原子爆弾開発の歴史についての最新動画がでています。
The real science of the nuclear age: behind Oppenheimer – with Frank Close
https://youtu.be/rBV4czuCFvg?
著者の書いた本はこちらです。https://www.amazon.co.jp/dp/0241700868?
Destroyer of Worlds: The Deep History of the Nuclear Age: 1895-1965
広島、長崎につながる原子爆弾の開発史の本です。
今回の講演はこの本の宣伝をかねていると思います。
映画オッペンハイマーの誤っている点にも触れている講演です。
核分裂を発見したのはオットー・ハーンであるというのは嘘で、本当の発見者は彼と30年も共同研究していた物理学者リーセ・マイトナーとオットー・フリーシであったという有名な話も聴くことができます。
また原子爆弾については、その原料のウラニュウムは地球のいたるところに鉱床があるのに、なぜ自然に核爆発が起こらないのかを詳しく解説してくれています。ウランには質量数235と 238の同位体があり、235は238に較べて圧倒的に存在量が少ないのです。そして核分裂には奇数の質量数のもののほうが偶数のものより適しており、存在量が少ないウラン235を濃縮することが核分裂に必要だと強調しています。それを初めて示唆したのはオッペンハイマーではなくニールス・ボーアで、ウラン235を用いての核爆弾の現実的設計を行ったのはパイエルスという物理学者であることも明かされます。パイエルスはゾンマーフェルト、ハイゼンベルグ、パウリに師事した物理学者でナチスの台頭によってイギリスに逃れてイギリスの原子爆弾開発の中心的指導者として活躍しました。パイエルスが書いた原子爆弾開発についてのレポートに従って、イギリス、そしてそれを引き継いだアメリカの原子爆弾開発がすすめられたのだそうです。パイエルスは量子力学の創始者ではありませんが、完成した量子力学を応用する時代の先駆者で、固体物理の研究で著名です。一般向け研究者向けの本も日本語に訳されていて国立国会図書館デジタルコレクションで読むことができます。彼の本へのリンクは明日、他のデジタルコレクションの本とともに載せる予定です。