甘利俊一先生の京都賞受賞を祝した特集号が公開されています。

甘利俊一先生の京都賞受賞を祝した特集号がでていてJ-STAGEで無料で読めます。ダウンロードも可能です。
日本神経回路学会誌 32 巻 (2025) 4 号が京都賞受賞を祝した特集号です。

甘利先生ご自身による回顧記事も掲載されています。
数理工学を考究して
甘利 俊一
https://doi.org/10.3902/jnns.32.181
この記事は面白かったです。
『大学院修了後に九州大学の通信工学科に奉職した.ここは自由の天地で,好きな研究ができた.』 とか、
『当時欧米はニューロの冬の時代であった.予算がカットされ研究者の数も激減した.しかし,日本で
はそもそも研究予算は乏しくカットしようがないからそれ以上は減らない.その代わりに研究は自由で
ある.だから神経情報処理の研究は日本で勃興した.神経情報科学研究会が発足し,医学部の若手研究
者との交流も進んだ.
1980 年代に入り,欧米では第 2 次ニューロブームが燃え盛る.このとき日本はニューロ先進国であったから,世界の学会で活躍ができた.』というような証言も書かれています。私の大学院生時代でもビーカーが買えないのでワンカップ大関のビンで代りにしているラボがありました。ある人は、予算がなくて困っていたが、今度のラボは予算が潤沢で自由に研究ができる―ピペットマンとかも買えると喜んでいました。しかしそこはオウム真理教のラボだったそうです。ある大学の空調が効いたラボの隣のラボでは窓、扉全開で扇風機をまわして夏中研究しているということでした。しかしこの冷房をガンガン効かせていたラボも、空調が故障したら修理費がなくてすぐに隣のラボと同じになったそうです。上の甘利先生の言葉も本当だと思います。

他にもいろんなおもしろい記事があります。ピックアップしてならべておきます。

巻頭言
神経回路網の自己組織化と数理モデル
塚田 稔

特別寄稿
数理工学を考究して
甘利 俊一

祝辞
甘利先生から学ばせていただいたこと
銅谷 賢治

甘利先生とはじめて会った頃の思い出
篠本 滋

甘利研での思い出
―甘利俊一先生の京都賞受賞を祝して―
池田 和司

ちょっくら冒険,カオスの世界へ
豊泉 太郎

解説
高次相関をめぐる冒険:甘利俊一先生の京都賞受賞に寄せて
島崎 秀昭

情報幾何学による情報統合の定量化
大泉 匡史

最適輸送と情報幾何
松田 孟留

この特集号のことは、こちらのツイートで知りました。このアカウントの他のツイートも興味深いのでご覧になるとよいと思います。


甘利先生が最近書かれた次の本も面白いと評判です。

甘利俊一(2024):目くるめく数理の世界―情報幾何学,人工知能,神経回路網―,サイエンス社,東京.