マイケル・ファラデーはイギリスの生んだ偉大な科学者です。彼の実験ノートについては以前ふれましたが、Internet Archiveからその実験ノート(Faraday Diary)のvol.1-vol. 5までをダウンロードすることができます(全7巻なのですが残りはまだアップロードされていません)。(2019/08/25 追記;以下のリンクからFaradayの多くの著作がダウンロード可能になっています。ここにアクセスして、Scientific Books Collectionのページを見てください。Faradayの主な著作―「ロウソクの科学」や「力と物質」、あるいは書簡集やExperimental Researches in Electricityその他の著作、そしてFaraday Diaryの一冊本がダウンロードできます。表示された画面の上部にあるInfoボタンの左側の下矢印のボタンをクリックするとpdf, ePub, Kindle、Plain textなどでのダウンロードボタン(ポップアップ)が現れます。好きな形態を選んでクリックしてダウンロードしてください。これでFaradayの実験ノートは全部ダウンロードできるようになりました。全文検索可能ですし、なんと3272ページの本ですが是非ダウンロードしてご覧ください。)
Experimental Researches in Electricityや、有名なロウソクの科学、その他いろいなFaradayの本がありますので検索してみてください。ファラデーはモーターも発明していますが、動いている様子は以下のYouTubeの動画にあります。この動画はアインシュタインのE=mc2をテーマにした優れたドラマ仕立ての作品です。日本語吹き替え版も探せばありますが、やさしい英語ですので英語でみるほうが画質もいいのでおすすめです。この中にはアインシュタイン、ファラデー、ラボアジエ、エミリー・デュ・シャトレ、リーゼ・マイトナーなどが登場します。若いファラデーの物語のほか、老いたファラデーをマックスウェルが訪れて、ファラデーに電磁場の真空中の速度が光速と等しいと告げて、ファラデーの予言(光は電磁波である)どおりだったと告げる感動の場面も描かれています。(2019年8月25日追記:YouTube動画のリンク切れを修正しました。NOVAの動画はサイトで見られなくなり、以前のせていた英語版の高画質版も消えたようなので、新しい英語版と日本語版にリンクを修正しました。日本語版のほうは画質が悪いようにみえますが皆さんはどうでしょうか?)
https://www.youtube.com/watch?v=mvW93cxd2o8
上の日本語の動画はテレビで視聴すると解像度が悪いのがわかります。上の英語のほうがよさそうです。字幕を英語にしてご覧になると聞き取りの練習にもなると思います。
ファラデーは電気分解のファラデー定数でわかるように電流と化学を結びつけたほか、電気と磁気、重力の関係を探る実験も繰り返していました。場の概念は現代物理学の基礎ですが、彼は電気力線の概念を提唱して物理学に場の概念を持ち込んだ偉大な科学者です。このへんのところは、 「ファラデーの電磁気学研究における力・力能・粒子」夏目賢一著という論文をご覧ください。
また町の図書館で借りて読んだ本ですが、物理学を変えた二人の男―ファラデー,マクスウェル,場の発見(岩波書店)も良い本でした。下はガモフの「重力の話」(伏見康治 訳)ではじめて読んで感激したファラデーの言葉です。重力と電気の関係を探る一連の実験の締めくくりの言葉です。
2717 Here end my trials for the present. The results are negative.They do not shake my strong feeling of the existence of a relation between gravity and electricity, though they give no proof that such a relation exists. Royal Institution, July 19, 1850. (Experimental Researches in Electricity, Dover版、第二巻、168ページより)
ファラデーの日記ですが、関連した論文をJ-STAGEからダウンロードできるので紹介しておきます。1932年の応用物理に「フアラデーの日記」(矢島 祐利)という記事がのっています。ファラデーの日記が出版されるごとに解説を加えたものでファラデーの日記(2)、ファラデーの日記(3)とつづき、(6-完)まで記事があります。どれもJ-STAGEからダウンロードできますのでご覧ください。最近の日記の解説では「実験の天才ファラデーの日記」(木原 壯林)が同じくJ-STAGEからダウンロードできます。この記事に書いてあるペーパーバックス版のファラデーの日記は、私も出版されたときすぐ購入して全巻持っています。J-STAGEについてはこちらをご覧ください。