アレルギー反応って何のために起こるの?本当は生体防御反応なのでは?といった疑問にこたえてくれるNIHの最新講演動画を紹介します。

この動画をみるとアレルギー反応についての理解が深まります。是非ご覧ください。
WALS: William E. Paul Lecture- Immunology From First Principles
https://youtu.be/_hIWt-J_0_E?

https://www.youtube.com/@NIHVideoCast

この動画はNIHで先日行われた、アレルギーがなぜ起きるのかについての講演の録画です。
YouTubeの動画のほうはダウンロードできませんが、本家のNIH videocastのほうでは動画のダウンロードはもちろん、字幕のダウンロードも可能です。またYouTubeにはない動画もいっぱいあるのでNIH videocastは本家のほうで視聴してください。
https://videocast.nih.gov/watch=55037

WALSというのは Wednesday Afternoon Lecture Seriesの略で、水曜日の午後におこなわれる講演シリーズについてる名前です。
今回の講演では、アレルギー反応というものについての興味深い研究が紹介されています。なぜアレルギー反応やアレルギー病というのが起こるのか?アレルギー反応には生体防御の意味があるのではないか? こうした疑問に答えてくれる講演です。SPFマウスは生物学の実験で使う標準的なSPFマウス(特定の病原菌から隔離した状態で生まれて育っているSpecific Pathogen Free (SPF))マウスです。いろんな種類・系統のマウスが動物商から購入できて実験に使われますが、そうしたマウスはSPFのものを指定して購入するのが普通です。この講演動画では、SPFマウスとペットショップで売っているマウス(こちらは各種の微生物にさらされています)を比較した実験が紹介されています。なんとペットショップマウスはSPFマウスよりも格段にアレルギー反応を起こしにくいそうです。なぜか?そのメカニズムの研究が紹介されています。面白かったのは、腸での病原体との接触によってシグナルが神経系につたわって病原体の忌避行動につながるというところです。講演では線虫の話はなかったのですが、私の研究している線虫の生体防御メカニズムとマウスのメカニズムは全く同じみたいです。線虫も有害な病原体や物質を認識すると、それに対する忌避行動を起こします。線虫は抗体をつくらないので、こうした忌避行動は線虫の最も重要な生体防御メカニズムの一つです。線虫とマウス、これほど進化的に離れた生物間で病原体や有害物質の忌避反応が共通の生体防御メカニズムだということがわかりました。線虫の研究も結構、ヒトの病気の研究に役立ちそうです。