ち、複合体のタンパク質立体構造解析につよいUni-FoldというAIプログラムが発表されています。 Uni-Fold: An Open-Source Platform for Developing Protein Folding Models beyond AlphaFoldというタイトルの論文がこちらにプレプリントででているのでご覧ください。 https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2022.08.04.502811v1 中国からの論文で、オープンソースでトレーニング資料も公開されています。まさにオープンソースサイエンスの精神を具現化した論文のようです。
2022/8/6 今日は8月6日です。朝、防災無線で広島原子爆弾犠牲者追悼の鐘がなりました。福岡は広島や長崎に近いので、原子爆弾の犠牲になった方の身内や被曝二世とかの方も多く暮らしておられます。あの戦争のことは、私の父親や家内の両親からいろいろききました。そんな話もブログに書いておくことにしました。ホームのほうに詳しく書きましたのでよかったらご覧ください。 
2022/8/5 国立国会図書館デジタルコレクションでは小説もいろいろ読めるということで、前回はボーヴォワールの「人はすべて死す」を紹介しました。今回は医療小説を紹介します。イギリスで医師をしていたこともある作家 クローニンの「城砦」という作品です。若い医師の青春、仕事、挫折と再生というテレビドラマに最適な内容で、実際日本でも翻案されてドラマになったこともあり、私は観たことがあります。市販本は絶版になっているのでお近くの図書館や個人送信資料でお読みになるとよいと思います。個人送信資料で読まれるときは、画像が読み難いと思いますので、必ず画面上に並んでいるメニューの中から、「印刷するには」の隣にある、「画質調整ダイアログ」を利用して画質を読みやすく調製してお読みください。ガンマの調節が一番有効だと思います。あるいはスクリーンショットをとってjpegなどの画像にしてから一括で画質調整して読みやすくするのもよいでしょう。 クローニン全集第八巻 城砦のリンクはこちらです。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1695760
2022/8/4 iBiologyの動画は時々紹介しています。iBiologyのトップページを是非ご覧ください。https://www.ibiology.org/ 最新の研究の紹介のほか、生命科学の歴史に関する動画シリーズ Featured Playlist: Famous Discoveriesや、登録が必要ですが、よい講演をするためのコースとかもあります。今日は顕微鏡の動画シリーズを見つけたので紹介します。光学顕微鏡のすべてというような内容の動画シリーズで、時間があるときに見ると大変役立つと思います。https://www.ibiology.org/online-biology-courses/microscopy-series/ に動画がいろいろありますのでご覧ください。こちらはイントロの動画です。 https://youtu.be/4c5ILWQmqRY

なんと井上信也先生の動画もありました。https://youtu.be/_-C2Db-aBuU

井上先生は偏光顕微鏡やビデオ顕微鏡の発明で有名(シンヤスコープって聞いたことがあるかもしれませんね)ですし、wikipediaによると、息子さんと共同で画像解析ソフトMetamorphを開発されたそうです。Metamoprhは私達がいつもお世話になっていた有料ソフトです。

2022/8/3 今日も個人送信資料の紹介です。 SFではないのですが、ボーヴォワールの「人はすべて死す」という文学作品が読めるのをお知らせします。私が岩波文庫版で読んで感動した作品です。国立国会図書館デジタルコレクションんの個人送信資料の中に、ボーヴォワール著作集というのがあって、その第4巻です。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1695176 岩波文庫本ではタイトルが「人はすべて死す」となっていますが、この著作集では、「人はすべて死ぬ」となっています。ストーリーは、ヨーロッパ中世のころ、あるきっかけで、一匹の二十日鼠といっしょに不死になった男が、世代を越えて生き続ける話です。愛するものとの別れ、戦争と平和の繰り返し‥‥。作品を通じて不老不死というのがどんなものか、考えさせられます。岩波文庫の帯にはこうあります。「”不死の薬”を飲んだフォスカは戦いにも倒れず、ペストにも冒されない。だが、人類の歴史を眺める」彼の深い悲しみは癒えないのだ」個人送信資料には岩波文庫版もあります。どちらも同じ訳者による翻訳です。夏休みの読書にもおすすめの作品です。 写真は今、我が家の庭に咲いているジュズサンゴの花と実です。綺麗な実ができますね。 
2022/8/2 毎日猛暑が続いています。福岡も気温が体温より高くなったりしています。頼みの夕立はまったくきません。自宅付近では風が結構ふいて、湿度は低いので市内ほどではないのですが、やはり暑いです。自宅では百合の花がいっぱい咲きだしました。 今年はブドウ(デラウエア)もカメムシにほとんどやられなかったので、葉っぱもきれいに実が色づいてきています。色づいたものはみんなで食べましたがとてもおいしかったです。さて今日はFoldseekを動かしていましたが、使い方はまだ慣れないところがあるので後日記事を掲載することにします。かわりに国立国会図書館で個人送信で読める本を二冊紹介しておきます。一冊目はトルストイです。昨日NHKの100分de名著で取り上げられた本「人は何で生きるか」(トルストイ)が無料で読めます。番組の再放送は2022年8月8日(月)午後1時5分~1時30分/Eテレだそうです。 https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/blog/bl/pEwB9LAbAN/bp/p5oJ1oXpM0/ トルストイの番組でとりあげられた作品はトルストイ全集第5巻にのっています。こちらから読めます。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1699150/8 デジタルコレクションの個人送信資料には、世界文学全集や日本文学全集がはいっているので、トルストイの他の本も翻訳で皆よむことができます。ドストエフスキーとかもありますので探してみてください。もう一冊は現代代数学概論改訂3版(白水社)という本です。バーコフとマクレーンによる教科書で、じっくり現代代数学を学ぶのに最適というようなことが秋月康夫先生の序文にかいてあります。訳者序文にも幅広い分野の人に役立つ本だとありました。値著者は圏論でも有名な方ですよね。こちらにありますのでご覧ください。 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2422244
2022/8/1 今日はタンパク質のpdbファイル(タンパク質の立体構造―原子の座標などを記述してあるファイルで、タンパク質のデータベースのPDBファイルのリンクからダウンロードできる)を用いて、類似の立体構造を持っているタンパク質を探すプログラム Daliの使い方を簡単に紹介します。 まず調べたいタンパク質の立体構造を記述してあるファイルPDBファイルをAlphaFoldのサーバーなどからダウンロードします。 https://www.alphafold.ebi.ac.uk/ 今日は線虫C. elegansのN型糖鎖合成経路の遺伝子の一つ algn-13の立体構造を使ってみることにします。AlphaFoldのサーバーで「algn-13  C. elegans」のキーワードで検索して(Uniprotでも可能です)algn-13の項目を表示してPDBファイルをダウンロードします。 https://www.alphafold.ebi.ac.uk/entry/P92012 AF-P92012-F1-model_v3.pdbというファイルがダウンロードできたと思います。 そのファイルを保存した上で、Daliサーバーにアクセスします。 http://ekhidna2.biocenter.helsinki.fi/dali/ Daliサーバーのトップページには様々な便利なプログラムがおいてあります。今回はプログラムの中からAF-DB comparisonを使ってみましょう。これはAlphaFoldが予測したタンパク質の立体構造のPDBファイルを入力して、類似の立体構造を持っているタンパク質を(一つの種)から探しだすプログラムです。サーバーの負荷の観点から、検索は一つの種内でだけ実行できます。以下のリンクをクリックして表示されるページのSTEP 1からSTEP 4で検索が始まります。 http://ekhidna2.biocenter.helsinki.fi/dali/index.html#AFDB STEP 1でパソコンに保存してあるpdbファイルの場所を入力します。 STEP 2で検索する種を一つ選びます。今回はHumanにしてあります。 STEP 3はオプショナルで、入力しなくてもいいですが、emailアドレスを登録しておくとメールで完了通知がとどきます。上のjob titleは今回の検索ジョッブのタイトルを適当につけます。 STEP 4でsubmitします。 画面が替わって、実行順番待ちの画面にかわります。Status: Queuedと表示されています。 画面がRunningになったら検索中です。 終わるとこんな画面になります。結果は一週間保存されるそうです。 Interactiveを押します。画面が替わって結果が一覧できます。 今回は試しに一番上のヒットであるNo.1を選択して、3D表示してみましょう。Expand gapsの隣にある3D superposition (PV) ボタンを押します。 結果が表示されます。 緑が線虫のタンパク質(Queryにチェックが入っています)、茶色がヒトのタンパク質(e7raA)です。薄く表示されているのはヒトのタンパク質のほうの全体です。線虫とヒトの二つのタンパク質の立体構造が見事に一致しているのがわかると思います。右の図はマウスで拡大縮小、回転など自由に動かして眺めることができます。Tutorialをみながらいろいろ試してみてください。これはBLASTとちがって直接、類似の立体構造をさがしてくれるのでとても有用です。私達がpsi-blastにもとづいて立体構造の類似を議論したがあったのですが、Daliでやってみると確かに類似の立体構造が確認できました。別のプログラムであるFoldseek https://search.foldseek.com/searchもDaliとはまた違った結果がみられるのでこちらも結構役立ちそうです。