雑誌数学セミナーの3月号の特集は、「生物の営みと数理―フィッシャーが拓いた地平」です。
https://www.nippyo.co.jp/shop/magazine/9438.html
九大の生物学科におられた巌佐庸先生をはじめ、お目にかかったことがある先生たちがわかりやすく書かれているので今、楽しんで読ませてもらっています。フィッシャーは優生学に理解があったため近年のキャンセルカルチャーの蔓延で、貶められることが多い科学者です。量子力学の創始者シュレーディンガーと同じで、彼の名前を冠した建物とかの名前を変えてしまったり、賞の名前からフィッシャーという名前を消したりすることが平気で行われています。天動説を絶対のものとして地動説を弾圧したあの頃や、儒者を生き埋めにして書物を焼いた頃の人間の本性が、またまたでてきているみたいです。何千年たってもこういう人間の側面はなかなかなくならないもので情けないことです。
フィッシャーの優生学については、講談社現代新書の「ダーウインの呪い」などを読まれるとよいと思います。以前紹介した優生学の講演動画や本も参考になると思うので参照してみてください。
フィッシャーについてはこのブログのリンク集にオンラインの著作へのリンクをあげていました。今日調べてみたらリンク切れだったので訂正しておきましたのでご覧ください。なんか昔このサイトでオンラインで読めた本がだいぶなくなっているような気がしますが‥‥。リンクはこちらです。
https://digital.library.adelaide.edu.au/communities/8bff69a2-ee25-4c0f-8fb4-157cf7d6fc34
Internet ArchiveでもFisherの本はダウンロードできます。たとえばこれは進化生物学の名著(進化の総合説の古典中の古典)といわれる本です。上の数学セミナーの記事で、琉球大学の辻和希先生がこの本が一度も邦訳出版されたことがないのは驚くべきことだ、数理生物学の普及のために邦訳の出版が待ち望まれるとまで書いておられます。
The Genetical Theory Of Natural Selection
https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.221869 またはこちら。
https://archive.org/details/geneticaltheoryo00fishuoft
フィッシャーは進化生物学の大家であるとともに現代の統計学と実験計画法の創始者ともいわれる偉大な科学者です。フィッシャーと交流があった北川敏男先生の本がこちらでダウンロードできますので、是非読んでみてください。英国紳士のフィッシャーの人柄がわかる本です。ウイーナーとの交流の話も書かれていてとても良い本です。
『統計科学の三十年 : わが師わが友』(北川敏男 著)
https://ismrepo.ism.ac.jp/records/33833
なおこのサイトには他にもいろんな本がアップロードされていて、pdfと書かれている本は、無料で公開されておりダウンロード可能です。よいサイトですね。
K.統計科学のための電子図書システム
https://ismrepo.ism.ac.jp/search?page=1&size=20&sort=controlnumber&search_type=2&q=1911