小惑星リュウグウのサンプル分析で発見されたバクテリアについて

日本の探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星Ryuguのサンプルをイギリスの研究室で分析したところバクテリアらしき電子顕微鏡写真が撮れたという論文がでて話題になったようです。去年の年末に結構話題になったニュースですが、私は数日前までまったく知りませんでした。原論文はこちらです。
Rapid colonization of a space-returned Ryugu sample by terrestrial microorganisms
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/maps.14288
オープンアクセスの論文なのでどなたでも読めますし、ダウンロードできます。
この論文を読みましたが隕石の中にバクテリアがいたという論文ではなく、地球上のバクテリアに汚染された(私たちはコンタミしたといいます。contaminationの日本風表現です)と思われるので注意しましょうというような趣旨で論文がまとめられていました。
この論文についてのJAXAの声明はこちらです。
Dec 5, 2024
Regarding the journal paper on microbial contamination found on a grain from asteroid Ryugu
https://www.isas.jaxa.jp/en/topics/003899.html
日本語でのJAXAのこちらの解説がとてもわかりやすいので是非お読みください。https://cosmos.isas.jaxa.jp/ja/keeping-out-the-earth-protecting-the-asteroid-ryugu-sample-from-contamination-ja/

地球環境を締め出せ:小惑星リュウグウサンプルを汚染から守るために

面白かったのは、この論文の序文で今までに結構な数の論文がでていて、それらは石質隕石の中にバクテリアを発見したと主張しているのがわかったことでした。どれもバクテリアとそっくりな構造が見つかったという報告で、DNAや有機物を確認したわけではないものばかりでした(ほとんどがオープンアクセスではないので九大図書館で読みました)。JAXA で地球上のバクテリア汚染をチェックするために定期的に培養も試みているそうです。枯草菌とか培養できる微生物は検出できますね。宇宙にバクテリアが満ち満ちているとしたらそろそろ検出できる時代になったので、これからが楽しみです。