科学研究にAIがどのように役立つか、現在のAIはどれほどすすんでいるのか、そしてその将来はどうなるのか、こうした疑問について学べる素晴らしい講演会が開催されました。Science x AI Summit 2026 (Palo Alto) で5月12日、13日の二日間にわたる講演会です。このサミットでは、ノーベル賞受賞者、フィールズ賞受賞者、チューリング賞受賞者といった世界的権威が一堂に会し、AIがいかにして科学のプロセスを再定義し、加速させるかについて深い議論が交わされました。
最近話題になった数学者のTim Gowers さん(フィールズ賞受賞者、ケンブリッジ大学教授)の講演は必見です。また同じくフィールズ賞受賞者のTerrence Tao(テレンス・タオ)さん(UCLA教授)のAIと共存するようになった数学研究の今後の展望、証明支援ンシステムLEANの創始者Leonardo de Moura さん(Lean創始者、AWSシニアプリンシパルサイエンティスト)の数学の証明をLEANによって万人が理解できるようにブラッシュアップできるという話も興味を惹かれると思います。重力波観測施設LIGOの主導者でノーベル物理学賞を受賞したBarry Barish さん(ノーベル物理学賞受賞者、Caltech教授)の物理学へのAIの寄与の展望も面白い話です。また小胞体輸送の研究でノーベル医学生理学賞を受賞したRandy Schekman さん(UC Berkeley教授)のAlphaFoldと創薬の話は特に生命科学系の学生、研究者にぴったりの話でおすすめです。強化学習(RL)でチューリング賞を受賞したRLの父と称されるRichard Sutton さんや、Lenore Blum 氏 & Manuel Blum 氏(チューリング賞受賞者夫妻、計算機科学者)が提唱する意識は神秘的なものではなく、計算可能なプロセスであるという話は初めて知りました。「Conscious Turing Machine (CTM)」という数学モデルを通じて、意識は情報の「グローバル・ブロードキャスト(注意)」と、内部言語・世界モデルの共進化から生じる機能であると定義できるという話のようです。AIが意識を持つことは不可避であるという結論が興味を惹きます。他にも創薬へのAIの応用の話、AIを使って患者一人ひとりの「バーチャル・モデル」を構築することで、個人個人にあわせた病状の進行や治療反応のシミュレーションを行うという話も面白いです。バーチャル患者を利用して、一人ひとりに最適化された医療を低コストで提供可能にすることができるようになるという話です。
AIは単なる「効率化ツール」ではなく、科学的思考そのものを拡張する「協力者」であるという視点のサミットです。特に、数学的な厳密性とAIの確率的な探索をいかに統合するか、そして公共財としての「オープンデータ」をいかに守り活用していくかが、今後の科学技術の発展において極めて重要であるという共通認識が語られています。貴重な動画ですので、是非見てください。
Day 1 Morning/Afternoon: (https://www.youtube.com/live/XSK11zBg7TQ)
Day 2 Morning:(https://www.youtube.com/live/pJyP8-iEAog)
Day 2 Afternoon:(https://www.youtube.com/live/VLthrW-tlfg)